2017/10/17 のログ
ご案内:「スラム」に刃々斬鈴音さんが現れました。
■刃々斬鈴音 > 男たちが逃げた方から叫び声が二つ。
それからほどなくして少女が歩いてくる。
手に持った刀からは新しい血の匂いがする。
「やっほー!りーちゃん元気そうだねー!
…?あれいつもの奴は?ガシャンガシャンの奴。」
恐らく異能の事だろう。
実際の音はともかく見た目は確かにそんな音が鳴りそうだが。
「何してたの?カツアゲしようとしてくる人たち虐めてたの?」
路地の奥に転がる男を見ながら言う。
■神代 理央 > 自分から逃げた男達が上げていたのは、強者から逃げる生存本能を絞り出す様な声だった。
しかし、暗がりの向こう側から聞こえてきたのは、正しく断末魔の叫び声。何事かと怪訝な表情で視線を向ければ―
「…誰かと思えば。お前か、鈴音。何時もの異能は…まあ、偶には使わずにいようかと思ってな」
小さく肩を竦め、浮かべていた僅かな警戒心を解く。
次いで、彼女から投げかけられた質問には僅かな溜息と共に言葉を発するだろう。
「…まあ、概ねそんなところだが…虐めてたというのは些か語弊が無いか?一応、此方は被害者なんだがな」
僅かな苦笑いと共に、再び肩を竦めてみせる。
■刃々斬鈴音 > 「じゃあ、素手で吹っ飛ばしたの?」
ジーっと目の前の少年の体つきを見る。
…筋肉とか本当にないし無理だろう。
「うっそ【鈴音、恐らく魔力による身体強化だろう。】
少女の言葉を刀の声が遮る。
「…りーちゃん、そんな事できたんだ。
もっと異能と鉄砲に頼ってると思ってた。」
前から出来たのだろうか?それとも最近身に着けたのか?
「正当防衛ってやつ?なら仕方ないね。
いつもの鈴音と一緒だね。」
この少女が正当に防衛出来る権利を持てたことはあるのだろうか?
絶対に最後に刀に血を吸わせるのは正当防衛にならないと思う。
■神代 理央 > 「…そいつの言う通りだ。魔力による肉体強化。最近習得したばかりで、未だ慣れていないんだけどな」
刀の声に答える様にひらひらと掌を振ってみせる。
嘘だと言いかけた彼女には、軽いジト目を向けるも、見た目が貧弱な自覚は一応持っているので口を噤んだ。
「まあ、基本的に召喚物に戦わせるってのは変わらないさ。多少自衛の手段を手に入れたってだけだからな」
彼女の言葉に、否定することもなくクツリと笑みを零す。
戦闘スタイルに関しては、彼女の想像通りであるが故に、殊更否定する事もしないだろう。
「…お前のは、どちらかと言えば相手の方が正当防衛だろう。さっきの男達も、結局お前が処分したんだろう?」
呆れた様な視線を向けつつ、悲鳴が聞こえた暗がりの奥に一瞬視線を向ける。
その視線は直ぐに彼女に戻り、僅かに目を細めて首を傾げて見せる。
■刃々斬鈴音 > 「いいなーそういうの鈴音も使いたいなー。」
【使うなら気を付けて使え。鈴音が使うと体が弾け飛びかねない。】
「マジで?」【マジだ。】
莫大な量の魔力を持つ鈴音だがそのコントロールは絶望的だ。
魔力を使う手段と言えば物質に許容量を超える魔力を流し込んで爆発させる事しか出来ない。
「そっかーでも、あるとマシだよね。
例えば急に鈴音が斬りかかっても死なずに済むしね!」
そんな風に言いながら刀をサクリと突き刺した。
…うめき声をあげていた男はそのまま静かになる。
少ししてから刀を抜けば血腐レはよりテラテラとした光を増す。
「半分くらいだよ?相手が正当防衛なのは。
後は大体喧嘩売ってきたのを買ってるだけだよ。」
喧嘩を売って来た相手というのは割と範囲が広い。
少し、鈴音が気に入らない事をしただけで喧嘩を売ったと斬りかかるからだ。
ちなみに残りの半分の相手は仕事の時の相手だ。
「処分?ああ、鈴音は別にむかついてもない人を殺したりしないよ?
生きてたらまた会った時にまた血が貰えるからね!」
■神代 理央 > 「お前の魔術も十分脅威だと思うがな。洋服を反応装甲代わりにして砲弾を防ぐわ、靴を爆発させて飛んで来るわ、後方支援型の俺としては、厄介な事この上ない」
彼女の魔力コントロールについては知る由もないが、以前戦闘した時の感想としては肉体強化なぞ無くても十二分に驚異的な戦闘力を彼女は持っている、と思わざるを得ない。
つくづく彼女とは接近戦をしたくないな、と言わんばかりにしみじみ呟いた。
「……出来れば、急に斬りかかって欲しくないんだがな。何が悲しくて顔見知りに急に襲われなければならないんだ」
静かになった男を一瞥した後、小さく溜息を吐き出す。
その後、光量を増した刀を興味深げに眺めていたが―
「その喧嘩を買わずに穏便に済ませるという方法は…いや、それは無理な話か。少なくとも、お前に絡む様な奴は碌な奴ではないだろう」
治安の良い場所なら兎も角。落第街やこのスラムでは、彼女に喧嘩を売る相手などゴロツキや犯罪者紛いの連中ばかりだろう。
女と侮って彼女の刀の栄養分となった者達がどれほどいるのか、小さく含み笑いを零して思いを馳せる。
「…一瞬お前を見直そうとした俺の気持ちを返して欲しいな。何だその理由は。吸血鬼でもあるまいし」
今夜何度目かの呆れた様な溜息と共に、無警戒に彼女に歩み寄る。
特に深い考えも無く、彼女にデコピンでもしようかと腕を伸ばすが―
■刃々斬鈴音 > 「ふふん!そうでしょ!鈴音は強いんだよ!」
【少し前まで勝てない、勝てないと嘆いていたのに…】
「…あれは、相手がおかしいんだよ絶対人間じゃないじゃん!」
接近戦。確かに接近戦ではかなりの強さを誇る。
特に相手が剣を使う相手なら殆んど無力化できてしまう。
「なんだっけよく言うじゃん?明日の敵は今日の友みたいな?
まあでも流石にりーちゃんをいきなり襲ったりはしないよ。
襲ってもそんなに得な事ないし、鈴音りーちゃん嫌いじゃないし。」
例えば誰かの依頼とかでも受けるメリットは少ない。
だがそんなメリットよりも何よりも鈴音の感情が大きい。
「そうだよ!大体ろくでもない相手だよ!」
…確かに絡んでくる相手はろくでもない相手が多かった。
こちらから吹っ掛けた相手はそうでない事も多いが。
「見直してもいいよ?
あと、血が欲しいのは鈴音じゃなくてちーちゃんの方だからね?」
瞬間、伸ばされた腕と身体の間に割り込むは血濡れの刀。
刃先が指先に触れるかどうかの位置。
今、刀を引けば強化されてない指先ならサクリと切れるだろう。
「…だから、デコピンとかするなら鈴音じゃなくてちーちゃんの方ね?」
■神代 理央 > 「…これでもう少し理性的というか、せめて落ち着きがあればなあ」
彼女の強さについては良く理解している。
理解しているが故に、刀の苦労を慮って小さく苦笑いを零した。
「逆だ逆。明日敵になるんだったらただの裏切り者じゃないか。…しかし、それを聞いて安心したよ。流石に、お前ともう一度戦うとなると骨が折れる」
零した苦笑いを超えが出るほどに深くしつつ、此方を襲わないと言った彼女に緩やかな笑みを見せる。
実際、肉体強化の魔術を得たとは言え本質は後方に陣取るのが己の戦い方。彼女の様に接近戦を得意とする相手とは、そうそうやり合いたくはない。
勿論、委員会からの命ともなれば話は別だが―幸運な事に、今のところそういう任務は自分には無い。
「まあ、お前が一般人に手を出さない限りは俺も目を瞑るさ。流石に、正規の学生を襲ったりすれば此方も見逃すわけにはいかないがね」
此方も以前彼女に依頼をした手前、なるべく委員会が絡む様な揉め事にはしたくない。
それ故に、幾分真面目な表情で念を押す様に彼女に告げて―
「そのちーちゃんの持ち主はお前だろう?ならば、持ち主としてしっかり責任は取らねばなるまい?」
冗談めかした口調で告げつつも、あっさりと手を引く。
流石に、妖刀に素手で触れる様な危険な真似はしたくはなかった。
■刃々斬鈴音 > 【…それは…あり得ないだろう。
だがもし鈴音が理性を持って己を振るうなら今日までの重なる敗北はないだろう。】
…鈴音はあまり本気を出してなかったとは言え。
敗北があまりに多すぎる。生きているのが不思議なくらいだ。
「鈴音もまた服脱がされたら嫌だしね。
…思い出しちゃった?エッチ!」
…明らかに鈴音の自爆(文字通り)であったが責任を押し付けようとする。
流石に服の代金を請求するような事は無いけども。
「鈴音、表の相手には本気出さないって決めてるから大丈夫!
…それにあんな路地裏に行くのなんて後暗い事がある人ばかりだよ。」
一般の学生が二人、風紀委員二人と一体、裏の有名人3人、後は有象無象。
…まあ、セーフだろう。一般人も風紀委員も殺してないし!
「えー?痛くないようにも出来るから大丈夫だよ?
それに斬らせてるのはちーちゃんの方だから、やっぱりちーちゃんが悪いと思う!」
【…確かに後押しはしている、確かに切る事を望んでいる。
だが最後に判断するのは鈴音、お前だ。】
例え銃であっても何であっても最後に相手を傷つけるのは人の意思だ。
銃単体でも刀単体でも人を傷つける事は無い。それが普通の武器であるならば。
「逆らえないのに?」【それでもだ。】
「責任ってなにすればいいのさ?鉄分が多い食べ物でも買ってあげればいいの?」
■神代 理央 > 「有り得ないと断言するか。主思いの良い刀だな、お前は」
しかし、彼女の場合敗北とはいえ自分と戦った時も別に戦闘不能だの大怪我を負っていた訳でもない。
状況判断能力が高いというか、本能的なもので察知しているのだろうか、と僅かに思考を巡らせるも―
「…そういう台詞は、もう少し色気と女らしさを身につけてから言う事だな。尤も、随分と先の話になりそうではあるが」
彼女の言葉に僅かにたじろいだ様に表情を赤らめるが、フンと鼻を鳴らせば高慢な口調と共にやれやれと大袈裟に肩を竦める。
「それは良い心掛けだ。出来れば、本気だけでなくそもそも手を出して欲しくないんだが…まあ、贅沢は言うまい」
彼女の中では、自分も後ろ暗い事がある人とやらになるのだろうか。まあ、実際あるから何も言い返せないのだが。
「少なくとも、俺の時みたいに普通の学生や一般人相手にカツアゲ紛いの事をしないこと。手を出さない事。手を出した相手には、相手に非がなければきちんと謝る事。
…責任っていうのは、先ず普通の人に迷惑をかけない事だ。今のところ、概ね守っている様だからガミガミ言うつもりは無いがな」
尤も、幾ら歓楽街や落第街の札付き相手ならば幾らでも斬って良いという訳でもないかもしれない。
彼女の名声が上がれば、風紀委員としても何かしら行動せざるを得ない事もあるかもしれない。
そんな未来が少しでも遠ざかる事を祈るばかりだ。
「…さて、俺はそろそろ家に帰る。お前と違って、俺は真面目な学生だからな。余り夜遊びする訳にもいかん。お前も、血の量に満足したのなら余り夜は出歩かない事だ。無駄に危険に身を晒すのは、良い心掛けとは言えんからな。それじゃあ、精々気をつけてな」
会話に一区切りつけた後、小さく背伸びをしつつ制服の埃を払う。
そのまま彼女に背を向ければ、スラム街を抜ける通りへと歩いて行く。
最後に彼女に振り返って僅かに心配するような、或いは説教めいた口調で別れの言葉を告げた。
その返事を待つことも無く、その小柄な体躯は薄暗いスラム街の通りへと消えて行くだろう。
■刃々斬鈴音 > 「そう!つまり鈴音がもっと理性?があれば最強なんだから!」
…そもそも戦いになっていないという意味だ。
戦闘が起こらなければ負ける事は無い。
「色気あるよ!鈴音、超可愛いと思うし!」
可愛いと色気は違う。
だが、きっとこういう部分が色気とか女らしさととかを下げるのだろう。
「十分、ガミガミ言ってない?」
【鈴音の行動を考えればマシな方だろう。】
普通の人の基準が難しい。
そもそも普通の学生が落第街のそれも路地裏なんかに来るだろうか?否、来ない!
「そんな事言いながら夜ばかっり会う気がするんだけど!
うん、わかった!早めに帰るよ!ばいばいりーちゃん!」
そう言ってその背中に手を振ればフラフラと路地を歩き始めた。
結局、この後2回くらい刀に血を吸わせる機会があったという。
ご案内:「スラム」から刃々斬鈴音さんが去りました。
ご案内:「スラム」から神代 理央さんが去りました。