2015/06/30 のログ
ご案内:「第一演習場」に緋群ハバキさんが現れました。
緋群ハバキ > 【以前、カフェで先輩の奢りを受けた際の『お誘い』】
【改めて日時を設定され、少年は指定された場所へと訪れる】
【女子の先輩、それも美人にお誘いを受けたと言えば思春期の心も高鳴ろうというものであるが】

場所が此処じゃなあ~~

【何度か実習や研修で使用した演習場】
【飾り気のない耐衝撃部材で囲われた部屋がそのロケーションとあっては、色気も何もないものである】

ご案内:「第一演習場」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > ハバキが入ると既に目的の先輩は居り。
「来はりましたね」
何時もと変わらない表情でハバキを待っていた。

まさに色気も減ったくれも無く演習をする訳であった。

緋群ハバキ > 来ましたよー。そりゃお誘いですからねー。
実際、とても有意義な経験にはなりそうですしー。

【とは言いつつもその表情は何だかあまり乗り気では無さそうであった】
【普段より「荒事は苦手」と触れ回っているが故の事であろうが……】

ええと。ルールとかは何かありますかねー?
こう、使う武器とか、そういうの。

夕霧 > 「武器とかは得意な分野で何でもありでええと思います」
少しだけ気乗りしなさそうな後輩を見て苦笑しつつ言う。
「もしくはいっそ武器無しの格闘戦のみ―――好きな方でええですし、もし何か提案があるならそれでも」
思いつく案を提示する。
言いつつも軽く身体を慣らしつつ、彼の反応を見るようだ。

緋群ハバキ > 【舐めている訳ではない。そんな態度が許される程の甘い相手ではない】
【事務を務める先輩に聞いた夕霧の評判は、そういう評価をハバキの中に生じさせている】
【だが――自身が積み上げた技術と、模擬戦というものは単純に相性が悪い】

うぅ。じゃあ徒手格闘でお願いします。
すぅ――

【故に万が一が起こり難い格闘戦という条件を呑み、深く息を吸う】
【肺腑に溜まった酸素を、丹田を意識した呼吸法でゆっくりと押し出し――】

――はぁ。
よし。よろしくお願いします。
此方はいつでも。

【薄く開いた緋色の瞳は、普段の何も考えて居なさそうな態度とは少し色を変えていた】

夕霧 > 「じゃ、徒手格闘と言う事で―――」
ふう、と息を一つ吐く。
ちらと様子を伺えば何だかんだでやる気のようなので少しだけ微笑む。

「頑張ればご褒美、あげませんとね」
ころころと笑った後。

すぐに表情を引き締める。
「じゃ、行きますよ」
構えという程の構えは無い、どちらかというとフリースタイル。

―――跳び出す。
どちらも徒手なのだ。
距離の取り合いはほぼ意味は無い。
走り一気にハバキへの距離を詰めていく。

緋群ハバキ > ごっ

【褒美、という言葉に奮い立つ青少年ハート。直後に引き締められた表情にまるで弩の弦が巻き上げられる様にも似た印象を覚え――】

……!

【――直後に飛び出した彼女の姿に、その印象は誤っていないと確信する】
【一直線に、相対距離が縮まる。こちらもまた慌てず騒がず、半身を逸し受けの構えを取り】

こちらも。

【全く上体を動かすこと無く、すり足めいた歩法でじわりと距離を詰める。夕霧の速度に比せば蝸牛の如くであるが】

夕霧 > トン、踏込む最後の一歩をステップを踏む。

まずは相手の反応を見なければ話にはならない。
そう考え。

そのまま次のステップを踏む勢いのまま。
身体を捻り。

狙いもわかりやすく、腹部辺りを狙うミドルキック―――。

ポイントは牽制では無く、ブチ込むつもりで振るっている事であるが。

緋群ハバキ > 【一歩はあくまでも軽い。だが十分に速度の乗った蹴り足は、狙いは明確ながら鋭く、疾い】
【長身から放たれるミドルキックは、ポールアックスの横一閃にも似て――】

――ッ

【耐えるのではなく、躱す事を少年に意識させるに十分であった】
【直後、赤いマフラーの色のみをその場に残して少年の長身が夕霧の視界から消え失せる】
【――否。暴風の如くの蹴り足でたなびいたマフラーの根本は、下】
【その場に沈み込むように少年はその身を伏せていたのだ。直後擦過した蹴撃に焦げ茶の髪が一房、風に巻かれ】

頂く!

【緋色の瞳が閃く。畳んだ膝下、脹脛の筋肉を盛り上がらせて】
【蹴りを放った直後の胴体へと、蛙が跳ね上がるかのような右掌底を叩き込んだ】

夕霧 > ―――いい反応だ。
反応速度だけなら恐らく夕霧よりも速い。
が。
掌底が叩き込まれる瞬間、軸足で少しだけ跳び、片掌を掌底に合わせた。
そして受ける片手に力を入れる。

結果。

夕霧はハバキの掌底に打ち上げられる形で宙を舞い、着地する。
靴底は地面を滑るようにしてしばらく後ろへ進んだ。

腹部にマトモに入ればタダでは済まなかっただろう。
受けた掌はじんじんと痺れるような痛みを発する。

緋群ハバキ > 【掌に返る感触が先に来た。視界で何が起こったかを把握したのは寸毫の後】
【宙を舞う女の長身。打撃の力に併せ、飛ぶとは】
【身軽さを身上とするハバキをして尚、舌を巻くほどの回避】
【距離を置いた夕霧の姿に軽く息を吐き】

柔(やわら)の技も十二分って感じスね先輩……!

【言葉を投げると同時に、一歩を踏み出す。速度は全速、肩の上下が無い疾走は忍びのソレである】
【柔剛併せ持つならば剛を引き出す手数で攻めるのみ】
【瞬く間に追走し、中国武術における崩拳めいた勢いで胴へと掌底を繰り出す――が、一発で終わりではない】
【掌底の勢いのまま素早く身を回し、畳んだ肘で形の良い側頭部へと二連撃を放つ】

夕霧 > 「おおきに、でもまあ基本は剛、ですよ」
少しだけ笑い、追撃に対応する。

瞬間、先ほどの夕霧以上の速度で交戦射程まで達する。
崩拳をまた拳で受け止め―――。

瞬間破裂音と間違えるほどの音と衝撃。

そして。
ハバキの続く連撃。
肘は狙い誤らず。
側頭部へ直撃した。

ゴッ、という音と共に眼鏡が少し遠くまで飛ぶ。

カツン、と眼鏡が地面に音を立てるのと、肘が打ち付けられた頭部がハバキの方を向くのはほぼ同時。

「―――捕まえましたわぁ」

ギチ、と崩拳の方の拳を握る。
とてつもない握力で。

速度などではハバキに軍配が上がる。
一発は貰う算段だったと言わんばかりに。

緋群ハバキ > 【一撃目は拳で防がれた。ほっそりとした指ながらその拳は打撃武器とほぼ同義】
【此方も拳で無くて良かったと思う間もなく肘に打撃の感覚が入る。当たった、と】
【クリーンヒットだ。大の大人も昏倒しかねない肘刀が入り、スローモーションのように飛ぶ眼鏡が視界の端に映って】

――!

【ぞわり、と。背筋が粟立つ】

【右手に返る万力のような握力も】
【肘打ちを受けて尚も行動が続く耐久力も】

【その声と、向けられた顔に浮かぶ表情の前には霞む】

【『そんな態度が許される程の甘い相手ではない』? とんでもない。矢張り自分は舐めていたのだ】
【その非礼を濯ぐならば――】

やっ……ぱ、すげぇッスね先輩。
手ぇー抜いてる余裕なんて無さそうだ……!

【口付けを迫るかの如く、その長身がするりと、一歩を詰める】
【掴まれた右手に篭もる力は強く、容易く距離を離す事は出来まい】
【ならばと、大振りの打撃を許さぬ超接近を少年は選択し――】

【長身を抱き締めるように、空いた左手が肩へと掛けられた刹那、少年の右膝がかち上がる】
【狙いは腹部。ぼ、と空気を圧する音と共に最接近の蹴撃は発射された】

夕霧 > 片手は離さない。
お互い片手を封じて、封じられてのゼロ距離戦。
まず仕掛けたのはハバキの方。
実際後手になっているのは明白ではあるがまだ返すにはしばらくかかるだろう。
抱き着かれるような体制から瞬時に放たれる膝蹴。

に対応し、膝で膝を弾く様に膝蹴りを放つ。
鈍い音は響く。
ほぼガードの為に放ったもの故に威力的にはハバキに軍配が上がるか。

そろそろこちらからも返さねばなるまい。

膝蹴りの次。
空いてる掌をハバキの肩に当て。
肘から肩だけの力を総動員し、バネを弾いたように―――押した。

緋群ハバキ > づ……ッ!

【この密着状態で目視など不可能。膝に返った衝撃は同じく膝のものだろう】
【痺れる感触を残す右脚をすぐさま引き戻し、第一に接地を確保する】
【肩に夕霧の掌が当たったのと、地下足袋の底が大地を踏みしめたののどちらが先であったろうか】

……あッ!

【尋常ならざる膂力で以って、肩の関節が外れるのではないかと言う程に身を押される】
【右手は固定されている。このまま上体が下方に流れれば背は床に着き、イニシアチブを奪われたまま機動力を完全に殺されるのは必定】
【故に、左足は床を蹴った】

【固定された右手を支点とし、梃子の原理で身を飛ばす。着いた右足の裏がブレーキとなり、床が地下足袋と擦れて耳障りな擦過音を鳴らす】
【真上から見れば、互いの手を軸とした社交ダンスの如くの弧を描く動き】
【赤いマフラーがその外周を彩り――】

【だが未だ、夕霧の手番が終わった訳ではない】

夕霧 > 流石、流す。
内心その軽業に舌を巻く。

が、まだ手番は終わらない。

距離が少しだけ離れたなら。
左手は手繰り寄せる様に。
右手は握り引き絞り。
思い切り。
左は拳を自分へと引き。
右は拳を相手の腹部へと撃つ―――。

緋群ハバキ > 【最早それは舞踏である。手繰り寄せられた右手は抵抗なく夕霧の傍へと引き寄せられ――】
【つんのめるように引き寄せられる胴は絶好の位置】

【緋色の瞳は番えられた矢の如く引き絞られた右拳を見据え――】
【そうして、拳が射出される瞬間これならマウントポジションの方がありがたかったかも知れないなどと益体もない思考が溢れそうになり――】

【ど、と。重い着弾音が演習場に響く】

――が、はっ……!

【内臓へと響く衝撃。刹那に腹筋を締め防御を固めたとてこれである】
【痛みは瞬時に脳へと伝わり、鉛弾でも打ち込まれたかのような衝撃が身の裡を駆け巡った】
【――だが】

【少年の口の端が歪む】
【再び詰まった距離。今度は此方も右肩から渾身の力を込め、開いた指で右手を彼女の拳に固定する】
【そして、空いた左手の甲が蛇のように夕霧の左肘へとするりと巻き付いて】

関節、まで、鍛えてます?

【苦痛に途切れ途切れとなった声と共に、固定した肘を支点とし右肩を開いて夕霧の左肘を全力で以って逆方向へと曲げ折ろうとする】

夕霧 > ハバキの次の行動と言葉に。
つ……と汗が滲む。

ここから出来る事は少ない―――。
ちらりと左腕に無表情に目をやった後。
次の行動に決定を下した瞬間、ミシリ、と言う音と。
在らぬ方へ曲がってゆく腕。
圧迫され苦痛と熱を帯びてゆく。
いずれ小気味いいと思ってしまうような折れる音も聞こえるだろう。

(余り、慣れてないんですけどなぁ)
左腕を放棄し。
右腕に力を込め。

右拳がハバキの顔に向かって伸び、直撃する寸でで止まるのと。
左腕が限界に達し、折れる音はほぼ同時であった。


「―――これぐらいにしましょ」
少し目を瞑り、力を抜く。

緋群ハバキ > 【『手加減は出来ない』】
【『先ずは左腕を奪う』】
【痛みに霞む意識に浮かんだ勝利への道筋。無論、力を緩める事は無い】
【極めて冷静に、冷徹に。両腕は女の関節を破壊していく】

【反撃の右拳に力が篭もるのを見た。両者の位置が固定された今、躱す事は難しい】
【だが、もう一撃までなら。受ける余力は在ると先ほどの腹への拳からの威力を逆算し――】

【首の筋肉へと力を込め、頭部狙いへの一撃を緋色の瞳で見据えながらも、その拳は眼前で、止まる】
【そして彼女の左肘は無残にもへし折られ――】

――え、あ……!!

【掛けられた言葉に、目を瞬いた】
【思わず上げた視線で彼女の伏せられた瞳を見て、己が行った行為の結果に青ざめる】

うっっっっわあああああ!!!? すいませんすいません!!!!!
ちょ、それ、大丈b……

【そして我に返った瞬間、意識から締め出していた身体的ダメージの苦痛が襲い掛かる。内臓が全て鉛に変わったかのような腹部の鈍痛に膝を突き、胃液が逆流するのを必死で押し留め】

ぅ、ぅぅぅぇ、ぐほっぐほっ。 

夕霧 > 腕一本、持っていかれたが胆力があるのはわかった。

そして。
彼は【躊躇しない】人種だ。
相手が何であれ排除すると決めたら排除出来るそういう人種だ。

同じだ。


少し閉じていた目を開く。
そこには何時もの表情の彼女。

「綺麗に入りましたから……緋群はん大丈夫です?」
恐らく、緊張が切れたのだろう。
咳き込むハバキの安否を気遣いつつ、眼鏡を拾いに行く。

緋群ハバキ > 【夕霧の理解は恐らく正しい。彼が『なんでもアリ』を拒んだ理由こそこれであった】
【躊躇しないと言う事は即ち、目標を無力化――場合によっては殺す事も彼にとっては手段の一つである】
【故に向かない。この手のなんでもあり(バーリ・トゥード)めいた、それでいて相手を殺す事を目的としない闘いに】

ごほ、ごほ……。

【気遣わしげな声に視線を上げる。力なくだらりと下がった左手に、胸の内に罪悪感がひしひしと押し寄せてきた】
【相伝の呼吸法で以って息を整え痛みを和らげつつ立ち上がると、この世の終わりを目にしたかのようななんとも情けない表情で眼鏡を拾い上げる夕霧へと顔を向け】

いやその。俺はまぁ打撲と内臓出血って程度だとは思いますけど。
先輩こそ大丈夫……じゃないですよねそれ。すいませんやりすぎました早く医者を。

夕霧 > 眼鏡を拾い上げ、器用に片手で埃を払い、掛ける。

「まあ、多少痛みますけど……綺麗にイってるみたいですし―――」
大丈夫ですよ、と全く慰めにもならないが本人は余り気にした様子は無い。
応急セットを持ってきてさっさと添え木をし、固定する。
「まあ折れるのは余り慣れてませんけれど、痛みには耐性ありますし」
そう言ってころころと笑う。
特に変わった様子も無く、いつもの笑いだ。
「確かに何でもあり、だとやりすぎたかも知れませんなぁ」
としみじみと言った。

緋群ハバキ > 【平然と自ら応急処置を果たす夕霧にえ? え? と状況にはてなマークを浮かべる後輩】
【痛みに『慣れていた』としても、今しがた腕をへし折られて尚も常の柔和な笑顔を浮かべる事など果たして可能なのであろうか】

(いや――そうか。これが、『公安委員会』ね)

【異常を集め異常に抗する。そうでなくては異能者を分析し、監視し、必要であれば制圧する攻勢の組織であり続ける事など不可能なのだ】
【この学園は異常と付き合う為の試金石であるのだ。今更ながらに、その意義を痛感する】

あいてて。耐性ってレベルじゃないと思いますよそれ!?
ま、まぁ……はい……
武器に頼るのは相手が殺意持って抜いて来た時じゃないと、ほんとに。

【歯切れ悪くそう返すが、戦っている最中から抱いていた疑問を改めて】

……なんていうか。前は「後学のため」なんて聞きましたけどね?
先輩の実力なら実働……、それこそ『護島』でだって一線張れるじゃないですか。
っつーか上が放っておかないと思うんですけど、……なんで事務に留まってんです?

【そう。この異常を、事務方程度で飼い殺す組織の意図が少年には分からない】

夕霧 > そんな後輩の問いにきょとんとし。
少しの逡巡を置き。
「簡単な事です」
よいしょ、と立ち上がり、片手で埃を払う。
「元々そっち志望でもないですし―――。まあ招集されたなら吝かでも無いとしても。何より継戦に向かないんですようちのやり方は」

先の模擬戦で言うのならばいちいち一撃を貰い、相手を捕まえ、ゼロ距離というリスクを犯して撃滅する。
結果妥当できても腕は折られ、復帰には時間がかかる。
徒手空拳でこれなのだ。
何でもアリ、更に異能まで入るとなれば結果はおのずとわかる。
耐性はあるとかどうとかいう前にあっさりと壊れるだろう。

「一人二人道連れにいちいち壊れられては。効率が悪いですからなぁ」
苦笑する。
「一人二人道連れで終わってもいいなら―――確かにうちは最適かも知れへんですけど」
最後の一言は少しだけ、笑ってはいなかった。

緋群ハバキ > 【継続戦闘に向かない、という彼女の言葉を頭の中で反芻し、シミュレートする】
【対多数戦に於いて『痛みが相手を留める要素にならない』のは確かに対手にとって脅威となるであろう】
【だが、その性質と戦闘方法が最初の一人で判明してしまえば――組織戦に於いては数を頼みに撃滅するのみである】
【加えて、既に魔法も異能もこの世界ではありふれている。彼女が戦闘スタイルを変えずに居るとすれば、確かにそれは単騎で絶対的な戦力となり得る事はなく――】

……まぁ、確かに。

【組織戦闘の論理において、夕霧の戦技が投入すべき場面は極めて限られている】
【理解した少年は頷き、近くのベンチへと歩んで】
【座面に置かれていた自身の荷物から、スポーツドリンクのペットボトルを二本取り出した】

おっかねー事言わないで下さいよ。それこそ非効率です。
この学園の男子生徒、否Y染色体を持つ人類の半数皆にとって……!!

【己の被害をも計算に入れた戦術を何処かうそ寒く語る雰囲気をいつもの調子で茶化し、手に持った一本のペットボトルを差し出して】

ま、そうそう無い事でしょーけど……先輩が出張るような時は、せめて背中位は任せて下さい。
変わり身位にはなりますよ。いや、忍者じゃないんですけど。

【屈託無く、笑った】

夕霧 > 「まあ、そうならないための魔術ですし、異能ではありますけど」
さっきの表情はどこへやら。
何時もの掴み所も無い柔和な笑顔に戻っていた。

「おおきに」
ペットボトルを受け取り、これまた片手で器用に開ける。
喉を鳴らし水分を吸収していく。

「……ま、それはさておいて」
先ほどの模擬戦の結果を反芻する。
「有効打1と有効打2」
途中で止めなければどうかはわからなかったが、これ以上はどちらにとっても不幸な結果だっただろう。
「今回は緋群はんの有効打が多かった事ですし」
ご褒美ですね。

と。

「一個だけ、何でも好きな事してあげますよ?【常識】の範囲内で」
ころころと笑いながら、からかう様に、そんな感じで。

緋群ハバキ > ……あ、

【器用にペットボトルのキャップを片手で空ける先輩の姿に少々慌てた顔。余りにも相手の態度が普通で、ともすれば自身が行った行為を忘れそうになる】
【微妙な表情でハバキもまたスポーツドリンクを喉に流し込み、姿勢を正して評価を聞く】

は、ええと。どうですかね? いや寸止めは先輩の温情なような――

【だが続いた発言に曇っていた表情は驚きに彩られる――あんぐり開いたバカ面へと】

今何でもするtt……えぇ!?
常識……今俺の常識めっちゃ試されてますね!? えーとあーうーんーぁーあー!!

【腕を組んで唸りつつ真剣に悩む。奢り? 馬鹿な、「何でも」はその程度の事で消費されて良いものではない】
【一度でいいんでおっぱい揉ませて下さい? ころされる】
【いっそバニースーツを着てポールダンスをしてもらうというのは? しにたいのか】

うぅ、ぅぅぅん……

【真剣に悩み過ぎて変な姿勢になりつつ、脳内にポップして来るあくまを片っ端から殴り飛ばしつつも結論は出ない】
【やがて変な姿勢を保つのも疲れたので、疲れた姿勢でこう言うのだった】

……ほ、保留で……オネガイシマス……

夕霧 > 「じゃ、貸し一つ、という事で」
本当に楽しそうに笑いながら。
その悩む様を眺めている。
「とりあえず医務室、行きますし、お付き合いお願いしますよ?」
そう言いながらハバキを待つ。

特に無ければそのまま医務室へと揃って歩きはじめるだろう。

緋群ハバキ > 【遊ばれている自覚はある】
【だが、どうして「何でもしてあげる」という年上の女性の言葉に真剣に悩まずにいられようか――否、いられない。反語】

うぅ、うぅぁあぁあ!!
はいよろこんでー!!

【唸りて悩みつつ、医務室への道程をぐるぐると悩む思考に費やしたのであった】

ご案内:「第一演習場」から夕霧さんが去りました。
ご案内:「第一演習場」から緋群ハバキさんが去りました。
ご案内:「第一演習場」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 学生たちにとっては憂鬱なイベントでしかない試験期間。
他方で、試験を作成し採点し、成績を付ける教師側にも負担の多い時期である。

「…………………。」

特にこの男の担当する授業は、難解なことでも有名であり、受講した全員が合格し単位を認定されたという前例は無い。
毎回、誰かしらが赤点を取り、補習としての実技演習でも理解が不十分と判断されて、落第している。

獅南蒼二 > 驚くべきことに、彼の配布する試験問題用紙は白紙なのだ。
だが、ただの白紙のコピー用紙ではない……精巧に魔術的な隠蔽が施されている。
空間や肉体に内包された魔力を集中させれば、最初の問題が見えてくる仕組みである。
講義内容をしっかりと学んでいれば何と言うことは無いのだが、一部の生徒は試験時間をすっかり、白紙とにらめっこするだけで終わらせてしまう。

獅南蒼二 > 今回の試験では,特講を受講する生徒には異界の魔術に関する論作文を問題として提示した。
異界の魔術に関しては研究が進んでいない分野であり、魔術学会でもどう扱うべきか意見が割れている。

類似性を持つ魔術系統ならまだしも、全く類を見ない、独自の魔術系統をどう取り入れ、分類するか。
もしくはそれらを、禁忌として排斥するか。

かなり深い知識が無ければ、筆を進めることのできない問題だと、自分でも思う。
だが、今後の魔術学には、異界の魔術をどう扱い、どう自分たちのものにしていくか…その視点が、非常に重要である。

獅南蒼二 > 試験問題を作り終えた獅南は、演習場のベンチに腰を下ろして煙草を吹かしていた。
今は、試験などよりもよほど興味があることがある。

【異界の魔術】の研究…【破壊魔法】の実用化。

流石に徹夜は3日で止めておいたが、ここ数日間、全てを研究のために費やしている。