2017/08/23 のログ
刃々斬鈴音 > 「この街の人殆んど行ってないし大丈夫だよ。」

それに鈴音は所謂不法入島者というやつで学園に行く権利を持っていない。
…なろうと思えば学生になれるのかもしれないけど。

「うーん、そこらの人を斬った方が早いよ。
 輸血パックとか何か斬った感じとかしなさそうだし…。
 …鈴音は犬より猫が好きだよ!」

相変わらず刀は喋らない。
深刻なツッコミ役不足である。

「それは…!」

回数の話をされれば恨ましそうな顔で睨む。
…普段より大人しい様子だきっと普段であればここで斬りかかっていただろう。

「えーと…うん!表の人には怪我させてないよ!
 それに鈴音こっちに来てからまだ誰も殺してないし!」

頑張って思い出す。
…確かに表っぽい人には誰も怪我をさせていない。
…確かに切りかかったけど怪我はさせていないし…むしろパンチされたのは自分の方だし。

「うーん、それは難しいかもしれないね。
 鈴音、血がちょっと足りてない時しかお仕事してないの。
 …血がいっぱいだと色々我慢できなくなっちゃうから。」

刀を抜いて見せれば、確かに以前よりも纏う液体が少なくその隙間から錆びた刀身が見えてしまっていた。

神代 理央 > 「…何をもって大丈夫なのか今一分からんが…まあ、お前がそれで良いなら別に構わないさ」

ふーん、と軽い調子で少女の言葉に相槌を打つ。
彼女が学校に行きたいと願うならまだしも、別に行く必要を感じていないのなら自分はそれ以上何も言う事はない。
少しばかり心配ではあるが―それは決して表には出さないだろう。

「そんな軽いノリでそこらの人を斬るんじゃない。戦国時代じゃないんだぞ。
…そういう意味で言った訳じゃ……いや、確かにお前は猫っぽいけどさあ…」

何だって自分はこんな3流漫才の様な突っ込みを入れ続けなければならないのか。
頭痛が痛いという誤った日本語が今の自分に相応しい気がする。

「ふん。俺様相手に言葉遊びで勝とうだなんて無謀だったな」

実に偉そうな口調で宣う。フフンと自慢げな笑みさえ浮かべているだろう。

「…一応聞いておくが、その中に俺はカウントされてるんだろうな?カツアゲの後襲われた記憶があるんだが」

やっぱりコイツ一般生徒に手を出しているんじゃないだろうか。と、ジト目で彼女に視線を向けて首を傾げてみせる。

「つまり、合法的に適度な頻度で人を斬る事が出来れば良い訳か。…そうだな。それなら、風紀委員会ではなく、俺個人で金を払って依頼してやっても良いぞ?些か面倒な人斬りばかりになるだろうが」

錆びついた刀身と彼女に交互に視線を向けた後、僅かな沈黙を挟んで言葉を発する。
眼前の少女を、己の権勢の為に利用する算段がついた故の言葉だが―

刃々斬鈴音 > 「猫っぽい?鈴音猫っぽい?
 えへへへ。」

そう言われると嬉しそうに照れたりする。
恐らく誉め言葉であると感じたのだろう。

「今度は勝つもん!」

かなりレベルを下げてくれている事にも気がつかないままそんな事を言う。
恐らく鈴音には一生勝つことは出来ないだろう。

「…怪我はさせてないよ?」

向けられた視線から目を逸らして瓦礫の方をまた見る。
…襲ってないとは言っていない。

「そういう事。君が?いいよ。面倒な事でも
 お金さえくれるなら鈴音がやってあげる。」

…お金さえくれるなら文句はない。
更に立場、合法であるというのなら更に良い。
こちらとしてはそれで上等、思いっ切り利用されてやろう。

神代 理央 > 「…あー、うん。猫っぽい猫っぽい。餌付けしやすそうな野良猫っぽいよ。うん」

褒めてはいないのだが、何だか喜ばれてしまったので否定はしなかった。まあ、彼女が猫っぽいと思ったのは事実であるし。

「その今度とやらが何時になるのか、実に楽しみだよ。
…襲った事は否定しないんだな。まあ、学生街辺りで騒ぎを起こさないだけ良しとするべきなのか…」

視線を逸らせた彼女に再び呆れた様な溜息を一つ。
よくもまあ現行犯で捕まらなかったものだと感心してしまう程。

「きちんと依頼を果たしてくれるなら報酬は弾むさ。依頼の内容としては、落第街でそれなりに立場のある連中を無作為に斬って欲しい。どの組織かは拘らない。寧ろ、あらゆる組織の立場が高い連中を万遍無く襲って欲しい。生死は問わない。生きてても死んでても、護衛を何人殺ろうと構わん。【落第街で組織の幹部が襲われている】という事実を流布して欲しい。それだけだ。勿論、受けても受けなくても何方でも構わない。…何か質問は?」

先程までの軽口とは一変し、淡々と業務的な口調で己の依頼内容を告げる。
彼女に危険が伴う依頼ではあるし、彼女がこの依頼を呑むとも限らない。ただ静かに、少しだけ首を傾げてじっと彼女を見据えているだろう。

刃々斬鈴音 > 「鈴音はそう簡単には懐かないよ?
 鈴音が猫ならさんまぐらいは持ってこないと…。」

結構安くつきそうだった。

「こういうところの人の方が逃げずに向かってくるからやりやすいんだよ。
 五月蠅くされても誰も来ないし…。」

この落第街でいくら人が死のうと風紀委員は知った事ではない。
存在しないものは被害にあいようがない。

「はーい。それ鈴音は鈴音としてその人たちを襲えばいいの?
 それとも、どこかの誰かに雇われた人切りとして襲えばいいの?」

鈴音が鈴音として人を襲えばきっとその矛先は鈴音に向く下手をすれば鈴音を排除して終わりという事にもなるだろう。
誰かに雇われた人切りとしてならば恐らく、その矛先はどこにも向かない向けられない。
疑心暗鬼になり確実に今よりも組織同士の争いが起こる可能性は高くなるだろう。

「…まあ、どっちにしても受けるんだけどね。」

ただ仕事のやり方が変わるだけだ。

神代 理央 > 「……依頼ついでに、今度飯でも奢ってやろうか?高い店でも別に構わないぞ。」

がっくりと力の抜けた様な息を吐き出した後、冗談めかした口調で言葉を返す。
彼女の場合、食事よりも血の方が喜ぶのだろうかとちょっと考えてみたり。

「確かに、まともな奴なら直ぐに逃げ出すかそもそもこんな所には来ないだろうしな。その点は、お前を信用するとしよう」

思えば、自分も彼女と一戦交えた時は此方から迎え撃った記憶がある。戦闘能力のない一般生徒なら直ぐに逃げ出すだろうし、逃げ出さない奴は自業自得なのだろう。
何より、表の人間は兎も角、この街の住人が何人死のうと学園都市は関知しない。その点に関しては、知る由も無いが彼女と同じ考えを持っていた。

「委員会の名を出さずに、誰かに雇われたという体にしておけ。具体的な組織の名前を出す必要は無い。【お前が消えて都合が良い者からの依頼だ】とかそれらしい事を言っておけば勝手に疑心暗鬼に陥るだろうさ」

そして、治安が悪化した落第街に風紀と公安の手が入る。
その際それなりに死者は出るだろうが、致し方の無い犠牲だろう。頭の回る者や命が惜しい者は、それより前に街から逃げ出すだろうし。

「…そうか。なら、契約成立だな。報酬は歩合制だ。襲った組織の規模、幹部の地位に応じて支払おう。――それと、俺の依頼を受けた以上は簡単に捕まったり死んだりしてくれるなよ。使える手駒が減るのは嫌だし、事後処理が面倒だ」

依頼を受ける、と告げた彼女を暫く見つめた後、小さく息を吐き出して先程と同様に淡々と報酬について告げる。
だが、ふと黙り込んだかと思えば、ふいとそっぽを向いてぶっきらぼうに彼女に倒れるなと言葉を続ける。
自分でも何故そんな言葉が口から出たのかは分からないが―有用な戦力を失う事を避けようと思ったからだろうと、無理矢理納得することにした。

刃々斬鈴音 > 「…本当!?
 じゃあ、鈴音おいしいパスタが食べたい!約束だからね?」

高い店である必要はないけど
美味しい店であるならばある程度の値段のところもあるだろう。

「そうそう、いきなり逃げられたら追いかけるの面倒だからね。
 それに、ここに来るような人は鈴音が斬らなくても誰かに襲われるだろうし。」

鈴音はまだ有情な方だ。
…お金を払えば迷っている相手もちゃんと案内までするというのだから。

「なるほどそれはカッコいいね!」

聞かれたらそう答えてやろうと心に誓う。

「歩合制ね。何か襲った証拠とかいる?いるならてきとうに切ってくるけど…。

 大丈夫、大丈夫。鈴音強いしちーちゃんもいるから!
 鈴音はやられたりしないよ。」

倒れるなの言葉に一瞬目を丸くするがすぐに笑顔になってそんな風に答える。
恐らく誰かに心配された事が殆んどなかったんだろう。

「それじゃあ、鈴音は行くね。
 あんまり、話してると誰かに見られちゃうかもしれないし…。
 …君の名前は…ううん、この仕事が終わったら君の名前教えてね。ばいばい!」

そんな風に言い残すと機嫌良さそうな様子で未だに炎の燻る瓦礫の住居跡を歩いて行く。

神代 理央 > 「はいはい。依頼人として、美味い店を探しておいてやるよ」

どんな要求をしてくるのかと思えば、予想外―という程でも無いが―な普通の要求。
お子様ランチをねだる子供を見ている様な錯覚を覚えれば、クスクスと小さく笑いながら頷いた。

「お前の場合は、ボッタクリではあるが、ちゃんと安全は保障しますってことか。まあ、お前が善人を斬るような奴では無いということは信じよう」

そもそも善人はこんな場所には来ないだろうが。
仮に本当に善人が訪れて彼女と相対したとしても、命までは取られていないだろう。多分。きっと。恐らく。

「強いて言えば仕事が終わった後の現場の写真くらいだが、極論何も必要無い。本当に始末できたかどうかは、風紀と公安の調査で直ぐに明らかになるだろうしな。それに、お前が仕事のことで嘘を着くとは思えんし、お前に騙される程俺も甘くは無いさ。
……そうか。それなら良い。今日は随分と無口だが、その刀にも宜しく言っておいてくれ。突っ込み役が足りないのは困るってな」

笑みを浮かべる彼女に、そっぽを向いたままぶっきらぼうな口調で答える。しかし、その表情は僅かに綻んでいるだろう。自分自身にも理由は分からないが。

「名前、か。そうだな。仕事が終われば、互いに自己紹介といこうか。それじゃあな。また会う時まで元気でいろよ」

互いに名を名乗った事も無いまま、後ろ暗い契約を結んだ二人。その方がそれらしいか、と僅かに笑みを浮かべれば、立ち去る彼女を見送りながら声を投げかけた。

彼女が立ち去った後、未だ煙の燻る瓦礫の山に動く者が無いことを確認すれば、スマートフォンを操作して任務完了の旨を報告する。
後は後方支援組の仕事だ。此方は迎えを待って、学生街の自宅でシャワーでも浴びるとしよう。
小さく背伸びをした後、遠くから聞こえてくるヘリのローター音を聞きながら小さく欠伸を漏らした―

ご案内:「スラム」から刃々斬鈴音さんが去りました。
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