2017/08/01 のログ
ご案内:「路地裏」に神代 理央さんが現れました。
■神代 理央 > 普段であれば、絶対に足を踏み入れない落第街の路地裏。
スラム街とはまた違った荒廃と怠惰の空気に溜息を吐き出しながら、壁に背を預けて溜息を一つ。
「…遅かったじゃないか。私を待たせるなんて、中々良い度胸をしているな?」
闇の中から足音一つ立てずに現れたのは、父の部下である腕利きの傭兵。自分の生意気な口調も慣れたものだとばかりに謝罪の言葉を告げ、此方に書類鞄を差し出す。
中を開けて内容物を吟味すれば―
「……やれやれ。今時手渡しで何を渡されるのかと思えば。俺の異能を知ってこれを寄越すと言う事は、余程信頼されていないのかな?」
こんな路地裏に呼び出されて何を渡されるかと思えば、フルオート射撃が可能な小型拳銃―所謂、マシンピストルと言うべきモノ―と、その弾薬。
確かに、護身用としては有用かもしれないが、火砲を召喚出来る自分がこれを用いるのは大分絶望的な状況ではないかと苦笑する。
その苦笑いに応える事なく、用件は済んだとばかりに傭兵は再び闇の中へ消えた。
「…俺より、奴の方が学園での諜報活動向きだと思うんだがな」
クルクルと手の中で拳銃を弄びつつ、気配すら感じ取れなくなった男の居た場所を眺めて再び苦笑いを一つ零す。
■神代 理央 > マガジンに弾を入れ、スライドを引いて弾を装填。
無造作に近くのゴミ箱に狙いを定めて、引き金を引き絞る。
乾いた銃声と共に、プラスチック製の青いゴミ箱には小さな穴が穿たれる。
「…まあ、此の距離で当てるだけなら誰にでも出来るか。おっかない連中に接近された際には、お守り代わりにでもなってくれると良いんだがな」
硝煙の匂いがうっすらと立ち込めるなか、安全装置をかけて銃をベルトの間に挟むこむ。パーカーで隠すように軽く裾を引っ張り、ぽんぽんと腰のあたりを叩いて違和感が無いことを確かめる。
ホルスターくらいは買っておくべきだろうかと、重量感を腰に感じながら悩ましげな溜息を一つ吐き出した。
ご案内:「路地裏」に刃々斬鈴音さんが現れました。
■刃々斬鈴音 > 「~♪」
季節外れのクリスマスソングを歌いながら少女が行く。
この場所の持つ空気を破壊しながら道を行く。
その格好も歌声もこの場に釣り合わない中で唯一
腰の刀だけはこの場の空気と見合うものであった。
そんな風に歩けば聞こえる聞きなれた音。
「…!ちーちゃん!近いよ!鉄砲だよ!」
【銃だ。それも小型のものだろうな。】
少女は近くで聞こえた銃声に興味本位で向かっていけば…。
一人のこの辺りでは見ない感じの…少年がいた。
「…君この辺の人じゃないよね?
この辺りは危ないから早く帰った方が良いと思うよ。
ほら、この辺いつも物騒だし?最近も通り魔とかもでたらしいよ?怖いよね!」
フレンドリー笑みを浮かべて少年に近づいていこうとする。
■神代 理央 > 消音器も付いていない銃を発砲すれば、流石に誰かに聞かれるとは思っていたが――残念な事に銃の試し撃ちを出来る様なチンピラでは無いらしい。
腰に下げた刀がやたらと目を引くが、制服を来ている以上は学園の生徒なのだろう。さて、どうしたものか。
「…ご忠告、有難う御座います。まだ島に慣れていなくて道に迷ってしまって…。そんなに危険な場所だったんですね。教えて頂いて有難う御座います」
取り敢えず、猫を被る事にした。
ニコリと熟れた様に人懐っこい笑みを貼り付けつつも、此方に近づいてくる彼女を僅かに警戒する様に瞳を細める。
ベルトに挟んだ銃の重さを確かめつつ、敢えてその場からは動かず彼女が近付くに任せるだろう。
■刃々斬鈴音 > 「そうなの?
鈴音もこの島に来たばかりだから一緒だね!」
…来たばかりという割には制服に傷が目立つ。
汚れではなく傷。擦れた後や切れた所を繕ったような後。
「うーん、でも一人で帰るのは危ないし鈴音が道案内してあげるよ!
普通だったらもっといっぱいもらうところだけど来たばかりのよしみで3万円でいいよ!
それだけで安全に家まで帰れるんなら安いと思うの!」
腰に下げた刀を摩る、摩る。
古くなった血の匂いが鞘に収まった刀から匂ってくる。
「ね?危ないよ?
ちょっとのお金をケチって怪我とかするのバカらしいよね!」
…刀を抜けば届く距離。
銃を構えて撃つより早い距離。
■神代 理央 > 「成る程。所謂御同輩というものですか。こんなところでお会い出来るとは思いませんでしたよ」
通り魔が出る、と自ら告げたこの落第街を一人で歩く少女。
腰には刀、近付くにつれて視認出来るのは擦り切れた制服。
確かに御同輩だろう。互いに、碌でもない用件で此の場所を訪れているだろうという意味になるが。
「道案内、ですか。貴女の様に可憐な女性にエスコートされるというのは些か気恥ずかしいですね。男としては、特に気恥ずかしさを感じてしまいます。それに―」
ニコニコと笑みを浮かべたまま、僅かに漂う血の匂いにすらその笑みを崩さない。
笑みは崩していない。ただ、その笑みが浮かべる色合いが、獰猛と高慢さの色を湛えただけ。
「……金が欲しいならそう言えば良かろう?物盗りか野党の類かは知らんが、今時そんな方法で金を払う者がいるとは思えんがな。寧ろ、その身体を使って男から稼いだ方が良いのではないか?」
高慢な笑みと共に吐き出される傲慢な言葉。その言葉が言い終わらぬ内に、上から「ナニか」が降ってくる。
耳障りな金属音をその身体から鳴き声の様に上げながら上空から二人の間に――というよりも、彼女を押し潰そうと――現れるのは、無数の火砲をねじ込んだ様な不愉快な見栄えの金属の異形。