2018/09/07 のログ
ご案内:「スラム」に黒峰龍司さんが現れました。
黒峰龍司 > 「――ま、こんなモンか…大まかな特徴は掴んだ感じだが…まぁ、解せねぇ部分も幾つかって所かね」

スラムの一角、やや開けた場所の一角で、そのど真ん中に突っ立って愛用のアメスピ…煙草を口の端に咥えたスーツの男。
サングラス越しに黄金の鋭い双眸が周囲を見据え、咥えた煙草からゆらゆらと紫煙を燻らせている。

その男の周囲には無数の氷像。どれもこれも最近巷を騒がせている『パンデミック』とやらの赤いゾンビ共。
人型だけでなく、異形に近いシルエットも散見されるが今はどれもこれも生命活動を止めている。
現在、凍結が効果的な攻撃の一つと小耳に挟んだので、リハビリ代わりに氷の魔術を使ったが…少しやり過ぎたか。

「…やっぱこの世界の大気中の魔力だと想定と威力や範囲に齟齬が出るな…後で調整しとくか」

煙草を蒸かしつつ、氷像と化した赤いゾンビの一体に無造作に足を運んで眺める。
…赤いゾンビ、というのは己の世界には居なかったので、好奇心が疼くといえば疼くが…。

「…感染能力もそこそこ…と、なると生物兵器の転用も有り得る訳だが。
…ま、この現状じゃあそこらの連中じゃそもそも制御すらまともに出来ないで自滅だろうな」

氷像を軽くコンコンと叩き――加減を間違えて粉々に砕いてしまった。ゾンビごと。
…まぁ、いいか。取り敢えず、パンデミックの大まかな概要は掴めただけ良しとしよう。
これはこれで良い”暇潰し”になる。男にとって今回の騒ぎに便乗するのはその程度の理由だ。

勿論、知人友人が巻き込まれていれば別だが…逆に言えば、それ以外の誰がゾンビの仲間入りしても知った事ではない。

ご案内:「スラム」に黒峰龍司さんが現れました。
黒峰龍司 > 正直、分析の為に砕いた氷像の一部を持ち帰ってみるのもいいが、うっかりこちらも感染するのも間抜け過ぎる訳で。
取り敢えず、こいつらは纏めて粉微塵に砕いておくとして…さて、どうしたものか。
元々、風紀でも違反組織や違反部活の人間でもない。少なくとも表向きはそうなっている。

「…つーか、ゾンビ以外にも幾つかタイプが派生してんだっけか…さっさと対処しないとイタチごっこって奴じゃねーのかこれ」

もっともな懸念をボソリと呟く。だが、外様の己が直ぐに思い当たる程度の懸念だ。
風紀やら他の連中もその程度は既に理解はしているだろう。こういう時、思い当たる一つが…。

「組織や派閥同士の権威争い…利害も絡んでるんだろうよ…やれやれ」

国や組織、派閥というののは裏切り、騙し合い、その他諸々は日常茶飯事だ。
元々の世界では”王”だったからこそ、その辺りはよぅく身に染みている。
まぁ、今の自分は一介の異邦人でしかない。そういう意味では気楽な訳だが。

「…取り敢えず、砕いておくとか」

その場に突っ立ったまま、周囲の氷像を見渡してからパチン、と右手の指を鳴らす。
それだけで、全ての氷像が粉微塵に砕け散っていく。ダイアモンドダストのようにキラキラ舞う氷の破片。