2017/08/31 のログ
神代 理央 > 砲撃により崩れ落ちていく住宅だったモノを眺めながら、つまらなさそうに近くの瓦礫に腰掛ける。
相変わらず己の召喚した異形達は黙々と機械的に砲撃を続けており、グラグラと揺れる瓦礫の座り心地の悪さに溜息を吐き出した。

「抵抗する者のいない闘争なんて、炭酸の抜けたコーラみたいなものなんだがな…。多少は刃向かう者が居てくれなければ、面白くも何ともない」

とはいえ、後方火力型の自分に敵が襲いかかって来る時点で既に詰んでいる様なものなのだが。
近頃は異能の連続使用を行っても身体的な問題は発生していないし、対人の戦闘訓練も真面目に行わなければならないだろう。
何にせよ、落第街に蒔いた騒乱の種が芽吹くまでは此方も任務に忠実にあるべきか、と独りごちる。

神代 理央 > 重砲の奏でる管弦楽も終わり、後に残されたのは黒煙棚引く集合住宅だった何か。
まあ、今回は殲滅戦でも包囲戦でも無く、区画を適当に炙っただけ。それなりに犠牲者はいるかも知れないが、避難の邪魔をした訳でもなし。大した戦果にはなっていないだろう。

「…目的は果たした。さて、早く帰ってシャワーでも浴びるとしよう」

小さく欠伸を漏らしながら異形の背に乗れば、地響きを立てて進む異形達と共に街を立ち去って行く。
しかし、少年は気が付いていなかった。このスラム街で小奇麗な制服を身に纏い、風紀委員会の腕章をつけた自分がどれだけ目立っていたかという事。後方だと慢心して顔を隠しもしなかった為、その金髪も紅眼もさらけ出していた事。
そして、少年が現れた時からその様を物陰から伺い、少年が立ち去った後に蠢いていた複数の男達。
――前線で敵と戦う者達は、敵からも畏敬の念を集める英雄の様な存在足り得る。では、後方で無慈悲に砲火を浴びせる己は果たしてどの様な存在なのか。その答えを知るのは、そう遠い話ではないのかもしれない。

ご案内:「スラム」から神代 理央さんが去りました。