2018/08/11 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 日中の茹だるような熱が冷めきらぬスラム街の夜。
迷宮の様に入り組んだこの場所で、今夜も銃声と轟音が響く。

スラムの一角に逃げ込んだ違反部活に所属する学生達。
学生とはいえ、所謂二級学生。学園に籍は無く、生徒として登録されておらず、此の島には「存在しない」者達。

彼等の逃げ込んだ雑居ビルの外壁を突き破って現れたのは、無数の砲塔を背中から生やした金属の異形達。そして、それらを従える風紀委員の腕章を身に着けた軍服紛いの制服を纏った少年。


「…鬼ごっこはおしまいか?いや、迷路遊びのつもりだったのか。障害物を利用するというのは良い考えだが、如何せん壁が脆すぎてはどうしようもあるまいな」

後ずさる学生達に淡々と声をかけながら肩を竦める。
その背後で、異形の一体がゆっくりと砲身を学生達に向けた。

神代理央 > そして、一瞬の轟音。
学生達が手に持っていた拳銃を少年に向けようとした瞬間、人の頭ほどもある巨大な砲弾が彼等を穿った。

雑居ビルの壁に風穴を開け、吹き込む粉塵混じりの風に閉口しながら制服の埃を払う。

「…全く。近頃取りこぼしが多いな。摘発するのは良いのだが、細部の詰めが甘いというか…」

僅かな溜息と共に、部屋に無造作に置かれていたソファに腰掛ける。
一息つく主を守るのは、部屋を埋め尽くす程の大きさの異形と、ビルを取り囲む様に召喚された金属の異形達。
ビルの上階に住むスラムの住民達は何事かと窓から見下ろし、触らぬ神に祟りなしとばかりに部屋に引っ込んだ。

神代理央 > 通信端末に視線を落とせば、未だ逃走を続ける学生達がちらほらといる様子。
加勢がいるのかと思案したが、既に他の風紀委員達が出動し対処に当たっているらしい。
ならば、取り敢えず火急の案件は終いかと息をついた。

「…これなら、最初から私を出動させていれば話も早かっただろうに。無謀な単独任務には駆り出しておいて、こういう物量が必要な任務には声がかからないのは嫌がらせか何かの類ではないのだろうな」

と愚痴を零しながらも、あながちそれが否定しきれない己の行いに自嘲めいた溜息を一つ。
特に、風紀委員会の穏健派には大分睨まれていることだろう。二級学生や犯罪者に容赦しない己のやり方は、平和主義者や人道主義者達からは良く思われていないことは重々承知であることだし。

神代理央 > 「…他の委員会なら兎も角、風紀委員会や公安委員会で平和主義というのは如何なものなんだろうな」

別にそういった考え方を否定する訳では無い。しかし、その思想を実現する為に相応しい場所というものもあるのだろう。
本人達の好き勝手なので別段咎める事は無いが、平和を貫きたいのならもっと違う組織でも良かったのでは無いかと思うのだ。

とはいえ、『処理』した数なら大分上位にいるであろう己はどの様な形であれ彼等の矢面に立つ筈であり、そこに思いを馳せると再び深い溜息を吐き出した。

ポケットから取り出し、口に含んだ飴玉の甘さが身体と心に染み渡った。