2017/02/15 のログ
■常夜 來禍 >
「咎人の片棒は担ぎたくなくてよ。もっとお利口な人間に頼めや。こちとら食欲だけで動く、愚かな狼なんだ」
何も起こらない。ダミーか。でも、あの円は跡形もない。なぜ。
「ご勧告痛み入るんだが、まだこっちのががんばれそうな気がしてきてな」
血液が巡る。血潮が滾る。
「おかしいねェ。殺したのはてっきり、アンタだと思ってたんだが」
学園の人間なら見境なく嫌いなのか。
辺りは冬場に似合わない、異様な熱気に包まれる。
■三拍子天歩 >
「その咎とやらを消すための措置さ。
とりあえず――この『街』を出て外に出ようとした人間を殺すのは当然として」
ありえない前提を、さも当たり前のように。
「一般生徒を殺しちゃうと『空き』が出る。その『空き』を誰でもないネームレスさんに埋めてもらうとだよ。
学園の一般生徒に空きは出ない。
学籍のなかった人はこれから堂々と外に出られる。
そして『この街から裏切り者が出た事実も無くなる』――日日是平穏でしょう?」
そして脈絡も詠唱も無しに。
「『木の巻・暴猪蜜狩』」
彼女の身体が、淡く緑色に輝き出す。
「それともアレかな――君もこの街の住人になるかい?
平和だよ、自分のために生きることが出来て」
■常夜 來禍 >
「……あいや、御見それしたよ。この世界、けっこうキレイな環で構成されてら」
基より棲み分けされた地に(自己決定した結果ではないが)踏み込んだこの身。理解できるべくもない。
あの名。いつかどこかで見た、忍の業か。前準備要らずとは聞かなんだ。
「遠慮しとく。ここであんたと遭ったのは、どうやら縁じゃねェらしい」
が、詠唱がないのは『こちらも同じ』。虚空の揺らめく果てに見えるは、果てのない闇。幻術だ。
「平和を乱して悪かった。今度は金を持って、アンタに詫びよう」
声の主は目に見えねども、その響きが遠ざかっていくのを感じる。
ご案内:「スラム」から常夜 來禍さんが去りました。
■三拍子天歩 >
「そうとも。話が分かる。君とは会ったときから友達になれる気がしていたよ」
輝く身体に満ちる充足感。身体の活性を高める忍法。
出会いは狼の姿だった。獣人と言うのであれば、身体強化が優先すべき対応。
そして――新月の夜さえ見通す忍びの瞳に、陰が落ちた。
「……あれ? 幻術だ!」
遠ざかる声。ぱちくりと瞬きを三度。身体のどこかを合わせること三度。
それが彼女の法印。間もなく晴れていく視界――幻術破り。も、やむなく。
「……いやいや、いまのは私は悪くないよ?」
誰への言い訳でもないけれど。
■三拍子天歩 >
むぅんと唸りながら、残された死体を見る。
「幻術を使う狼……魔女の使い魔かなんかっぽいよね……」
遅れて、あの時使わなかった術式を発動させる。
『真昼野ソラ』の遺体があったはずの場所には、粘土質の土がどさりと。お立ち台でも作ったかのように盛られていた。
「さ、これで空きが出来た……困っている人は自分で探すかな……全く」
ふぅと溜息。
「名前も聞いておけばよかった。訳有みたいだし、次会ったらもうちょっと強めに誘ってみようかな」
そして決意を新たに――柏手を三拍叩いた彼女は、落ちるように土の中へと消えた。
ご案内:「スラム」から三拍子天歩さんが去りました。