2018/01/12 のログ
ご案内:「スラム」にイチゴウさんが現れました。
■イチゴウ > ある者たちは不良然とした身なりで弱い人間を囲み
声を荒げながら手に持っている武器で痛めつける。
ある者は薬に溺れ、ある者は小遣い欲しさに男を誘い
またある者は貧困に喘ぎ虚ろな瞳で空を見上げる。
それがバラックに囲まれたスラムの日常、
その景色が機械的なカメラレンズに反射する。
まっすぐ前を見つめながら余計な行動をせず
通路を突き進むのは風紀の特殊部隊が保有する
一機の四足ロボット。不釣り合いなほど
大きなガトリング砲を背負ったそれは
このスラムの住人にとって好ましいものではなく
敵対の視線を少なからず集めていく。
■イチゴウ > 『…---本日の天気は晴れ。
雲一つない快晴となるでしょう。
気温もここ数日の間では高くなる見込みで
お散歩なども良いかもしれません。』
すぐ横からのラジオが男性アナウンサーの
はっきりとした声と明るいBGMをノイズ混じりな
チープな音質と共に辺りへ届けるが
そんな中相変わらずロボットは前進を続ける。
いつしかリンチを続けていた生徒たちは
一斉に目障りな機械へと目の焦点を合わせて武器を握り
何かしらの異能を所持しているであろう二級学生たちが
手元をバチバチと反応させている。
それは正にこのスラム自体がロボットに対して
拒絶反応を起こしているようだった。
『なあお前よお・・・今日の天気って何だっけか?』
流れる張り詰めた空気の中
突如横から掛けられた酷く枯れた声。
ロボットがゆっくりと声の方向へと振り向けば
ラジオの横に座る一人の老人。恐らく薬でも
やっていたのだろう正気を失っている様子であった。
またそれと共に睨んでいたスラムの住人たちが
鋼鉄の客をもてなそうとその足を進めていく。
■イチゴウ > 「今日の天気は、雨だ。」
やつれた老人を凝視しながらロボットが放ったのは
機械的な低いノイズが混じる合成音声。
そして間もなくして眩しいくらい月光が輝く
夜空から轟音が響き渡ってくるのがスラムにいる
有象無象に感じられただろう。
空を切る音と共に何かが降ってくる音。
まずストリートを構成するアスファルトのあちこちが
次々と弾け飛んでいく。
無論ロボットに睨みを利かしていた者たちは混乱し
走り回る者もいればバラックへ避難する者、
空へ無造作に異能を放つ者さえいる。
しかし何かの雨は徐々に酷くなりついにはピークを迎える。
それはスラムに存在するバラックの殆どを
粉砕、バラバラにし同時に屋外にいた住人たちは
抵抗むなしく爆発するように血の霧と化していき
ボコボコになったアスファルトを赤く染めていく。
それはスラムの一角を対象にした自己鍛造弾の集中豪雨。
無論構えるロボットにも着弾するが激しい火花と共に
それを弾いていく。冷め切ったその様子は
スラムの現状とは対照的であった。