2017/08/22 のログ
ご案内:「スラム」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 轟音と砲声。大地を抉り取る様な掃射音。
スラム街の一角、増築と改築を繰り返された迷宮の様な集合住宅の群れが、火焔に包まれて崩れ落ちていく。
散発的に軽い銃声がすれば、銃弾が命中した鋼鉄の異形から甲高い命中音が響き渡る。
尤も、数発の拳銃弾で倒れる様な異形ではない。周囲の建物を押し潰し、機甲師団さながらに展開する異形の群れは悲鳴と怨嗟の叫び声に何の感情を抱く事も無く、主の命に従って砲弾を放ち続ける。

「いやあ、周囲の被害を考えなくて良いというのはやりやすくて良い。周りに味方が居なければ余計な気遣いをする必要も無い。こうして安全な場所からぬくぬく殲滅戦が出来るというのは、実に気楽で良い」

阿鼻叫喚の火焔地獄と化した集合住宅から少し離れた瓦礫の山。
その上から戦場を睥睨しつつ、満足そうに口元を歪める。
護衛代わりに少年の周囲を固める異形も、主の上機嫌さに影響されたのか僅かに身動ぎして金属音を奏でた。

神代 理央 > 少々派手にやり過ぎたかと思わなくも無いが―まあ、任務は果たしたのだから別に構わないだろう。
【違法薬物を製造・販売している違反部活拠点の無力化】
構成員の生死は問わず、生き残りがいようがいまいが構わない。些か過激な任務だと思わなくも無いが、巷に蔓延する凶悪な犯罪者(この島では違反生徒とでも言えば良いのだろうか)に対して、風紀委員会の力を誇示したい一部先輩方のご希望を叶えたまで。
尤も、組織の規模に対して著しく抵抗が低い事。既に戦意を喪失し、逃げ惑い、命乞いすらしている様に見受けられる様子を見れば、戦闘力そのものは大した事が無かったのかも知れない。

「…まあ、運が悪かったと思う事だな。犯罪行為に手を染めていた時点で、こうなることくらいは覚悟してもらわないといけないしな」

欠伸を噛み殺しつつ、最早瓦礫の山と蠢く構成員を掘り起こす作業と化した様を眺める。
薬物では無く、武器製造の組織ならまだ歯応えがあったのだろうかと自らの異形に凭れながら首を傾げた。

ご案内:「スラム」に刃々斬鈴音さんが現れました。
刃々斬鈴音 > 「あーあ、いーけないんだ!
 人に向けて銃の弾を飛ばしたりしたら駄目なんだよ?」

少女が瓦礫の山の下の方からそんな風に暢気な調子で声を掛ける。
以前、会った時破れた服は新しいものにこの学園の正式な制服へと変わっていた。

「お金持ち君、元気にしてた?
 鈴音はそこそこ元気だったよ!」

恐らく今、複数出ている少年の異能で対応できるだろう。
しかし、瓦礫に溢れる異形にもこちらにいくらか向いただろうその砲塔も気にする様子もなく
クラスメイトにでも話しかけるような気軽な声だ…。

神代 理央 > 彼女の存在に気が付いたのは、自分よりも己の召喚した異形の方が先だっただろう。
遠雷の様に響く砲声と、燃え尽きる瓦礫の山を眺めていた所為か、接近する生命体を感知した異形が主にその旨を思念で伝えるまでのんびりと構えていた。
とどのつまり、突然投げかけられた声に対して、驚いた様に目を見開いてその視線を彼女に向ける事になる。
自動的に砲塔を彼女に向けていた異形の方が危機感知能力が高いという有様だ。

「―…何時ぞやの追い剥ぎ女か。どうした?今日も詐欺紛いの道案内役でも果たしに来たのか?」

此方が手勢を率いている余裕からか、今のところ敵意を見せていない彼女に対して尊大ではあるが幾分気楽な口調で言葉を返すだろう。
尤も、何の用件だと言わんばかりの不審げな目線を向けてはいるのだが。

刃々斬鈴音 > 「ううん?
 鈴音もあれからはちゃんとお仕事してるんだ!
 お金貰って誰かの気に入らない人を斬ったりする仕事!まさに鈴音の天職!よね!」

少年の尊大な言葉を特に気にした様子もない。
追い剥ぎを止めたとは言ってない。より質の悪い方に進んでいる感じもする。

「それでね。鈴音の今日のお仕事の相手があの人達だったんだけどね。
 これ鈴音にお金入ってくると思う?」

あの人達。
特にあの瓦礫の下から右手だけ出ているあの人が今回のターゲット。
ちょっと、調子に乗って表の方まで手を出してるから分からせて欲しい。
マイルドにするとそんな感じの依頼だった。

「ねー手だけでも依頼人の人に持っていったらいけると思う?」

神代 理央 > 「…風紀委員の前で中々聞き捨てならない事を言ってくれるな。とはいえ、裏社会の連中同士で潰し合っているのなら、目くじらを立てるつもりも無いが」

少女の言葉に僅かに眉を顰めつつ、幾分呆れた様に溜息を一つ。
少女の言う【仕事】とやらは公安にでも調査させるべきだろうかと内心で算盤を弾きつつ―

「……あの焼き肉片がお前の獲物だったのか?それは悪いことをしたな。探せば生き残りもいるとは思うが…」

少女の言葉に合わせる様に視線を砲煙の彼方へと向ける。
未だ止まぬ砲声の向こう側では、最早動く物は時折崩れ落ちる瓦礫くらいのもの。我先にと逃げ出した者以外は、出来の悪いハンバーグにでもなっているだろう。

「言っておくが、この組織の壊滅は風紀委員会の手柄にせよ、と任務を受けているからな。お前が手だの足だのを持っていくのは構わんが、壊滅させたのは風紀委員会という事を譲るつもりはないぞ?」

極々淡々と。しかし、残念だったなと言わんばかりの悪どい笑みで肩を竦めた。

刃々斬鈴音 > 「君、風紀委員だったの?
 じゃあ、風紀委員も似たようなものなんだ!
 …そっちに入っても良かったかな?」

目の前の惨状を見ながらそんな事を呟く。
どう考えても風紀委員には許されそうにない人材だ。

「うーん、面倒だからいいや!
 もう、誰が誰かも分からないし!」

しゃがみこんで瓦礫と炎を眺めている。
…さっきまで見えていた腕が焼けて落ちて見えなくなってしまった。
特に仕事がとられた事に対する怒りとかはないようだ。

「そっか…ゴミあさりみたいなのは嫌だな。今回はパスでいーや。
 あーあ、他の人たちだけじゃなくて風紀委員とも仕事が被るのか。」
 
むすっとした不機嫌そうな顔で小石を瓦礫の方へと投げてみたりする。
同業の他の人たちは割とルールに沿って動いてくれるからやりやすいが
風紀委員はルール無用の残虐ファイター。建物とか平気で壊したりする。

 「……!ねえねえ、ちょっと思いついたんだけどね!
  風紀委員が鈴音を雇ったら良くない?鈴音もお金貰えるし風紀委員も偉そうに出来るし!
  一石二兆ってやつだよね!」

そんな風な提案をする。
凄く良い事思いついた!みたいな顔で。

神代 理央 > 「成り立ての新米だけどな。…お前が風紀委員なんて柄には見えないな。どちらかと言うと、遅刻寸前で校門に駆け込んで注意される側だろう」

無論、その時は彼女の目の前で校門を閉じる。
とはいえ、ゴロツキ共を処理しているのならあながち素質が無い訳でもないのかと内心首を傾げつつ―

「まあ、あの中から色々と拾い集めるのは大変そうだしな。それが正解だろう。
…仕事が被る、というと語弊があるが…まあ、柄の悪い連中を処理するのが互いの仕事なら、そうなるだろうな」

てっきり仕事を取られた分金を払え!だの、取り敢えず襲いかかってくるのでは、という事態を想定していたが、あっさりと引いた彼女に意外そうな表情を向ける。
風紀委員に対して随分と穿った考えを持っているとは露知らず、彼女の言葉には意外ついでに素直に頷いてみせるだろう。

「…馬鹿かお前。風紀委員に所属するならまだしも、雇い入れるなんて事出来る訳………いや、出来なくも無いのか…?というか、金の出処は何処でも良いのか、お前」

彼女の言葉を高慢な笑みと共に一蹴しようとして、強ち不可能でも無いのかと悩ましげな表情を浮かべる。
とはいえ、仮にも警察組織に近い風紀委員会に雇われる事に色々と問題は無いのかと、不思議そうに首を傾げるだろう。

刃々斬鈴音 > 「ふふん!鈴音、遅刻はしたことないんだよ!
 学校も行ってないけどね!」

前の世界でも早々で学校には行かなくなっている。
この、血腐レを手にしてすぐ入学の二日後の事だ。

「火が入っちゃってるからちーちゃんで血も吸えないしね。レアでも嫌なんだってグルメだよね。
 大体いっしょだよ?誰かが決めたことか皆が決めたことかくらいの違いだよ。」

刀に目をやりながら言う。
こんな状況こんな場所だからわからないが普段より血の匂いが薄い気がする。
それに一言も言葉を発していない。

「鈴音バカじゃないよ!バカって言った方がバカなんだよ!バーカ!
 ほら!出来ない事もないでしょ?仕事も似てるし!
 うん、いいよ?別に鈴音悪い事してないし、お金はどう手に入れてもお金だしね。」

悪い事はしていないと普通に言ってのける。
嘘とか嘘じゃないとかそんな次元の話ではなかった。

「…鈴音は君が雇ってくれてもいいよ?お金さえいっぱいくれたら色々するよ?死んでほしい人とかいない?」

神代 理央 > 「…学園都市で学校に行っていないというのは如何なものかと思うんだが。まあ、好き好んで行くような場所でも無いかもしれんがな」

自慢げに語る彼女に呆れたような苦笑いを一つ。
とはいえ、学校へ行けと強制するのは己の仕事では無い。いや、風紀委員会としては強制すべきなのだろうが、今日の仕事では無い。

「血が欲しければ輸血パックでも買ったらどうだ。一通り血液型も揃っているだろうし。
…成る程な。そう言われてみれば、結局は俺もお前も同じ誰かに飼われている犬ころと同義という訳か」

そう言えば、以前襲われた時はあの刀喋っていたような。と、己の記憶を頼りに刀に視線を向けるが、刀にも気分や機嫌次第で無口になる日もあるのだろうと一人納得する。
とはいえ、あの刀が喋らなければ突っ込み役は自分一人では無いかと僅かな杞憂を覚えるのだが。

「つまり、馬鹿と言った回数が多いお前が阿呆という訳だ。…しかし確かに、一般の学生を襲っている訳でも無いし、違反行為をしている訳じゃ無いのか。…念の為聞いておくが、善良な生徒に手を出したりしていないよな?」

彼女の発言や目的を聞く限りではその可能性は薄いとは思うが―仮に一般生徒や都市の住民を手にかけていた場合は、風紀委員としての役目を果たさなければならない。

「――俺に?確かに、金は持っている方だが…。しかし生憎、死んで欲しい連中は今のところいないな。どちらかと言えば、お前を大人しくさせる為になら雇ってやっても良いくらいだが?」

ほんの一瞬。僅かに目を細めて彼女を見つめた後、軽口を叩く様な口調で言葉を返す。
そう。今は消えて欲しい奴はいない。だが、彼女程の能力を持った者を金で雇える機会は早々無い。軽口を叩きつつ、その表情は幾分考え込む様なものになっているだろう。