2016/05/21 のログ
ご案内:「スラム」に”マネキン”さんが現れました。
■”マネキン” > 【スラムの一角。木箱に座り学生らしい人影が雑多な商品をシートに並べて、端末を弄っている。
画面は複雑な化学式がいくつも表示されており、タップでその構成はめまぐるしく変化していった。】
…第20160121実験、対象失踪により中断。
…第20160204実験、対象失踪により中断。
…第2016… ああもう、なんだってんだこりゃ。
【頭に当たる位置をフードの上からかきむしる。
少しだけそのフードがずれて、無機質な顔が覗く。無造作にフードを引っ張りなおして、再び深く被りなおす。】
薬を流してる先の実験台が次々失踪してやがる。
いくら落第街だからって、資源は無尽蔵じゃねえんだぞ。
関わってる連中は複数いるらしいが…ケースが一番関わってる中心はこの女か。例の件で第20151212実験を投与済みの可能性アリ、と。
【端末の画面が切り替えられ、ポニーテールの、スタイルのいい女子生徒の姿が映し出される。
他にもいくつか生徒の肖像が表示されているようだ。】
■”マネキン” > 【踊る指先に操られて画面はいくつも切り替わる。
身長の高い筋肉質の男子学生と、黒髪ストレートの童顔な女子学生。
やや画面がぼけているが、くすんだ白髪にオッドアイと言う特徴的な容姿をした、褐色の女子学生。】
(どれもこれも落第街に足を踏み入れた直後に、実験体どもが姿を消してやがる。
死体を消してない連中もいるらしいが。)
…はあ、なんだってんだ。ここはいつからシリアルキラーの巣窟になった。
【画面が飄々とした印象を受ける着物を着た男子学生に切り替わる。
とりあえずその画面にチェックをつけてもとの組成式表示に戻すと、再び思考作業へと戻りながらこないだろう客を待ち続けていた。】
ご案内:「スラム」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > ごみごみしたスラムは嫌いだ。
如何せん、清潔感が無いし、雑多なモノが多すぎる。
オフィス街が好きというわけでもないが、この落第街、なるべくお近づきになりたくないものだ。
「あ、キミが"マネキン"かい?」
木箱に座る学生に声をかける。
おそらく、こいつだろう。
本当にマネキンのようなヤツだ
■”マネキン” > (「片っ端から潰されたんで、研究結果はありませんでした。」とか
一応融資受けてる身でやるのは…まあ、まずくはないが。
でもまあ一応、研究者としては面白くは無いか。)
【暴走剤の組成式に、ほんらいちんけなソフトウェアでは表示されない例外的な処理を加えたものを弄っていく。
外見だけはそのままで、中身はすでにほとんど別物のようだ。】
…ああ。何か用か。
ここに来たってことは、知ってて用事があってきたんだろう。
【フードの奥からおそらく視線を向けた。
あえて画面表示をさきほどの、彼のものへと戻す。覗き込めば見ることも可能だ。】
■烏丸秀 > 「うん、とある場所から言われてね」
烏丸は懐から何かを取り出す。
それは、3つのスマホ。例の学生たちが持っていた物だ。
もちろん、凜霞のデータは消去してある。
「これ、回収が必要なんだって?
はい、どうぞ」
少年たちが薬をヤっていたのかどうかは分からない。
だが、まぁ、凜霞と関わって『消えた』学生だ。
一応、回収はしておきたいのだろう。
■”マネキン” > ちっ…まあ受け取っておく。
(どうせたいしたものは残ってないだろうが。
けじめはつけたって所か。つまらん。やらなきゃ実験台にしてやったんだが。
まあ流石にそんな馬鹿じゃないだろうが。)
…ついでだ、何か買っていくか。
そう言うのも扱ってるぞ。
【スマホは受け取った。
シートを前に手を広げる。あくまでシート上のガラクタにではない。
一拍置いてから、懐から栄養ドリンクの容器を取り出した。】
疲れている様なら、こんなのもあるがな。
■烏丸秀 > 「うんうん、これですっきり」
まったく、怖いこわい。
落第街に巣食う連中とまともに付き合う気はない。
命が何個あったって足りやしない。己の弱さは十二分に理解している。
「あ、ボクの香道に必要な素材はある?
違法性のあるモノはいらないよ。そういうのは買い付け先決まってるからさ」
なにせ、最近は公安のマークも厳しくなってきた。
なんか妙な美人局まできたし。公安、絶対許さん。男の純情を弄びやがって。
■”マネキン” > いちおう経験則から忠告しておいてやる。
あんまり都合のいい立場でやりすぎるとどちらからも敵視されるぞ。
蝙蝠にだけはならないことだ。九九九。
(正道の連中が落第街に絡むこと自体は珍しいことじゃねえけどな。
研究区にとっては当たり前の日常だった。)
【肩の荷が下りたと言う相手に釘を刺すような言葉を差し上げた。】
この島じゃ違法かどうかは学生が決める。
突き詰めて言えば財団が決めるってことだ。
多少は触ってもいいと思うがな…それに、そういうのを抱えない相手を信用しないことにしてるんでね。
そういったものはそこのガラクタでもあさっとけ。
【ポケットから出した栄養ドリンクの容器を相手に向けて放り投げた。
シートの上にはよく探してみれば香木の欠片くらいはある。判別は匂いでするしかない。
あとは興味をなくしたように、フードを被った頭を少し下に向けた。】
■烏丸秀 > 「ご忠告どうも。でも、ボクは女の子を愛してるだけだよ。
それ以外の事は、知らないし、知った事じゃないなぁ」
まったく、何が楽しくてこんな街でじめじめとやっているのか。気がしれない。
日の下で生きていくのは、それなりに快適な事なのだ。
「やれやれ、リスクはあんまり取りたくないけど、好意を無碍にもできないねぇ」
仕方なく栄養ドリンクの容器を受け取り、あたりを見回す。
――お目当ての物は、無さそうだ。
「ま、二度と来ない事を願ってるけどさ。
もし来る事になっちゃったら、またよろしくね」
それだけ言葉を投げかけると、ひらひらと手を振り、『店』をあとにする。
もちろん、後日『代金』を振り込む事は忘れなかった。
ご案内:「スラム」から烏丸秀さんが去りました。
■”マネキン” > 【ドリンクの容器を受け取った様子を見て、一つ頷く。
画面のとおりの飄々とした男の背中を頭を下げたまま、視線で見送った。】
挨拶の仕方を分かってる男だ。
…仕切りなおすか。
【シートの上のガラクタを包んで木箱に放り込む。ついでに電源を消した端末も放り込む。
木箱を持ち上げると、スラムの奥へと足をすすめた。】
ご案内:「スラム」から”マネキン”さんが去りました。