2018/07/14 のログ
神代理央 > やり過ぎでは無いのか、と通信機から声が響く。
不思議な事だ。寧ろ、これまでよりは遙かに穏健に済ませたつもりなのだが。
余計な破壊はせず、なるべく他の住民は巻き込まず、敵対勢力のみを駆逐した。以前に比べれば、随分マシだと思うのだが―

『いや、そういう事では無く、戦い方そのものが変わったというか…。まあ良い。後片付けを済ませたら、早く帰還するんだよ。美味しいココアを用意しておこう』

訝しむ様なオペレーターの声に首を傾げながらも、了解の意を伝えて通信機を仕舞う。

「戦い方は変わっただろうが…なんだろうな。今迄の様に暴れていた方が私らしいとでも言いたいんだろうか」

ふーむ、と考え込む様に首を傾げつつ、前方に控える異形に指示を出す。
さながら、王に傅く従者の如く金属の異形は跪き、その砲塔は周囲を警戒する様に全方位に展開した。

それを確認した後、ポケットから取り出した飴玉を一つ口に含む。
程よい甘さが、脳内に糖分を送り込み、脳の回転が少しだけ早くなる感覚に緩く笑みを浮かべた。

ご案内:「路地裏」に古城 桜虎さんが現れました。
古城 桜虎 >   
(わぉ……物凄いですね。これ。)

 建物の上から息を潜めつつ、惨状を目視する。
 至る所に伺える破壊痕。燃えた車。彷徨く異形。
 
 場所が場所だ。
 当たり前といえば当たり前の光景だが…… 

ご案内:「路地裏」にモルガーナさんが現れました。
神代理央 > 金属の擦れ合う音と共に、傅く異形がゆっくりと立ち上がる。
その砲塔の向く先は、何の変哲も無い建物の屋上。

「…もしかしたら、街の住民かもしれん。脅かす程度にしておけ」

短く呟いた言葉と共に、腹の底に響く様な轟音が3回鳴り響く。
目標は、異形が生体反応を察知した建物の屋上――の、縁である。

ご案内:「路地裏」からモルガーナさんが去りました。
古城 桜虎 > 「わっ、っとと……。」

 たたらを踏むが、転げ落ちることはなかった。
 轟音と衝撃から何かしらの射撃が行われたのだろう。
 そのように推察を付けながら思案を浮かべる。 

(見た所、公式の生徒でしょうか。
 ……それにしてもあのお顔、テレビか雑誌で見たような……
 整っているから、何かと見間違えたのでしょうか?)

神代理央 > 「ふむ、別段敵意を感じる訳でも無し。何かしら攻撃してくる訳でもなし。監視の類なら分からんでも無いが…」

とはいえ、武術の達人の様に敵意を察知するだの、敵の思考を読むだのといった事が出来る訳では無い。全てはあくまで予想に過ぎないのだ。

「…まあ良い。監視など今更。攻撃してこないのならそれはそれで良かろう。迷い込んだ一般人という可能性もあるしな」

暫し悩んだが、取り敢えず攻撃の手は止めた。
別に空を飛べる訳でも無ければホラー映画の様に異形達にビルをよじ登らせるのも見栄えが悪い。
であれば、あちらからアクションが無ければ此方から突っつく事も無いか、と判断する。
無論、異形の砲塔は未だに屋上に向けられたままではあるが。

古城 桜虎 >    
 予想は概ね的中しているのだろう。
 敵対勢力にしては動きがなさ過ぎるし、監視にしては詰めが甘い。
 生体を察知出来るなら通りがかったような動きである事も読める。
 一般人であるかはともかく、通り過ぎだ。

(……互いに敵意がなさそうですけれど、逆に出辛いですねえ……)

 腕を組んで思案。
 顔を出す理由もない。
 下手に出たら砲塔らしきなにかに打たれかねない。

(ひとまず顔だけ覚えておくとしちゃって、撤退しましょう。
 覚えておくだけでも違いますし──。)

 そう言いつつ、そっと立ち上がる。

神代理央 > 攻撃の手を止めても、反撃も無ければいなくなる気配も無い。
監視役ならば居場所がバレた時点で撤退するだろうし、構成員の生き残りなら即座に反撃してくるだろう。
本当に一般人だったのだろうか、と少し困ったような表情を浮かべる事になる。

「……其処に誰かいるのか?保護が必要なら、学生街まで風紀委員の車両を手配するが」

この街の住民なら、別に風紀委員の手など借りる必要は無い。
そして本当に学生街に住む者であれば、顔くらいは見せるだろう。
そんな楽観的な思考の元、屋上に潜んでいる筈の相手へと声を投げ掛けた。

古城 桜虎 >  
 ……応答する声はなく、そのまま立ち去った。
 

ご案内:「路地裏」から古城 桜虎さんが去りました。
神代理央 > 「…気の所為では無かったと思うが…まあ、死んではいないだろう」

僅かに肩を竦めると、砲塔を掲げていた異形も発射体勢を解いて警戒態勢に戻る。
口に含んでいた飴玉は、半分程になってしまっていた。

神代理央 > やがて、周囲を闊歩していた異形達も破壊された壁から路地裏へと集ってくる。
ともなれば、問題が一つ。

「…流石に狭いな。やはり、閉所での戦闘は向いていないな」

小さく苦笑いを浮かべつつ、異能を発動して召喚した異形達を消滅させる。後に残ったのは、未だ傅く異形一体のみ。

「他に敵がいる気配も無し、か。概ね予想通りではあるが、つまらんな」

こんな敵では、己の欲求を満たす事が出来ない。
闘争では無く、蹂躙を求める己の本能は、無意識に鎮座する異形へと思念と魔力を送る。

すると、主の思念を受けた異形の背中からギシギシという金属音と共に鋼鉄の腕が生え始める。
腕、というには余りに歪。ひしゃげたクレーンに鉤爪を溶接した様な醜い腕が生えた異形は、まるで鳴き声を上げる様に甲高い金属音を立てるだろう。

神代理央 > 「……前々から見た目が変わらないかとは思っていたが、どうにも想定外というか、望まぬ方向に変わってしまうな。もう少し、見栄えの良いものになって欲しいのだが」

己の内心の変化故だろうか。無数の砲塔と二本の腕を生やした異形は、正しく怪物と呼ぶに相応しい。

「これでは、風紀委員というよりも犯罪者側の能力だな」

口内に残った飴玉を噛み砕きつつ、僅かに自嘲する様な笑みを浮かべた。

神代理央 > まあ、敵を蹂躙出来るのなら何でも良い。
使えるものは、便利に使わせて貰うとしよう。

「さて、と。そろそろココアを飲みに戻るとするか」

鼻歌混じりに据えた匂いの漂う路地裏から立ち去っていく。
後に残されたのは、燻る黒煙を上げる残骸と、人間だったものの肉塊のみであった―

ご案内:「路地裏」から神代理央さんが去りました。