2018/11/25 のログ
ご案内:「落第街・薬学地下研究施設」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 地下とは思えない広大な空間。
地上の雑多な街とは違い、整理され、清掃され、整頓された研究施設。

この施設の最大の特徴は何よりも臨床実験のデータが豊富にあることだろう。何せ、人体実験の素材は幾らでも湧き出るのだから。
尤も、今この施設に響くのは機材が作動する音では無く、重々しい金属音と、重厚な砲声。そして逃げ惑う人々の足音と悲鳴であった。

「抵抗は無意味だ。大人しく降伏し、私の指示に従…といっても、この混乱ではな。潜入した部隊は、上手くやった様だな」

偽装されていた正面ゲートを爆砕し、正々堂々と侵入した此方が暴れまわっている間に、潜入した特殊部隊がデータの奪取と施設の機能を停止させるという作戦は予想以上の成功を収めていた。

既に此方と戦闘していた戦闘用のアンドロイドは尽く動きを止めており、自身の異能で召喚された鋼鉄の異形達は次々と施設内に侵入して敵を排除している。
その後ろを護衛の異形を引き連れ、のんびりと闊歩している。どの辺りで潜入した部隊と合流しようか、等と考えながら、懐から取り出したチョコレートを口に放り込んだ。

神代理央 > 出入りする人間を極力抑える為か、警護の殆どをアンドロイドや無人兵器に頼っていたのが仇となったらしい。
一応、異能や魔術等の能力者も少数配備されてはいる様だが―

「潜入した部隊と此方と両方の相手をするには数が少なすぎた様だな。いや全く、ご愁傷さまと言うべきか」

施設内に先行した異形の視界を見れば、此方側に抵抗しているのはライフルを構えた白衣の研究員達。
涙ぐましい努力に感動すら覚えつつ、機関銃で薙ぎ払った。

「後はデータをちゃんと入手できていれば良いのだが。こればかりは、先行した連中おの努力に期待するしかないか」

一応此方も施設最奥を目指してはいるが、此方が辿り着く頃にはデータの処理は終了していることだろう。
それよりも、潜入した部隊が此方が騒ぎを起こしている間にデータを入手出来ていれば良い。その為ならば精々騒ぎを大きくしなければ、と目につく機材は片っ端から破壊し、抵抗する者は踏み潰していく。

この研究施設は制御薬の解析と調査を行っていた。
そのデータを入手し、可能であれば委員会で利用する。
それが、今回与えられた任務であり、この作戦は自身が立案したもの。流通が止められないのなら、制御薬そのものを有効活用すべしという案に、血気盛んな先輩方が飛びついたのは僥倖であっただろう。

ご案内:「落第街・薬学地下研究施設」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 暗がりにスポットライトが降る。
最初からそこに居たように、一人の研究員らしき男が立っていた。
白衣を着た黒いインナーの男。
長い黒髪をポニーのようにまとめ、丸いサングラスをかけている。
その口には細い葉巻を咥え、そこから紫煙を燻らせて。

「いやはや、物騒ですよねぇ?
 機会的損失とか考えたくも無いと思いませんか?」

その男は散歩中の挨拶のように、理央に声をかける。

神代理央 > 己の護衛についていた異形が一斉に砲身を軋ませる。
大盾を構えた異形は、主の盾となるべくその身を動かし盾を構えた。
しかし、召喚した従属物達とは対象的に、此方は至って暢気なもの。少なくとも、最初から敵意を見せず対話を選択した相手に弾丸を贈答するほど余裕が無い訳でも無し。

「この施設が大口の顧客だった、或いはそうなる予定であったというのなら、風紀の手入れが入る前に売り捌いてしまえば良かったんじゃないか。まあ、在庫切れによるチャンスロスは小売りの宿命だ。諦め給えよ」

此方も敵意を滲ませる事無く、世間話に応対する様な口調で肩を竦めてみせる。
遠くからは未だ戦闘音と砲声が響くが、この空間はしんとした静寂に包まれていることだろう。

ルギウス > 「いやはや、商売に限ればまったくその通りですので返す言葉もありませんよ“お嬢さん”」

ニヤニヤとした笑いを顔に貼り付けて。
サングラスのせいで、視線はどこを向いているか判別がつかない。

「ただ、貴方が求めている薬は無尽蔵にばら撒いていい類のものではないでしょう?
 それと同時に―――他者に利用されるなんて『つまらない』。
 おかしいとは思いませんか? これだけ流行っているのに、粗悪品や類似品を見かけないだなんて」

くつくつと笑いながら、男が指を1回鳴らす。
遠くから、大きな大きな爆発音が響いてきた。