2018/11/13 のログ
ご案内:「路地裏」に尋輪海月さんが現れました。
尋輪海月 > ━━━━健全な学生なら、近寄らない場所。

その名前、その話は聞いている。居るけれど。
それでも知ってしまった。聞いてしまった。


「━━━━…………これ、が」

……先程まで、ある学生とやり取りをしていた。なんてことは無い。ただ、少しだけほの暗くて、けれど自分にとってはこれ以上無いほどに求めたものだった。

”使えば、異能を制御出来る薬”

”使うことに、気持ちが怖気づかなくなる”

”━━━━これで君は異能に怯えずに済むよ、尋輪。”


「…………もう、終わるんだ。あの、地獄が」

尋輪海月 > ━━━━粉薬だと聞いていた。だから、予め買っておいたボトルの水。

……キャップを緩めて、粉薬を入れていく。白く濁る水の中の曇り空。
これを呷れば、私の中の煮えたぎる熱を内包した曇天は終わる。
きっと、鮮やかな青空が、その先にあると信じた。

だから、”たとえそれがまやかしのようなものだと、頭のどこかで分かっていたって、心は既に決まっていたのだ。”



「………………ん、くっ、ん……」

━━━濁った曇り空色の水を、口に含んで、飲み込んで。
全ての雲を身体の中へと誘う。キャップの縁にまで舌を出し、全て、全て。


…………そうして、空を身体に取り込んで、冷たい混凝土の壁に背中を打ち付けるように凭れかかった。

尋輪海月 > 飲み込んで、どれほど経ったことだろう。
暫く、飲み干して空になったボトルを口に咥えて微睡んでいたかもしれない。
ボトルを持つ手に無数についた火傷の痕も、身体の至る所についた痣も、自分の空を濁していた全てが気にならなくなるような心地に、うっとりと、漂って、浸っていた。


「……CBR、ううん、なんだろうなぁ、こんな気持ちだと、きっとV-MAXかな……、…………あれに跨って、思いっきり、アクセルを━━━━」

握り切って、引き抜いて。それは風となって、曇天を晴らすだろう。
思い描いた、青空の下を真っ直ぐに走る鉄の馬の背中。

その背中が、青空が、ノイズが掛かったように、凍りついて。

どくんと、知らない鼓動が聞こえた。

━━━━からんっと、咥えていたボトルが足元に転がっていた。
遠くで声がする。耳鳴りがして、なんだか、とても、身体が……………………

尋輪海月 > 《制御薬による影響値》/《1d100で出た数値が50に対して±が大きいほど影響大》 [1d100→33=33]
尋輪海月 > 《-17→Negative/中》





━━━━体温が、下がっていく感覚があった。四肢の先端から熱がこぼれ落ちて行く。
まるでそこから、生命が抜けていくかのような虚脱感に、立っていることもままならずに崩れ落ちた。

「━━━━さ、む」

声が聞こえる。

「……寒い、寒…………っなに、これ、急に、からだ、が…………ぁ、あッ」

声が聞こえた。

「……うあ、ぁ」



「……寒い、さむい、さむい、さむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむいさむ━━━━」

自分の口から、自分じゃない声が出ていた。

尋輪海月 > ━━━━━━━━。




雑踏の中に、誰かの話し声がしていた。
何でも、近くに路地裏のあるコンビニのゴミ箱から煙が上がってたらしい、ボヤ騒ぎでその一角の周囲は騒然としていたとか。

……へぇ、それは怖いと肩を竦めるやつもいた。我関せず。どうせ馬鹿な奴が煙草の吸殻でもポイ捨てしたんだろうと、マナーのわるい奴も居るものだと笑っていた。



肩を誰かにぶつけられたらしい。睨んだ先で、緋色の目が、唇を震わせて呟いた。


「………………さむい」



と。

ご案内:「路地裏」から尋輪海月さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にパンデミック(炎ノ人形)さんが現れました。
パンデミック(炎ノ人形) > パンデミック。
概ねの地域に被害をもたらし、今なおその数を増やすアンデッド。

その被害が広がるのは、正に火の如くと言ったところか。

「アアァァァアアアアア…!!!」

あるところで、全身に炎を纏った人型のアンデッドが蠢き、
そして路地裏を徘徊し始めた。

それは、この辺で最近起こった火災が関係しているかもしれないし、
全く、無関係であるかもしれない。

ご案内:「路地裏」に白鈴秋さんが現れました。
パンデミック(炎ノ人形) > 炎ノ人形。
それは炎に依って焼け死んだ者の焼死体がアンデッドとして起き上がり、
憎しみや未練を憎悪として燃やし、不尽の炎を身に纏う、中位級のアンデッド。

その特性は、炎である事。
人の形を取った炎。
だがそれは既に人ではない。中に閉じ込められたのは、憎悪の炎にあやつられるだけの人形。

白鈴秋 >  この辺で起こった不自然な火災。時期が時期だけに気になり調べに来た、結果そこにいたのは……生きる炎であった。

「……パンデミック。でいいのかあれは」

 思わず少し足を止めてしまう。目の前のソレは火その物だった、攻撃手段も攻撃する方法も思いつかない。
 だが放置すればその被害は尋常ではないだろう。足を進め前に立ちふさがる。本来なら奇襲するべきだろう。だが相手のデータが少なすぎる。

「挨拶ってガラじゃねぇが……悪いな見過ごしてやることはできそうもねぇ」

 ゆっくりと腕を上げる。それは戦闘の構えを取ったという証。
 だがこちらからは攻めない。相手の出方を見る。

パンデミック(炎ノ人形) > しかして、不運にもパンデミックと融合した炎ノ人形は、
炎である、という特性を活かし、
街行く人に不尽の炎の身体を摺り寄せて、「延焼させる」のだ。

延焼するのは、炎だけではない。
パンデミックに殺害された者は、パンデミックになる。
病魔が炎の様に「延焼する」。
故に、この炎ノ人形に殺害されるのであれば、不尽の炎が燃え広がり、
新たなる炎ノ人形を作り出す。

妙な騒ぎが起きている今、この炎が燃え広がるには絶好の機会だった。

―――パンデミックであるか、否であるかは、よく見れば、分かる。
炎の中に見える肉塊は間違いなく鮮血の赤色。

「アァァアアアアアァアアァァァァアアア!!!」

生者を呪う叫び声。
路地裏から出、延焼を行おうとしたその矢先、そこに何者かが、
少年、白鈴秋が立ちはだかり、戦いの意思表示を行った。

だが、パンデミックにとって、生きて居るものが目の前に現れると言う事は、
つまり、殺戮の好機であり、仲間を得る好機である。
より多くの殺害と、
より多くのパンデミック化、それこそがパンデミックの行動理念なのだから。

生者を呪う叫び声と共に、近寄るだけでも猛火の熱が感じられよう、
炎ノ人形の身体はなんらためらわずその炎の身体で抱き殺しにかかるだろう。

白鈴秋 >  炎の中。強い炎の中に見えるそれより濃い赤……それがパンデミックの証であった。
 待ち構えるが相手は炎を打ち出してくるわけでも操るわけでもない。だがある意味それは最悪を意味する。

「チッ、1番苦手なパターンか」

 思わず顔をしかめる。周囲の空気を焦がすような熱。一定以上近寄ればこの身など焼け焦げ仲間になるだろう。
 そして単純なその攻撃方法に防御手段などない。熱さから逃れるように一気に後ろへと跳び下がると同時。近くのベランダに糸を放ち上へと飛び上がる。

「だったら近寄らねぇように攻める」

 空中で腕を振り下ろすと空間を4本の銀光が走る。
 糸、もはや刃のソレと化したそれが空中より両足、胴体、首と弱点を狙うかのように迫る。

パンデミック(炎ノ人形) > 「グアァァッ!ガァァッ…」

抱きかかえようとしたところで空を切り、気付けばパンデミックの身体を4か所をも目掛けて飛び出す糸。
それは、紛れもなくパンデミックの肉体に吸いこまれ突き刺さり、
そして…軽々と、その足を、胴体を、首を…斬り裂いてしまう。
あまりにも、あっけなく。発泡スチロールでも切り刻むように。

しかし。


パンデミックはゆっくりと地面を這いずり、その炎の身体を蠢かせる。
頭も、下半身もない。首なしの上半身が両手で這いずる。
実に奇怪で奇妙な、生き物と思えない…もっとも、生きていないものの不自然な動きで。

這いずっていくその目標は―――彼が飛び乗った建物!
そこへ炎を纏って体当たりを行い、憎しみの炎を燃え移らせる。
パンデミックの使命は、より多く殺すことなのだから。

近く、もう一件路地裏での火事騒ぎが増えるかもしれない。

白鈴秋 > 「なっ!?」

 終わるなどと思ってはいなかった。だが攻撃はされないと踏んでいた。だが建物に火を放ち攻撃を可能としてきた。
 
「っくそ!!」

 建物から飛び降りると同時。周囲への燃焼を防ぐために乗っていた建物の内火がついた部分を切り裂き崩す。建物そのものが崩れはじめるがそこからさらに他の家にとはいかないはずだ。
 衣服の内端っこを一緒に切り落としている。理由は単純で回避しきれず火が着いたのである。燃え広がる前に……と切り落としたがそれでも右腕の一部はひどい火傷をしている。
 崩れる瓦礫の中下にいる炎ノ人形を見つめる。

「安心しろよ、もう一度……今度こそ眠らせてやる」

 声からにじみ出る憎しみ。そこまでの憎しみを哀れに想いそう声にだす。自身がそうだからだろうか。
 火のついた瓦礫、それに糸を絡みつけそのまま相手に投げつける。大きな瓦礫が3つ上から降り注ぐ。

パンデミック(炎ノ人形) > 「アアアアアアアァァァァアアアァァ…!!」

焼ける建物が、崩れる。がらがらとがれきが降り注ぎ、炎ノ人形に落ちる。
パンデミックの退治の方法で効果的な物に、
動けない程に粉々に砕く、二度と出てこない所に埋めると言うモノがある。
パンデミックは元々死んでいる。
故に、パンデミックを倒すには、「殺す」のではなく、「機能停止」にしなければならない。
そう、例えば―――パンデミックよりも大きな瓦礫がその身体をペシャンコにすれば、
「機能停止」に持ち込む事が可能だろう。

「オオオァァァアアァァアアエェェェオォォオオオ……!!!」

燃えろ、燃えてしまえ。
怨念が籠った叫び声は、人の言葉にはならず、しかし殺意だけは伝わるだろう。
死んだ彼等を操り動かすのは、パンデミックに埋められた行動理念しかない。
火のついた瓦礫の火炎を飲み込み纏い、燃え上がる建物の半分の炎も纏う。

彼等は完全に機能停止になるまで、純粋に殺戮を求める。
例え、目の前に機能停止が迫ろうと、その行動により機能停止になる事が約束されていようとも。

―――パンデミックは瓦礫に潰されながらも、
全身に纏い、延焼で巨大化した炎の、偽りの身体で、飛び降りる彼にもう一度抱きつこうとする。

それは全く意味を為さぬまま瓦礫に潰され、この一角には平穏が残るかもしれないし、
死に際に一矢報いる事くらいは、出来るかもしれない。

いずれにしても、炎ノ人形の延焼は―――人が居ない一軒の家の損害を除けば未遂にて、完結するだろう。

ご案内:「路地裏」からパンデミック(炎ノ人形)さんが去りました。
白鈴秋 > 「そこまでして……!」

 相手の執念、落下しながらもそれを感じ取り肌がゾワゾワとするのを感じる。
 自身も下に落ちている、その中で急遽後ろへ糸で移動しようと……回避は出来ない。
 自身の周りに何重にも糸を巻きつけさらにそれに氷の属性を付与する。
 そして、相手の攻撃をそのまま受けた。

「ッグゥアアア!!」

 氷の魔力越しでも伝わる炎。相手が瓦礫に完全に潰され、糸を解除すると……そこにはボロボロの姿で彼がいた。
 彼方此方火傷を重ねており、すぐにでも病院へ行かなければ感染症などになりかねないレベルだ。
 
「……これで終わったのか?」

 相手は最後の最後まで焼き尽くそうとしていた。怨念の中、もしかしたらこの火がまた。
 そんな想像を重ね、頭を振るう。その時になって止めるしかないと。

「っ……まずは、こいつをなんとかしねぇと」

 自身に鎮痛作用の毒を打ち込み。路地裏を後にする、向かう先は病院だろう。


 後日、同種が現れるかもしれないのだからその特性をまとめ、炎ノ人形のデータを風紀委員に送った。

ご案内:「路地裏」から白鈴秋さんが去りました。