2015/07/01 のログ
獅南蒼二 > 現時点で、戦車の装甲くらいであれば簡単に貫けるほどの破壊力を実現することはできている。
だが、実際のところ、準備に必要な資材や魔力、そして時間を考えれば…まだまだ課題は山積みである。
……ぶっちゃけてしまえば、RPG-7でもぶっ放した方が余程効率がいい。

「効率……効率か…。」

煙草を吹かしながら、うわごとのようにつぶやく。
術式そのものは非常に単純なものであり、ロックを掛けるために多重に書き込んでいるがそれでも難しいものではない。
問題は、術師や触媒に返ってくる反作用である…破壊の魔力を持たぬ人間や、魔法具では、発動した【破壊魔法】の余波を受けるだけで、破壊されてしまう。

ご案内:「第一演習場」に河山 海空さんが現れました。
河山 海空 > 「んー……いっそ、試験……ここでやっちゃおうかしらー」

彼女の授業……特に、家庭科は実践が売りの形式である。
もちろん、試験も実践であり「テーマを決めて一品作る」という大雑把な代物であるのも割と知れている。
今回は、いっそのこと異能も解禁して全力でやりたい放題……もとい、好きにやらせてみるのもいいかな、と考えていた。
と、すると場所が問題であるわけで……だから、此処に下見に来たのである。

「あら……?」

先客がいる。なんだかうわ言のように何かを呟きながら……大丈夫だろうか?

獅南蒼二 > 先客は天を仰ぐように、ベンチの背もたれに寄りかかっている。
手に持った煙草は半分以上燃え落ちており、表情には疲れも見える。
傍から見れば、あまり大丈夫ではなさそうだ。

「………黒曜石は……いや……駄目か…」

何かぶつぶつとつぶやいて、ふと、天井を見上げていた視線を、戻す。
貴方がこちらを見ていれば、目が合うかも知れない。

河山 海空 > 「ぁ……」

目があった。そして、どう見ても駄目な感じの人だ。
いや、人間が、とかじゃなくて現在の状態が、なんだけれど。
生徒、じゃないよね……あれ、見覚えあるような……んー?

「ええ、と……獅南先生……でしたっけー……?」

記憶にある教員リストからヒットした名前をあげてみる。
実に自信なさげであった。

獅南蒼二 > 「ん?」
相手に気付けば、殆ど燃え尽きた煙草を、携帯灰皿へ入れた。
僅かに目をこすって、

「ん…あぁ、邪魔だったかな。
 アンタは……料理の先生、だったか…こんな場所で、バーベキューの実習でもするつもりか?」

対してこちらは名前すら憶えていない様子であるが、一応、料理人であることは知っているらしい。
あまり、この場所と結びつかない相手だと、内心に思いながら。

河山 海空 > 「いえー、実はー……上級の子たちに、魔術とかも解禁して好きにやってもらおうかなー……って思いましてー。一応、場所の下見に。」

実行したらかなり阿鼻叫喚の地獄絵図のような気がするのだが、のんびりとそんな計画を口にした。
雰囲気の割には大胆なことを考えるものである。

「獅南先生こそー、試験の準備か何かですかー? なんだかすごくお疲れのご様子ですけれど……?」

目をこすったりしているし、明らかに疲れ目とかそんなご様子だ。
こんなところにいないで早く休んだほうがいいのではないだろうか……

獅南蒼二 > 女教師の大胆な発想に、思わず苦笑を漏らしつつ…
「…ほぉ、その発想は面白いな。
 だがまぁ、魔術や異能を制御できる生徒ばかりとは限らんぞ?」
…肩を竦めて、楽しげに笑った。阿鼻叫喚の地獄絵図は誰にでも容易に想像できる。

「試験準備は終わったんだが…まぁ、個人的な研究が暗礁に乗り上げてしまってな。
 ……美味い料理を安く作りたいんだが、なかなか上手く行かん、と言ったところか?」

…この人はどうやら、煮詰まってもそのまま火を焚き続ける人らしい。

河山 海空 > 「ええー、まあそうですよねー。だから、野外試験は止められましてー。
 ここでなら、まだ対処できるだろうから此処にしろって言われたんですよねー。
 まあ、式神ちゃん達にも見張ってもらうから大丈夫だとは思うんですけれど」

本当に自分で想像できたのかどうか分からないが、とりあえず予防策だけは打たれたらしい。

「んー……なるほどー。根を詰めるタイプなんですねー。でも、思考を詰め過ぎると同じ所をグルグル回っちゃったりしますよー?」

とてとて、とでも擬音がつきそうなほどのんびり可愛らしく、女は歩いて獅南に近づいていく。

「そうですねー……安い料理を作るにしても―、色々な発想がありますよねえ」

獅南蒼二 > 当たり前だ、と、肩を竦めて笑う。
「まぁ、対処できるかどうかは別として、被害は拡大しないだろうな。
 だがその試験は、個人的な興味から、見てみたいものだ。」
トンデモ料理漫画みたいになるのだろうか。見ものである。

「研究者とはある意味でそういうものだ。
 偶然を探す作業と、ひらめきを形にする作業…だが今は、ひらめきが降ってこない時間のようでな。」
徹夜していた昨日よりはマシな顔をしているが、それでも若干クマができていたりする。
近付けばそれに気づくことができるだろう。

「ふむ…趣味ではなく、それを売りものにするのなら、どこかで妥協しなければいけないか。」

河山 海空 > 「えへへー。お時間ありましたら、どうぞ見学していってくださいねー。
 良ければ、試食もしていってくださって結構ですよー。
 今回は、食材も自力調達なんで全くどうなるか分からなくて楽しみなんですよ―」

トンデモ料理漫画のゲテモノ料理まで飛び出しそうな勢いである。
いろいろな意味でほんとうに大丈夫なのだろうか。

「んー……まあー、私も料理を研究するときはそうですけれどねー。
 閃かない時はー、諦めておいておいたりー……世の中を見て回ったりして気分転換しますよー?」

近づいてみれば、この先生、明らかにクマとか出来てて宜しくない。
これは少し、ケアしたほうが良さそうな気がする……
手持ちの水筒と、何枚かの符を取り出す。

「妥協もそうですけれどー……コンセプトとー、安さの実現方法ー、ですねー。
 例えばー、1000円で売る料理の材料を安いもので揃えれば、中身はたくさんになりますけれどー。
 たかーい食材にしたいなら、適量を使ってからコンパクトにまとめちゃうー、とかするしかなくなりますよねー」

獅南蒼二 > 「……本当に【家庭科】なのか、それは。」
サバイバルとかに近いのではないだろうか。
少なくとも、あまり試食したいと思える内容ではない。
「まぁ、そうだな…気が向いたら覗かせてもらうよ。」

正直、この島での自力調達贖罪とか、間違っても試食はしたくない。
ちゃんとお店で買ってきてるなら良いのだが…。

「気分転換か…そうだな、その方が良いのだろうが。
 どうも、気になってしまってな…なかなか眠れなかったりするものだ。」

生粋の魔術学者なのだろうか、それとも変人なのだろうか。
貴女は研究内容を知らないだろうけれど、【破壊魔法】を研究しているあたり、だいぶマッドな気配も見て取れる。
水筒と符には視線を向けるが、特に何も言及せず、

「コンパクトに、か……なるほどな。
 だが量的な満足感を得ることはできない…全てを満たすことはできないか。」

河山 海空 > 「えへへー……家庭科基礎はー、自炊が可能になるレベル程度を目指してますから、そこまでしませんよー。
 でも、応用の方は自分でお店を開けるレベルを目指しちゃいますからー」

逆にいえば、基礎の方はまだ真っ当なことをやっているということだろう。最も、この教師のやることだから、どんな無茶がまかり通っているかわかったものではないが。

「いけませんねー。少しはリラックスしませんかー?」

水筒からコップに液体を注ぎ……符を取り、小さく呪を唱える。
途端に符が燃え始め、コップを炙る。その間に、コップにどこからか取り出した小瓶の中身を入れて、混ぜる。

「でーきた、とー。特製の疲労に効くお茶ですよー。飲みませんか?」

そういって、コップを差し出すだろう。

「んー……満足感、を出したい……のならー……後は、濃縮してあげるー、とかですかねえ。
 量的な満足じゃなくてー、質的に満足を求めるー、方法ならあると思いますけれど」

獅南蒼二 > 「店を開けるレベルか…それを学校で教えるというのだから。」
凄いものだ、と、素直に感心した。
だがまぁ、内容を聞く限りでは…どんな店が建つのかちょっと不安なのだが。

「……リラックス、か。」
そう呟きつつも、魔術の術式を読み取ってしまう程度には、染みついている。
火炎の魔術としては初歩のものだが……火力の調節が素晴らしい。
「怪しげな魔法薬の人体実験をするつもりではないだろうな?」
そんな風に苦笑しながらも、コップを受け取った。
軽く回してから、一口だけ、口に含む。

「……………濃縮……。」
何か、思いついたのだろう、その言葉を小さく繰り返して…視線を泳がせた。
触媒となる物質を濃縮することも、魔力を濃縮することも…不可能ではない。

河山 海空 > 「本土には調理師学校だってあるわけですしー。此処でそういうのをやってもバチは当たりませんよー。
 まあ折角なので、此処ならではのこともやってみてますけれど。ふふ。
 ああ、でもー。流石に、危ないことは教えてませんよー」

今までので十分危ないように思えるのに、しゃあしゃあというあたり、大物なのか何も考えていないのか、わかりづらいところはあるかもしれない。

「リラックス効果のあるハーブと疲労回復用の糖分を足して、
 薬効増強の呪を加えてみた感じですねー。ちょっと調味料はともかく素材が足りないので、肉体強化の領域までは無理ですけれどー」

さらりととんでもないことをいう。
ただ、言葉通り適度な甘みをもったハーブティーが中身であることは味で分かるだろう。

「はいー、濃縮ですよー。初期投資は結局かかっちゃいますけれどねー。
 きちんと筋道立てた味わいさえあれば、少量のおかずでも満足感は味わえるものですよー。」

話を料理に寄せられてたので、終始料理のまま考えているあたり、こちらも相当の料理馬鹿なのだろう。

獅南蒼二 > 「ははは、確かにその通りだな。
 …何も教えない、というのも危険なんだが…まぁ、面白い結果になることを期待しているよ。」

何も考えていない、と認識したかもしれない。
だが一方で、自分が魔術学に傾倒しているように、目の前の女は料理に傾倒していると、認識した。

「なるほどな…この術式は炎に掛けるためのものかと思っていたが。
 面白い、薬効を増強するか……なら、こうしてみたらどうだ?」
ハーブティをゆっくりと飲みながら…
コピー用紙を取り出せば、魔力を込めて簡易的なスクロールを生成する。
手慣れたもので、すぐに“薬効増強・効果持続”の術式を、目に見えぬ魔力の文字で書き込んだ。
見た目はただの真っ白な紙きれである。

「確かに、設備は必要だろうが……面白い発想だ。
 全く違う分野の話だが、良いヒントになったよ……世の中を見て回る、というお前の意見も、悪くないかもしれないな。」

河山 海空 > 「んー……まあ、五行思想に則った食餌療法なんかは教えるんですけれどねー。
 これ、術式を混ぜるとー……今みたいに、薬効増強まで普通にできちゃうんですよねー。
 でもそこまで教えちゃうとー……その気になれば、ドーピング領域までいけちゃうんで、それはちょっと不味いかなーって。」

勘が良ければ、生殺与奪まで可能、という辺りまで予想がつくかもしれない。
とんでもない話である。たかが料理、されど料理であった。

「んー……西洋魔術ですかー。うわー……そっかー。そういう考え方もあるんだなー……
 私の思想は陰陽五行に則った薬膳と、五行相生と気を使った薬効増強ですからねー。んー……」

真っ白い紙切れを、じっと眺めてから感想を漏らす。
魔力の文字を読み取ることはできているようである。

「案外とー、日本料理を研究しようとしたら西洋料理の技法が役に立ったーなんてこともありますしねー。
 今の先生の術式みたいに。」

獅南蒼二 > 「医療や健康増進だけにとどまらず…か。
 それは、お前の考え方では“料理”の範疇から外れてしまうのかな?」
肩を竦めて楽しげに笑いながら、そうとだけ聞いてみる。
この男のことだ、裏の裏まで察したのだろう…だからこそ、問う。

「西洋魔術も陰陽術も、中医学も、アプローチの方法は違うが根本にさほど違いは無い。
 活用する魔力系統やその術式が異なるだけだ……まぁ、雰囲気はだいぶ違うが。」
この男は西洋魔術が専門というわけではなく、すべての魔術、妖術、気功、その他、魔術学全般を広く扱っている。
「…そうだな、何処にヒントが隠されているか、分からんものだ。
 お陰で少しだけ光が見えた。」

ハーブティを飲み干せば、静かに立ち上がって…
「この礼は、いつかさせてもらおう。
 少し、研究室に籠ることにするよ……鉄は、熱いうちに打たねばならんからな。」

河山 海空 > 「そうですねー……例えばー、ほら。まだ技術がない頃にフグを料理した人たちなんて、凄いと思いませんー?
 よくわからないまま、何人が死んじゃったんでしょうかー。
 でもそれもまた"料理"、なんですよねー」

ぼんやりとした、回答になっているのかなっていないのか、いまいちわかりづらいことをいう。

「あー……確かに、根本は同じなのかもしれませんねー。
 そっかー……魔術でも掛け合わせが出来そうですねー……
 こちらも、勉強になりました。ありがとうございますー」

のんびりとした口調のまま、ぺこり、と礼をする。

「あ、はいー。研究、がんばってくださいね―。
 あ、でもー。無理はなさらないようにー……んー……せめて、栄養位は採ってくださいね―?」

研究室に篭もると言われれば……特に引き止めもせず、ただ、見送りの言葉を送る。

獅南蒼二 > 「…なるほど、確立されていない技術、ということか。
 確かに魔術学の世界でもあまり聞かない……先駆者になるのも面白いのではないかな?」

そんな風に、解釈した。
こちらも僅かに頭を下げて…

「あぁ、気を付けるさ。
 面白い試験ができるよう、祈っているよ。」
そうとだけ言って、背を向けた。もう振り返ることも無く…。

ご案内:「第一演習場」から獅南蒼二さんが去りました。
河山 海空 > 「んー……そうですねー……まだまだ、分かってないことも多いですしー……
 まあー……効率は悪いから、実用性はないかもしれませんねー?
 相手に食べてもらわないと使えない技術って、使いドコロ、大変ですよー」

去りゆく男の背中を見つめながら、のんびりと言葉を紡ぐ。

「ん……んー……折角良いヒントをいただいたしー。私も帰って研究しようかしら―」

軽く伸びをして……女も場を歩き去っていく。

ご案内:「第一演習場」から河山 海空さんが去りました。