2016/02/14 のログ
ご案内:「スラム」にラウル・ゲレロさんが現れました。
■ラウル・ゲレロ > スラムの一角、ろくに掃除もされず、
客の吐しゃ物や食べ残しが床に散乱するような場末の酒場の片隅。
「オーケー、イエメンからのブツは全て届いたな。
ロシア経由でよォ、『クロコダイル』。アレ、仕入れたアホはお前が片づけとけ。
あんなもん使いモンにならん。あー、チェック。」
数人の人相の悪い男たちが、カードを使いテキサス・ホールデムスタイルのポーカーに興じていた。
既にそれなりに回を重ねているのか、テーブル備え付けの灰皿にはいくつもの吸い殻が突っ込まれ、
個々人のもつチップにも偏りがある。
その中でも、特に目だってチップを獲得している男――。
一見小柄ながら、目はらんらんと……まるで獲物を目の前にした肉食獣のように血走っており、
額にはダーツの的と『Shot here』のタトゥー。ただ、欲望のままに薬を求めるだけのそこらのジャンキーとは
少し違う、野性的な異様さを醸し出すこの男が彼らのリーダー格のようだった。
「そろそろ飽きたし、時間も近いな……オールインだ。
このチップはテキトーに使えや。俺は、例の男と話をしてくる。」
男はオールインを宣言しチップをすべてベットすると、
勝負の行方を確認することなく立ち上がり、スラムの中でも特に人通りの少ない一角へと足を運ぶのだった。
■ラウル・ゲレロ > ラウルの言う『例の男』とはこの辺のスラムで活動する、とある違法入島者の事だった。
この男は情報の売り買いや違法な薬物の売買で生計を立てており、常世学園の正規の生徒にも
顧客を持っていると噂されている。入島してようやく商売の基盤が整ってきたラウルたちにとって
『今は』友好関係を築いておきたい関係の人物だ。
「は?オイオイオイオイオイオイオイ、なんだあこりゃあ。
先方はちゃんと下見してんのか?こりゃーねーぜ。オイ。」
例の男との待ち合わせ場所……。
今はもう、使う者もいないはずの波止場街の吹き溜まりには先客が居た。
スラムに流れ着き、住み着いたはいい物の寄る辺を持たずただその日その日を力なく生きるだけの、
違法入島者か二級学生の成れの果て。
それらが、おそらくは相互扶助的な小規模コミュニティをここで築いているのであろう。
数人の小汚い男たちがドラム缶に火をおこし、寒さをしのいでいた。
「おい、何見てんだよ。ここは今から俺のモンだ、ああ、使うんだよ。
言葉ワカル?わかるな?OK?だったら分かりやすく忠告だ。」
早口にまくしたてながら、それらに近づくラウル。
その勢いに気圧された様子の手近な男に、彼は分かりやすく忠告……もとい顎に拳を容赦なくたたき込む。
「ヘイ。わかったろ?もっと説明が必要か?ここはオックスフォードの文壇か?
え?え?オイ。もっと分かりやすい説明が必要か?ファック野郎ども。申し訳ありませんが、
ここからケツまくってさっさとお消えくださいませ、とでも俺に言わせるつもりか?」
ぐぶ、とくぐもった呻きをあげながら、倒れた仲間を引きずる様に逃げ去る男たち。
「ファックオフ野郎ども!ママに×××してもらえ!クソ!」
その様を嘲るように、中指を立てて一通り罵るとつまらねえ、とこぼしながらラウルはその場に座り込んだ。