2018/09/09 のログ
ご案内:「路地裏」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 収束の気配を見せないアンデッド騒動。
死者が蠢く街であっても変わらず欲望のままに暗躍する違反組織。
そういった者達が活発になれば成る程――デスクワークは遠のくばかり。

「…ちまちまと鉛玉を撃つばかりで私の異形を討伐出来るとでも思ったか?まして、密造品の模倣の模倣ではな。弾が出ただけ神に感謝せねばなるまいぞ?」

ボロボロの洋服を纏った男達が、甲高い銃声が一つなる度にその数を減らしていく。
歓楽街で最近騒ぎを起こしていた窃盗団。単なる二級学生の集まりであり、脅威度は低いと認識されてはいたが、こういった生活に直結する犯罪を犯す者を放置しては風紀の沽券に関わると過激派の先輩方は考えたらしい。

結果、落第街の巡回当番だった自分に窃盗団討伐の任務が回されてきてしまった。抵抗されれば相応の処置を施して構わない、ということだったので、数体の異形を召喚してサクサクと肉片に変えていく。

「それでは、御機嫌よう。今まで盗んだモノの総額で、三途の川を渡れると良いがな」

食うに困って窃盗をしていた様な連中であり、武装も何もかもが貧弱であった。
寝床を砲撃した時点で過半数が瓦礫の下敷きと化し、残った連中も異形の砲弾によって塵となった。
そしてたった今、最後の一人が己が放った拳銃の銃弾に寄ってアスファルトに崩れ落ちる。実にあっけない任務であった。

神代理央 > ふと足元に視線を移すと、見慣れたパッケージの紙箱が一つ。
封を開けられて間もない煙草と、何処にでも売っている様なガスライターが転がっていた。
恐らく、たった今撃ち抜いた男の遺品だろう。それらを拾い上げてしげしげと暫く眺めていたが―

「……不味くは無いが、苦いな。喫煙者というのは、皆こんなものを有難がって吸っているのか」

物は試し、と一本引き抜いて火をつける。口の中に乾いた草の様な香りと喉に引っかかる様な辛さが流れ込む。
市販品などこんなものか、と眼前に漂う紫煙を眺めながらぼんやりと考えた。
僅かに体勢が揺らいだのは、吸い慣れない煙草のニコチンに脳が過剰反応したからだろうか。