2017/09/24 のログ
ご案内:「スラム」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 今夜の任務は戦闘を行わない。比較的脆弱とされる新興違反組織の調査、偵察に数名の風紀委員が従事しており、そのバックアップ兼戦闘時には後方からの支援を行う…というものだった。
そういう任務である筈だったのだが――

「…何が武器も人数も少ない新興組織、だ!公安との裏取りも行っていなかったのか愚か者が!」

敵拠点への潜入が失敗し、隠密行動が発覚。なし崩し的に戦闘に突入したものの、前線の部隊は優勢に戦いを進めていた。

問題は、碌な戦闘要員のいない後方へ敵の戦力が集中した事にある。まるで《最初から狙っていた》かの様に、有象無象のゴロツキ共が次々と此方へ迫ってくる。

事前に召喚していた異形では捌ききれず、追加で異形を召喚し手当たり次第に砲弾を叩き込む。
流石に拳銃やら自動小銃の類では自身の異形が倒れる事は無いが、ロケット弾やら異能、魔術すら使用されては分が悪い。

通信手や医療班の同僚達を撤退させつつ、異形が倒れる度に追加の召喚と命令を繰り返し、僅かな頭痛に顰めっ面を浮かべながら砲火と硝煙の中で叫んだ。

神代 理央 > 撤退する前、通信手は「前線の味方が一部此方へ向かっている」と叫んでいた。となれば、適当に時間を稼いで武勲を彼等に譲るべきだろう。
些細な問題を上げるとすれば、適当に時間稼ぎする程の余裕が全く無いということだろうか。

気付けば、戦場に立つのは殿として残った自分一人。
非戦闘員の護衛として撤退した同僚をちょっと羨ましく思うが、鈍足な自身の召喚物では撤退の邪魔にしかならない。

となれば、味方が逃げ切るか増援が来るまでの間、此処で一人寂しく火薬に塗れていなければならない、という事だ。

「……本来ならば色々と気を遣って戦う所ではあるが、如何せん戦闘センスがあるとは言えないものでな。此方に向かう味方に当たらなければ良いのだが」

異形が放つ砲撃の轟音の中、漏らした言葉を聞き取った者はいなかっただろう。
新たに召喚された醜い金属の異形は、その身体から生やした歪な砲塔を敵が潜む瓦礫と化したバラックへ向ける。
それに気が付いた敵の一人が、耐衝撃性の強い防護壁を展開。魔術か異能かは分からないが、便利な能力だなと他人事の様に思いつつ――

「深呼吸は控えたほうが良いぞ?」

新たな異形から放たれたのは、砲弾では無く火焔の奔流。
所謂「火炎放射器」を生成した異形は、複数の砲塔から周囲へ無差別に業火をばら撒く。
火焔が瓦礫の山を舐め回した後、響き渡るのは絶叫と悲鳴。先程から異形の砲弾を防いでいた敵も、ミディアムレアくらいにはなってくれていると良いのだが。

神代 理央 > 悲鳴が鳴り止まぬ内に、銃弾と異能や魔術を撃ち込まれてボロボロになった異形達が残った砲塔から一斉に砲弾を放つ。
大口径の砲塔は潰されてはいたが、機関砲や対戦車砲程度は十分な数が残っている。というよりも、この距離の戦闘ならば寧ろそちらの方が良いだろう。

周囲の建造物は業火と砲撃によって崩れ落ち、辺りのバラックに延焼して地獄絵図と化している。
気付けば、此方への攻撃は止んでいた。

「…どうにか、一段落といったところか。あー……疲れた。頭痛い…」

この戦闘で一体何体の異形を召喚しただろうか。
ぱっと周囲を見渡しただけでも、金属の化物が10体は残っている。味方の盾に使ったもの。敵に潰されたものも考えると、20体は召喚しただろうか。

「…最初連れてきてたのが2体だから…短時間の異能行使新記録か。道理で、調子が悪い訳だ…」

頭の中から何かを引き釣り出される様な奇妙な鈍痛に溜息を吐き出しながら、近くに転がっていた瓦礫に腰掛ける。
正直言って暑いし息苦しいが、味方の増援が来るまでは少し休みたい―