2015/07/22 のログ
ご案内:「異能研究特室」にダリウスさんが現れました。
■ダリウス > 引っ越しも終わり、必要な機材やコンピューターの揃った、少し大きめの部屋
窓にはブラインドが降ろされ、中は少し薄暗い
そんな薄暗い部屋で一人、モニターの明かりと向き合う中年の男
■ダリウス > 「超膂力…、やはり肉体由来の異能力、と決定づけるには少々難しいですねぇ…」
昨日、少年相楽満から採取した細胞片と血液
それらを分析したデータと向き合い、椅子を揺らす
ご案内:「異能研究特室」に来島宗仁さんが現れました。
■ダリウス > 「そして彼の言う病気とは筋ジストロフィーでしたか。そのような病を永らえさせてきたとは、やはり異能の力は面白いですね…ふふふ」
頬杖をつきながら、片手でカタカタとキーボードが叩かれる
■来島宗仁 > 異能研究特室。
その看板を見た途端、来島は嫌な予感を抑え切れなかった。
(大丈夫だ、異能研究なんてメジャーな分野だ。
世界中に研究者なんてゴマンといる。
『あいつ』と決まったわけじゃ……!)
大きく深呼吸。
動悸がやまない、吐き気がする、冷や汗が背中を濡らす。
それでも、来島は意を決してノックする。
どうかこの予感が、当たらないようにと祈りながら。
■ダリウス > 「…?」
明かりもついてない部屋を訪ねてくるとは、
何か特別な用事のある人間としか思えない
キーボードをトン、と操作して、モニタが別の画面へと切り替わる
「どうぞ、開いていますよ」
■来島宗仁 > 嗚呼。
その声を聞いて、確信した。
この部屋の中に居るのは――この世で一番、会いたくない人間だ。
無言で扉を開く。
大き目の部屋。薄暗い明かりの中。PCの前に座る男。
あの時から、寸分も変わっていない。
「――なんで」
■ダリウス > 「───君は」
驚いたような声と、表情
しかしその表情はすぐに穏やかな微笑みへと変わっていく
「君がこの島に来ていたとは驚きましたよ、来島くん。
お久しぶりですね…お元気でしたか?」
テーブルの上におかれたリモコンを操作して部屋の灯りをつける
そしてそのままに来島宗仁へと、まるで旧友との再会のように微笑み、
歩み寄って片手を差し出した
■来島宗仁 > 「――ッ、こっちの台詞だよ」
落ち着け、抑えろ。
もう涼子さんの事は諦めたんだろ。
大人になれ。こいつは氷架の父親なんだ。
握手して、あくまで冷静に――
ソ レ デ イ イ ワ ケ ネ エ ダ ロ
頭が痛い。
何かが、自分の中にある何かが。
目の前の男を、どうしようもなく拒絶している。
来島は手を取らず、目の前の男――ダリウスを睨み付ける。
「――なんで、今更この島に来るんだよ。
氷架の居るこの島に……!」
■ダリウス > とってもらえなかった右手を苦笑しながら下げる
「僕は異能力の研究者ですからね。
このたびドイツの研究所からこちらへ出向…いえ、異動といったほうが近いですね。
特室まるごと引っ越しになったわけです。
現在世界中で最も異能力の研究が進んでいるのは此処の研究区ですから」
微笑んだままに、つらつらと理由を説明していく
「相変わらず娘とは仲良くしていてくれているみたいですね、ありがとう。
……あの頃より、少しは大人になれましたか?来島くん」
■来島宗仁 > ああ、正論だ。
この上なく正論だ。
そうだ、この男にとっては異能の研究が全てで、それで――
痛い。頭が割れるように痛い。
この男は、氷架の父親で、涼子さんの夫で、研究しか興味がなくて、それで――
「――ぬけぬけとッ!
涼子さんを失った氷架が、どれ程あんたを求めて、た、と――!」
雪城涼子が死んだ時。この男、ダリウスは、氷架の側に居なかった。
母を目の前で失い壊れかけていた氷架を、この男は――
(なんで――記憶が、曖昧なんだ?
そうだ、この男は、あの時――)
「う、うぅぅ――!」
頭痛がする。
何でだ、こいつの事を考えると、何でこんなに頭が――!
宗仁は頭を抑え苦悶の声を上げる。
どうしてだ、頭痛の持病なんて無かったはずなのに!
■ダリウス > 「……来島くんには感謝していますよ。
あの子の、氷架の支えになってくれた。
ありがとうという言葉では足りなくらいです」
まくし立てる来島を意に介した様子もなく、笑顔を浮かべたままに言葉を紡ぐ
「君の言いたいことはわかりますし、間違っているとも思いません。
娘が一番辛い瞬間に、僕は側にいれませんでしたからね。
父親失格だと罵られても僕はそれを受け入れるしかできませんよ」
と、目の前の来島の様子がおかしいことに気付く
一瞬、ほんの一瞬その表情に陰かかかる
「…大丈夫ですか?来島くん。君が偏頭痛持ちだった記憶はありませんが…。
ひどいようなら保健課を呼びましょうか」
■来島宗仁 > 「――いえ、ガキみたいに騒いですんません。
そっちの事情は知らないし、知ったこっちゃないですがね」
なんとか頭痛を堪え、再び睨みつける。
そうだ、今ここでこの男をどうする事も出来ない。
ただでさえ、あんな事を――氷架と『炎の巨人』の事をこいつが知れば、実の娘だって実験体にしかねない。
「俺がその保険課っすよ――大丈夫、暑さのせいでしょ、多分」
手を振って、助けを拒絶する。
こいつに助けられるのなんて、死んでも御免だ。
「――氷架には、来た事、知らせてるんすか?」
■ダリウス > 「…無理はしないように。熱中症は怖いですよ」
微笑みを崩さないまま、そう答えて
「いいえ、なにせ突然決まった異動だったもので、準備に追われてしまいまして。
落ち着いたら涼子達には連絡しようと思っていました。
…あ、そうだ。コーヒー飲むでしょう、来島くん」
にこにこと笑ってカップを取り出してくる
■来島宗仁 > 「――いえ、これから行く所があるんで」
軽く頭を下げると、踵を返す。
これ以上、この男のツラを見て声を聞いているだけで頭が捩じ切れそうだ。
――何としても、氷架をこいつから守らないといけない。
そう決意しながら、来島はゆっくり背を向ける。
■ダリウス > 「おや、そうですか」
残念そうに肩を竦めて
「来島くん、氷架のことをよく見てあげてくださいね。
あの子は君を実の兄のように慕って懐いていますから。
……この地に、あの子の力を利用しようとする人間がいないとも限りませんしね」
そう、背中に向けて声をかけて
「勿論、僕も娘は大事ですから、そんなことはさせませんけど」
とつけくわえた
■来島宗仁 > (――てめぇの事だろうがッ!!)
声が喉まで出かかるのを止める。
ダメだ、今声を出したら罵声しか出ない。
一刻もはやくここを出て、括流に相談しないと。
氷架の彼氏に嫉妬なんかしてる場合じゃねぇぞ――!
扉を出る際にもう一度軽く会釈したのが最後の理性だったのか。
乱暴に扉を閉めると、来島は耐えられないとばかりに走り出した。
――後に来島は、この日の事を後悔するだろう。
『あの時殺しておけば良かった』と。
ご案内:「異能研究特室」から来島宗仁さんが去りました。
■ダリウス > 「……あぁもう、立て付けが悪くなるじゃないですか。
はぁ、彼は相変わらずですね……」
やれやれ、肩を落とす
「恋敵とはこうも根が深いものでしょうか。
……いえ、来島くんの場合はもうそれだけではないのかな」
カップを一つ戸棚に戻して、手元のカップにインスタントコーヒーを注ぐ
部屋の中に良い香りが立ち込めていく───
椅子に座りなおし、キーボードを叩く
表示された映像は先程のものではない
「さて、涼子に電話───は、もう少し待ったほうが良さそうかな…?」
モニタには、実習区で少年と話をする雪城涼子が映し出されいる