2017/10/06 のログ
ご案内:「スラム」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 今日の任務は、珍しく風紀委員のものではない。
正確には、風紀委員としての活動ではあるのだが、仕事の依頼主が別物であった。
懇意にしている公安委員会の上層部からの依頼。それは、増加する一方の不法入島者の間引き。

「…多少は組織だった抵抗をしてくれれば良かったのだが…。まあ、其処まで求めるのも酷というものか」

居住区から少し離れた一角に、数体の異形と共に陣取った少年。
既に掘っ建て小屋の様な住宅が立ち並ぶスラムには、機関砲を乱射し、建物を踏み潰しながら異形が住民を蹂躙している。

側に控える異形達は、時折轟音と共に砲弾を吐き出し、周囲を廃墟に変えている。

違法組織相手でもないので、碌な抵抗も無い。
異形達が建物や住民達を踏み潰し、吹き飛ばしていくのを眺めつつ、欠伸を噛み殺して報告書を作成していた。

この調子なら、予定より早く任務は終わるだろう。
終わった後は、久し振りにカフェテラスにでも寄ってケーキでも食べに行こうか、と好物の甘味を夢想して僅かに表情を綻ばせる。

神代 理央 > 逃げ惑う住民達を横目に、担当エリアの状況を観察しながら報告書に記入していく。
他の風紀委員達――といっても、この様な任務に参加する者は少数だが――も、今頃は各々の持ち場で精を出している事だろう。

「…とはいえ、此れで不法入島者が減るわけでも無い。本当に単なる間引きに過ぎないのは、公安の連中も歯がゆかろう」

此のように強硬な手段を取っても、それが島外に出なければ此の島を目指す者達の意思が折れることは無い。
かといって、大々的に公表することもできない。
精々、生き残った者達からの口コミを期待する程度だろう。

「…少し見方を変えれば中々有用な任務であると思うのだが…いや、それを判断するのは私では無いか」

風紀なら兎も角、公安上層部の考えまで分かるわけが無い。
今はただ、遠くから聞こえる機関銃の乱射音と、轟音を上げて砲撃を続ける己の異形を眺めるばかりであった。