2018/01/04 のログ
ご案内:「スラム」に近衛 昴さんが現れました。
■近衛 昴 > スラムの一角にある廃ビルの一室で端末を操作している少女がおり、端末からは黒いアンテナの着いた過去のような装置にケーブルが延びていて、室内にはキーボードを打つ音だけが響いている。
仕上げにエンターキーを打つと装置が稼動を始め、一定スパンで廃ビルを中心に半径20メートル程に電波障害を発生させ始めるだろうか。
時折スラムで起きる狭い範囲での謎の電波障害、場所や時間を選ばずに起きる現象の正体は少女。
風紀による破壊行為が弟の生活圏に及ばぬよう離れた場所で怪現象を引き起こし、風紀の目を引くことで破壊の手が伸びないように工作している。
「…ジャマーはこれでよし、と」
■近衛 昴 > 後はこれで怪現象を数分間続け、また場所を変えながら数回行うだけ。
自分がいた痕跡を残さず、ただそこで何かが起きたという疑いだけ残していけば怪異かなにかだと誤認してくれれば上々だ。
その為にただ電波障害を起こすのではなく、波を持たせた歌のようなノイズまでつけて演出しているのだから疑ってもらわないと困る。
ただの人間の耳には届かないが、電話や無線、ラジオなどにも混線するようにしているのだから、気味悪がる人間が出ればそれと同時に噂も拡大するだろう。
倒れたロッカーを椅子代わりに腰を降ろせば、暫くそのまま電波が流れ終わるまでただただ待つだろうか。
■近衛 昴 > ただ流れる静寂の中、時計に目を向けるも異様に進みが遅いように感じてしまう。
時折端末のドライブの音だけをなる中で過ごしていると、ようやく電波が止まる時間になる。
障害に気づいて風紀が駆けつけるまでに場所を変えようと僅かな荷物を纏めて撤収準備を整え、部屋の入り口を出ると階段や角で誰かに出くわさないように慎重に先を覗きながら進んでゆこうと。
そして一番下の階まで降りきらず、3階のフロアで降りるのを止めると手ごろな部屋を探してその窓からワイヤーで降りようと。
ご案内:「スラム」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 「はーい、ストップストップ。そこの不審者、そのまま動かないでー」
窓の下、今まさに近衛が降りようとするところで声を掛ける。
このクソ寒いなか何を目的にこんな事をしてるのかは不明だが、それは本人の口から聞けば良い事か。
「まったく、新年早々に何をしてるんだお前は。」
逆光の中、ワイヤーにぶら下がった状態であろう近衛へと改めて声を掛ける。
■近衛 昴 > 窓枠にワイヤーをくくり付ければ、その下の裏路地へと降りようとゆっくりと降下し始めようと。
慎重に目立たないように、だが時間の猶予がないなか最速で降りていると真下から照らされる明かりに早すぎると顔を向けると。
見慣れた教師の姿があり、降りきるとワイヤーを外して問いかけに悪びれた様子もない様に答えるも顔には焦りの色が見えてしまうか。
「何って……自由研究」
何をしていると聞かれて素直に答えるわけにもいかず、だからといってあの状況を誤魔化しようもないので視線を泳がしながら出たのはお粗末な答えで。
このまま逃げてもいいがそう簡単には離してくれないだろう、なら彼ごとこの場を離れようと手をとってこの場を離れようと。
■暁 名無 > 「冬休みの自由研究ねえ……って小学生か。」
小学生か。
誤魔化されたところで大体の予測はつくのだけれど、まあここでああだこうだ言ってても仕方ない。寒いし。
内心焦っているのは表情や泳ぎ回る瞳から容易く察せられたし、この場から離れようとする事からも知られたらまずい事をしていたのは明白だ。
ともあれ、まあ、俺は風紀や公安に属する人間でもないので身柄をどうこうするつもりもない。
そう伝えようとするよりも先に、近衛が俺の手を引いて逃げ出し始めた。
「おい、何処に行く気だ?」
■近衛 昴 > 「いいからッ!こっちに…」
今はとにかく障害の範囲外に出ないことにはこれ以上何がくるかわかったものじゃない、どこへ向かっているのか問われても自分でもわからないのだから答えようがない。
手を乱暴に引きながら路地を縫うように範囲の外へと出れば、生活観のある無人ではない人気のある建物がちらほら見え初めるだろうか。
走ったせいで上がった息を整えながら掴んだままだった手を離せば、ようやく安堵の息を大きく吐き出して彼を見上げて。
「はぁ、これで、大丈夫。で、先生こそ、あんなところで何してたの?」
■暁 名無 > 「はいはい……まったく、あんまり疚しい事はするなよなあ。」
引かれるままに路地を駆け、ようやく近衛が足を止めれば少しだけ上がった息を整える。
ひと気のあるところに来たとは言え、この辺りもまだまだ治安の良い所とは言えないが……。
「うん?俺か?
……世界には人間や機械よりも、よっぽど電磁波に敏感な奴らが居るって事さ。」
そう嘯いて頭上を指す。
俺の指の先では小柄な梟が一羽、ふらつきながら飛んできて傾いた電柱に停まるところだった。
ここ最近やたらと変調を来す生物が増えている。その原因調査の結果突き止めたのが近衛の仕掛けた妨害電波だった、というのが今回の経緯だ。
■近衛 昴 > 「疚しい事なんかしてないッ!ボクはただ…」
子供を相手にするような口調に言い返すも言いたくても理由を話すことはできず、一息を付くことはできたがまだスラムの暗部にいるのには変わりない、およそ真っ当な商売をしているとは思えないような光景だ。
彼の言葉の意味がわからずに指し示されるがまま指の先を見れば、素人目にも異常な飛び方をする梟がいて、それが野生動物だということに気づくだろうか。
これまでも気づいていなかっただけで動物の異常な行動に彼のように気づいていたものがいたかもしれない、失策だったと思いながら周波数で影響を抑えられないかと自分の世界に入っていると気づく
「…ボクが何をしていたのか聞かないの?」
■暁 名無 > 「人目に着かない場所で行って、見つからない様に逃走を図る。
そうしなきゃならないのを世間では『疚しい事をしている』というんだ。覚えとけよ?」
やれやれまったく。あと何回やれやれと言えば良いんだろうか。
そんな事を考えながら、梟に目配せをする。
こちらの意思を察した梟は、くるりと首を傾げると音もなく飛び立ち、静かに異邦人街方面へと飛び去って行った。
「聞かなくともおおよその事は判るさ。
動物たちの調子がおかしくなった、その原因を突き止めていったらお前さんが居た。
動物たちの不調の原因は電波酔いだし、その中心に人が居れば何をしてたかなんて想像は容易い。」
伊達や酔狂で学園の教師をやってるわけじゃないということだ。
「ま、イタズラでそんな事する奴とは思えんし、何か理由があったんだろ?
俺は別に生徒のプライベートに無理矢理踏み込む様な事はしないの。面倒だしな。」
■近衛 昴 > 的確な推察に内心ただのセクハラ好きの教師じゃなかったんだと見直す半面、理由を聞かないのは助かるが面倒がる姿勢は教師とは思えないなと呆れて。
「…だったら今日見たこと黙っていてくれる?」
だからといってやめるわけがない、否、やめるわけにはいかない。
詮索しないのであれば後は彼がこのことを口外さえしなければ危険はない、詮索さえしないのだからと高をくくってはいるが、もし口外する恐れがあるならば事前に阻止しなければいけない。
方法なら飴も鞭も用意できる、問いかけながら表情の変化に目を向けて彼の出方を見るか。
■暁 名無 > 「口外しないのは良いが、流石に実害を出してる以上見逃すって訳にはいかねえさ。」
これは教師というよりは生物学者として見過ごせない問題だ。
人的被害は今更うだうだ言ったところでこの島のこと、変わる方が稀なのは分かってる。ので言及はしない。
だが島の生物に影響を及ぶというなら見て見ぬふりは出来るものじゃない。
「口外しない代わりにやり方は見直して貰うからな。
それに変な電波を発するくらいなら、お前さん自身が直接機械を狂わせる方が手っ取り早いんじゃねえのか?」
確か近衛にはそういった能力が備わってたはずだ。
■近衛 昴 > 「わかったよ、影響が出ないように調整するから…だって直接操作したらボクだってバレちゃうじゃないか、だってこの能力、あの後再登録してるから普通にデータベースにのってるよ。」
出された条件にお安い御用だと快諾するも能力を使っての妨害は能力の発現に居合わせた彼ならではだが、学園の施設で発現と使用した以上は再登録は免れず、成長性など一部隠匿はしているが現状ではほぼ学園側に把握されている。
なにはともかく秘匿してくれることに安心していると背後に感じる既に慣れた嫌な気配、振り返れば路地の向こうのゴミ捨て場にこちらを向いている壊したはずの腹話術人形。
年末の学園の倉庫での奉仕活動の掃除中に箱から出してしまい、段々と迫りくる恐怖与えられた末に粉々に壊したはずの人形。
残骸がなくなっていた翌日からこんな風に気づくと背後に置いてある。
最初は気味悪がって何度か壊してみたが、翌日には背後に現れる繰り返しで今は慣れてしまった。
「それでさ、先生、1つ聞いていい?後ろのアレ、なにか知らないかな?」
■暁 名無 > 「お前な、一体この島に何種類の生き物が居ると思ってんだ?
そいつらに影響が無いよう調整してたら、年単位で時間が掛かるぞ?」
まあ、そう言う事情が事情ならしょうがない。
もしまた何かあった時は直接近衛に苦言を呈すれば良いのだからまだマシか。
出来ればそんな事が起きない様にして貰えるのが一番なんだが……って、え?何?
「後ろのアレ?……あの人形の事か?
うーん、別に人形遊びする趣味は持ち合わせてないからな……。」
で、アレがどうしたって?と人形と近衛を交互に見る。
■近衛 昴 > 「ん~、まずは見てもらうほうが早いかも…」
彼には普通の人形にしか見えていないのか強引に彼の身体を後ろに向かせて、暫くしたら元に戻そうとし、その間小さな足音とさっきよりも近づいていることに気づくだろうか。
ただの人形ではないことが実証できたら年末からのことの経緯を話してゆき、あれだけ色々な封がしてあった箱に入っていたのだから何かしらの理由があったのなら、生徒ならともかく教師である彼なら何かしら知っているかもしれないし、そうでなくともどうにかする方法があるかもしれないと
「あれ学校にあったはずなんだけど、先生って魔法とか詳しいから……どうにかならないかな?いくら壊しても壊してもあの調子なんだ」
■暁 名無 > 「ふむ……」
取り敢えず事情は判った。
そんなへんてこな物が学校にあったと言うのが信じられないと言えば信じられないが、まあ、らしいと言えばらしくもあり。
まあそれはそれとして。
話を聞く限りだと所謂呪いの人形だ。霊か何かが人形に憑依しているもの。
あるいは人形に見える別の生命体か。
「ま、何にせよ遠巻きに見てても分からんわな。
どれどれ……」
と、おもむろに人形に近づいて、可能であれば拾い上げてみようか。
見ただけ聞いただけで万象を理解し解説出来るほど俺は賢くないからな。
■近衛 昴 > 倉庫に放置されて廃棄待ちになっていたがあの特性が放置以前からのものか、放置された挙句にああなってしまったのかはわからないが、器と中身の関係についてはよくわかってるつもりだ。
「あっ、ダメッ!先生…って、あれ?」
いつも手に取ろうとすると別の場所から物が落ちたりして注意を反らすとその隙に離れたり、姿が消えたりしていたのに何事もなく人形に近づけていってしまうだろうか。
なぜ、言いようのない疑問と嫌な予感を感じながらも人形は拾い上げられてしまうだろうか。
見かけは古ぼけた何の変哲もない人形、手に取った彼に何が起きるか、それとも取り付かれていた少女に何かが起きるのかまったく予想できず
■暁 名無 > 「ふーん……別段変なところは見当たらんな。
触った感じも普通の人形みてえだが……」
となると本当に霊的なモノがこの人形に宿っていて、
それが近衛に狙いをつけているという事だろうか。
「どうした近衛。いきなり大声なんて出して。
確かに不気味だが、直接何かしてくるような感じじゃないぞ?」
魔術的な力も、さほど感じない。
長い年月を経たことで多少の魔力は帯びている気がするが、まあ得てして古いものには何とやら、ってな。
■近衛 昴 > 「おかしいな、いつも触ろうとしても触れないのに…」
疑いの眼差しを人形へと向けながら恐る恐る近づいてゆくが何も起きない、人形と彼の顔を交互に見てみるも危険はないような顔をしているところを見ると彼にしてみれば危険はないとの判断なのだろう。
なら単に後をつけて来るだけの人形だけだったのだろうか。
不意に人形へと手を伸ばした瞬間、弾かれるような衝撃と共に後方へと身体が飛んでしまうだろうか。
衝撃から身体を起こせば彼のそばには少女の姿があり、弾かれたのは中身だけだっただろうか。
何が起きたのかわからずにいると抜け殻のはずの身体が動き出し、彼の身体に腕を絡ませるように抱きつこうとするか。
『先生、ようやく…遇えた』
■暁 名無 > 「んー?
俺は何ともなかったところを見ると、きっかけは近衛の方にあるって事か?」
人形と近衛とを交互に見て、ひとまず危険は無いと判断する。
いや、俺が触っても危険は無いというだけで、近衛が触れたらどうなるかは分からないが……
と、言ってる傍から近衛が人形に手を伸ばす。本当に不用心な奴だな……。
と思った矢先の事だった。気が付けばどういう事か近衛に抱き着かれている。
「お、おい?近衛?……どうした急に。
ようやくも何も、さっきから一緒に居ただろ?」
■近衛 昴 > これまでにはなかったなにも起きない状態に気をいたのか、触れた瞬間に身体を奪われてしまった。
まだ中身が入れ替わったことに気づいていない彼に離れる様声を上げる少女は能力を使っているときのワンピース姿、本当ならば抜け殻の身体は動くはずもないのに身体を押し付けながら抱きついたまま顔を上げて彼を見上げようと。
何が条件になっていたのか異性といなかったわけではないし、だとしたら彼の立場、休校中で教師というものに出会わなかったから起きなかったが、今は直ぐ傍にいる。
「先生、離れてッ!それ、ボクじゃない」
『先生ったら、酷い、あんな所に閉じ込めて、私がこんなに愛してるのに』
■暁 名無 > 「ん……ああ、そっちが近衛か。
いやぁ、いきなりだったなあ。まったく、お前さんホント油断が多いんだから。」
もう一つ、少し離れたところから近衛の声がすると思って見遣れば半透明な近衛の姿。
ということは今俺に抱き着いている近衛は、近衛の体に入ってる誰か、という事になる。
「いや、離れようにもこうがっちり抱き着かれると、あとはもう突き飛ばすしか無いわけでな?
流石にそれは危ないだろ、色々と。」
まあ、今はそれより事情を聴く方が先決じゃないかと本物の近衛を宥める。
決して近衛の胸が押し付けられるのをもうちょっと堪能したいからじゃないよ。本当に。
■近衛 昴 > 人形の中身が口にする先生とは彼とは別の人間を指しているのだろうが、それすら理解できていないのか引き剥がそうとするが幽体で掴める筈もなく。
背後で騒ぐ少女など構いもせず、彼の胸に顔を埋めようとし、妖しげに微笑みながら夢でもかなったような顔を見せるだろうか。
「そういうことじゃない、は~な~れ~ろッ!いいから、手荒になってもいいからッ!」
『五月蝿い女。ねぇ、先生、私のこと好き?どれくらい好き?』
甘えるような声で何を聞いているのかと反論するもどこか女の口調に気味の悪いものを感じてしまうが、それが何なのかわからずにいる。
人形の中にいたのはある女生徒の怨念、教師を想うばかりに近づいたほかの同性相手に何度も刃傷沙汰を繰り返し、逃げ出した教師へのショックから身を投げた。
人形は彼女の遺品ではなく、死んだ後も取り憑いては同じ事を繰り返していたところを封じられていた器に過ぎなかった。
■暁 名無 > 「まあまあ落ち着け近衛。変に刺激しない方が良いだろ。
それよりお前さん秋の身体測定からさらに大きくなった?」
何処がとは言わないが。
この弾力は以前保健室で身体測定のデータ整理を手伝った時にチラッと見た数値を上回ってる気がする。
まったく近頃の若い子は成長著しくて大変よろしいな。
とまあ、そんなやりとりをしてれば近衛(ボディ)の方から質問が飛んでくる。
「どれくらいと言われてもな……
近衛の顔と声で訊かれても正直答え辛い。
まずはお前さん自身の名前を思い出させて貰えるかな?」
ぽんぽんと頭を撫でながら声を掛ける。
果たしてこちらの言う事をまともに聞くのかどうかの確認も兼ねて。
■近衛 昴 > 「そんなこと言って楽しんでない?はッ?な、なに、いきなり言ってるの、そんなわけ、ないじゃないッ!」
状況がわかっているのかと軽蔑するような眼差しを向けていると唐突に身体の育ち方を語り始める教師に一瞬フリーズ、そして動き出すと同時に力いっぱいの否定は認めているようなもので、確かに育っているのは事実ではあるがこんな形で認めたくない。
そんなやり取りに女は少女ではなく彼が喜ぶ方向に動くのか更に胸を押し付け、身体を擦り付けるように見上げようとするも彼の言葉に動きが止まるか。
『…忘れたの?あの女のは覚えてるのに?私の名前…酷い、酷い酷い、あんなに何度も呼び合ったのに』
抱きしめていた指に更に力が込められ、ギリギリと爪を立てて彼の背中を引っかこうとするだろうか。
そんな光景に少女は止めるどころか引いてしまうだろうか、話なんて通用するとはとても思えない、痛い女だと。
今は人目がないとはいえ、これ以上騒ぎになるのは不味いと場所を変えようと無言で合図を送るだろうか。
■暁 名無 > 「そうかそうか。」
図星か、とニヤニヤしながら近衛(マインド)を見遣る。
今年の楽しみが一つ増えたなあ、なんて場違いな事を考えていたが、
「いててててっ……落ち着け、落ち着けって。俺の話を聞け。
まったくの別人の顔と声で、誰か分かる方が凄いだろッ。」
近衛(ボディ)の方を懸命に宥めながら、近衛(マインド)の合図に小さく頷く。
取り敢えず場所を変えるのは賛成だが、何処かアテがあるのだろうか。
「ま、まあ何にせよここで立ち話は寒いしつらい。
もう少し落ち着ける場所でゆっくり話をしようじゃないか。」
■近衛 昴 > 声には出せず合図だけでうまく話を合わせろ、でないとこの女は何をするかわからないと伝え、宛などあるはずもないがどこか人目につかない所で手荒になってもいいから引き剥がそうと手ごろな場所を探し始めるが。
先ほどまで不機嫌に爪を立てていた女が急に彼の言葉に態度が急変する、そしてその口から出た言葉に場所を探していた少女が凍りつく。
『…落ち着ける場所。ふふ、うふふ、先生ったらお話だけとは言わずに、ね?』
女が何を思ったのか彼の手を引いて進もうとする先にあるのは安宿、確かに人目にはつかないがそれ以前の問題だ、そんな光景に少女は完全に取り乱してしまうだろうか。
「はっ?え、ちょ、待、待って、ダメダメ、そこは、ちょっとおぉッ!」
■近衛 昴 > 特殊Free3へ移動します
ご案内:「スラム」から近衛 昴さんが去りました。
ご案内:「スラム」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「スラム」にレンタロウさんが現れました。
■レンタロウ > 「………。」
落第街周辺の散策。
地理や人々の様子を含めた島全体の把握のための行動は僅かずつながらも継続して進めていた。
その甲斐もあり、道に迷うということは少なくなっていった。
男が今居るのはスラムの一角。
分かり切っているが、治安は悪い。
あちらこちらから喧騒が聞こえる。
軍帽の下から視線を巡らせつつ、男は静かに歩いていた。
■レンタロウ > 歩いている最中、身体に突き刺さるような視線を感じる。
足を止めて顔を向けないままで視線だけを向ける。
よそ者ということもあるだろうが、なによりも格好がいけないのだろう。
「分かっているつもりだが、些か露骨過ぎる気もするな。」
小さく呟くのとほぼ同時に、建物の影から複数の男性達が姿を現す。
少なくとも、友好的に会話をしようとする目ではない。
■レンタロウ > 「念のため、先に言っておくが…俺は貴殿達と事を構えるつもりは」
男の目的はスラムの住人へ危害を加えることではない。
身に付けている衣服や所持している物品を狙っている男性達へと警告の言葉を口にする。
だが、そのようなことは関係ないと背後から金属パイプを持った男性が男へとソレを振り下ろす。
「無い…が、身にかかる火の粉は払わねばならんな。」
頭に振り下ろされた金属パイプを掌で受け止める。
理解していたことだが、些か気は進まないと苦い顔をする男だったが、
次の瞬間には背後の男性へと後ろ蹴りをお見舞いしていた。
「剣を抜くまでもないな。」
異能を行使した跳躍で間を詰めて、拳と蹴りを数発撃ちこむ。
全員にそれを実行した後、蹲る男性達を見下ろして男は服の乱れを正した。
■レンタロウ > 「…あまり騒ぎを起こしたくは無いのだ。
この辺で諦めてくれると、俺としても有難いのだがな?」
やや威圧するような口調で呻く男性達へと提案する。
これで諦めないようならば、余計に痛い目に遭わせることになる。
それは今後のことを考えると得策ではない。
今回は、幸運にも男性達は諦めることにしたらしい。
悪態をつきながら立ち上がった男性達がよろよろと建物の影へと消えていくのを、
見送った後で男は溜息をついた。
「後々、面倒なことにならなければ良いのだが。」
ご案内:「スラム」に岡崎燐太郎さんが現れました。
■岡崎燐太郎 > 「風紀委員の顔利きは要らない感じです?」
道すがら外野の中から一人、声をかける。
男がそちらを向けばいるのは学生らしき風貌の少年。
「見たところもう後始末はできているようだし……」
落第街で流れ着いた魔道具が出回っているとの噂を耳にし、
新年早々こんな場所まで来たところ、先の揉め事の現場に遭遇した。
ここらでは日常茶飯事。特に珍しくもない光景だったが、
恐らく絡まれているであろう側の迷惑そうな雰囲気を見て、
巡回中の風紀委員にでも知らせようかと思案していた。
ところが相手の連中はスタコラと退散していき、今に至る。
どうやら自身の思惑は余計なお節介に終わったようだった。
■レンタロウ > 「………何者だ。」
先程の男性達のものではない声が聞こえ、顔を向ける。
視界には学生服の少年が一人。見る限り、仲間ではなさそうだった。
「先程の連中の仲間では…ないようだな。
いずれにせよ、風紀…委員の世話になるほどのことではない。」
風紀委員。
まだ出会ったことはないが、それに介入されるということは事が多少大きくなるということ。
真剣勝負、殺し合いに発展したのならば要請するかもしれないが、
ただの強盗紛いとのやり取りで世話になるのも面倒だった。
■岡崎燐太郎 > 「ああ、そんなに怪しい者じゃないよ」
両手を上げ人の手と機械の腕をヒラヒラと振ってみせる。
状況が状況なので警戒されるのは致し仕方ない。
道行く人々はこれといって興味がないかのように二人を残して過ぎ去っていく。
まあここはこういう場所だ。
「そうか、だったらいいんだ。
あまり慣れていないみたいだったから横槍入れたけど……杞憂かな」
実際対応には困っていたようだが戦闘の腕は申し分なかった。
当人が不要だというのならば第三者が下手に首を突っ込むまい。
「で、ここにはどうして? わざわざ喧嘩をしに……ってわけでもないんだろ?」
これも余計なお世話だろうが重ねて聞く。
■レンタロウ > 「そうか。まぁ…此方に危害を加えるつもりが無いなら、今は何でも良い。」
両手をひらひらと振ってみせる少年の言葉に、淡々とした口調で返す。
場所が場所だけに、警戒心の方が先に出てしまっているらしい。
片方の腕だけが銀色であることにも興味は沸いたが、口に出す余裕は無かった。
「慣れていない、というのは事実だ。
今回は…恐らく運が良かったのだろう。」
剣を抜くことにならないだけ、上手く事が運んだということだと男は思うことにしていた。
ただ、それでも無意識に眉間に皺が寄るということは、最良ではなかったのだろうと後頭部を掻く。
続けての質問には、腕を組んで答えた。
「………ただの散策だ。この島のことを知るためのな。」
■岡崎燐太郎 > 学園へ来て日が浅い者なのだろうか。
眉根を寄せる仕草を見るに本人には思うところがあるらしいが、今回はそれほど大事にならずに済んでいる。
問題が公に知られれば学園での評価にも影響する事は知っているので、
本人が気にするかはともかくこれ以上の口出しは控えた。
「分かってはいるだろうけど、治安の良い区域じゃないからさ」
近寄るなとは言わない。
止める権利はないしそれぞれに事情というものがある。
ただある程度島を知る者として、留意しておいてほしい事だけを告げた。
「後始末に困ったら風紀委員に頼るのも一つの手だ。
一応治安組織のような扱いだからな。気は進まないようだが……」
頼りようによっては敵にも味方にもなるが、不慣れな者にとっては益となることの方が多いだろうと。