2018/11/23 のログ
ご案内:「路地裏」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 落第街の裏の裏。
迷宮の壁のように聳えるビルから漏れる明かりだけが、路地裏をぼんやりと照らしていた。
そんな薄暗い路地に響く硬質な革靴の足音。
散乱する瓦礫やガラス片を踏み砕いて、荒れ果てた路地裏を一人闊歩していた。
「情報が正しければ、この辺りの筈だが…」
委員会にもたらされたタレコミ。
この近辺で、それなりの量の制御薬が取引されるというもの。
真偽の程は兎も角、調査には向かわねばなるまいと足を踏み入れたまでは良かったのだが―。
「異形を召喚せずに歩き回るというのは、余り良い気分では無いな。しかし、あいつらでは如何せん煩すぎる…」
護衛の無い状態での任務というのは若干辛いものがある。
後方火力担当を最前線に出さないで欲しいという要望は、未だ叶えられていない。
ご案内:「路地裏」に白鈴秋さんが現れました。
■白鈴秋 > 動きやすい薄手の服を着た男が歩いている。目的は単純でこの辺りに売人が集まるポイントがあるらしいという情報を前に得た為だ。
偶然に売買を見つけられれば幸運。もし自分に売りつけてくれればさらに幸運といった所だ。買う振りをしてコネをつくりアジトまで割り出せる。
曲がり角付近。魔術を展開し周辺の人の様子などを警戒しているとふと、奇妙な姿が映る。
こんな中歩き回っている姿だ。普通ならばあまりしない行動だ。
……当たりかと少しだけ息を吐き出し。
「…………期待させるんじゃねぇよ馬鹿」
フッと姿を見せたが……思いっきり知り合いの姿。
理不尽にも空気読めよという意思のこもった視線を叩きつける。
■神代理央 > 突如投げかけられた声は、見知った男のもの。
出会う場所も、大概はこういう後ろ暗い場所であることが多い。
それ故に驚きは無かったが―向けられた視線に籠もる感情には、流石に呆れた様な表情を隠さない。
「知るか、馬鹿者。大体、期待させるなというのは此方の台詞だ。…此処にいるということは、どうせ目的は同じだろう?」
僅かに肩を竦めて、言外に制御薬についての情報を得たのだろうと首を傾げてみせる。
路地裏という場所は兎も角、ピンポイントで取引場所のリークがあった場所で出会うというのも何かしら理由があるのだろうし。
■白鈴秋 > 相手の視線を受け目を伏せ。溜め息をひとつ。
相手と反対側、つまり相手の死角に当たる位置を見張るように視線を飛ばす。
「……たしかにお互い様といったところか。おそらくはだが……売人の集まる場所がこの辺りにあるって話であっているな?」
相手の死角を補いながら小さな声でそう問いかける。
おそらくは同じ案件だと思うが、どこかで些細な違いがあるかもしれない。ましてや自分の場合自分で得た情報。下手すれば違う情報の可能性もある。
「ああ、待て。その前に、他の奴もこの辺りを巡視しているのか?」
相手の情報との結合を図る前に問うべきことがあった。彼はある程度理解しているがおそらく自分が居ることに特に何か言うタイプではない……が、他の風紀が居ると非常に面倒な事になる。
■神代理央 > 「まあ、概ねはそんなところだ。この近辺で大きな違法薬物の取引が行われるという情報が入った。嘘か真かは兎も角、風紀委員としては出張らねばならんのでな」
一応、風紀委員の機密情報ではあるがあっけらかんと彼の言葉に頷き、同意し、情報を話す。
情報交換というのは有益であるし、特段隠し通す程の情報でもなければすり合わせた方が有意義だろう。
「他…?いや、この地区は私だけだ。落第街とエリアを広げるなら、巡回の委員くらいはいるだろうが」
彼の言葉に不思議そうに首を傾げた後、小さく首を振って答える。
自分以外の風紀が居ては何か不都合があるのだろうかと、怪訝そうな表情を向けているだろう。
■白鈴秋 > 概ねそんなところ。その言葉を聞くと少しだけ笑みをこぼす。
「つまり俺とお前の握っている情報を合わせればほぼ確定で何かあるという事か。ありがたい話だ」
こっちが持っているのは売人が集まるポイント。向こうが持っているのは取引の情報。合わせればかなり確立は高まる。
ふと視線をそっちに向け、その怪訝そうな目を見返すと、先ほどと逆。今度はこっちからあきれたような顔を返すだろう。
「本来なら風紀委員がこんな場所にいる一般生徒を見逃すわけがねぇだろ。お前じゃなかったら無理やり帰らされてる所だ。事情徴収した上でな。そうなれば色々とパーになる」
取引現場にいる一般生徒。しかも自分でお金を稼いでいる学生だ。どう考えても怪しい。
「まぁ、お前だけなら安心だ。そんな事はしねぇだろうしな」
■神代理央 > 「そうだと良いんだが。違反薬物の取引も見逃せないが、此方は追っている薬が絞られていてな。単なる麻薬だの何だのといった類なら、正直外れだ」
彼の持つ情報の入手経路次第ではあるが、風紀にもたらされた情報と彼の持つ情報が正しければ間違いなく此処で取引そのものはあるのだろう。
問題は、それが制御薬かどうかなのだが。
「…ああ、そういうことか。俺としては、使えるモノは使う主義だからな。戦闘になれば、優秀な前衛は幾らいても困らぬ。それに、今の所貴様の行動は委員会の利益に反する事では無い。わざわざ咎め立てるのも野暮というものだろう」
成る程、といった様に頷きながら言葉を返す。
此方の言葉は、ざっくり意訳すれば『戦闘中は肉壁宜しく』という酷いものではあるのだが、それは彼の戦闘能力を信頼しているが故。
彼が弱者であれば、当然の様に帰宅を促しただろう。
■白鈴秋 > 「そういう手合いだったら尋問すれば良い。麻薬を扱ってるのに今流行っている制御薬のルートを知らないわけがねぇ。売人が出た時点で勝ちだ」
手をヒラヒラを振りながらそう答えた。
確かに制御薬なら1番楽なのは事実だが……どっちにしても広めて良い薬ではない。
そしてそれから少しだけフッと笑う。
「そういう所が気楽で助かるよ。お前こそ後衛と後処理任せるからな。あくまで風紀委員の神代理央の手柄にしてもらわねぇと困るんだ」
肉壁になれという意図は理解できた。故にこちらは面倒な部分は任せるからなと暗に告げる。
さて、そう話していると目が細くなる。
「魔術の感知範囲に反応有り。3人ばかりが向かって着ているな……どうする。隠れて様子見でもするか?」
同じ方向から。ということは購入者か売人かわからない。だからどうする?と問う。
■神代理央 > 「随分と前向きな考えだな。羨ましい限りだ」
彼の口から【制御薬】という言葉が出た時点で、完全に此方と利害が一致している事を察する。
ならば、此の場は共闘し、互いのための利益を得るべきだろう。
「ほう?手柄は譲るというのか。まあ、後処理くらいはしてやろう。前で暴れまわるというのは、不得手だからな」
肩を竦めて彼の言葉に頷きつつ――
「…そうだな。取引が始まる寸前で抑えられればベストだ。…俺はその辺りの物陰から異形の召喚に入る。お前は、取引が始まりそうになったら突っ込んで暴れてくれ。それを合図に此方も動く」
探知魔法等全く使えないが、彼がそういうのならそうなのだろうと頷く。
そして、自身は素早く物陰に身を隠し、状況を伺いめるのだろう。
■白鈴秋 > 「先生が先生でな、そういう考え方になった」
少しだけ笑いながらそう答える。
相手のそしてその後の言葉にはうなずく。
「手柄なんてあっても邪魔なだけだ。ネオンの看板背負って戦場に出る馬鹿はいねぇよ」
手柄を上げれば有名になる。有名になればそれだけ狙われやすいし目立つ。だから要らない。そんなのを少しの冗談と共に言い放つ。
その後の発言に軽く頷くと。糸を使い建物の上へ、同じ位置に居たからその物陰を外すように彼方此方に糸を走らせているのが見えただろう。もっともすぐにそれは闇に溶けてしまい見えなくなる。
文字通り蜘蛛の巣を張り”獲物”を待った。
少し遅れて3人は来るが。持っているのはアタッシュケースのみ。これではまだどっちか。そして何の取引かもわかった物ではない。
■神代理央 > 「成る程。ならば、精々此方は名誉を稼がせて貰うとしよう」
彼の冗談に僅かに笑みを零しつつ、異能を発動する準備を整えた。
この路地を囲むように数体の異形を召喚する準備を終えれば、後は彼が動くタイミングに合わせようと呼吸を整える。
■白鈴秋 > しばらく待つ。すると小箱を二つばかり抱えた4人の男。
さっき来た3人を見つけると寄っていき仲良さげに話し始める。
「……」
小箱の中はおそらく制御薬か薬。ならばアタッシュケースは金だろう。お互いがしっかり寄り、握手を交わそうとした……刹那。
「やれ理央!!」
声を上げる。彼が建物から飛び降りるとその重さで糸がしまる。張り巡らせた糸は7人に迫った。
もがき、吼える男達。銃を出し射撃をするが飛び降りるような早い速度の対象。その上射手は焦りに焦っている当たるわけも無い。全てがもう遅い……だが。
「そっちに2人いった。買い手だ」
全員を捕らえる事は出来なかった。一人なら追撃するが。今回は信頼できるバディがいる。その必要は無いだろう。
アタッシュケースを持った男と小箱を持った男。ズル賢くタダで薬を貰おうという魂胆だった。
■神代理央 > 彼の言葉と共に、路地からの出口を塞ぐように巨大な金属の異形が現れる。
異形達は、その身で狭い路地裏いっぱいに展開すると、背中から生やした砲塔を僅かに軋ませた。
「…肉片も残さず消し飛ばしても良いが、今夜はそう言ってられんでな。無様に踊れ」
彼が相手どる集団への砲撃は最小限。精々、牽制の為に小口径の砲弾を数発放つ程度。
だが、駆け出した二人の男には、その数倍の火力がぶつけられる。
荷物と命を取らぬよう、しかし恐怖で足を止める様、狭さ故にその砲身は半分以上動いてはいないが、それでも十分過ぎる程の複数の異形が、路地裏の出口を塞いだまま男達の足元へと攻撃を開始した。
■白鈴秋 > 足を止めた男達。アタッシュケースを持っていた男が片手で銃を抜こうとするも。両方同時にビクッと震え……完全に動きを止める。
背中には紫の糸が突き刺さっている。つまりは。
「助かった。追撃する手間が省けた」
何時もの常套集団。つまりは猛毒で動きを取れなくさせた。
手をヒラヒラと振るい背中をむける。
「今回は弱めにしてある。1時間もすりゃ効果は切れるから早いうち全員拘束しちまってくれ……その間に荷物はこっちで改めておくからよ」
箱をけりあけると中から出てくるのは色々な種類の薬。そして目を引くのは。
「ビンゴだ」
制御薬。それが大量に箱に仕込まれていた。
■神代理央 > 「ああ。巡回中の委員に今連絡をいれた。もう少ししたら、後片付けの連中がやって来るだろう」
助かったと告げる彼に、鷹揚に首を振って礼は不要だと告げながら答える。
実際、此方は殆ど何もしていない。この集団を戦闘不能にまで追い込んだのは、彼のスキルによるものなのだし。
「大当たり、と言ったところだな。全く、何処に流すつもりだったのやら」
鈍く輝く制御薬のアンプルに視線を落としつつ、呆れた様に肩を竦めてみせた。