2015/06/07 のログ
ご案内:「異能学研究棟」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > そんな研究施設の金網に背をもたれて、煙草を吹かす男が1人。
金網の外側とは言え、この場所は関係者以外立ち入り禁止となっている区域である。
そんな場所で堂々と、いつも通りに紫煙を燻らせている。
「…………………。」
白衣を着ており、胸には研究者を示すIDカード。
一見すればそれは、休憩中の研究者に見えなくもない…が。
■獅南蒼二 > 男は、時折腕時計で時間を確認しながら、のんびりと煙草を楽しんでいた。
この場所には、以前も興味本位であったり、蛮勇であったりと様々な理由で乗り込んでくる愚か者が居たはずである。
彼もまさに、そういった愚か者の類であるにも関わらず、その態度はまるで勝手知ったる我が家に居るかのよう。
「……さて、そろそろ授業開始の時間、か?」
小さく呟けば…ひょい、と煙草を金網の向こう側へと放り投げた。
普段なら決してそんなことはせず、携帯灰皿へと、しまい込むと言うのに。
■獅南蒼二 > 放られた煙草は煙を靡かせて、金網を越える。
そして、ふわりと、金網の向こう側…伸び切った草の上に、落下した。
「……………。」
右手を握りしめ、ぱっと、勢い良く、開く。
パン、と破裂音が響いて、落下した煙草が火花を散らした。
刹那、施設をぐるりと取り囲むように、まるでガソリンか油に引火したかのような、巨大な炎が勢い良く上がる。
それは、明らかに人為的に用意された火。
■獅南蒼二 > 無表情のまま、男はまるで指揮をするように、両腕を振る。
すると、炎がそれに合わせて揺らめき、渦巻き、建物を包み込んでいく。
それは魔術の初歩の初歩、炎や風などの自然事象を操る魔術である。
「少し火力が足りないか…?」
小さく呟けば、指先を木陰に置いてあるタンクへ向ける……何のことは無い、ガソリンを満載したタンクだ。
無から炎を生じさせるのも魔術学の基礎であるが、魔力と熱エネルギーの変換効率を考えれば、決して効率が良いとは言えない。
ならば僅かな魔力でガソリンを運び、火にくべた方がよほど効率がいいのだ。
■獅南蒼二 > 炎を操る正確な操作は、全ての出入り口、そして通気口に炎のカーテンを作り上げ、やがてそれは建物の内部へと入り込んでいく。
「……呼応せよ。」
建物に火が入れば、風を操り酸素を送り続ける。
これだけの大火災を魔術で作ろうと思えば、膨大な魔力を必要としただろう。
だが、僅かな工夫と準備だけで、魔力の必要量は大幅に抑えられる。
建物の内部から、やっと、消火活動に従事する者や火に撒かれた者の悲鳴、断末魔が聞こえてきた。
こんな、末端の小さな研究施設にさえ、相当数の従事者が居るようだ。
■獅南蒼二 > 男は、炎に包まれる建物へと近づいて行く。
「……呼応せよ。」
瞳を閉じて…小さくそう呟く言葉を、繰り返す。だが、建物内部からの【呼応】は無い。
遅かったか。と、男は小さく、息を吐いた。
■獅南蒼二 > 刹那、正面の扉が内側から打ち破られ、炎に包まれた数名の男女が外へと飛び出してきた。
異能者らしき姿もあるが、炎にまかれる小虫とは須らく哀れなものだ。
建物の外周は燃料に満たされている。炎の川を渡れるはずなど、ないというのに。
「……正当な報いだが、せめてもの慈悲だ。」
ポケットから引き抜いた拳銃を握りしめ、二度、三度、引き金を引く。
炎の中にのたうつ影たちは、一人残らず、その動きを止めた。
■獅南蒼二 > 昨晩【凡人教室】の生徒のうち1人が消息を絶った。
【呼応】の魔術により緊急連絡を伝えたのが最後、それ以来、一切の連絡が無い。
そしてその発信地点こそが、この研究施設であり…内容はまさに、その内情を示すものであった。
この距離からの強制的な【呼応】にも応じないということは…
…既に別の施設へ移送されているか、もしくは、人でなくなっているか。
炎や風を媒体として内部を探っても、生徒らしき姿は、何処にもない。
■獅南蒼二 > いや、正確には違う…生徒だったもの、はその施設内に、確かにあった。
彼がどうなっていたのかは、媒介した風を通してそれを見た、この男にしか分からない。
彼は、金銭的に恵まれず、元は二級学生…幸運にもこの教室に拾われ、一級学生となった。
…だが、魔力にも恵まれず、学習意欲も決して高くはない、さらに反抗的な態度を取る、平たく言えば無能な生徒だった。
瞳を閉じて…小さく、息を吐く。
■獅南蒼二 > 燃え上がる施設の壁が崩れれば、男はもう、興味を失ったとばかり、そこから背を向けた。
最後に燃え上がる炎を僅かに引き寄せて、煙草に火をつける。
偽装したIDカードも必要ない、炎の中へと投げ込んでしまおう。
「………………。」
表情はどこか暗く、曇ったまま、男は紫煙を燻らせてその場を離れていく。
しかし、進入禁止区画から出るころには、もう、彼はいつもの表情に戻っていた。
何食わぬ顔で紫煙を燻らせ……ベンチへと腰を下ろす。
周囲は火災の発生に大騒ぎになっているだろう。
そして、消火活動が開始されるとともに、誰かが後片付けをすることになるのだろう。
■獅南蒼二 > 偽装工作の類は殆ど行っていない。
無論、最低限、自分の痕跡は残さぬよう配慮した。
だが、現場は撒き散らされたガソリンに、汎用的な拳銃の薬莢まで残されている。
誰かが襲撃した、という事実は、間違いなく記録されるだろう。
だがその方法は非常に原始的なものであり、誰にでも実行可能な手法であることから、容疑者の絞り込みには時間がかかるだろう。
また、施設での研究の内容が内容であるだけに、表沙汰にされるかどうかさえ、わからない。
獅南がそこまで計算に入れて居たのかどうかは、定かではないが。
■獅南蒼二 > 「…………………。」
特に興味もない、といった様子で、慌ただしく行き交う人々を見ている。
吸い殻を携帯灰皿へと入れて、次の煙草を取り出そうとしたが…
「…最後だったか、ツイてないな。」
空っぽだった箱を握り潰し、ため息を吐く。
ゴミをポケットにしまい込んで、遠く、燃え上がる施設がある方向を見た。
ご案内:「異能学研究棟」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」に麻美子さんが現れました。
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」にザデルハイメスさんが現れました。
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」からザデルハイメスさんが去りました。
■麻美子 > 「氷架サン、やっぱり捕まってたんスね。」
吹き上がる炎を見つつ、心配そうに呟く。
とはいえ、例によって自分が出来る事はもう何も無い。
遠望レンズつきのカメラを取り出すと、その様子を撮影しはじめる。
先ほどの炎で天井が破られている、ここからなら室内が撮影できるだろう。
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」にザデルハイメスさんが現れました。
■ザデルハイメス > 『ガツーン、ガツーンと施設全体に音が響く。
向こうで炎が渦巻いているはずだが、周囲の温度が急激に堕ちていくような、空気が重くなったような、そんな感覚を施設内なら感じられるかもしれない。
ガツーン、ガツーンと音が大きくなる。
漆黒の塊が歩いている。』
■麻美子 > 急激に室温が下がったのを感じると、
異能を使って音のしている方向を確認する。
強化された視覚が、遮蔽物を無視して『ソレ』を捕らえる。
「『ロストサイン』ッスか。」
今回の最悪の大本の原因、2年前の災害に関わった団体。
……それ以上の事は知らないが、その黒鉄の騎士がそれの1人である事は知っている。
『こんな場所に何の用ッスかね。』
首を傾げつつ、炎の巨人のほうに視線を戻した。
「……寒いッスね。」
鞄から膝掛けを取り出すと、そっとかけた。
■ザデルハイメス > ハ、ハ、ハ、ハ…………
『嗤う。甲冑は歩くたび音をたて、瘴気はいささかも抑えられていない。手には黄金の螺旋剣。
こっそり忍びこむというような素振りは一切なく、施設の廊下歩いている。
歩きながら、誰ともなく』
面白い出し物ですが、連絡局も哀れなものですね。
ハ、ハハ、ハハハ
■麻美子 > 響く声に、別に返事をする理由もないのにこたえる。
「ま、仕方の無い事ッスよ。
力を持ちすぎた結果がコレだった、それだけの事ッス。」
炭酸飲料を飲みながら、ぼんやりと炎の巨人を眺めた。
『相変わらず氷架サンの異能は綺麗ッスねー』と考えつつ
そんな事を考えている場合ではないのだろうが。
■ザデルハイメス > 彼女たちも何かを求めたのでしょう。それは始まりは綺麗な願いだったのかもしれませんね。
ハ、ハハハ、ハ、ハ、ハ、ハ
『騒ぎのせいか人気のない施設内を声を響かせながら歩いて行く。
麻美子の方に特別近づいていくわけではない。
時折外からの輝きに照らされながら、扉を無造作に切り払うなどしながら奥へと』
■麻美子 > 「ま、そうかも知れないッスね。
学園の平和だったり、まだ見ぬ危機だったり。
あるいは『ロストサイン』に対抗する力だったりッス。」
鞄の中から鉄球を取り出し、指先で弄んでからピンと弾く。
力学エネルギーを無視して放たれたソレは音速を越え、
その騎士のほうへ飛んで行くと、近くに着弾して対物ライフルでも
ぶち当たったかのような轟音を立てて地面を抉った。
「まぁ待つッスよ、折角だからもう少しお話して行くッス。
……それに、向こうも取り込み中みたいッスから。」
炎の巨人をぼんやりと眺めながらそう『彼』に話しかける。
■ザデルハイメス > おや
『はじけ飛ぶ施設内部。炸裂の向こうから声がする。
貫かれ吹き飛んだ壁の先、漆黒の鎧は少女の方に向き直っている』
ごきげんよう。貴女は向かわれないのですか?
ともに学ぶべきお友達が、力に狂った末路なのでしょぉおおおおう?ク、ハ、ハッハハ
『一切の表情がない面。しかしその奥からざらついた金属音のような笑い声は止まらない』
■麻美子 > 「行かないッスよ、麻美子の領分じゃないッスから。」
『脇役は脇役らしく、傍観に徹するッス』と首を振り
「そう言う鎧のオニーサンは行くつもりだったんスか?
……それとも、文字通りの『火事場』泥棒ッスかね。」
取り出したいくつかの鉄球を片手で弄びつつ彼に問う。
一学生や風紀委員、あるいは公安委員が何人あの場に登場しようと構わないけど、
それ以外の人間が登場すると記事を書くのに『不都合』なのだ。
主に、西園寺さんの罪がうやむやになる的な意味で。
「行くつもりだったなら、残念ッスけど、
招待状が無いお客さんは舞台には上がれないッスよ?」
■ザデルハイメス > 傍観者、なるほど貴女が自分に課した役割がそれというわけですね?
『片手に剣を手にしたまま両手を広げてみせる。表情のない鎧姿が、しかし感情豊かに身を振る』
行く?あの場に?
そんな必要がどこにあるんですか……?
あの場には力に堕ちた者がいるではないですか。
出会った地獄での祈りのために、彼女は手を出したんですよ。アハ、ハハハハ、ハ、ハ、ハ、ハ
ク、ヒ、ハハハハ!
『“彼女”が零した“地獄”。それを作り出した当人の一人はひたすら哄笑した。
元ロストサイン・マスタークラス、『失落園(フォールアウト)』ザデルハイメス。
ひたすらに笑った後、唐突にその哄笑が停まる』
ええ、そうですよ?ちょっと欲しいものがありまして
招待状がない客、ですか……ま、ね、か、れ、ざ、る、も、の。
私はそのような者ではありませんのでねえ。
■麻美子 > 「そういうわけっすよ、麻美子の配役はそれッス。」
手元で弄んでいた鉄球をしまう。
念のため持って来ていたが、使う事になるとは思わなかった。
「『ロストサイン』の関係者サンは、
本当よく分からない事ばっかり言うッスね。
流行なんスか?高校生にはそういうの流行らないッスよ?」
はぁ、とため息をつくと
崩れ去る炎の巨人を指差し
「アレに対して何もしないなら、
麻美子が呼び止める理由は無いッス。
体操服かリコーダーか、明日の宿題のノートか知らないッスけど、
さっさと忘れ物を取って帰るッスよ。」
しっしっと手を振り、彼から目を離した。
■ザデルハイメス > 私はコウコウセイというのではありませんし……
『麻美子の指にあわせ、視線を外へと向ける』
そうですね。ハハハ、予想ほどもちませんでした。
彼女と、彼女が求めたものはここまでだったんですね。残念なことです。
こんなにあっけないとは。ハ、ハ、ハ
彼女の2年間はこれでパアですか。ヒ、ハ、ハハハ、ハ
『笑い、しかし「いや」と自分で手をかざすジェスチャーをとり、それを止めた』
無ではない。そうですね。だから私も手早く済まさせていただくとしましょう。
ええ、ええ、私も貴女と事を構える気はありませんよ。
『そう言うと、足元から闇が吹き出し、そのまま後ろへと滑るように下がっていく』
いつか、貴女がその万能の力を振るう手を重く感じた時にでも会いたいものです。
ハ、ハハハ、ク、ハハハ……
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」からザデルハイメスさんが去りました。
■麻美子 > 「ま、『ロストサイン』は大体留年しまくり学生の集まりッスからね。」
冗談めかして笑う、
『ロストサイン』が2年前の団体である以上、
その関係者は3年生、あるいは留年生ばかりだ。
「……そ、頑張って準備しても、案外あっけないものッス。
派手な非日常に見えても、幕引きなんてあっというま、
この学園では文化祭とさほど変わらないッスよ。
何しろ、異能学園ッスからね。」
広報部としては困った話しッスけどねと苦笑しつつ。
最後にケラケラと笑って、
「既に重いッスよ、正直。」
とだけ言うと、消えていく彼を見送った。
■麻美子 > 見送ると、サーバールームのほうに視線を戻す。
どういう結末であれ、見届けなければ。
■麻美子 > 『……捜査中に起こった『不幸な事故』で幕引きッスかね』
「ここで奇跡でもなんでも起こって起き上がるのが王道ッスけど、
現実はそんなに甘くないッスか。」
レイチェルの叫びを聞きながら、ガシャンと音を立てて屋上にあったフェンスに寄りかかる。
『死人の記事を書くのは嫌だったんスけどね、
文句の一つも言ってこないなんて、つまんないじゃないッスか。』
帽子をぐいと引きおろし、炭酸飲料を一口飲んだ。
■麻美子 > サーバールームに保健委員が入ってくれば、
無言で望遠カメラを片付けはじめる。
あとは学校に報告して、記事を書いて、それで終わりだ。
当事者が『死んだ』以上、それに罪を擦り付けるのはたやすい。
何しろ口が無い上に、物的証拠はいくらでも揃っているのだ。
「ハッ、ザマァ見ろッスよ!!
積年の怨み、今こそ返してやるッス!!」
調べている最中で、彼女が純粋に『悪』ではない事は既に分かっていた。
彼女は学園の権力のバランスを取る為の『犠牲者』だ。
『麻美子と同じ、学園の為に生きた人間ッスか』
心にふと浮かび上がった同情の念を振り払うと、
取材道具を片付け終える。
床に置いていた炭酸飲料を拾い上げると、
飲みながらその場から立ち去った。
ご案内:「少し離れた場所にある研究施設」から麻美子さんが去りました。
ご案内:「研究施設群」に霜月 零さんが現れました。
■霜月 零 > 「…………」
ボロボロになって、近くの瓦礫にもたれて座り込んでいる。
さっきの秘剣「因陀羅」で体力をほとんど使い果たした。その上吹っ飛ばされたのだから、長距離を移動できる気力等ありはしない。
一応、戻ろうと思えば、あの場所に戻ることは出来るが…
■霜月 零 > 「……意味ねーな、多分」
あそこに戻っても出来る事はない。
よく当たる直感が、確信に近いレベルでそれを訴えかけてくる。
この騒動において、まず一旦自分の役割は終わった。最早やることはない。
が……
「……けど、終わった気もしねぇ」
その直感は、この騒動が本質的に解決していない、とも訴えていた。
■霜月 零 > 気だるげな表情で、ぼけーっと空を見上げる。今日は疲れた。
「あー……柄にもなく、無理しちまったなぁ」
あの風紀委員の熱量にでもアテられたのだろうか。気に入らなかったとはいえ、流石に無理をしすぎた気もする。
ご案内:「研究施設群」に三千歳 泪さんが現れました。
■霜月 零 > そもそも、霜月零のスタンスは「中庸」だったはずなのだ。
正義とか悪とか、割とどうでもいい。
完全にどうでもいいかと言えばそうではなく、どちらかと言えばもちろん正義に好感を抱くが、それでも今回はそのバランスが崩れていた気もする。
「……なんだかなぁ」
思い起こせば、この直感が随分と、あのヤクを危険視していた気もする。
■三千歳 泪 > うす暗いサーバールームだらけの建物を後にして大きく深呼吸をひとつ。一仕事終えて、新鮮な外の空気だ。とてもおいしい。
空気に味はないけれど、身体が喜んでる感じがするからこの感覚は本物なのだと思う。
誰かの話し声が聞こえて覗いてみれば、手負いの獣のようないきものがいた。
「おっす不審者のお兄さん。怪我してるの? 手当てが必要かな」
■霜月 零 > 「ん?あー……?」
不審者、と言われ、誰の事かと一瞬脳内でとぼけるが、すぐ自分だと再確認する。
ボロってる研究施設に座り込んでる、明らかに研究畑ではない剣士。
どう考えても不審者だ。
「んー……怪しいもんじゃねーっつって信じてもらえるかどーか。で、治療が欲しくねーっつったら嘘になるな」
やはり気だるげに、そう返答する。
■三千歳 泪 > 「怪しい人はみんなそう言うんだよ」
「なんかどたばたしてたみたいだけど、お兄さんの仕業? もしかして、もしかしなくても通報したほうがいい?」
座り込む不審者の前にしゃがみこみ、通信端末を出してふと気付いた。
通報、やったことない。
「しまった。何番にかければいいんだっけ。119番? 110番? 118番っていうのもあった気がする」
■霜月 零 > 「おお、まあ俺もかかわってたな。主役じゃあなかったが」
苦笑しながら、まあですよねーと言った風情で返す。
「世間一般で通報は110番だろーが……アレなら風紀委員でも呼んでくれ。そっちの方で確認してもらえれば、一応嫌疑は晴れると思うんだが」
■霜月 零 > 返答しながら、ぼーっと自分の「直感」について整理する。
……正直、妙に当たる。が、100%ではない。そして、大体「それの答えはこれなんじゃねーの」と言うタイプの勘が、よく当たる。
「(まさか、俺の才能って、マジで「勘がいい」とかじゃねーだろうな?)」
幼少の頃から、お前には剣の才はなくともとある才がある。いつかそれに気付けば、お前は剣など不要な存在となれるはずだ、と言われ続けてきた。
正直自分でも眉唾だったし、慰め程度のものだと思ってたが……
「(一度、なんかで確認した方がいいかもなぁ)」
事此処に至ってやっと、自分の「直感」に、疑問を持ち始めた。
■三千歳 泪 > 「それそれ! ありがと。親切なんだね」
「なんだかドキドキしない? ちゃんとできるかな?? まず何から言えばいいんだろう」
「怪しい人がいます? 犯人はこの中にいます? そうそう、事件。どんなの事件だったの?」
「お兄さんは悪い子だったのかな。いい子にしていたらご褒美をあげよう」
悪い人ではないかもしれない。根拠はないけれど、雰囲気がそんな感じだ。
直感を信じて裏切られた事はあまりない。通報の手を止めた。話を聞いてからでも遅くはないかもしれない。
■霜月 零 > 「あー……あれだな、取り敢えず、炎の巨人が出た。で、そいつを退治したが、その余波で吹っ飛ばされてこのザマだ」
一切嘘は言っていない。と言うか、状況を簡易的に説明すれば、大体こうなる。
……自分でも、信憑性に大いに疑問を持つ内容になってしまったが。
■三千歳 泪 > 「巨人! 巨人っていうぐらいだから…大きかった? どれくらい?? で、それを退治したお兄さんはすごい人なんだ」
鞄をあさって職人御用達の手ぬぐいを差し出す。和柄がクールだ。さいわい、まだ汚れていないものが残っていたのだ。
「ちなみに治療っぽいことはできません! そういうのは保健委員のところに行くといいよ」
「その代わり、壊れた装備があれば直せるけど…なにかありそう?」
ご案内:「研究施設群」に美澄 蘭さんが現れました。
■霜月 零 > 「まあ、それなりにデカかったな…とはいえ、俺は腕切り落しただけだよ。寧ろすげーのは他の奴らだ」
俺が大技なんてぶっぱなす間、デカブツを抑え込んでてくれたんだからな…と繋ぎ。そのまま手拭いを受け取る。
「ああ、さんきゅ。いい趣味だなこれ…んー、装備、なあ」
割と趣味に合う和柄に少し顔をほころばせながら、自分の装備…今回使った太刀を確認する。
「……やべ、ちょっと溶けてんな」
僅かに刀身が歪んでいるし、溶けた後もある。やはり、あの熱量をカバーしきれるほど、自分の巫術は効果がなかったようだ。
「けど、刀なんて直せねぇだろ?」
■美澄 蘭 > ぱたぱたと、走ってくる音が聞こえる。
「すみません、保健委員です!
研究区で対規模な事故が発生したようだとの情報で来たのですが…何か、ご存知ありませんか…!」
かなり走ったらしく、少し息が切れているようだ。
■霜月 零 > 「ん?ああ…アレだな。俺らが一応退治した炎の巨人か」
事故と言うよりは暴挙などの類ではあるが、外部観測では火災事故の扱いだったのかもしれない。
「公安委員会薬物捜査研究所のサーバールームで、炎の巨人が暴れたんだ。まあ、それ自体はもう退治したから、後は怪我人だろうな。恐らく風紀の方がリストアップ出来るだろうから、必要なら明日にでも確認すりゃーいい」
■三千歳 泪 > 「うむ、ご褒美だ。礼はいらんよ。とっておきたまえ。って言ってるそばから保健委員っぽい子のご登場だ」
「すっごい偶然だねー。棚からぼたもち。瓢箪から駒ってこういうこと言うんだろうねー」
「こっちこっち! 怪我人だよ。怪物退治かなにかしてたんだってさ」
蘭に大きく手を振って呼ぶ。本体のほうはこれで心配いらないだろう。青年の得物に目を転じた。
「答えを出すには早すぎる。やってみなくちゃわからない。まあまあ一応見せてみなよ。だまされたと思ってさ」
■霜月 零 > 「…まあ、駄目なら処分しかねぇし、やるだけやってみてもらうかね」
言いながら、抜き身の太刀を差し出す。
刀身が歪んでおり、一部溶けたような跡がある。また、刃も一部欠けているようだ。