2017/08/21 のログ
神代 理央 > 時折バラックの壁やヒビ割れたアスファルトに、未だ風化していない赤黒く染み付いた《何か》が路地裏に彩りを添えている。
学生街なら大騒ぎになるかもしれないが、此処は光届かぬ落第街。
路地裏で血を流した者達がどうなったか等、気にする者も調べる者もいないのだろう。流石に現行犯で現れれば対処せざるを得ないが、善良な生徒が襲われているのでなければ存分に潰し合って欲しいくらいだ。

「…寧ろ、積極的に抗争を煽るべきなんだろうか。武器の調達は出来なくも無い。燻っている違法部活の連中に少しずつ武器を流して――」

この街の住人が殺し合ってくれるのなら、此方としても願ったり叶ったりだ。例え此方が用意した武器を用いて落第街から諍いを外に持ち込もうとするのなら、その時は正々堂々と討伐する事が出来る。
余り現実的なプランでは無いと自覚しつつ、此の街を流血と硝煙で包み込む方法は無いものかと昏い思考に耽っていく。

神代 理央 > ―とはいえ、先ずは今宵の平穏を良しとするべきだろう。
珍しく諍いも面倒事も無いとなれば、提出する報告書も少なくて済むというもの。
空いた時間は魔術講義の予習にでも当てるかと思ったが―

「…本ばっか見てるより、先ずは使ってみない事にはなあ。訓練施設の予約でも入れておくかな」

醜い異形を召喚する己の異能は兎も角、魔術の訓練をするくらいなら比較的人の多い時間でも構わないだろう。
委員会活動の無い日にでも足を運んでみようと脳内のタスクリストにメモ書きを残しつつ、軽く背伸びを一つ。

「車…いや、せめて原付きでもあれば帰りも楽なんだがなあ…」

島外では常に使用人が送迎してくれていた事を考えれば、此の島に来てから随分と歩数が増えたと思う。
少しはトレーニングになっていれば良いなあ、と思いながらも、己の召喚した異形によじ登って帰り道は横着することにする。
乗り心地は決して良いとは言えないが、薄汚れた落第街から出る分には構わないだろう。

―やがて、地響きと金属音が掻き消えて、再び路地裏は静寂に包まれる。その静寂を待ち構えていた様にあちら此方から怪しげな風貌の男達が蠢き始めるのだが、立ち去った少年には知る由も無いし、知ったことではなかった。

ご案内:「路地裏」から神代 理央さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に刃々斬鈴音さんが現れました。
刃々斬鈴音 > 「後はこれを届ければ!今日の鈴音のお仕事終了っ!
それさえ終わればお楽しみの鈴音ちゃんターイム!」

鼻歌ででも歌いそうな上機嫌で少女が無骨なボストンバックを持って路地裏のとある建物から出てくる。
そこは最近勢力を伸ばし始めていたとある違法部活。
既存の組織の利権に触れたり触れなかったりどこからもいい顔はされていなかった。

「それにしても鈴音も有名になってきたよね!
 さっきの人も鈴音の事知ってたし!」

【それは良い事ではない。有名であるという事はそれだけ相手に警戒させるという事
 相手が容姿で油断する事が無くなる可能性がある。
 最も容姿で油断するような相手は苦なく倒せるだろうが。】

少女の言葉に反応するように刀から男とも女とも分からない金属的な声が聞こえる。

「この分だと鈴音の宿命のライバルであるあの子を越える日も近いね!
 あの子の名前は全然聞かないし!」

【よほどの自信家か…でもない限り偽名を用いる事が多いのだろう。
 正体を知られることはリスクが高い。】

刀の言葉もどこ吹く風で軽い足取りでボロボロの明かりだけが照らす薄暗い道を行く。

刃々斬鈴音 > 「でもでも、有名になった方が仕事もいっぱいくるんじゃない?
 皆に知られてて強いなーとか言われてると思ったら嬉しくなるし。」

【偽名でも名誉欲は満たされるだろう。仕事も同様。
 彼女はそのような欲があるタイプではない。】

…気配を隠して少女の後をつける存在がある。
少女と刀はそれに気がつかないのか語により夢中になっていく。

「うわ、珍しいっ!ちーちゃんがそんな風に言うなんて!
 もしかして好きになっちゃったの?刀の癖に?」

【否。興味深い存在ではあるがそのような感情は己にはない。】

「まあ、どーでもいいけどね。ちーちゃんは鈴音が死ぬまで鈴音の刀だし。
 …鈴音は死ぬまでちーちゃんの為のものだしね。」

後ろから近づく存在は少しずつ確実に距離を詰め鈴音に向けて何かを構える。
それはおそらく拳銃。この島で独自に製造されたものだろうか?歪な形をしている。

刃々斬鈴音 > 後ろを向いた少女に向けて銃弾が放たれる。
しかし、少女の心臓を狙って放たれたそれは後ろを向いたままその刀にめり込んでいた。

「危ないなーお仕事が終わってゆったり気分だったのに!
 君酷くない!?」

文句を言いながら男に対して向き直る。
見れば分かるそこら辺のゴロツキとは違う。
恐らく、裏の事をを仕事にしている者だろう。

「まあ、いいや!鈴音も暴れ足りないと思ってたし!!」

鈴音の足元で爆発が起きる。魔力の爆発による加速。
鈴音の十八番だ。

しかし、相手の銃からは続けざまに銃弾が飛びだして来る。
何らかの異能か道具の性能か。それはさながらマシンガン。

上へと方向を変えざるおえない。
壁を蹴り蹴り上へ上へと登って回避する。

「ずるい!そういうの絶対ずるいと思うの!」

相手にも情報が行っているのだろう鈴音に距離を詰めさせてくれない。

刃々斬鈴音 > 左手に持ったバックが邪魔で仕方がない。
これさえなければ!

【情報が漏れるとこのように相手に対策をたてられたり仕事外でも狙われるリスクがある。
 仕事の時には変装をしてみてはどうだろうか。仮面を被るとか。】

「いやよそんなの可愛くない!」

銃弾を弾くのも躱すのも限度がある。
幾らかの銃弾が身体を掠めていく。

「痛っ!もう嫌!鈴音帰る!」
【ああ、奥の手で終わらせよう。】

刀がそういうと、鈴音は中空で大振りに刀を振る。
すると血の雫がびしゃりとまるでたっぷりと絵の具が付いた筆を振り回したように男に向かって飛び散って…

【血腐レ─ケンケツ】

その雫は斬撃となり男の身体をサクリと二つに切り裂いた。