2018/03/10 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 薄汚いスラム街の一角。今にも崩れ落ちそうなバラックや粗末な小屋が並ぶ狭い通りを、数台の車が疾走している。
けたたましいグリップ音と共に辺りの瓦礫を踏み潰しながら駆け抜けるのは、貧しいこの街には似つかわしくない高級SUV。

丁寧に磨かれた黒塗りのSUVは、通りを逃げ惑う人々を押しのけ、瓦礫を跳ね飛ばしていたが―

「法定速度は守るべきだと思うがね?速度の出し過ぎは事故の元だ」

轟音と共に、車列の先頭車両が火焔の柱に巻き込まれて天高く吹き飛ばされる。
急ブレーキをかけたSUVの群れがそこかしこの瓦礫に乗り上げる様を眺めながら、口の中でコロコロと飴玉を転がした。

車列を取り囲むように召喚された金属の異形が数体。全ての砲塔を車列に向けたまま、主の命令を愚直に待っていた。

神代理央 > よたよたと車から転がり落ちてきた恰幅の良い男。
その男を守る様に、残りの車から武装した男達がわらわらと集まってくる。

「…生け捕りとか、少し痛めつける程度なら難易度も高かったんだがな。尤も、そんな繊細な任務に呼ばれるわけも無し、か」

陣形を組む暇も、反撃する時間も与えない。
何より、こんな連中に割く時間が勿体無い。

「というわけで、残念ながら諸君らの商売は本日で終了だ。稼ぐのも良いが、次は程々にしたまえよ?」

恰幅の良い男が何か言い返す前に、従えた異形達の砲塔が轟音を上げる。
SUVを鉄屑に変え、路面を更地へと耕し、其処に居た人間達を住民諸共肉片へと処理していく。

反撃を待って絶望させたりだとか、彼等の全力を受け止めようとか、そういった強者の驕りや戦士としてのあり方等持ち合わせてはいなかった。
自分にとってこれはあくまでも仕事。敗北や失敗は有り得ないが、万が一の可能性は全て排除する。

圧倒的な質量と火力で叩き潰すだけの己の異能。
面白みも何も無い力ではあるが、個人の嗜好にあったものではあるなと、肉が焼ける匂いに顔を顰めながら一人頷いていた。