2015/07/08 のログ
ご案内:「第一演習場」に松渓 つばめさんが現れました。
松渓 つばめ > 更衣室にカバンを置いとくことも考えたけれど、何となく持ってきていた。
「さて、と」
右腕を肩からをぐるぐる回して、準備運動をする。
その左手には、図書館から拝借してきた本が一冊あった。
青くて緑な、粘度色の装丁。魔導書であった。

松渓 つばめ > 「試験が終わったら、頭が動く内に答え合わせと予習復習!だったっけか」
彼女が取った科目の一つ、その担任教諭が言っていた。ような気がする。
「まあ、そういう事じゃないんだけど」

コゼット先生の魔術授業で、四大元素の内『水』と『火』。
以上二つについて、彼女は極端な相性の悪さを誇っていた。

大地、風ならば、ほんのすこしだけ「空気圧玉作るくらいはできるっての」    ……それなりに扱えるのだが。

松渓 つばめ > 「前覚えた五行魔術も同じってのは、おかしい。
何かあるはずよそーに違いないっていうかそうじゃなかったら張っ倒す」

そんなわけで、適当に属性魔術に関する本を引っ張りだし、練習してやろうという魂胆である。

「訓練プログラム、っていうのは……まだいいか」
いきなり、『火属性しかカウントしない』訓練生物でも出そうか、という所で思い直した。

松渓 つばめ > カカシを設置。彼女程度の魔術ではどんなに打ち込まれても壊れないスグレモノだ。
「まぁ、攻撃魔術から入るってのも芸がないけど――」

数メートル離れて、詠唱を実行。「風、から、土。対抗二連。目標セット――」
まずは、一応使える属性から。手の上で魔術書(現実には文庫本化されており、神秘性は無い)がパラパラと例のモーションを見せる。

「行けそうね。――射ッ」
身体を回して、二つの属性を投げ込んだ。ぼ、ぼん、と軽くはじけてカカシが揺れる。

松渓 つばめ > 「こっこまではいいのよねー。毎度」
少女の額には汗一つ浮かんでいないが……同じことを本無しで行えば、5回程度で卒倒ものだろう。

もちろん原因は、つばめ自身のいわばマジックポイント不足である。魔術の行使に必要な魔力は、魔術書が殆ど大気中から集めている。

「ん…………と。で、だ」伸びをひとつ。
左右に身体をひねって。
屈伸三回。
「よし――それじゃあ、よいこのまほうABC。火遊び注意といきますか」
狙いは度外視。ほんの僅かにでも炎が出れば良し。
彼女の視線は、的であるカカシではなく、ページ自動めくりをしている本に注がれている。先ほどとは一線を画す集中。

松渓 つばめ > が、いくらぬおぉぉ、とかでりゃあー、とか言っても明かりは灯らない。
水についても同様であった。
「うう。水切れライター無しの時の代わりくらいにはなるかと思ったのにさ」

さすがに疲れたのか、座り込む。
ボトルの栓をあけて喉を湿らせながら、魔導書を「何かないかな」とながめている。

松渓 つばめ > 「まあ、貸し出し期限長いし、家でもやってみようかな。どーせ魔法出ないなら同じ同じ」

お尻の砂を払う。片付けを済ませると置いてあったカバンを担ぎ、更衣室へ向かう。

ご案内:「第一演習場」から松渓 つばめさんが去りました。
ご案内:「第一演習場」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > ふらり、ふらり、現れる。
ここまで歩いてくるだけでそれなりに消耗した。
連日の無茶がたたり、どんどん体力が落ちていく。

「……なーんでこんなことしてんだろーな」

酸素缶を片手に呟く。
何故だろう、自分をここまで追い込んでしまうのは。

相楽 満 > 死にたくない、をもう少しよく知りたかった。
諦めない自分を高めたかった。

「んー……ん……」

動くつもりできたが、あまりにだるすぎる。
運動はもう、片手で数えるほども出来ないだろう。

相楽 満 > 「……生きて……」

何をするのか。
何を為すために生きたいのか。

病を治せば、多くのものが救われると思ったから、生きたいと思った。

けれどそれでは足りないのだ。
自分が救われたいと思わなければ、自分が生きる理由が無ければ、誰かに助けを乞うことすらできない。

何より、力を貸してくれた人たちに申し訳が立たない。

相楽 満 > 生きて。生きて、何をしよう。

生きられるなら、何をしよう。

違う。

「何がしたいんだろう、俺」

生きられるなら、この病と闘う人々のためにその技術を、と思っていた。
けれどそれは、結局自分のためではない。
自分がついででしかない。

生きて何をしたいと思っているのか、自分でもわからない。
自分は何のためにもがきあがくのか。

相楽 満 > 知りたい。
知りたい。
知りたい。
生きる理由を、為したいことを。

自分が生きたいと願えるほどに強い何かを見つけたい。

では、何がそれにあたるのだろう。

「……どうしたもんかなぁ……」

待機室で座り込み、考える。

相楽 満 > だが、結局わからない。
自分の死という未来に甘え、絶望し、多くを考えなかったツケがここに回ってくる。
もし無事だったら、のIFすら考えたことがなかった。
今さら探したところで見つかるのだろうか。

「……だからククル先生が相談しろって言ったのかな……」

多分自分一人では答えなど見つからないことが分かっていたのだろう。
かといって、相談相手など。

相楽 満 > 「……居ないよな」

居ないのだ。
居てはいけないのだ。

だって、今まで自分が必死に遠ざけてきたものだから。

自分のために時間を使わせてはいけない、と友人を多く作らずにきた。
師へもまたそうだ、一人……もとい一匹だけに頼ってきたから。

相楽 満 > それでも、浮かぶ顔がある。

機械の体になって生きている少女。

自分のために危険に飛び込んでくれた少女。


「……あれ?」


少し、引っかかる。
けれどあの二人には相談、というか話しておきたい。
生きたいから、死にたくないから。

相楽 満 > 「……帰ろ」

休んでも体力が戻らないほどにだるい。

腰を上げ、演習場を後にする。
何度か世話になったその場所に礼をして。

次に来るときは、病を完治させてからだ。

ご案内:「第一演習場」から相楽 満さんが去りました。