2016/06/19 のログ
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > ルギウスから齎された怪しげな魔導書に描かれた術式は,ほぼ完全に模倣した。

古典魔術の部類であるガンド撃ちとルーン魔術の複合術式。
尤もガンド撃ち自体はさほど複雑な術式構成を必要とせず,
効果も限定的かつ単純なものであるため,
その魔術的特性や効果はルーン魔術によって定義される。

されに,北欧の魔術に属するが系統の異なる両者の親和性は高いとは言えず,
この術式の行使には非常に高い術式構成力が必要となるだろう。

獅南蒼二 > 興味深いことに,この複合術式の考案者は,術式を仕込んだルーンを石や武器に刻み,
それを触媒とすることで術式を簡略化することに成功している。
それでもなお高い技量を必要とすることに変わりは無いのだが……

「…………。」

久々に,彼の机上や床には大量のメモが散らばっていた。
そのいずれも,目がチカチカするような魔術言語がびっしりと描かれており,見る者が見ればそれが術式であると分かるだろう。

新たな術式を模倣したのなら,次は改良を加えるのみ。

獅南蒼二 > 銃弾などを利用したルーン魔術の発動実験は成功に終わっている。
だがそれは,ルーン魔術のスクロールを銃弾に埋め込んだのと何ら変わらない。
問題は,ガンド撃ちという単純な術式に,いかにしてルーンの属性や結果を重ねるか。
そしてその効果を状況に即応して入れ替える工夫が必要だ。

「……………。」

重厚な扉を開け放ったままに,獅南は何時間もそうして,机に向かっていた。
食事もとらず,睡眠もとらず,トイレに立つこともない。
およそ人間性の欠片も無いような姿ではあったが,獅南にとってはむしろ,その方が自然である。

友を殺すために用意するべき“最高の魔術”にはまだ程遠い。

獅南蒼二 > そも,最高の魔術とは何か。
獅南にとって,その言葉は特別な意味を持っていた。

魔術とは,全ての不可能を可能にし,この世とこの世の外の全てを生み出し操る力だ。
初歩的なものであれば光や炎などの現象を生じ,
伝承にある偉大なものであれば,この世界そのものを創造する。

獅南蒼二 > 異能とは,限定的に不可能を可能にする力だ。
魔術がそれを超越するためには,際限なく不可能を可能としなければならない。

異能と同様に,1つ1つの術式は限定的な効果を発揮するに過ぎない。
だがそれら全てを手にしたとき,人の思い至るすべての不可能を可能としたとき。
その時にこそ“最高の魔術”は完成する。

獅南蒼二 > 獅南にとって“最高の魔術”とは,特定の術式を指す言葉ではない。

その高みに至るためにこの白衣の男は,
この部屋に並べられた魔導書も,ルギウスから齎された魔導書も。
生徒が異世界から持ち込んだ魔術や、誰も見向きもしないような古典魔術まで,
全てを模倣し,全てを記憶する。

獅南蒼二 > たった1人の人間には,
あまりに荷が重すぎる所業だと,知りながら。

ご案内:「魔術学部棟第三研究室」から獅南蒼二さんが去りました。