2016/06/28 のログ
■獅南蒼二 > 雷が苦手と言っていたが,それだけでは芸が無い。
電流を流すだけならスタンガンでも倒せる。だが,それでは意味が無い。
あの異能者のもつ力を全て引き出し,その全てを打ち負かさなければならない。
どんな手を使おうとも,どんな理不尽な力を発揮しようとも,その全てを“想定内”として対応する。
そうでなければ,魔術学が完全に勝利したとは言い難いだろう。
それでは“最高の魔術”によって殺すと約束した相手に,失礼というものだ。
「………………。」
一つ,あの異能者は金属を操り,無限にそれを生成する。
……つまり,非金属は操ることが出来ないと想定できる。であれば,生成された金属の自由電子や“腐食”させてしまえばいい。
錆は不純物となり,彼の異能を妨げるだろう。
一つ,あの異能者は恐らくだが不死に近い身体をもち,尋常の打撃で滅するのは不可能に近い。
というのも,あの話を鵜呑みにするのであれば,あの身体は彼自身のものではない。
……つまり,彼の本来的な姿である“犬”を引きずり出す必要がある。物理的にも,そして“存在”としても。
■獅南蒼二 > 一つ,あの異能者は非常に高い運動能力を持っている。
……つまり,犬らしく首輪を繋いでやらない限り,人間である自分に勝ち目はないだろう。
一つ,あの異能者は魔術学を学んでいる。
……一切発動できないと語っていたが,発動ができないだけなのであれば構成することはできるはずだ。
一つ,あの異能者は魔鉱石を纏っている。
……尤もこれはプレゼントしたものなのだが,魔鉱石によって単純な魔力は勿論,並大抵の魔術であればほぼ無力化されると思って間違いない。
だが同様にして,対策をしていないとすれば前回の闘技場での時と同様に,その魔力が鎧の中身を押しつぶすことになろう。
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」にクローデットさんが現れました。
■獅南蒼二 > 問題は,果たして本当にあの異能者が“戦う気”なのかどうかということだ。
友人として,確かに面白い男だと思うし,信用すべき男だとも思う。
だがそれは互いに思想が真っ向から対立しながらも,
通ずる要素を持っているからに他ならない。
“人になりたい”と願う理不尽な力を持った人外の者と,
そんな人外の者を羨みつつも“人の限界を知りたい”と切望する者。
この白衣の男は……そう,人の限界を知るためになら,何でもする。
果たして“敵”は同じだけの熱量を持っているのだろうか。
■クローデット > 以前、不意の醜態を曝してしまってから…この研究室に立ち寄るのも、少しぶりになるだろうか。
正直、クローデットとしても気は進まなかったが…色々と「調べたい」ことも「調べなくてはならない」ことも出来てしまったので、数多くの魔術に通じているこの男を頼らずにはいられなかったのだ。
「………」
珍しく…しばし躊躇いを見せた後、扉をノックする。
研究室の主が、自分も関わりのある案件に思いを巡らせていることを察しないまま。
「失礼致します…獅南先生、いらっしゃいますか?」
■獅南蒼二 > ヨキにはあの魔鉱石を投げつけて以来,会っていない。
だからこそ,この“一人相撲”にならないかという不安は全くの杞憂であったが,
それを獅南蒼二は知る由も無かった。
それどころか,ヨキが己を“喰らいたい”と欲しているなどと,夢にも思いはしないだろう。
……それは獅南の慢心であり,そして彼に似合わず相手を信用したことの弊害に他ならなかった。
「……クローデットか?鍵は開いている。」
思考は中断され,獅南は小さくため息を吐いてから,そう答えた。
■クローデット > 「それでは…失礼致します」
改めて挨拶をすると、重い扉を出来るだけ静かに動かし、研究室に入ってくるクローデット。
獅南と「ある異能者」の殺し合いに関与する、数少ない人間の一人。
「幻術と…呪術の分類についての調べ物に助言を頂きたく参りました。
………お忙しいようですから、あまりお時間は頂きません」
そう、もの静かに告げた。その姿勢から、いつもの甘やかさは随分なりを潜めている。
先日の「醜態」を、クローデットなりに気にかけているのかもしれない。
■獅南蒼二 > 先日“取り乱した”様子は克明に覚えているが,
それを掘り返すことはしない。ただ,努めて普段通りに話す。
「さて,どれほどの助言をしてやれるかは分からんが…言ってみろ。」
幻術や呪術は正確には専門外ではあった。
とは言え,それでも十分な知識を得ている自信はあったのだが…。
■クローデット > 「ええ…「形の定まらぬ」欲望に「夢」を与え得るような幻術と…
人を辱めるため「だけ」の呪術について、少し調べたいと思っておりますの」
静かな口調の割にどちらも大概だが、後者は一応必要に迫られた調べ物である。
落第街を中心に、奇妙な怪異と、それが与えているらしい「呪い」についての噂が出回っているのだ。
落第街が舞台となると、一応公安委員である魔術師でもあるクローデットにお鉢が回ってくるのである。色々と。
今は次の「作戦」のために落第街へ出るのを控えさせてもらっている分、調べ物についてはかなりのプレッシャーをかけられていた。
■獅南蒼二 > 「漠然としているな…それは幻術というよりかは操心術ではないか?
それに後者も“辱める”といっても多岐にわたるだろう?」
質問の意図が分からないというほどではなかったが,即答できるようなものでもなかった。
クローデットにしてはあまりにも杜撰な質問であるし,内容からして問題ないのかも知れないが,防諜を張っているわけでもない。
相変わらずか,と,内心にため息を吐きながら…
「……無意識の内に秘められた欲望を肥大化させる操心術ならその棚にテキストがある。
人を辱めるだけの呪術というのは聞いた事も無いが……かつて拷問に使ったとされる魔術はその棚の黒い冊子だ。」
で,この話は聞かれても構わなかったのか?と,問いかけてみよう。
■クローデット > 「そうですわね…軽度の精神干渉との併用になるでしょうか。
後者は………」
きゅっと、不愉快そうに眉が寄る。
理想化されない、生身の女性らしい…どこか、クローデットらしくないイメージのある表情。
「………一般的な人間の羞恥心を煽り、自尊心を貶めるような形に、肉体や外見を操作するもののようです。
あたくしも、実際の被害者はまだ目にしたことがないのですが」
そして、「聞かれても構わなかったのか」と聞かれると、ふと気付いたようで。
「………確かに、職務絡みとはいえ聞かれないに越したことはなかったかもしれませんわね。
さほど、影響があるとも思えませんが」
「今からでも?」と、改めて防諜を頼めるか首を傾げて確認する。
■獅南蒼二 > 「よく分からんが……つまり,嫌な物を見せる魔術と言うことか?
もう少し詳細な情報が欲しい所だが……。」
首をかしげつつも本棚から何冊かの本を取り出した。
“相手が嫌がるものを模倣する”というのは古来からある防御法の1つだ。
それに関連するテキストは山ほどあるし,同様にしてそういった力をもつ魔物も数多く存在する。
有名どころは,某小説に出てくるモノマネ妖怪のボガートあたりだろうか。
「……このあたりか?少し目を通してみろ。
それと,疲れているのなら休んだ方が良い……判断力の低下は魔術師としては最も危険な状態だ。」
そう言いつつも静かに手を翳して,全ての扉に鍵をかけ,防諜魔術を展開した。
これでこの部屋の中で核爆発が起きても,外では何も聞こえないだろう。
■クローデット > 防諜魔術が展開されると、安堵したように一つ、息をついて。
「ありがとうございます。
…大したことではありませんわ。先日の「醜態」を、思い出してしまっただけです。
…いくつか「楽しみ」があって、「はしゃいで」いたのは否定出来ませんが」
そう言いながら、とりあえずは操心術のテキストに目をやりつつ。
「………「被害者」を「目にする」と申し上げましたでしょう?
肉体や外見を操作「される」のは、被害者自身なのです。
あたくしも人狼の呪いやそれに近しいものなら存じているのですが…それらの類型とは、まるで別物のようですので」
操心術のテキストをめくりながら、呪術について追加の説明をする。
■獅南蒼二 > 「ほぉ,確かにあまり類例を見ない呪術だな?
と言っても,それが本当に“変化”を伴っているのか,そう感じさせるだけなのか,それによってもまったく系統は異なる魔術だろう。
前者であるのなら,それは“呪術”というよりかは被害者の心理を具現化する術式を疑った方が良い。
心理的なウィークポイントを探り出し,最も“なりたくない”と思う物に変化させるのであれば……術式の構成次第では可能だろう。
この可能性をとる場合,呪術的な術式を活用しているのは前半だけだ。後半は単純なる変身魔法だろう。」
面倒なやり方だが,同じような術式例はどこかで見たことがあるよ。と小さく頷いた。
その考察が正しいかどうかは別として,可能性の1つとしてはありうるだろう。
■クローデット > 「あくまであたくしも伝聞の情報ですので、断言はできませんが…
「被害者」には一定の傾向があるようですので、その可能性はあまり高くはないかもしれません。
…もっとも、「ヒト」の欲の生来のものと、環境によるものとを厳密に分けようとするのもあまり賢くはありませんわね。
欲望の「型」を社会的にある程度定められた結果、そのような術式が似たような形で顕われる可能性は、それなりにあり得るでしょう」
静かに応えながらも、その表情はいつもの色をわずかだが取り戻しつつあった。
獅南の仮説は、「事案」に対処する上でというよりは、個人的に興味深いものだったのだ。
(あの「玩具」…そのような細工を施されたらどのような形になるのかしら?)
まあ、クローデットの望むような結果が出る可能性にわざわざ賭けるよりは、もう少し方向性を定めて「遊んで」やる方が面白そうなので、考えるだけに留めるのだが。
「とにかく、今あたくしに必要なのは、呪術の対象の肉体や外見に作用する形の中で、珍しい類の呪術の知識を一通り確認することなのです。
…どうも、解呪の際のあてにされている節がございまして」
まあ、得意な魔術を正直に申告していればそんなものだろう。
珍しい術式を目にする楽しみも無論あるが、「公安の仕事じゃないのに」という不満の方もないわけではないようだった。
■獅南蒼二 > 「……ふむ,すまないがそれだけでは何とも言えん。
尤も,呪術の知識を得たいのなら,ここよりも禁書庫にアクセスするべきだろう。
私はこの通り,恨みや呪いなどとは無縁の人生を送っているのでな。」
冗談っぽくわらいながらも,机から取り出したカードを差し出す。
研究用のID…禁書庫にアクセスして,しかもそれを借りられるというスグレモノだ。
尤もすべて借りられるわけではない。だが,閲覧だけならフリーパスである。
「お前のことだ,自力で探す方が楽しいだろう?
1つでも多くの術式を頭に入れておけば,どのような体系の魔術が応用されているのかすぐに分かるだろう。
……分からなければその時は,お前の感性だけが頼りになるだろうが,な?」
それをクローデットに投げ渡す。
獅南は無数の体型にわたって様々な術式を記憶しているが,だからこそ一つの“結果”だけでは術式を特定することはできなかった。
それこそ,様々な方法で同じ結果を齎すことが出来る。
「一定の傾向があるのならそれこそ,ただの変身魔法でだって可能だ。
私はそれを見ていないし,聞いた事もないからこそフラットに推測しているが……お前に呪術だという確信があるのなら,その線であたってみることだな。」
■クローデット > 研究用のカードを投げ渡され…何とか落とさずに受け取ってみせるが、その目は驚きで大きく開かれていて。
「………確かに有難いですけれど…よろしいのですか?」
自分が同じ立場にあったら、絶対にこんなものを貸さない。
信じ難いものを見る目で、獅南を見つめた。
「確かに…まだまだ情報が足りませんわね。
どうも、悪魔か、それに類するものが原因らしいという程度ですもの。
…今抱えている「案件」が片付いたら…あたくし自身の足も使って、詳しい情報を探ろうと思いますわ」
周囲から伝わってきているのが「呪術」という扱いだったので、クローデット自身もまずその方面から探っていたのだった。
…だが、フラットに見れば獅南に分があるのは明らかである。そう応えて、頷きを返した。
■獅南蒼二 > 「そうだな……期限は1週間だ。
それに,そのIDはあくまでも研究用だからな…私に責任が発生するものではない。
つまり……言いたい事は分かるな?」
肩を竦めて,楽しげに笑う。
結局,全て自己責任だということだろう…それだけ慎重に動けと,言っているようなものだ。
「悪魔と言ってもこれまた多岐にわたるからなぁ…。
その問題,どうやら相当に先は長そうだ。当分退屈せずに済むぞ。」
楽しげに笑えば,パチンと指を鳴らして防諜魔法を解除する。
■クローデット > 「…承りました」
そう言って目を伏せ…口元だけで、柔らかく笑んだ。
おかげで、「案件」決行の日まで退屈せずに済みそうだ。
「ええ、そうですわね…先生が抱えていらっしゃる「案件」と、どちらがより退屈せずに済むかしら?」
こちらも楽しげに笑み返す。
防諜が切られたのを察知して、「案件」の内容自体はぼやかした。
■獅南蒼二 > 「……さて,どうなるか。
私の方は,見世物にでもしたら儲かるかも知れんなぁ。」
そんな風に苦笑しつつも…クローデットの表情を見て,小さく頷く。
危うさは消え失せていない。ともあれ,暴発するほどではあるまい。
そう判断したか,一切言及することは無かった。
暴発の危険があるのは,自己の欲望も,同じ事だろうから。
■クローデット > 「見世物になさるかどうかはお任せ致しますけれど…
使用した術式は、是非教えて下さいね」
そう言って、柔らかく笑みを浮かべる。
別れ際にようやく、クローデットはいつもの様子をほぼ取り戻したように見えた。
「それでは、失礼致します。
…調べ物の結果は、借りたものをお返しする際に、ご報告致しますわ」
と言うと、品の良い所作で礼をして。
クローデットは、獅南の研究室を後にするのだった。
「暴発」を未だ知らぬことが最大の幸福という「悲惨」を、まだ大事に抱えたまま。
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」からクローデットさんが去りました。
■獅南蒼二 > あぁ,構わんとも。
軽くそうとだけ答えて,鉄の扉が閉まるのを待つ。
「……私が生きていればな。」
誰にも聞こえぬよう,自嘲気味にそうとだけ呟いた。
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「研究区内にある検査用個室」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
■奥野晴明 銀貨 > 結局この間誘拐された後、意識を昏倒させる謎の薬を暴漢たちに打たれたせいで
大事な検体に何か副作用があっては大変だと大騒ぎされて研究区内の個室に担ぎ込まれてしまった。
ここに連れて来てくれたのは蓋盛だという。
彼女にかかればたちどころに不都合も不具合も治してくれそうなものなのだが
まぁせっかく研究所で診てくれるというのだからしばらく世話になるしかないのだろう。
病室そっくりの白い壁とリノリウムの床に、病院用のベッドがしつらえてある。
そこにダラダラと横になりながら銀貨は自分の携帯端末をいじっていた。
各種連絡と通達。
一つ目、生徒会の執行役員の整理が常世財団側から通達された。
何故この時期に、とは思わないでもないがそこは財団側の何らかの事情なのだろう。
銀貨のあずかり知らぬ理由で取り決めが進み、そしてあまり生徒会で抜けても問題ない役員がリストラされることとなっている。
つまり、銀貨もその中に含まれていたのだ。
もともと積極的にそれほど生徒会へ関わっていたわけでもないのだから
この判断は仕方ないし、異議を唱えるつもりもない。
もしかしたら今後、財団側が生徒会を掌握しもっと都合の良い形でこの島や学園を運営していくのかもしれないが
まぁその時はそれである。そういうことの専売特許は風紀や公安へ任せればいい。
■奥野晴明 銀貨 > 二つ目、その余波で今まで知り合っていた役員の先輩後輩たちが
今回の件でなんだかんだと銀貨にアプリやメールを送ってきたこと。
せっかく生徒会で出来た縁をもったいながるようなコメントや
今回の判断に納得がいかない旨、横暴ではないかなどの愚痴や不満
私達と先輩は役員同士じゃなくてもズッ友だょ……みたいな内容。
また気軽に遊びに来てくださいなどの言葉。
思わずくすりと笑ってしまう。たかだか役員を降ろされたくらいで
今生の別れでもなし、大げさな表現や付き合いのなかった相手からもよこされたメッセージに
つくづく縁に恵まれていたことを感じて感謝する。
そういえばこの間ラウンジでおごったあの男女はどうなったのだろう。
うまく行っているといいのだがと、思わずにいられない。
■奥野晴明 銀貨 > 三つ目、この間の誘拐未遂事件を受けてか、生徒会役員を降ろされたことについてか
義父であり資産家の奥野晴明氏が珍しく連絡を取ってきたこと。
文面は簡素であり、特に誘拐を心配する様子も叱責する様子もなく
ただ今度常世島を訪れるので一緒に食事を摂ろうと言う内容だった。
忙しい身の上の義父からそのように誘われるのは初めてに近い。
ただ単に家族の団らんというわけでもないだろうし、何かしらの魂胆や無理難題を切りだされるのかもしれない。
まぁそうなったとしても拒否する権利が最初から銀貨にあるわけではないのだ。
奥野晴明という男は他人に何かを命じるとき相手に拒否権がないものとしてすすめる。
「憂鬱だなぁ……」
読み終えた各々の文面を閉じて携帯端末をぽいとベッドの端に投げる。
検査も一通り終えたのだし、特に異常や問題も見つからなかったのだから体調も悪く無い。
外出許可も登校許可も出ないのでただただ退屈である。
そして、義父との面談は気が重い。
役員の仕事から開放されたはいいが時間が急にできると何をしていいかわからなくなる。
彼女とイチャつけばいいのだが、向こうも教師だし学級一つ預かる身であるから
あまり拘束してはいけない気もする。
「先生、寂しい」
今はいない相手に向かって呟いてみるがどうにもならない。
■奥野晴明 銀貨 > 薬の影響で一週間分ぐらいぐっすり眠らされた影響もあって
横になっていても別段眠くはならない。
結局ベッドを降りて裸足で窓際までゆくとカーテンとガラス窓を開く。
外は梅雨空で生憎の曇り模様だった。生ぬるい風が室内へと吹き付ける。
ミルクティー色の淡い髪を風で揺らしながらそっと空へ手を伸ばす。
指先から解けるように現れたのは白い鳩たちだった。
一羽が生み出され、空に羽ばたいて遠ざかっていくとその後に続いてばさばさと
複数の鳩達が銀貨の手から飛び去っていった。
風にのって島の各地へと散らばっていく彼らを見送って再び窓を閉める。
退屈が高まると大抵自分の異能を使ってこの島の面白いことを探りに行くのが銀貨の趣味だった。
自身が直接触れなくとも自分の軍勢たちが目となり耳となって様々な情報を運んでくれる。
欲を言えば人と会って対面で話をして得たいものだが、それが許されない場合が多かったから編み出した抜け道とも言える。
再びベッドに腰を下ろす。裸足の脚をぷらぷらと動かしながら
「退屈だなぁ……」
と一人ごちた。
ご案内:「研究区内にある検査用個室」から奥野晴明 銀貨さんが去りました。