2018/01/30 のログ
神代理央 > 実に詰まらない任務だった。
目の前で肉片と化した男が犯した罪は、正直言って大した事は無い。
無論、無許可の風俗店経営や暴力沙汰等、法に触れる事は散々してきた男ではある。しかし、店を焼き払い従業員まで苛烈な目に合わせる程のものでもない。

「とどのつまり、貴様等は見せしめだったというわけだ。暴力装置としての風紀委員が、常に此の島に存在しているという事を示す為のな」

治安を守る市民の味方であり、秩序を守る警察機構である風紀委員会。
その力を裏社会の住民に見せつける事は必要な事だった。その為に、程々名が通っており、私兵の数が少なく、押収できる財貨を持った男が執行対象に選ばれた。それだけの話であった。

「…しかし、余り派手にやり過ぎるのもどうかと思うがな…。穏健派の連中に目をつけられたくは無いんだが」

その異能故に、風紀委員会の中でも派手に広範囲を殲滅出来る自分には、この様な任務が良く回ってくる。それ故に快く思われていないことも理解はしている。
根回しが大変だな、と小さく溜息を吐き出せば、任務完了の報告を入れて足早に路地から立ち去っていく。
異形が大地を踏みしめる振動音が遠ざかれば、後に残るのは崩れた瓦礫の山と肉片と化した男の死体のみであった―

ご案内:「路地裏」から神代理央さんが去りました。