2015/07/15 のログ
ご案内:「第一演習場」に相楽 満さんが現れました。
■相楽 満 > 「よっしゃ、始めるか……」
いつもの服、かばん、スマホ。
もう一度、健康な体でここに来れるとは。
感慨深いような、幸せそうな顔で現れる。
目的は健康になった体で、異能を高めるとどうなるのかの検証だ。
■相楽 満 > 以前と同じ、岩の山を作り出す。
その前でとんとんとステップを踏み、軽く構える。
「俺の一手は抜山蓋世の一撃」
呟く。
瞬間、全身に力がみなぎる。
理解できる。
これは、振るうと危険だ。
■相楽 満 > 「……ふん!」
だが試さねばならない。
岩に向かって、拳を叩き込む。
瞬間、演習場の防壁内が大きく揺れる。
岩は粉々に吹き飛び、防壁にぶつかって跳ね返る。
返ってきた岩の塊を、肉眼で捉えられぬほどの速度の拳で打ち払う。
そうして静寂が訪れ。
満の顔を汗が一つ伝う。
「……マジスか」
思った以上に力が増していた。
■相楽 満 > 「しかもあんま疲れてねーな……
前は三発くらいで限界だったのに……」
ぱたぱた、スマホをいじってデータを確認する。
消費したエネルギー総量は変わらないが、疲労感は前よりもずっと小さい。
加えて衝撃のエネルギー量は以前より随分と増した。
「あー……こりゃダメだわ。
感覚の鍛え直ししなきゃ」
しばし人型サイズの岩を作り、拳を振るって確認していく。
粉砕したりヒビを入れるだけだったり。
以前とは感覚がまるで違うのか、苦心しながらの確認作業。
■相楽 満 > 慣れてきたら、今度は体を動かす。
右の拳を振るい、その流れのまま踏み込んだ右足を軸にぐるりと回って左足で後ろ回し蹴り。
とん、と体の軸を地面に平行にしながら跳び、ぎゅるんと回転しながら右足の爪襲。
地面につま先を刺すように着地したら、回転そのままに左足のかかとを叩き込む。
「……体軽っ」
動いてよくわかった。
これまで動かない体を、どれだけ異能で無理矢理動かしてきていたのか。
健康になったら、驚くほど軽く動く。
■相楽 満 > あとは実戦だけだが……
それを考えると、胸の奥がザワつく。
まるで戦いを求めるように、落ち着いていられなくなる。
「いかんいかん。
こんなんじゃまた芙蓉を心配させる」
ぶんぶん頭を振って、思考を途切れさせる。
どうも治ってからというもの、おかしな気分になる。
健康な体にはしゃいでしまっているのだろうか。
■相楽 満 > ふと、気付く。
体も熱くない。
汗水一つ垂れていない。
「……なんかこう、パワーアップしすぎじゃね?」
はは、と乾いた笑い。
みんな健康体の人は、こんなに楽に生きていたのか。
俺はこれからここに行くのか。
なんとも困った顔で演習場を出て、かばんを持ち上げる。
必要のなさそうなタオル、一応持ってきたスポーツドリンク、最悪の場合に備えての酸素缶。
どれも、必要ない。
少しだけそれはそれで寂しい、気がした。
ご案内:「第一演習場」から相楽 満さんが去りました。