2017/09/05 のログ
ご案内:「異能力研究所ロビー」に黒峰龍司さんが現れました。
黒峰龍司 > 研究区…ここはある意味で魔境だ。無論、男が居る世界にもこのような区画を要する街はあった。
だが、それは魔術や機械、生体研究が中心であり「異能」に関してはむしろ希少ですらあった。

それに比べ、この研究区は異能の研究、開発、測定…その他エトセトラエトセトラ…至れり尽くせりだ。

(――ま、落第街で聞きかじった限りじゃあ非合法な人体実験かましてる所もあるんだろーがな…)

と、心の中でボヤきながら男はソファーの一角に身を沈めてボンヤリと天井を仰ぐ。
男が今居るのは異能力研究所の一つ…の、ロビーだ。主に「規格外」と判定された者…
能力が未発現、またはあっても詳細が不明な生徒に関する研究を中心とした施設。
最近、とある知り合いの力の余波を受けて異能に”目覚めた”男は、偶にこうして研究区を訪れている。

目的は当然、自身の異能の解明――なのだが…

「……形がねぇ雛形って言われてもなぁ。仮称が《無形》ってまんまじゃねーか…」

先程、研究員から聞いた話を思い出しつつ溜息。手には一枚のプリント。自身の測定結果が数値やグラフとして出ている。
それを見る限り、異能が”ある”のは確定らしい。これは他の研究所でも測定してみたが同じ結果だった。

…問題は、結局これも同じ結果だったのだがその詳細は全く分からんという事だ。

黒峰龍司 > 何時もならここらで一服している所だが、ここは一般生徒も出入りする…つまり未成年も多い。
だから喫煙所が無い。後でめっちゃ吸ってやろうと思う。一服しないと考えが纏まらない。

「…形が無い…無形…型に嵌まっていない。つまりは”固定されていない”って事か」

目覚めたばかり、というのもあろうがハッキリとした力の方向性が決まっていない、というのが研究員の見解だ。
男は異能には疎いので、そこは異論も何も無いのだが…しかし、まぁ。

「…現状、様子見しかねぇわな。魔術とかで今ん所は事足りるしよ」

不安要素があるとすれば、自身が経験に乏しい強力な異能持ちと”敵対した場合”。
落第街ではよくある事だが、正直魔術とは別種の力となると分が悪い。
それ以外ならまぁ負ける事は少なくとも無い、と傲慢なくらい断言出来る。

「……力の方向性を定める…つっても、魔術とは勝手が違うとなると手詰まりだしな」

天井から視線を前に戻しつつ。研究員、生徒、またはその家族。ロビーを行き来する人々を眺め。

ご案内:「異能力研究所ロビー」に黒峰龍司さんが現れました。
黒峰龍司 > 「…ま、そもそもまともに使えもしねぇ、発動もしねぇとなると無いのとそう変わらねーってこった」

前を見つつ独り言を呟く。詳細不明の異能者なんて、この世界、もといこの島にはゴロゴロ居るだろう。
自分もその仲間入りをしただけの事だ。まぁ、いずれ力が固定される時も来るだろう。
…まぁ、それで内容がしょうもない力だったとしても笑い話くらいにはなる。

(形がねぇって事は、まぁ要するになんにでもなれるって事と思えば――…あん?)

そこでふと疑念が一つ。それを口にしようとして…止めた。馬鹿らしい。ソレは都合がよすぎる。

ご案内:「異能力研究所ロビー」に黒峰龍司さんが現れました。
黒峰龍司 > 「……そりゃ流石にねーわな…そうだとすると都合が良過ぎるっつぅか――」

無形としての今の状態が己の異能の正しい形だという事になる。
そもそも、仮に”ソレ”が正しいとして反動、制約、代償…その手のものが必ずあるだろう。
そうでなければふざけた笑い話にしかならない。そもそも、別に男は”ソレ”は望んではいない。

「…あーーー駄目だ、やっぱ異能なんて魔術に比べたらサッパリわかんねぇ」

と、ロビーの一角にあるソファーにダランと体を預ける黒スーツにサングラスの男。
ぶっちゃけ目立つ。往来の人々も、何でこんな場所にアレなタイプの奴が?という目で時々見てくるし。
まぁ、男はそんなのはぜんぜん気にしないのだが。好奇の視線は慣れている。

黒峰龍司 > 「…よし、気分を変える為にも一服するか。つぅか長居してもしょーがねぇし」

そもそもこの研究所での測定は終わったのだ。あくまで異能中心の測定だから自身が龍種だとはバレてない…いやバレてるかもしれない。
まぁ、それはそれでも問題ない。バレたら面倒なのは龍としての本質の方だから。

そのまま、気だるそうにソファーから立ち上がる。懐のタバコの箱の感触を確かめつつ、そのまま研究所を後にするのであった。

ご案内:「異能力研究所ロビー」から黒峰龍司さんが去りました。