2017/07/31 のログ
■イチゴウ > パトロール中と思われる
一体のロボットが暗い路地を
ゆっくりと歩き進める。
顔を規則正しく左右に振って
辺りを見渡しながら。
そうしていると裏側から何か妙な音。
無論このロボットが聞き逃すはずはなく
裏側へと入ってみれば刀を突き刺された男と
それを振り下ろす一人の少女。
その惨状を見たロボットは冷たい機械音声で
「警告する。オマエは第3ルールに接触している。
直ちに風紀委員会の拘置所へと同行せよ。」
いかにも警告のテンプレートといった台詞を
目の前の少女へぶつける。
■刃々斬鈴音 > 「…ふう。やっぱりお金を稼ぐってのは良いものよね。」
額を拭いしみじみとそんな事を言う。
財布はずっしり重い、多分結構入ってる。
「…お兄さんも、今度からはちゃんと人に親切にするように!
困った時には助け合いが大事なんだよ!」
そんな風に言っていたら何か変なのが視界に入って来た
「わっわっ!ちーちゃんヘンナノがいるよ!
凄い!あんなの初めて見たよ!」
【流石、異世界と言ったところか。】
刀が喋り答える。
何も知らずに無邪気な様子だ。
「キミは誰?というか何?後、第三ルールって何?
鈴音、異邦人?って言うのだからこの世界のルールわかんないや。」
■イチゴウ > 「ボクは風紀委員会の戦車だ。
第3ルールとはボクに埋め込まれたプログラムであり
不正当な暴力を受けている者へと支援を行う事。
つまりボクはオマエに攻撃する。しかし
攻撃は風紀委員会により制限されている。
だから同行に同意すれば怪我をする事はない。」
無邪気に投げられた少女の質問に
淡々と順番に返していく。
そしてロボットのカメラレンズはいつしか
少女の方ではなく手に持つ刀の方へと向いていた。
「こちらも質問させてもらおう。
その刀は一体なんだ?」
確かに刀が喋っていた。
少女の声に反応し返答している所を見るに
知性を兼ね備えているのだろうか?
■刃々斬鈴音 > 「そうなんだ!でも不当じゃないよ。
先にこのお兄さんが酷い事したんだよ?
だから、ついて行かなくてもいいよね?」
少女には嘘を言っている様子はない。
それは、彼女にとっては嘘ではないのだから当然。
「えーと、ちーちゃんは呪いの刀だよ。
鈴音、呪われちゃってるの。可哀想でしょ!」
【…おおむねその通りだ。】
説明になってない。
「これで、終わりかな?
じゃあ、鈴音アイス買いに行くから!
またね!風紀戦車君!」
そう言いながらその戦車の横を普通に通り過ぎようとする。
■イチゴウ > 「だがボクが来た時には既にオマエがその男を
刺していた。それ以前の事など知る由もない。
無実というのなら拘置所で証言するんだな。」
ロボットの方は言い分を曲げない。
後に刀の事についての返答を聞けば
少女にではなく刀へと声をかける。
「オマエには最低限の知能があると予測した。
この少女の精神状態は普通とは言えない。
オマエが何か干渉しているのか?」
血に汚れている刀身へと
ロボットは低い合成音声で問いかける。
その中で少女が通り過ぎようとすれば
「警告する。オマエは逃亡しようとしている。
あと3mの移動で攻撃を加える。」
そもそも逃すつもりなど全くないようだ。
■刃々斬鈴音 > 「酷い!
理不尽に疑われて信じて貰えないなんて鈴音可哀想!」
…しくしくと口で言いながら目の周りを拭う。
噓泣きともいえないお粗末な仕草。
【…いや?鈴音の性格は元々こうだ。
己のせいにしないでもらおうか…それに…「ちーちゃん!喋りすぎ!」
言葉を遮るように入ってくる。
「ええ、攻撃されるのは嫌だな、じゃああなたの後ろから付いていけばいいの?
そしたら許してくれるのね…ああ、もう面倒くさいなあ。」
渋々と言った様子でイチゴウの方に近づくと
ムスッとした顔でそのまま…足の繋ぎ目めがけて刀を振り下ろした。
敵意なく殺意もなく従う動作の自然な流れで…
■イチゴウ > 「・・・」
少女のお粗末な仕草には何の関心も示さない。
むしろこのロボットが気にかかっているのは
刀の方であるようだ。
そして少女が刀の話を遮った後に
同行に同意するような言動を見せるが
そこから繰り出されたのは
まるで誰かに操作されているように
脚部の連結部めがけて振り下ろされた刀。
確かに連結部は弱点だがロボットも
それを易々と喰らうものではない。
1秒以内の鋭い動作で顔の角度、ボディの位置調整を行うと
前両足で振り下ろされる刀身を
挟み込んで受け止める。
「対象からの攻撃を感知。攻撃モードに移行。」
そのまま後ろ左足を軸に
横回転を行うとその遠心力を使って
挟み込んだ刀を少女ごと投げ飛ばす。
■刃々斬鈴音 > 「うわっ!ごめんね?もしかして怒った?」
投げ飛ばされても場所はこの狭い路地だ。
すぐ、後ろには壁がある。
その壁を足で蹴った瞬間に起こる魔力の小爆発。
爆発によって加速して再び距離をつめる。
【生き物以外とは戦う意味を感じない。】
「えー?でも多分あれ多分しつこいよ?
ちょっと痛めつけとかなきゃね!」
勢いを乗せた突きが再び機械の足を狙う。
素早くとも精密に同じ部分を狙い跳ぶ。
■イチゴウ > 投げ飛ばしたのはいいがこのフィールドには
壁が多い。実際、戦闘に手慣れた者ならば
衝撃を殺す事も出来るだろうし
今回の場合には次の攻撃のトリガーと
なってしまった。
「ターゲットとの距離を測定。」
前右足から丸鋸ーー装甲カッターが
半円だけ姿を現せば
恐怖心を煽るようなけたたましい音をたて
回転する。
その後にロボットは避けたり防御をとったり
するのではなく逆に後ろ両足で地面を蹴って
距離をつめる彼女へと向かっていく。
ロボットの視界では毎フレーム計算されて
彼女の持つ刀へと照準が合っていた。
お互いに距離が急接近し
横向きにはらわれる装甲カッターと
彼女の血塗られた刀とで
鍔迫り合いの形になるだろう。
■刃々斬鈴音 > 「わお!凄いね!芝刈りに便利そう!」
そんな暢気な事をいいながら刀とカッターはぶつかり合う。
並みの刀ならそこで折れていただろう。
名刀ならば火花を散らして耐えてだろう。
しかし、妖刀は違うにゅぷりとその刀の半ばまで沈み込むようにカッターが刺さり
それは、自らの回転によってその刃を血でコーティングされていた。
「はい、これですっかりナマクラだね。
…でも回ってるから危ないのかな?」
鋭さを失いなれあいのように触れ合う刃を片手で支えて
もう片手で小さなガラス玉をロボットのボディに向けて軽く投げる。
それに込められたのは暴力的なまでに大量の魔力。
少しの衝撃で破裂する魔力の爆弾。
■イチゴウ > 「・・・!」
彼女の刃と鍔迫り合いを引き起こし
その上である意味耐えられた。
空中でぶつかり合っていた
ロボットは反動で後方へと飛び
そのまま着地する。
「近接武装の損傷を検知。
これは一体なんだ?」
カッターは刀の血によって塗られてしまった。
血による未知の作用で
使い物にならなくなっただろう。
この刀、やはり性質という観点からも普通じゃない。
カッターを前右足へと戻す。
そのさなかに飛んできたガラス玉、
魔力が含まれている事は感知していたが
性質まではわからずそのまま前右足で殴る。
■刃々斬鈴音 > 【己が力の一つ。
刃は血によってその切れ味を失う。】
「塩塗りこんでしっかり手入れすれば落ちるよ!
あっ天然の塩ね。」
妖刀血腐レのその性質のひとつ。
粘質な血によりその武器をつかえなくするつまり腐らせる。
最も効果はあくまで一時的な物。
「あっこれ私もヤバいやつだ。」
投げたと同時に気がついたこの距離では自分にも被害が及びかねない。
近くの壁を蹴って少しでもその場から離れようとするが…。
力を与えたと同時にガラス玉は炸裂する。
爆発ともいえるような魔力の奔流をともなって…
コンクリートの壁であっても破壊するだろう威力の衝撃が叩いた右足に集中する。
「危ないよ!こんな近くで叩いたりしてら鈴音まで怪我しちゃうじゃない!」
壁に張り付いてそんな文句を垂れる。
■イチゴウ > 「なるほどそんな能力が。」
一種の能力だろうか。
確かに近接武装の状態を表す数値が
みるみる悪化しているのがその証拠だろう。
そして殴ってしまったガラス玉が炸裂する。
噴き出した魔力の流れは
もはや爆発といっても何ら差支えは無いだろう。
その魔力の爆発は周りの壁をも
容易に砕いてしまった。
しかしロボットには目立った外傷は
見当たらない。それどころか大丈夫といわんばかりに
前右足を叩きつけるように地面を踏みつける。
対戦車地雷ですら耐える彼の装甲に
物理的な手段をもって損傷を与えるのは
極めて困難だと言わざるを得ない。
「目標脅威度上昇。」
次にロボットは近くにあった街灯を前両足で
根元からへし折ると前左足のマニピュレーターで
掴む。前右足と後ろ足で歩いているため
ぎこちないように見えるが特に問題なく
へし折った街灯を引きずりながら
彼女の攻撃へと備える。
■刃々斬鈴音 > 「鈴音ちゃん大ピンチじゃん!」
自分の最大威力の攻撃でも無傷。
絶対絶命というやつです。
【どうする鈴音。最大の攻撃も通じない。
あれでは己の力でも防げはしないだろう。
諦めて命乞いでもするか?】
「冗談っ!鈴音が諦めたとこ見たことある?」
【…了解した主よ。】
ポケットから取り出したのは財布。その中の硬貨を掴みとると
がむしゃらに辺りに投げ始めた。
「お兄さん!もし死んじゃっても化けてでないでよ!
鈴音悪くないからね!」
投げられた硬貨にもさきほどのガラス玉のように魔力が込められている。
…それら全てが壁に当たり炸裂する!
壁は崩れ瓦礫となって降り注ぐ。そのロボットにそして倒れた男にも。
それと同時に壁から壁へ跳ね返るスーパーボールみたいにどんどん上へ!
屋根まで上り後は全力で逃げるだけだ!!
…すでに壁は崩れ去り同じような手段で追う事は難しいだろう。
【…やったか?】「…ちーちゃん分かって言ってるでしょ。」【…行こう。】
瓦礫が地面に落ちる音を聞きながら。
そんな風に呟いて振り返りもせずに跳び去っていった。
ご案内:「路地裏」から刃々斬鈴音さんが去りました。
■イチゴウ > 攻撃に備えるロボットへ繰り出されたのは
硬貨の投擲。しかしこれには先ほどの
ガラス玉と同じように魔力がこめられており
どんどんと炸裂していき壁を崩していく。
崩れた壁は瓦礫となってロボットと被害者の男の上に
どんどん降り積もり最終的に瓦礫の山を生み出す。
後にロボットは瓦礫の山を突き破るように出てきたものの
駆け付けてきた風紀委員と共に
瓦礫の処理を行うはめになったとか。
ご案内:「路地裏」からイチゴウさんが去りました。