2018/07/15 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 真夏の熱気を溜め込んだコンクリートが、夜になっても気温を下げる事無くスラムを熱し続ける。
そんな不快な匂いと熱気で充満したスラムの住民達は、一様に首を傾げながら大通りを行き交う事になる。
スラムの中では既に知名度の高い金属の化物……を引き連れる少年。
時代錯誤な軍服に似せた黒い制服を纏った金髪の少年は、何時もは権威と権勢を以て街ごと敵を殲滅する。それは巡回任務中も同様で、常に巨大な異形を従えて闊歩しているのを見られていた。

しかし今夜は、異形を一体も従える事無く、周囲の住民に敵いや傲慢さを見せる事も無く、ただ静かに、時折周囲に視線を向けながらスラム街の大通りを歩いていた。

住民の中でも荒事に長けた者は呟く。『ああいう、何考えてるかわかんねえやつの方がヤバイ』と。


「…相変わらず薄汚い街だ。全て片付けて、二級学生用の住宅にした方がまだマシだと思うんだがな」

そんな住民の感想は露知らず。スラムの魔物や怪異の調査の為に少年は街を散策していた。
違反部活との戦闘は勿論の事、島の安全を脅かす存在全てに対処するのが風紀委員の仕事である。
通りから通りへ。そして路地からビルへと足取りも軽くスラム街を歩き回っていた。

神代理央 > 「…この気温で歩き回るのは流石に辛いな。今度、体温調節の魔術でも勉強しておくべきか」

大通りは問題なし。比較的大きめの路地も見て回った。今は、外装のタイルが殆ど剥がれ落ちたビルの屋上からスラム街を睥睨している最中。
タブレット型の端末に調査内容を入力しつつ、殆ど明かりのないスラム街を見下ろす。

「この街の住民が魔物やらに襲われて死ぬのは構わんが…流石に、学生街にまで被害が及ぶのは避けねばならんか。全く、面倒な事だ」

異世界から魔物を召喚したり、合成獣を作り上げたりと原因を造り出しているのはこの街の違反部活群である。
原因を自ら造り出している連中を守ってやる義理は無いが、風紀委員という立場上一般生徒へ危害が及ぶ可能性は摘んでおかなければならない。

面倒な事だ、と溜息を零しながら、未だ冷たさの残る缶コーヒーのプルタブを開く。
喉に流れ込む暴力的な甘さの珈琲に、満足げに目を細めて吐息を吐き出した。

ご案内:「スラム」に江風 白さんが現れました。
江風 白 > 「正義の味方ってやつなのかと思ってたけど、違うみたいですね。
捨てるところは捨てる、合理主義ってやつなのかな?」

相手の後ろからそう声をかける。
スラムで噂の彼をたまたま見つけてつけてきては見たが、思わず声をかけてしまった。
相手に顔を近づけ、不敵な笑みを浮かべる。

「確か...風紀委員で、スラムでそれなりに名前が上がるほどの有名人で...。
お得意さんの商売を邪魔する怨敵だったかな?」

そのまま相手の横を通り、目の前に立つ。
街灯の灯りでその真っ白な姿を現せば、頬をかきながら相手の顔をじっと見る。

「女の子かなぁって思ってたけど...やっぱり男の人だったんですね。
よく間違えられません?」

自分も間違えられるんです。と付け加えれば笑みを浮かべた。

ご案内:「スラム」から江風 白さんが去りました。
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 「…別段、正義の味方を名乗る様な事も無い。社会正義を守る番人ではあるかもしれないがね」

背後から投げ掛けられた声に振り返れば、小さく肩を竦めて言葉を返す。
顔を近づけてくる相手に、怪訝そうな表情を浮かべて―

「…そういえば、以前もスラムで会ったな。確か、再生能力と魔術の使い手だったか」

中性的な風貌の顔立ちには、見覚えがあった。
以前、スラム街で任務に従事した際に戦闘した相手。此方の異形の砲弾を受けて尚、身体を直ぐに再生させる能力を持った相手。

「……下らん事を聞く。口は災いの元であると言うが、それを実践しようとでも思ったのかね?」

彼の言葉に不快げに表情を歪めると、剣呑な視線と言葉を返す事になる。

神代理央 > しかし、次いで投げかけようとした言葉は端末からの通信によって遮られる事となる。
曰く、落第街にアンデッドモンスターの出現情報有り。対策を講じる為、至急帰還せよとのこと。

「…まあ良い。無駄な殺戮を好む訳でも無い。ではな。精々、風紀の目に止まらぬ様に稼ぐ事だ」

そう言い残して、鼻歌混じりに彼の前から立ち去る事になる。
後に残ったのは、飲みかけのまま放置された缶コーヒーだけだったのだろう。

ご案内:「スラム」から神代理央さんが去りました。