2016/10/15 のログ
ご案内:「魔術学部棟第2研修室」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > その日,普段は使われていない第2研修室の使用許可を申請したのは獅南蒼二だった。
授業ではなく,魔術学に関する研修と報告会,という漠然とした名目で。

そしてその場に集まったのは,獅南の元で学ぶ“凡人教室”の生徒たち。
在学している者,既に卒業しながらも研究者として島に留まった者,
そして,卒業後も光の下は歩けず,落第街の薄暗がりの中で生きることを見出した者。

「…時間だ,始めるとしようか。」

扉の鍵は内側から閉じられて,研修室へは何物も入り込めなくなる。
尤も,ノックをすれば中のだれかが開けざるを得ないだろうが。

獅南蒼二 > 獅南は自分を頼って集まったに等しい“凡人教室”の生徒のために,年に数回,こういった勉強会を開いていた。
彼らのほとんどは,魔術の適正が無い,もしくは著しく低い生徒である。
最近,異能者に対しても門戸を開いたが,いまだこの“凡人教室”に異能者の姿は無い。

「…面白い話が聞けることを,期待しているよ。」

かつて凡人でありながらも,己の努力と研鑽によって,魔術学に関する職を勝ち取った“先人”の話。
そして,彼らの研究する魔術学の最前線の動向や,成果。
それは,この島に於いて弱者であり,己を守ることさえ難しい“凡人”にとっての指標となるだろうし,希望ともなるだろう。

獅南蒼二 > 研究者として働く卒業生は,機密に触れない程度でしか話すことはできないでいたが,
今回の研究に関しては獅南の論文が出発点となっているため,その大部分を発表することができていた。

魔力の蓄積,そのための触媒,変換,還元。

獅南の難解な授業を受けている生徒たちにとっても,それはあまりにも難度が高く,
それだけにそこに立つ男は,憧憬を抱きうる姿として映るだろう。

そして,発表を終えた男に対して,獅南の元で数年間学んだ“先輩”たちがいくつかの的を得た質問を投げかける。
獅南も意見を述べ,その場で解決を見ないにせよ,今後の研究にとって貴重な指針がそこに生み出される。