2016/11/27 のログ
黒龍 > 「…あぁ?何だそりゃ…ま、この島が色々とオカシイのは来たばかりの俺でも分かるが」

しかし、ガタイが随分良い男だ。身長も自分より随分と高い。殴り合いとかしたら面白そうだな、と思いながら。

「…グエン?何か言い難いな…。まぁな。ちょっとしたゴタゴタみたいなもんだわな」

石ころ騒動は一先ず黙っておくとして。しかしグエン…初対面だが、その名前の響きはちらほら聞いた気がする。

「つぅか、テメェもしかしてこの界隈じゃ名が通ってたりすんのか?
なーんか、新参の俺でも聞いた事がちらほらある気がすんだがよ…」

不良で人の名前を覚えるのが苦手な男だが、彼の名の響きは何処か覚えがあるらしく。

虞淵 >  
「転移荒野から来たってならわかりやすいンだがな。
 まァそのナリじゃ面倒事も多いだろうよ」

ふーっと白い煙を上に向けて吐きながら

ゴタゴタ、と聞けばまぁそうだろうと言った表情
文化も生態系も違って当たり前、揉め事に発展することもよくある
転移荒野や異邦人街に近いこともあって、珍しいわけではなかった

「───さてな。
 功名心で名を売った覚えはねェし、勝手に騒がれてるなら、知らん」

落第街の帝王などと呼ばれていた時代も今は昔、
それ以降は単なる喧嘩屋、危険人物として広く語り回られる程度だろうか

黒龍 > 「転移荒野って、あの色々捩れてるタダっ広い荒地か?俺が出てきたのはあそこだぞ」

そういえば、と思い出す。元々、次元の狭間から無理矢理『門』を開いて来たのだ。
そして門の先は…元居た世界どころか、よく分からん世界…いや、島だった。
こちらも葉巻を咥えて煙を蒸かしつつ。まぁ、スラムとかに住み着いている男もゴタゴタは日常茶飯事だ。
今回のは、少しだけ何時もと事情が違いはしたが。

「…だろうな。まぁ、強ぇヤツは大抵どっかの有象無象に目を付けられるもんだ」

己にも覚えがある男は溜息混じりに煙を吐き出す。そういえば、と男は一つ尋ねた。

「グエンだったか。一つ聞きてぇんだが、ここの治安機構…風紀何とかだったか。そういうのもここらに来たりすんのか?」

未だに風紀委員の者と幸か不幸か遭遇した事が無い。が、そういう警察代わりの組織があると聞いてはいる。
その辺り、丁度いいのでこのチンピラ…人の事は言えないが…に、尋ねてみようか。

虞淵 >  
「オウ、よくわからンがあの一帯はそういった"門"が出来やすいらしくってな」

学者でもないので理由はしらない
昔からそういわくつきのように言われ、実際にそこからやってくる異邦人も多い
目の前のヤツもその例に漏れない存在らしい

「強ェってのはいわば尖ってるようなモンだ。
 刺さらねえようにするにしても注視しなきゃならねェんだよ」

そう言ってくつくつと笑い

「───あぁ、来るぜ。
 此処、落第街は犯罪の温床だからな。
 大体がツーマンセル以上でまわってやがるから面倒なら逃げるンだな」

単独で巡回できなくした原因は自分なのだが、まぁそれは黙っておく

黒龍 > 「あぁ、だから異邦人街っつぅのがあんのか…ったく、面妖な島だぜ…」

おそらく、自分が開いた…いや、無理矢理作って抉じ開けた門もこの島に引き寄せられたクチだろう。
余計な事しやがって…と、誰に言うでもなく心の中で悪態を零して。

「そういう神経使うのは苦手だぜ…もっと自由気儘にやりてぇもんだ」

くつくつと笑う大男とは対照的にウンザリしたかのような口調。
多少気が紛れたのかイライラはマシになったが。

「逃げるっつぅのも面白くねぇな…とはいえ、ドンパチして他のにも目を付けられるのも面倒っていや面倒か」

犯罪の温床、というのは分かりきった事だ。実際、そういう光景も何度か見た。
男はせいぜい喧嘩してぶちのめして、ついでに金品を戦利品として巻き上げているくらいだが。

「とはいえ、治安機構もこの街を鎮圧できてねぇって事は、ここの連中がタフなのかあっちがボンクラなのか…」

ま、こういう場所は無くなりはしねぇだろうが、と己の言葉にそう付け足して肩を竦め。

虞淵 >  
ウンザリする様子に笑みを深めて

「自由気儘にやりたい性分にはキツかろうな。
 否応なしに目立つぜ、それじゃ」

そう言って肩を竦める
自分も一言は言えないが、目の前のこの異邦人も十二分に目立つ存在感を持っている

「ま、撲滅はできねェよ。歯向かうヤツもいれば逃げ回るヤツもいる。
 そもそも根絶できるような治安維持ができるならこんな掃き溜めみてェな街はできてねえのさ」

黒龍 > 「法が必要ってのが分からないほどバカではねぇがよ。俺ぁそういう枠組みに嵌められるのが嫌いなんだよ」

自分の思うがままに生きる。これまではそうしてきたし、それに後悔はない。
が、この島ではそれが出来ないようだ。男が言うように、この男の性分では悪目立ちするだろう。

「つぅか、そういうテメェもどっちかというと俺と同じ方面の性分に見えるがよ?」

ジロリ、とサングラス越しに金色の瞳で大男を眺める。何となくコイツは俺と似た空気を感じる、と。

「掃き溜めねぇ。まぁ、クソな場所なのは確かだが。それでも、管理されてる場所よかまだマシだ」

足を運んだことは無いが、この島の中心部…学生街、だったか?そういう所はおそらくきっちりしてるのだろう。
が、そういう『お綺麗な』空気に男はどうにも馴染めないのだ。

虞淵 >  
「そうだな、見立てとしちゃ間違ってはいねェが」

フィルターまで吸いきった煙草を地面に捨て、踏み消す
そのまま小汚いドラム缶へと腰を降ろして

「孤独に生きよう、ってタマでもねェんでな。
 ある程度は枠ってモンに嵌まらねえと酒や煙草や女に困ンだよ」

少々楽しげな笑いを浮かべ、そう答えを返す

「息苦しいなら此処に住めよ。
 暴れたきゃ地下に暴れられる場所もあるしな」

黒龍 > 「…そうかい。俺はテメェ程に器用に立ち回る事は出来そうにねぇよグエン。」

彼の言葉に思う事が無い訳ではない。孤独に生きるのが好みならば、そもそもこの男とこうしてまともに会話すらしていないだろう。
だが、彼に比べたらこの男はどうにもそこらの機微が不器用だった。だから『表側』に馴染めない。

「あ?暴れられる場所があんのかよ。そりゃあいい。いい加減鬱憤も溜まってたんだ」

へぇ、と僅かに目を輝かせる。雑魚ばかりより強いヤツと戦う方が退屈しない。
勿論、隣の大男も強そうだ…いや、強い。何となくそのあたりは肌で感じ取れるのだ。

「ああ、でも酒と煙草と女に困るのは確かに問題だな」

枠組みに嵌まるのは抵抗があるが、男の意見もちゃんと一理或る訳で。

虞淵 >  
「あァ、表で暴れると風紀の目につく。
 躱せるやつァいいがそうじゃねェのに暴れ足りねえヤツもいる。
 そんなヤツが地下で好き放題暴れられる場所があんのさ」

異邦人もちらほら地下闘技場で暴れていた筈である
たまに見物にいったりはしていた、良い酒の肴なのだった

「だろ?
 好き放題生きたって楽しめなきゃ仕方ねェし、
 そこァ折り合いってやつだぜ」

自分と比較的価値観が近いのであろう目の前の異邦人
こういった相手と話すのも随分と久方ぶりのことであった

黒龍 > 「…まぁ、俺なんかがそのクチだろうな。実際暴れ足りねぇってのはある。
…成る程、地下の闘技場みたいなもんか。そりゃあいい」

後でこの大男から場所を聞いておくとしよう。一度出向いてエントリーするのも悪くない。
酒、煙草、女、金、食い物…それとは別の欲求。闘争心…暴力の発散が必要なのだ。

「折り合い、ねぇ。面倒くせぇが…郷に入らば何とやら、ってヤツか」

心底面倒だ、とばかりに葉巻の煙を吐き出す。だが、まぁ確かにそうか。
好き放題生きたいのは変わらない。が、楽しむなら折り合いは欠かせないのだろう。
無法者(アウトロー)であろうと、暗黙のルールがあるように。
ただ、好き放題するだけではここでは暮らしてはいけないのかもしれない。

「しかしまぁ、アレだ。テメェみてぇなのが居ると話が早くて助かるわ」

と、僅かに笑みを浮かべて口にする。この男にしては珍しい素直な謝意だ。
何せこんな性格なので、こちらの意を汲み取って返してくれる輩は少ない。

虞淵 > 「オウ、この辺りウロついてりゃあちらほらいるだろうが。
 テメェ結構強そうだからな、ビビって出てこねぇ連中も多かったのかもな」

ククッと笑う
落第街に生きる人間は危険察知にも優れる
危険だと、強力だと理解できる相手には近寄らないのだ

スピンアウトした人間の中には戦えないものも多くいる

「結構いんだよな、転移荒野から近ェせいで落第街に流れてくる異邦人がよ。
 お前さんはまだ言葉が通じるからいいほうだぜ」

黒龍 > 「そういうテメェも結構ヤるクチだろうがよグエン。手合わせしねぇでも空気で分かる」

ニヤリ、とこちらも笑みを返す。コイツとはガチンコで殴り合いでもしてみたいものだ。
だからこそ、この男のように強くて物怖じしないヤツは案外貴重なのだと思う。
まぁ、落第街を探せばまだチラホラ居たりするだろう。が。探すのも面倒だ。

勿論、戦えない輩に暴力を振りかざすほどに男は落ちぶれてはいない。
あくまで戦いたいのはその力と意志があるヤツ、そして強いヤツだ。

「あー、アレだ。俺はどっちかというと喧嘩早い方だと思うぜ我ながら。
テメェは俺と感覚とかが似てるぽいからな…何と言うか話し易いってのもある」

肩を竦めてそう口にする。これが風紀のヤツとかだったら、今頃はここで派手にドンパチしていただろう。

虞淵 > 「そうだな、殴り合いで負けたこたァねェよ」

喧嘩好き、それ自体は間違いない
ただ戦闘狂というわけではなく、無差別でもない
こうやって話しができることがその証明である

そのへんも、互いに似ているところかもしれない

「クックック、ちょっと立場が違や今頃殴り合ってたかもな」

楽しげに笑って立ち上がる
そのまま黒龍へと背を向けて、振り返る

「名前聞いとくぜ」

知ってるとまた会える気がする

黒龍 > 「ハッ、いいねぇ!テメェみたいな強ぇヤツがもっと沢山いりゃ退屈しねーんだが」

そう口にして笑う男だが、喧嘩早いと自己分析しながらも弁える分別は或る。
今、さっさと喧嘩を売らずにこうして会話を穏やかにしている事がその証明だ。
戦いが好きなのは事実。一度始まれば白黒付くまで止まるつもりは無い。
が、無差別に誰彼構わずぶちのめす戦闘狂ではない。男なりの最低限の戒めだ。

「まぁ、殴り合いは次の時のお楽しみにとっとくぜ」

こちらも葉巻を地面に落として足で踏み消しながら笑う。
この街で暮らしていれば、そう遠からずまた会う事もある筈だ。

「…ああ、名前…まぁ「黒龍」とでも呼んでくれや。こっちじゃ元の名前なんてあんま意味ねーしよ」

ある意味でこの世界の自分と今までの自分は別物。ならば、そっけないその名前で十分だ。

虞淵 >  
「"黒龍"、ね。
 それ通るならそれでいいやな。
 ま、何だ…程々に上手くやんな。此処での生活も楽しいもんだぜ」

そう言い残して再び踵を返し、
背を向けたままにピッとその指を立てて手を降る

そのまま静かに男は落第街の闇へと消えていった───

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
黒龍 > 「おうよ、俺なりにまぁ楽しませて貰うわ…あばよ、グエン」

立ち去る男に軽く右手を上げて見送る。考えれば…まともに人と会話したのも久しぶりだった。

「ま、こういうのもそれはそれで悪くねぇ。気分転換にもなるしよ」

それに、この街での処世術みたいなのも何となく理解は出来た気がする。
相変らず、彼が来る前に己の中に埋没した石の正体は分からないが。

「ま、あれこれ考えてもしょうがねぇ。俺もさっさと引き揚げるか」

男も、一足先に立ち去った彼とは逆の方角へと歩き出す。
後に残ったのは地面に落ちた吸殻だけだった。

ご案内:「路地裏」から黒龍さんが去りました。