2015/12/24 のログ
ご案内:「スラム」にレンファさんが現れました。
レンファ > 薄暗いスラムの廃ビル
窓ガラスも尽くが割れ、僅かに雨風が防げるかどうか、と言った風貌

そんな朽ちた建造物の中に揺れる白い糸、のようなもの

「………」

白糸を辿ってみれば、それは少し長く伸ばされた白髪であった
まるで天井に逆さまに立つような格好で少女が一人佇んでいる

「……すや」

否、眠っている

レンファ > ごう、と少し強めの風が吹く
窓ガラスが割れた廃ビルの中に吹き込み、長く垂れた白糸が揺れる

「………」

す…と、うっすらその双眼が開く
その左眼からは人間のものとは違う、機械光が漏れる

「………」

ふー、とため息
そのまま天井を蹴ってくるんと回転すると重力が反転するように床に降り立つ

「……やはり就寝には適さない建造物だった」

こきん、と首を鳴らす

レンファ > 「……やはりバスルームくらいは欲しい」

呟きつつ、ポーチを開く
薄暗い中で翠光がそれを照らす、中には少々驚くほどの金額の札束が入っている

この街に来てから仕事を請負って稼いだ日銭である

が、食事すら必要としない自分には僅かに持て余しているものでもあった


「………住むところくらいは多少贅沢をしてもいいかもしれないな」

レンファ > 「………」

とはいえ、この街では何処も似たようなものかもしれない
雨風がしっかり凌げるだけでもマシかもしれないが

そんなことを思いつつ、割れた窓から体を躍らせる

普通の人間ならばあっさり即死が確定する高度だが、
特に表情も変えないまま、音もなくスラムの路地へと着地する

人気は少ない
聴覚機能を高めれば、僅かな喧騒が聞こえる

喧嘩か、チンピラでも暴れているのだろうと特に興味を持った様子もなく、そのまま歩き始める

ご案内:「スラム」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
嘱託風紀委員としての見回りの最中。
何か面白げな光景を見た気がする。

ゆっくりと、自分の周りの光の屈折率を戻し、迷彩状態を解除する。
そして白髪の少女に近寄っていく。

「君はここで何を?」

レンファ > 足を止める
気配を感じ取ったからだ

視界には生物らしきものは見当たらない、が…
その左眼にはその熱源反応とPBS信号が映っている、なぜわざわざステルスをしているのか
その疑問はすぐに晴れることとなった

「……学園の風紀委員か。こんなところまで見廻りとはご苦労なことだ。
 …何をしているも何も、ボクは此処の住人だよ」

寄月 秋輝 >  
「いえ、正しくは風紀委員ではありません。
 見回りは正しいのですが」

ぺこりと礼を一つ。
敵意をまるで見せない。一切の攻撃の意志も無い。
左の腰に差した刀を抜こうとすらしない。

「……二級学生、ですか?
 それとも別の理由でここで住んで?」

辺りを眺め、尋ねる。
とりあえずここに危険はないのだろう、普通に会話しても大丈夫だ。

レンファ > 「………」

じぃ、とそいつを見つめる
最初に抱いた印象は おかしなやつ だ
自分のことを問いただしたいのならば風紀委員というある意味では強い権力を振り翳すのが正しい
にも関わらずこいつは自身を正式な風紀委員ではないと名乗り、なおかつこちらに質問を投げかけてくる
よってその意図を測りかねた

「質問の意図とお前に応える義務に見当がつかない」

なのでそのまま、思ったことを言葉として返す
胸の下で腕を組んでふんすと息を吐きながら、なんだか憮然した態度にも見える

寄月 秋輝 >  
「二級学生でしたら、正式に手続きを踏んで正当に学生として生活する術がありますから。
 もしやむにやまれぬ事情でこちらに居るならばまだしも、少なくともその目があるのならば、学園で生徒として暮らすことが出来るはずです」

近付く前から見えていましたよね、と囁きながら、『質問の意図』に関して回答する。
見えていたのか、それとも超音波のようなもので察知されていたかまではわからないが、どちらにせよ能力があるならば生徒として十分な理由となるはずだ。

「義務はありません。
 ただここで暮らしているよりは、マシな生活があるかもしれないので、提案をしているまでです。
 応えたくないならば、無理にとは言いませんよ」

淡々と述べる。

昔学んだことだ。
それ以外に生き方を知らない者を救うのも、我らの役目だと。
それを果たすべき相手に見えた。

そこまでは口にはしないが。

レンファ > 見つめているその眼を僅かに細める
左眼から漏れている翠光が少し収まった

「【余計なお節介】【大きなお世話】色んな言葉があるけど、
 残念ながらボクは異能の持ち主じゃない。此処の学園の研究の役には立たないよ」

そう言って肩を竦めて見せる
見えていた、ということに対しては特に否定する素振りも見せず

「それに、学園区のほうだとボクの"仕事"もなさそうだ」

寄月 秋輝 >  
「余計なお世話とは言いますが、それを焼けば救える人が居ることもありますから。
 少なくともこれが無駄だとは思いません」

その口ぶりからして、こんなことは一度や二度ではないのかもしれない。
目を向けて、ふむ、と小さく息を吐く。

「仕事、というのは?」

警戒も無く、軽く尋ねる。

レンファ > 「……そんなものを求める奴は、わざわざ声をかけずとも自分から助けを乞うていると思う」

成程、こういうタイプの人間か、と
この荒んだ街の中では嘘にも似た光ではあるのだろうと納得した

「殺し屋」

仕事は、と聞き返されれば一言でそう返した

寄月 秋輝 >  
「それを求められない人間も居るものですよ。
 意外と多く、ね」

ふ、と自嘲気味に笑って呟いた。
それを逃してしまったことが、どれだけあっただろうかと。

「なるほど、確かに仕事は無さそうだ。
 斥候や密偵の仕事ならありそうですが、殺しの仕事は難しいかもしれませんね。
 ……いや、あるのかな」

顎に手を当てて考え込む。
表側に居る風紀委員ではそんな仕事はそう多くない。
研究所区画ではきな臭い話こそ聞くものの、やはり自分の耳まで真実は届かない。

そんなズレた考えで、真剣に悩んでいる。

レンファ > 「………」

助けを求めない、与えられるのを待つだけの者など助からなくて当然なのだが
それをあえて口にはしない
言ったところでこの手のタイプには意味がなさそうだと判断したからだ

「スパイ活動もできないわけじゃないけど本業じゃない。
 …たかだかスラムの人間個人のことで悩んでも時間の無駄じゃないか?」

怪訝そうに、その視線を思い悩む少年へと向ける

寄月 秋輝 >  
「無駄だとは思いませんよ。
 いわゆるなんとなく放っておけない、という感情に近いので。
 ……そちらも、そろそろそんな質問こそ『無駄』だと思い始めているのでは?」

自嘲気味な笑顔が消え、先ほどと同じ静かな表情に戻る。
大した理由があるわけでもないのは確かだ。
捨てられた子犬を放っておけないような感覚で接しているような、過去の戒めから動いているような。
そこの細かい感覚は自分でも理解できていない。

「別にその本業だけで生きることも無いと思いますよ。
 自分の生まれた理由だと思っていることから離れたって、誰かに恨まれることはないですから」

レンファ > 「ご明察。少なくともこんな場所でする問答じゃない」

ため息一つ
変なのに捕まったな、という雰囲気をばりばり出し始めた

「お前さ、そういうのは牧師にでもなって教会でやるといいよ。
 迷える子羊達にはさぞありがたい言葉だろうから」

寄月 秋輝 >  
「神道側の人間なのでそうも行きませんね。
 それも面白そうではありますが」

真顔のまま、冗談じみたセリフを吐いた。

「まぁ、なんとなく放っておけないというだけです。
 どうですか、僕の家にでも。
 このあたりに住んでいるよりはマシな環境だと思いますよ。
 ……監視の目は多少ありますが」

来ないだろうという確信を込めて、一応尋ねてみた。
小さく息を吐いて、答えを聞く前に目を横に向けた。

レンファ > 「……?」

意外な提案に訝しげな目線に変わる
いきなり何を言い出したのだろうと

「お前の家に転がり込んでどうするんだ。
 厭らしいことを考えているなら他の女を探したほうが無難だが」

もしや新手のナンパだろうか
だとしたらなかなかおもしろい趣向ではあったのかもしれない
などと思いながら

寄月 秋輝 >  
「……やめてください。
 ちょっともう、しばらく女性にそんなことをするのはこりごりです」

露骨に顔色が悪くなる。
何かトラウマがあるらしいことがわかるかもしれない。
頭をがりがりとかきながら、大きなため息を吐き出した。

「ですから、もう少しまともな環境で暮らすスペースをご用意します、という提案ですよ。
 別に殺しの仕事をする上で不便だというなら無理にとは言いません」

レンファ > 「そんなことが懲り懲りなのに女を家に連れ込もうとするなんて相当な変わり者だな」

小首を傾げつつそう答えて
続いた言葉にはふむ、と顎に手を当てて考える

「定住するかどうかは試行してみて結論を出せば良いものだが、
 さて、それを提供するお前のメリットが何処にある?
 ボクは基本的に取引関係が成立しないと物事を信用しないぞ」

寄月 秋輝 >  
「手出ししたくないから連れ込めるんですよ。
 手出しするつもりなら、もう少し時間をかけてるでしょう」

ため息がもう一つ。
女性関係で胃が痛い思いをした過去を思い出して、なんとなく痛みが帰ってきた気がした。

「……メリットというなら二つほど。
 一つ目は今までの話通り、僕の自己満足が果たされる。
 二つ目は殺し屋とコネクションを持てるという事実そのものです。
 まだ足りませんか?」

落ち着いたか、表情が元通りになる。
そこまで淡々と述べ、答えを待つ。

レンファ > 「…まぁいいか。雨風凌げて湯浴みもできるならそれは重畳」

うん、と頷く
完全に信用したわけでもないが、特に発汗状態や仕草、言葉の選び方に明確な嘘は検知されない

「衣食住の提供とはいまいち吊り合っていないな。
 もうひとつくらいは何か要求されて当然の条件だと思うぞ」

ちゃっかり衣と食も追加されている

寄月 秋輝 >  
「必要なものがあれば、その都度言ってください。
 僕からはそれで十分です」

そもそも衣食住の提供のつもりでの話だったのか、全く動揺も聞き返しもしない。

「何か運ぶものがあれば手伝いますが、どうします?
 身軽ならすぐに来てもらっても大丈夫ですが」

くるりと反転し、スラムを出る方向に向く。
簡単に背中を見せるあたり、警戒していないのか信頼しているのか。

レンファ > 「………」

間違いない

変な奴だ
こいつは変な奴だ

「…取引内容の公平性に関してはボクのほうで勝手に補填させてもらう」

まだ定住すると決めたわけでもないが
音もなくその背中に続くように足を踏み出すのだった

寄月 秋輝 >  
「それに関してはご自由に。
 ……特に無いんですね、持ち物。
 それなら少し歩きますが、ついてきてください」

ふ、と小さく息を吐いて。
まっすぐ、借りている私宅へ向けてその歩を進めた。

後ろに居る少女を、時折光を屈折させて見ながら。

レンファ > 「………」

多くの私物は次元境界線を隔てた空間に…とわざわざ説明することもないだろうと、黙ったまま後ろをついてゆく

不自然なほどに音もなく、気配もなく
疎い者なら少年が一人で歩いていると錯覚するくらいに、薄く

癖なのか、そんな少女の追跡はスラムを出て尚続くのだった

ご案内:「スラム」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「スラム」からレンファさんが去りました。