2017/08/16 のログ
HMT-15 > 「ボクには異能や魔術等の
超自然現象をある程度測定出来る装置が
積んである。ただし魔術は実際に使われないと
わからないが。まあそれで異能パターンを
把握させてもらった。失礼だったかな。」

そんな感じで
ロボットが少年の異能持ちを見破った
カラクリを語っていると
不意に前右足に異変が訪れた。

「超自然干渉を検知。
・・・何だこれは。」

動かない。どれだけ油圧機構がパワーを
出力しようとも微動だにしない。
少なくとも物理的に抑えられているという感じ
ではない。

木更津 水乃 > 「なるほど。じゃあ僕が異能を使うまでもなくその有無はばれていたわけですね。
いえ、風紀委員たるもの、自分の所属や立場を明かすことは茶飯事です。
名前がわかればいずれ自身の異能や魔術についてもわかりますから」

(ロボットが異能を看破した理屈を聞くと納得した風にうなずく)

「あまり無理に油圧に動力をかけないでください。あなたの脚が壊れます。

簡単に説明すれば、質点を空間座標中に固定する異能です。
物体全体を固定するわけではないので質点中心に回転は可能ですが、
質点の移動をともなう操作はできません。

物体自体が破壊されて質点が変わってしまうか、僕が能力を解くまでこれは持続されます」

(そうやって簡単な説明とともに視線を外すと異能が解かれ、
ロボットの脚も自由を取り戻すだろう>

HMT-15 > ロボットが右足を何とか動かそうと
悪戦苦闘していると
その力の主からアドバイスが与えられる。

「なるほど戦術的に見れば
相手の動きを完全に奪える能力という事か。
出来れば相手にはしたくない能力だな。」

この能力だけでこのロボットの売りの一つである
パワーは完全に殺されてしまう。

「しかし異能と言うモノは非常に強力だな。
ボクは超自然的な手段に基づく攻撃方法が
存在しないから異能持ちの相手というのは
油断ならない。」

対異能用の兵器であるにも関わらず
異能相手に苦戦するというのは一種の笑い話か。
そして一瞬考え込んだ後に

「キミが能力を明かしたのだから
こちらも何か明かすべきだな、
試しに異能をもう一度かけてみるといい。」

ロボットがそう言えば周りの空間に
違和感が生じたのが常人ですら感じるだろう。
そしてロボットの周りの限られた空間内では
異能はその効力を発揮することはない。

木更津 水乃 > 「そうなりますね。
ただまぁ、あくまで能力の対象となるのは剛体のみです。
流体のように"物体全体としての質点"が絶えず変化するものには使えませんし」

(そういう意味ではこのHMTのように装甲がしっかりしている機体というのは、
得手不得手で言えばだいぶ有利にことを運べるのだ)

「強力ではありますが、完ぺきとは言えませんね。
ん、では拝見させていただきましょうか?
―――?」

(ロボットが何か装置でも作動させたのだろうか。
違和感は感じ取れるものの何がどう違うのかがわからない。
試しにパイプに鉄球を入れると――落ちた。
当たり前のことだが、それは衝撃的なことだった。
通常であれば鉄球は落ちることなく固定されるはずだから>

HMT-15 > 「なるほどボクにとって
致命的に"相性が悪い"という事か。」

異能が怖い理由はここにある。
それは必ずしも高い抵抗力のある装甲が
有利に働かないという事。
それは武装にも言えることで高い貫徹力を
持つ徹甲弾が敵を撃ち貫けると言えば
必ずしもそういう訳ではない。

そして少年が自らの異能が動作しない事に
不思議がっているのを確認すれば

「これはHMTに備わっているIFGSという装置だ。
超自然現象の動きをブロックすることで
異能や魔術を無効化したり霊体に物理攻撃を
通したりする事だって出来る。ただし弱点は
射程距離が極近距離限定なのと
数秒程度という効果時間、
そして長時間のクールダウンが挙げられる。」

強力な効果と引き換えに致命的な弱点。
この装置はあくまで科学の産物だが
その点では異能と似通っている点がある。

「そういえばきちんと自己紹介していなかった。
ボクはHMT-15、イチゴウと呼んでくれれば
反応しやすい。因みにこの島に来てから
半年くらいが経つか。」

無線越しで機体番号を言っただけだったので
きちんと自己紹介を。

木更津 水乃 > 「まぁ、この世の中で完璧を誇るのは唯一絶対の神くらいでしょう。
どんなに技術が進んでも得意不得意はあります」

(神が存在するかは――別な話だ。
しかし自分の能力はかなり使い勝手がいいというのは間違いない。
相手が硬い装甲で固めてくるほどに能力の効き目が出るからだ)

「なるほど、いわば究極的な無力化兵器ですね。
その利便性に目をつむれば対異能兵器としては十二分に有用でしょう」

(そうなるとこの手のHMTに至近距離で挑むのは避けたいと感じる。
まぁ、風紀委員にいる以上HMT相手にドンパチを繰り広げるつもりなどないが)

「ああ、僕は木更津水乃と言います。
イチゴウですね、これから何かとお世話になると思います」

(イチゴウに自己紹介をされると、思い出したようにこちらも自己紹介。
先ほどまでの真面目な表情から一転、ニッコリと嬉しそうに名前を確認する>

HMT-15 > 「神サマか。いるのなら是非会ってみたい。
きっと何にも縛られていないのだろうな。」

イチゴウは不意にいくつかの星が照らしている
夜空を見上げて機械音声でそんな事を。

「確かにIFGSは異能を所持している相手には
致命的な存在となる。それだけに出すタイミングを
誤るのは避けなければならない。」

強力だが欠点の多い要素は
ハマれば強いが外してしまえばある意味で
敗北が決定する。一種の賭けだ。

「水乃か、よろしく頼む。
間違っても拘置所に放り込まれるといったような
HMTのお世話のなり方はしない事を推奨する。
風紀委員でも行い次第では始末される。」

風紀委員会は正義を謳っているが
正義の組織という訳ではない。
不必要だったりそもそも不利益な存在であれば
消されることも可能性としてはあり得る。

木更津 水乃 > 「……どうでしょうか。
全知全能として、自らが矛盾を抱えぬよう存在し続けるというのは、
ある種自身への呪いのようにも思えますが」

(神が自身の存在のために自身に呪いをかける。なんともいえぬ皮肉だ。
そんな呪いを背負うくらいなら、矛盾を抱えてい来る方がずっと楽にも思える)

「まぁ、戦いは火力が全てではありませんからね。
そのタイミングも大切だというのは、言うまでもありませんから。

あはは、僕が処分を受ける時は一体何をやらかすんでしょうね?
少し興味があるような気もしますが、そうならないよう善処します」

(正義の名のもとに力を際限なく振るう者は確かにいる。
結局バランスなんだろう。異能も、魔術も、正義も。
行き過ぎた正義でいなくなった先輩も過去には確かにいる)

「では、余計なことをしてしまう前に僕は戻りますね。
今日は協力に感謝します」

(そういってイチゴウの前で敬礼すると、そのまま元の道を歩き帰っていくのだ>

ご案内:「スラム」から木更津 水乃さんが去りました。
HMT-15 > 「完全な自由はある意味呪いか。
その点も含め聞いてみたいな、
存在していればだが。」

このロボットがそんな発言をするのは
任務というものに縛られ続ける事に
ある種の疑問を抱いているという訳なのか。

「戦闘上手はタイミングが秀逸だ。
火力や装甲といった要素は二の次かもしれない。」

その意味でも自分の事を深く知っている奴が
勝利を収めるのだろう。強力な力を持っていても
考えなしで振っているようではいつかボロが出る。

「帰るのか、暗いから気をつけるんだ。
それと正義というのは可変性のモノだと認識している。
必ずしも正しいモノはどこにもない。」

敬礼しつつ去っていく彼にそう伝える
果たしてどこまでが届いただろうか。
そうしながらもロボットもまたこの路地から
出るべく歩みを進める。すると

「あう。」

妙な声を出すと同時に大きく姿勢を崩す
恐らく水乃の異能発動中に駆動部に
負担をかけ過ぎたのだろう。
前右足のメンテナンスが確実になったのと共に
足を引きづるようにしてスラムを去っていくだろう。
途中で回収車が来たのは言うまでもない。

ご案内:「スラム」からHMT-15さんが去りました。