2016/02/25 のログ
ご案内:「スラム」にラウル・ゲレロさんが現れました。
ラウル・ゲレロ > 落第街のスラムや路地裏で行われるのは、
なにも麻薬や武器の取引だけではない。

「さて……カムアウトロールは……ナチュラルだ。悪いね。」

数人の男たちが、ビールケースにベニヤ板を乗せただけの粗末な卓を囲み、
サイコロ賭博に興じている。行われているゲームは『クラップス』という
2個のサイコロを使い行われる、戦術性の介在する余地のない単純なゲーム。

「……パスラインに賭けたヤツいたよな?アー、そうだな。取り分はこのぐらいでいいかね。」

ワンゲームが終わり胴元である、人相の悪い小男が手に持ったマチェットで乱雑に配当を分ける。
……配当と言っても、カジノの様にチップを使用しているわけではなく、単純に貨幣や各々が持ち寄った品物……。
例えば、違法な魔術触媒や薬物の小包などをチップ代わりにそのままかけ、
胴元の判断でそれを勝者に分配しているようだ。

ラウル・ゲレロ > 『おい、そりゃねーぜ。俺の賭けたブツのほうが30……。
 いや、50ドルは価値がある、もう少し色を付けても――。』

と、一人の客が胴元の分配した配当に難色を示した時だった、
和やか、とまではいかない物のスラムでは珍しく平和的とも言えた先ほどまでの空気が一変し、
剣呑な気配が、卓を包み込む。

「ヘイ、つまりこういうことか?お前は俺に対して、指図がしたいと。
なるほど、つまりはおまえ、自分を賢い男だと思ってるんだな?ヘイヘイヘイ、皆。
 こいつは『市場』を分かってるそうだ。」

『お、おい、ちがう。そう殺気立つなよ、俺はちょいと……。』

「いや、いいんだ名も知らぬカウボーイ。お前は賢い男だ。『市場』を分かってる。『商品』の価値をな。
 だが、お前さんも一つ見落としてる事がある、OKか?」

その時だった。難色を示していた男に対して、機関銃の様に言葉を吐きかけていた
胴元の目にまるで獲物を前にした肉食獣のような危険な色彩が宿ったかと思えば、それを合図に
他の客が男の腕を捕えて、卓へと押し付ける!そして、そこへ鈍らに陽光を反射しながら、マチェットが振り下ろされた!

『あ、あぎゃッ!?』

「この場で市場をコントロールするのは俺なんだよ。」

マチェットの切れ味では、日本の名刀のように一刀で腕を落とす事等などできなかったが、
それが逆にこの行為を残虐なものにした。何度も、何度も。男の腕に対してそれが振るわれて、
卓の上に赤黒いシミが飛び散っていく。

ラウル・ゲレロ > 「……こいつは『ミンチメーカー』に突っ込んで、海にまいとけな。
 無駄に、風紀どもの目を引くのは今は避けたい。」

そして10分も経った頃、返り血で真っ赤に体を染めた胴元の男は、
近くで煙草をふかしていた部下らしき男に指示を飛ばすと、卓を囲んでいた他の男たちに
迷惑料だ、といって物言わぬ肉塊と化した男の賭けていた物品を分配し、そのままいずこかへと去って行った。

ご案内:「スラム」からラウル・ゲレロさんが去りました。