2017/01/11 のログ
ご案内:「羽月研究所」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 > 「現実固定値は正常、
 封印値が……84、少しズレてるな。」

研究区の大通りを小道に入り、少ししたところにある研究所。
羽月 柊の個人研究所兼自宅である。

柊は一本の首輪のベルトの装飾を弄り、そんなことを呟いている。
彼の傍らには、1羽の鴉が止まり木で羽繕いをしている。

羽月 柊 > 施設内は小型の龍が十数匹飼育されており、
普通の龍はもちろんのこと、腕が翼になっているワイバーン型や、
翼のないタイプの龍も居る。

違和感はといえば、皆一様に"小さい"ことだ。
ヒトの背を超えるモノは居らず、どの龍も小さいものは手のひらサイズから、
多少背に乗ることが出来る程度だろうか。

「…どうも安定が悪いな。
 外出はしても良いが、フェリアかセイルは連れて行くようにな。」

羽月 柊 > はぁ、と男は軽く溜息を零し、
首輪のベルトから片手を離すとその紫の長い髪を掻き上げた。

――羽月 柊という男。

研究者。何かと妙な噂の絶えない研究区の中でも、
彼は比較的まともなのかもしれない。

竜、龍、ドラゴンを主に研究対象とする傍ら、
本人が"息子"と呼ぶ1人の合成獣"キメラ"少年を常世学園に通わせるため
常世島に研究所を構えた、とされている。

本人は教鞭をとる気は今のところはなく
研究成果を学園に資料として一部提供することで、
この狭い島に研究所を持つ許可を得ているようなモノであった。

「……今のところ成龍は…、あぁ、そうだな。」

傍らの鴉と男は普通に会話をしているように見える。
見た目は普通の人間。そして実際に柊は普通の人間である。

ただ龍に対する執着心や庇護心が、
龍と対話させる為の方法を得るに至ったまでである。

羽月 柊 > 傍らの鴉とも会話できるのは、それに何かしら龍の因子があるのだろう。
よーく見てみれば、鴉の小さなその足は、
鳥足ではなく爬虫類のようなそれだったからだ。

「……それにしても、相次ぐ異形事件やら、
 異能暴走……いつになっても心配事は絶えないな。
 ………お前は謝らなくていい。」

会話を続ける鴉に手を伸ばして撫でやる。
その手には生傷が絶えなかった。


研究所内ではケージに入っている龍がほとんどではあるが、
それでも外には出してやらないとヒトも龍も気は滅入る。

小さい龍ばかりではあるが、幼体も成体もここには居る。
懐いている個体でも、噛まれる時はあるものだ。

羽月 柊 > 「……あぁ、暗い話ばかりではないぞ。
 もうすぐ"弟も孵る"だろう?
 弟が増えるんだ……お兄ちゃんはしっかりしないとな。」

ふふ、と外では淡白な反応の多い彼は鴉に向かって笑う。

平穏無事にというのは、この世界では少し難しい。
それでも、男は優しい笑みを龍達に向ける。

これだけの龍が居て、ただの人間のこの男が食い殺されない理由。
龍にだけは特別優しい男。

――【大変容】を迎えたこの世界でも、龍の珍しさは変わらない。

その生態は謎に包まれ、時に神のように、時に魔王のように、
そして時にヒトに寄り添い、ヒトに牙を向く。
全てを滅ぼさんとし、全てを守ろうとする。

そんな不思議な生物の研究に生涯を捧げると誓ったのが、彼であった。

「そろそろ"取引"や"オークション"もあるしな……
 また、家族が増えるさ。」

手に持っていたベルトをコトリと机の上に置き、
珈琲を啜った。