2018/06/25 のログ
ご案内:「路地裏」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 路地裏、というには些か広い通りを、1台のバンが疾走している。
いや、正確には疾走していた―或いは、慣性で前進しているだけと言うべきか。
何故なら、バンの上半分は引きちぎれたかの様に消失しており、黒煙と火焔を吐き出しながら直進しているだけなのだから。

「積んでいる荷物が武器だの金だのの類なら見逃してやっても良かったのだがな。流石に薬は宜しくない。取締が面倒だからな」

所謂『幸せになれるお薬』を荷室一杯に詰め込んでいたバンは、不幸にも公安委員会の検問にかち合ってしまい、猛然と逃走を開始。
追手を巻くために路地裏から路地裏へと駆け抜けた先が、偶々此方が警邏していた地区だったというのは不幸でしかなかっただろう。

数回の警告射撃の後、委員会からの了承を得て放たれた異形からの一撃は、壮大な額のお薬と乗員を消し飛ばした。
その残骸をのほほんと眺めていたが、バンが近くの壁に激突し再度爆発を起こして停止した事で興味を失った様に小さく欠伸を漏らした。

神代理央 > 「此方風紀委員の神代。検問を突破した車両を撃破した。…ああ。撃破だ、撃破。捕縛出来る様な異能では無いからな。燃えカスでも構わないジャンキー共が寄ってくるかも知れん。暫くは周囲を警戒しておくから、早めに公安に引き継いでくれ」

通信端末を取り出して簡単な状況報告。
未だ燃え盛るバンだったものからは、黒煙に混じって白い粉末が宙に舞っている。
あの粉末をどれだけの人間が欲しがっているのだろうかと無感動に眺めながら、言いたいことだけ言って通信を打ち切った。

「…あんなものより、甘い物の方が良いと思うんだがなぁ」

懐から取り出した缶コーヒー。
ミルクと甘味料をたっぷりと混ぜ込まれたソレを喉に流し込みながら不思議そうに呟いた。

ご案内:「路地裏」にアリスさんが現れました。
アリス >  
歩いていた。

今は走っている。

何でかって、それは……迷子になっていたら凄い音が聞こえたから、つい。
人命救助の必要があったり、風紀に通報する必要があったり。
そんな時、私と私の異能が少しでも役に立つかも知れないから。

路地裏に駆け込んでくると、燃え上がるバン。
異様な光景にちょっと引いていると、見知った人を見かけた。

「神代理央! ど、どうしたのこれ! 事故…?」

聞きながらその場で足踏み。
何か自分にできることがあるかも知れない。
その感情が焦りばかり作り置き。

神代理央 > 少女の声に最初に反応したのは、己では無く召喚した醜い金属の異形。
つい先程、車両を鉄屑へと変貌させた砲塔を不快な金属音と共に少女に向ける。
だが、召喚主である己が少女に視線を向ければ、異形の動きは静止し燃え盛る鉄屑と大差ないオブジェの様に佇むのだろう。

「……ああ、いつぞや古本屋で会ったな。確か、アリスと言ったか。久し振りだな」

少女の問いかけに大して、まるで学生街でばったり再会した様な軽い口調で声をかける。

「事故…そうだな、事故の様なものだ。不運にも風紀委員に見つかった哀れな犯罪者が、今しがた処理されただけ。大した事は無い」

こんな場所で再会するとは思ってもみなかったし、何とも彼女に似合わぬ場所で再会したものだと思いつつ、淡々と彼女の疑問に答えを返す。
何故彼女は足踏みしているんだろうか、と少し不思議そうに首を傾げながら。