2018/09/10 のログ
■百鬼 > そうして思考する合間に、仮面越しの視線はジッと周囲を見据えている。
夜目などこの仕事を選んでいる時点で当然利くもので、例え誰かが気配や音を殺しても分かるだろう。
「―――矢張り、この辺りには赤い連中は来ていないか…いや、既に討伐されたか」
呟きながら、屋根の上からトンッと身を翻して音も立てずに地面へと着地する。
そのまま、変わらず無音の歩行でスラムを一人歩く。気配も音も無い…否、あるがそれはスラムの住人だろう。
「…向こうから出向いて来てくれるなら楽ではあるのだがな。」
と、希望的観測を述べてやれやれ、と二度目の小さな吐息。本当に面倒な依頼だ。
…そういえば、黒刀を預けたあの少女もこの騒動に関わっているのだろうか…いるのだろうな、と思い直す。
あの娘なりの正義を体現している以上、この騒ぎを見逃す訳もあるまい。
■百鬼 > しかし、今夜は静かなものだ――元より、スラムは落第街に比べたら割と静かなのが常だが。
この島の影、そして最底辺…地獄の底。公式には一切存在しないとされる場所。
だからこそ、自分のような者が仕事に困らないとも言えるのだけれど。
とはいえ、この静けさは不可思議…赤いゾンビの騒動にここらの住人も警戒しているのだろう。
元より、スラムの連中は生死が掛かった出来事には特に敏感とも言える。
何せ一歩間違えれば死ぬし、普段の生活でも常に死と隣り合わせ…危機感知能力は自然と一流にもなるか。
「……矢張り、落第街寄りを探索するべきだったか…。」
今夜はどうにも目的を果たすには不都合、というより空振りに終わりそうで。
別の何かが釣れる可能性もあるが、それは標的ではない…ゆっくりと歩きながら緩く頭を振る。
空振りそのものは特に珍しくも無い。とはいえ、無収穫なのはそれもそれで聊か気が滅入る。
■百鬼 > やがて、その黒衣と仮面の殺し屋の姿はスラムの廃墟と闇に紛れる様に立ち去るだろう。
ご案内:「スラム」から百鬼さんが去りました。