2018/01/26 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 学園都市の暗部。二級学生や不法入島者の巣窟。
このスラムは、何時訪れても纏わり付くような臭気と不快感が押し寄せてくる。

「…こんなところでも金を稼げるというのだから、つくづく資本主義とは恐ろしいものだ。いや、見上げた根性の持ち主が多いと言うべきかな」

スラムに不釣り合いな――或いは、相応しい風貌の――金属の異形を数体引き連れて、時にバラックを押し潰し、錆だらけの古い自動車を踏み潰しながらスラムの大通りを進む。
今回の任務は至極単純。別任務でスラムに潜入している風紀委員をサポートする為の陽動。

要するに、適度に目立てばそれで良い。
あからさまな行動で陽動を疑われる事があっても、それすら想定の範囲内。
このスラムに風紀委員が訪れているという事実と、それへの監視の目を集めるだけで良いのだから。

ご案内:「スラム」に東郷月新さんが現れました。
東郷月新 > スラムの住人――とはいっても、違法部活の幹部たちだが。
それらの悲鳴を聞きつけて、おっとり刀で駆けつける。
見れば醜悪な機械の塊に、スラムには似合わぬ美顔の少年一人。

「――おやおや、最近よくこちらに来られる風紀委員のようですなぁ」

別に暴れる輩に興味はないが、風紀委員となれば別だ。
ここは悪党たちの住まう場所、落第街の掃き溜めであるスラム。
風紀委員が我が物顔でのさばっている現状はよろしくない。

「どんないかつい男かと思えば、やれやれ、少女の如きではないですか。最近の落第街の連中は情けないですなぁ」

嘆息するように言いながら、相手を見やる。

神代理央 > 己が言葉を発するよりも早く、従える異形達は一斉に銃口を男に向ける。
その動作を確認してからゆっくりと相手に視線を向ければ、薄汚いスラム街に似合わぬ和装の男性が一人。
純白の長髪を纏めた端正な男の顔立ちには、見覚えがあった―

「…何者かと思えば、まさか公安からのお尋ね者が現れるとはな。その風貌の通り、義侠心に駆られて街の住民を助けにでも来たのかね?」

自身が最も気にしている容姿についての発言で、既に己の表情はあからさまに顰められている事だろう。
とはいえ、過去に確認したデータベースによれば相手は凄腕の刀使い。近接戦闘等不得意中の不得意である自分には些か荷が重いやもしれない。

背後の異形達が不気味な金属音を立てる中、まるで世間話でも振った様な気軽さで相手に問いかけるだろう。

東郷月新 > 「いやはや、小生、公安だけでなく風紀からも大人気でしてなぁ。毎度のご贔屓、感謝の至り」

けらけらと笑いながら、こちらも気軽に答える。
とはいえ、相手は単騎、よほど腕に自信があるのか、あるいは理不尽な隠しだまでも持っているのか。

「まぁ、義侠心などというものはロストサインの同胞以外には持ち合わせておりませんで――単に、我が物顔で歩く風紀が気に入らない、という程度でしてなぁ」

のんびり言うとともに、ゆっくりと刀に手をかける。
――動きの鈍い金属塊。東郷にとっては格好の獲物だ。

神代理央 > 「ほう。そういう分かりやすい理由は嫌いでは無い。義侠心が理由では無いのなら、住民共を庇い立てして動きが鈍る事もなかろう?」

義侠心が理由では無い、と聞けば、高慢な笑みと共に言葉を続ける。

「では、我が物顔で歩く風紀委員を精々泣かせてみせろ。子供を甚振る事など、貴様等には容易いことであろう?」

一歩だけ、彼から距離を取るように後ろに下がる。
それを合図にしたかのように、異形達は一斉に背に生やした砲塔から轟音と共に砲弾を吐き出した。

周囲の被害など何も構わぬ、面制圧を重視した火力の奔流。
当たらずとも、先ずは接近される事だけは阻止できればと、周囲の空間を抉り取るように砲火が撒き散らされる。

東郷月新 > 「あー……」

面制圧の砲撃を住居やら住民やらを盾にしながらかいくぐる。
こういう時に自身が単騎なのは面倒だ。こちらも火砲の支援が欲しい。

「ま、しかし」

阿鼻叫喚の場を駆け抜けながら少しずつ相手に近づく。
銃相手は弾道さえ読めれば避けるルートは見える。
もっとも、この火力ではルートが限られすぎてなかなか近づけないのだが

神代理央 > 「…やはり当たらんか。いや、寧ろ接近する速度を遅らせているだけでも御の字と言うべきか」

相手がジリジリと接近してくる間に、異形達の背後に陣取る。
さながらチェスのキング。将棋の王将といったところか。
最も、かの駒と違い、己にはどのマスにも移動出来るという様な万能の能力など持ち合わせてはいないのだが。

「近接戦闘に長けた者の増援が欲しいところだが、贅沢も言ってられない、か。…となれば」

尊大な態度を崩そうとはしないものの、公安委員会のデータベースを閲覧した時に彼の戦闘能力が化物染みていることは織り込み済み。
今は数と火力の暴力で押しとどめてはいるが、何時迄も持つものでは無いだろう。
己の勝率を上げる為では無く、先ずは負けない一手を打つために、新たな異形を2体召喚する。最も、その瞬間異形達への指揮が途切れ、自律行動となった異形達の砲撃に僅かなズレが生じる事になるのだが―

東郷月新 > 「――ふむ」

コマを増やす。その行為は正しい。
とはいえ、単騎対単騎の戦闘には慣れていないのか――

「指揮官が相手を見ないのは致命的ですなぁ!」

砲撃にズレが生じた一瞬、『道』が見えた。
まずは、彼の隣にある巨大な鉄塊――

「ふんっ!」

二刀流を一閃。
巨大な砲台を重量強化した刀で無理矢理叩き斬る。
重く堅いだけで動きが鈍い鉄塊は、東郷にとっては的に過ぎない。

神代理央 > 「…ちっ、予想はしていたがあの質量を一撃で叩き切られるのは神像に悪いな…!」

異能によって召喚された異形は、戦闘能力を失い――というよりも、自立すら不可能と成り――ゆっくりと消滅していく。
彼と対峙した時点で召喚していた異形は3体。たった今1体叩き切られたので残りは2体。そして、彼の両刀が届く距離まで接近されたという事実――

「…とはいえ、王手をかけられるつもりは無い!その両刀で叩ききれぬ物量で踏み潰してやろう!」

新たに召喚した2体の異形が戦闘態勢を取る。
しかし、その異形は他の異形に比べて異質。姿形は然程変わりないが、背中から生やした不格好な砲身の脇に金属製のタンクの様なものが付いている。それは即ち―

「火の輪くぐりと行こうじゃないか。住民達を楽しませるサービスも必要だろう?」

以前対峙した洋装の少女との戦闘経験から学んだ戦法。点を連射する砲弾では無く、面を舐め回す火焔での牽制。
己の前に陣取った2体の異形は、その砲身から真っ赤な業火を吐き出した。相手と、相手の周囲に鎮座する味方の異形ごと薙ぎ払う様に―

東郷月新 > 「――おおう!」

火炎放射。
なるほど、それは確かに不味い。防ぐ方法が無い。
炎は不規則に、それでいて面制圧を迫ってくる。
まったく、なかなか戦い慣れている!

「ちっ――!」

折角迫った距離だが、こちらも一度距離をとる。
さて――この状況の打開策は。

あたりは既に蜘蛛の子を散らすように人が逃げ出し、バラックに火が燃え移っている。
相手の援軍が来ないとも限らない。はやめに対処を考えなくては

神代理央 > 彼との距離を稼いだ犠牲に、火焔の直撃を受けた異形の1体が誘爆を起こして自爆する。
残りの1体は未だ戦闘力を保持してはいるが、砲身の異常加熱からか吐き出す砲弾の量が目減りしている。

「…此れだけの騒ぎだ。何れ風紀委員の増援も駆けつけるだろう。時間は此方の味方の様だが、貴様に助っ人の宛はあるのかね?」

絶え間なく砲身を酷使していた異形の攻撃を中断させ、砲身の冷却を図る。
突然砲撃の雨が止んだ二人の間には、奇妙な静寂が訪れている事だろう。

その静寂の余韻を掻き消す様に、未だ傷一つ負わせていない相手に問いかける。
辛うじて接近されるのは防いでいるものの、此方の攻撃は相手の足止めにしかなっていない。
久し振りの戦い甲斐のある相手に思わず声をかけてしまったのは、己の悪い癖だろうかと言葉を発してから僅かに後悔する。