2015/07/22 のログ
ご案内:「第一演習場」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > いつも通りの服装と荷物で現れ、演習場内部の状態をセットする。
今回は何も用意せず。

ただ、演習場内部の防御状態を最大まで設定する。

そしてそこへと踏み込んだ。

「さて、と……」

首を横に倒してバキンと音を鳴らし、両腕を下ろして待機する。
異能を少しずつ高め、一気に全開へと持ち上げる。

相楽 満 > そこからさらに。
少しずつ、力を上へ。

限界 ―と思っていたライン― を超え。
全力 ―と勘違いしていたライン― を突破し。

「っ……ぐ、ぅぅ……!!」

顔がゆがむ。
自分の力の限界を超えて引き出す膂力。
まるで全身を無作為に引っ張られるような痛みと苦痛を満に与える。
だがまだ。
もう少し。

あと少し。

相楽 満 > 「……っ……!!!」

それなりに鍛えた腕が、異能により引き出された力に負けそうになる。
まるで筋肉を酷使した瞬間のように、全身がだるく。
骨も砕けこそしないものの、ぎしぎしと軋むように痛む。

だが、もう少し。

見えてくる、次の世界が。

相楽 満 >  
 
 アウェイクン
《覚醒・      》
 
 
 

相楽 満 > 瞬間、まるでハンマーで頭を殴打されたような衝撃が走る。
一気に意識が持っていかれ、ぐらりと体が傾き。

背中から、受け身も取れず倒れる。
後頭部を痛打する。

だが痛みを感じない。
いや、痛みを鈍くしか感じない。

まるで自分がどこにいるのかわからない、そんな感覚にとらわれる。
ぐるぐると目を回しながら、しばし中央であおむけに倒れたまま。

相楽 満 > 「今……」

何かが見えた。
何か、途方もない……
文字通り、何か。

自分の中で、それが何かまではわからない。
けれど、自分の中で息をする何かがようやく見えた気がした。

相楽 満 > 少しずつ意識がはっきりしてくる。
ぐらぐらするが、なんとか手をついて起き

上がれない。

ひどい筋肉痛に近い状態で、腕が笑ってまるで動けない。

「……やっべ、だるい……」

思わず笑いが漏れる。
この異能の『次の段階』がここまで自分の体にダメージを残すとは。
次の課題は、これを発動しても大丈夫なくらいに鍛えることか。

目下現状の問題は、どうやって起き上がるか、だが。

ご案内:「第一演習場」にダリウスさんが現れました。
ダリウス > 「なるほど此処が学園都市の誇る演習区画ですね。
 ふむふむ、戦闘にも十分に活用できる耐久性と───」

数人の白衣の男達が演習場へと現れる
何やら資料を手に、施設の説明を交えながら

「…おや、君。大丈夫ですか?」

男達の中の一人、痩せ型の男が倒れている相良満へと声をかけた

相楽 満 > 「んあ?」

ぐりんと首だけ回してそちらを見る。
にへら、とゆるい笑顔を浮かべた。

「ウッス、大丈夫ッス。
 ……いや、大丈夫じゃないかも。
 ちょっと異能頑張って出したら、全身筋肉痛みたいになっちまってんスよ」

ダリウス > 「ふむ、それはいけませんね。しばらく休めば動けそうですか?」

男は心配そうな顔をして近寄って

「肉体的な負荷の大きな力なのでしょうが…保健課の方が常勤しているはずですね。
 動けなさそうなら、お呼びいたしましょうか?」

相楽 満 > 「やー、正直わかんねーッス……
 こんな思いっきり全開にしたことないんで。
 どれくらいで動けっかなぁ」

寝転んだまま本気で考え込む。
さて、しばらく休むくらいで動けるようになるだろうか。

「うーん……別に体調悪いってわけじゃないッスから、わざわざ保健課呼ぶことかなぁ……」

元重病人だけに、この程度で呼べないという意識が邪魔をする。
なんとも難しい顔をしているが、動けないだけで体調はよさそうだ。

ダリウス > 「そうですか、でも無理をしてはいけませんよ。
 君たちのような子をサポートする為に僕達大人がいるんですから」
にっこりとした笑みを少年へと向けて

「君さえ良ければ少しお話でもしましょうか。
 回復するまでの気も紛れるかもしれません」

よいしょ、と近くの椅子にかけて
他の白衣の男達に先に行くように促した

相楽 満 > 「ウッス、ありがとうございます」

にまっと笑って答えた。

「あ、はい、お願いします。
 ……えーと、なんて呼べばいいッス?
 研究者さん? お医者さん?」

白衣からそのあたりの見当をつけたらしい。
寝転んだまま尋ねてみた。

ダリウス > なるほど素直な少年だ、こちらももう一度笑みを返す

「あ、僕は研究員です。まだこちらの研究区に異動になったばかりのところでして…。島内の案内を受けていたのですよ。
 ええと、僕はダリウスといいます。まだ日本語の名札がなくって。
 君は日本人…だよね、多分」

白衣にかかった、顔写真つきの名札を手で見せて、たははと笑う
どうやらドイツ語で書かれているようだが、本人は流暢な日本語でしゃべっている

相楽 満 > 「おー、すげぇ、研究者さんスか……
 えーと、ダリウス……ウォル……じゃねーな。
 ドイツ語だから、ヴォルフラム……
 ……ユキ、シャイロ……?」

微妙にドイツ語が読めるらしい。
ただ『ユキシロ』の部分が上手く読めなかったらしい、なんか妙な呼び方を。

ダリウス > 「ユキシロです。
 日本の女性と結婚して、婿養子に入りましたので」
ドイツ語がお得意なのですね、笑いかけて

「娘も一足早くこちらの島に転入しているんですよ。
 もしかしたら君と同級生かもしれませんね」

相楽 満 > 「あ、それそのまま読めばいいんスか……
 すごいッスね、国際結婚!」

けらけら笑う。
異界の存在が居る今でも、なんとなく国際結婚はすごいイメージが残っている。

「あー、俺医者とか医学系の研究者志望なんスよ。
 ドイツ語わかんないとカルテかけないらしいんで、独学で」

などと言いながら考える。
ユキシロ。雪城。
銀髪に見覚えが。

「……あー、雪城ッスね!
 あの子のお父さんッスか、こりゃまた……」

ダリウス > 「医学博士を目指しているのですか?素晴らしい。
 君くらいの年齢ではっきりとした目標があるのは良いことですね」
うんうん、と頷いてみせて

「もしかしてお友達ですか?涼子や氷架、もしかしたら括流もお世話になっているのかな。
 よければ君の名前も聞かせてもらえないかい?」

相楽 満 > 「いやまぁ、子供のころからの夢だったんで。
 ちょっと現実味帯びてきたから、狙ってみようかなーって」

にへーっと笑う。
細かい話は全部省いて、夢だったことだけ語る。

「いや、まぁ友達ってほども仲がいいわけじゃねーんで……
 あ、でもククル先生にはお世話んなってますよ。
 ……っと、スンマセン。
 俺は相楽満っていいます」

寝転んだまま、軽く首を起こした。
会釈のつもりだろうか。

ダリウス > 「夢ですか、大事なことですね。
 医療関係者はともかく博士課程は平坦な道ではありませんが…」
こういう少年ならば歩みきってみせるのだろう、と納得したように微笑んで

「へぇ…括流が……そうですか。
 ん、相良満くん…ですね。先程、異能の力を使いすぎたというようなことを言っていましたが……、
 僕は一応異能の研究員ですので、興味がありますね。
 君さえ良ければ、ぜひぜひそのことについても聞かせていただけませんか?」
指でくい、と眼鏡をなおす

相楽 満 > 「んーまぁ、今の段階から一つの病気のことだけ考えてれば……
 なんとかしてみますよ、俺」

こくこく、首を縦に動かした。

「あ、もちろんいいッスよ。
 俺の異能って、多分筋力とかの強化なんスよ。
 岩とか吹っ飛ばせるし、全力でやったら海とか両断出来ちまうんで。
 けどどうもその先があるみたいな気がしてッスね。
 ちょっと全力……いや、今まで全力だと思ってたラインを越して力を出したら、どうなるのかなって。
 そしたら思ったより負担デカくて、ぶっ倒れちまいました」

ある意味狂気的な発想を口にした。
自分の限界を限界と思っていない、ある意味人間らしくない考え方。

ダリウス > 「えぇ、その強い気持ちがあれば必ず夢を掴むことができます」
男ならそうでなくては、とグッとガッツポーズのようなことをして

「成程、多分…ということは此処への入学時の分析では詳細までは解らなかった…ということですか。
 肉体的、筋肉的な疲労や負荷が強いのならば、おそらくはその通りだとも思いますが、ふむ……」
ふーむ、と顎に手を当てて考える仕草

「身体強化系、肉体操作系というのはポピュラーなものですので、
 一応僕もいくらかのデータは持っているのですが…海を裂く程、となるとそれに留まらない可能性がありますね。
 君の思う『先』とは、もしかしたら単純な力の強さではない、君自身の異能の本質なのかもしれません」

相楽 満 > 「あー……えーと、ぶっちゃけ入学したとき、俺重病人だったんスよ。
 ただこっちで見つけた技術で治したんで……
 もともとボロボロだった体を異能で支えてた分が浮いたせいかと思ったんスけど」

口をつぐむ。
先ほど見えた、何か自分の知らない遠い世界の力。

「……本質、そうなのかもしれないッスね。
 ただの超パワーと思ってましたけど……
 なんか違う気はしてます」

多くは語らないが、少し思うところはあるようだ。

ダリウス > 「なるほど…ではまだ正式な研究分析は受けていない…ということですか?」
自身の力が未知数のままでは不安も多かろうに
ましてやまだ未成年の少年である

「そうですね…。
 例えばこの世界に60億人の人々がいたとしましょう。
 その全員が海岸線につどい、一斉に海を叩いたところでその衝撃は沖合にすら届くものではありません。
 無論指向性や力の向き等色々加味すべきものはあるのですが…あくまで単純な話として、君の持つ力は全人類を総合させた力を超えています。
 …私ならば、それは腕力ではなく現象と呼ぶでしょうね。
 ……一度、ちゃんとした異能の検査を受けてみませんか?相楽くん。自分自身のことを知ることは、決してマイナスにはならないと思うのです」

相楽 満 > 「はい、研究とか分析って形では全然……
 一応CTFRA審査って、ここでの審査は受けてんですけど」

その時は最高ランクでした、と付け足した。

「………………」

眉根を寄せる。
ここでは多くの力を見てきた。
空を歩く者が居て、記憶と引き換えに傷を治す者が居て、複数の魔術を扱う者が居て、炎を生み出す者が居て。
そこにきて、自分の力を高めるだけの異能など普遍的で大したことのないものと思っていた。

「……なるほど。
 確かにいっぺん、ちゃんとした検査は必要かもしれないッスね」

ダリウス > 「あぁ、うん。CTFRA審査のことは僕も勉強したけれど、あれは異能の特性を見るものじゃないんだ。
 大まかな異能の力の水準の指針といったところだよね」
最高ランク、それは頷ける
少年の言うとおりの力があるとすれば納得のランクだろう

「うん、異能の研究を進めることはひいては僕自身の家族を助けることにもなる。
 だから僕でよければ君の力になりたい」
柔らかな微笑みを向けて、傍らのポーチからアルミの箱を取り出す

「少し前まで異能の力は千差万別あれど、肉体に付与されるものだと思われていたんだ。
 所謂特定の脳波を持つ人間に多かったということからね。
 ただ僕は、身を持ってそれが適応されない例を知ってしまった。
 異能の力は、霊魂にも宿る。……世の科学者は頭をかかえたよね。
 なにせいままで顔を真っ赤にして否定してきた霊魂という存在を認めなきゃいけなかったんだから」

カチャリ、と箱を開けて出てきたのは箱と同じ銀色をした、ホチキスのような形状をした小さな機械

相楽 満 > 「あー……そういうものなんスか」

正直よくわかったうえで受けたものではなかったので、ぽかーんとしている。

「そうッスねぇ。
 健全な精神は健全な肉体に宿る、とかも言いますし。
 体と魂ってのは切り離せないのかもしれないッスね。
 そんなら、体ってよりも魂に異能があるって考えてもおかしくはないかもしれないッス」

そう答える。
答えながら、笑みを消して目を細めて考える。
『雪城』ならば、彼女の母親の噂の件もある。
幽霊で異能持ち、ということに言及しているのだろうか。
うっかり地雷を踏みたくはないので、口には出さないが。

「……それ、なんスか?」

首を起こして眺める。

ダリウス > 「なかなか異能力の共通した指針というのは難しいんだ。
 力が強い、物理現象を起こす、精神に介入する、千差万別だからね」
そう答えつつ、カチカチと手元の機械の具合を確かめて

「これは人間の血液と細胞組織をマイクロ単位で採取するためにドイツで開発された医療用の器具だよ。
 注射で採血とか、嫌がる子も多いからね。
 相楽くんさえ協力してくれるなら、さっそく調べてみたいんだ。
 僕も非常に君の持っている力に興味がある」

相楽 満 > 「うーん……
 わかってたつもりでしたけど、異能ってなかなか奥が深いッスね」

ぐぐっと上半身を起こす。
動作は緩慢だが、少しずつ治ってきたらしい。

「っはー……進歩してるんスね、医療って。
 いいッスよ、調べて。
 っつーか、俺からもお願いします」

どうすればいいのかな?としばし考え。
とりあえず、腕を伸ばした。
極限を超えた力を出した後で、腕がぷるぷる震えている。

ダリウス > 「そうだね、そのことについて色々提唱する学者もいるけど‥
 僕は異能というのは一つの「性格」として見ているよ。
 60億人の人間がいるなら60億種類の性格があるようにね」

上体を起こすのを見て大丈夫かな?と少しだけ心配そうな顔をして

「少し落ち着いてきたかい?でも無理しちゃいけないよ、と…ありがとう」
協力的に差し出された腕を手にとって、その手の甲にそっと器具を当てる

パチン、という乾いた音と共にほんの僅かな、子供に突かれた程度の衝撃
器具を離せば肉眼で確認できるかできないか程度の注射跡のようなものが残っただけだった

「ありがとう。異能の研究も僕自身もまだまだ途上だけど、出来る限りのことはしてみせる」

相楽 満 > 「性格……なるほどなぁ。
 確かに、似たような異能はあっても全く同じ異能ってのは無いッスからね。
 性格とか、個性とか。なんかそんな感じ」

ぱちん、と衝撃が来る。
痛みは全く感じなかったらしい、きょとんとした顔で腕を下ろした。

「休んでたら結構楽んなりました。
 ……てーか、血液とか細胞とかで異能の研究って出来るんスね。
 どんどん進歩してんだなぁ……」

感心したように、手の甲を見ながら呟いた。

ダリウス > 「そうだね、だから君の持つ力も、君だけのもののはずさ」
テキパキと器具を片付けつつ、微笑む

「勿論、これで調べられることには限界はあるよ。
 君の力の根源が遺伝子や肉体にあるのなら、分析できる可能性は高い。
 ただしさっき言ったように魂…霊魂存在を由来とした力だったなら、現状は完璧に分析する手段はないと言える。
 そうだった場合は……」
じっ、と満の顔を見て、やがてにっこりと笑う

「君自身の手で、自分の力を知る以外にないかもしれないな」
勿論、それも僕は応援するよ、とつけくわえて、器具をポーチへとしまい終える

相楽 満 > 「……ウッス、ありがとうございます」

にへら、と笑った。少し自信がついたのだろうか。

「肉体や遺伝子ならわかる、か……
 でも魂ってのはまた難しいッスねぇ。
 俺のはどっちなんだろ」

顔を見られて、くりっと首を傾げた。
が、同じようにまた笑った。

「……そうッスね。
 そん時はまた、いろいろ試して頑張ってみるッス」

ダリウス > 「正直に言ってしまえば、今はわからない、としか言えないだろうね。
 しかし霊魂に根ざした異能力が存在するのは事実だ。
 そしてその研究はもう始まってる。
 この島の研究区は世界でトップクラスの実力がある…全ての異能が解明されるのもそう遠くはないかもしれないよ」
笑いながらそう語って

「無理はしない程度にね。
 君自身が発現した力だ、世の中には自分自身のもので身に余る力、なんてものは決してないのだからね。
 ──と、さすがにそろそろ行かなくては」
少し慌てるように椅子から立ち上がって

「他の研究員に置いて行かれてしまう。
 ありがとう相楽くん、また話をしよう」

相楽 満 > 「……解明されたら、俺もそういうので判定してもらいたいッスね。
 自分でわかればいいんスけど」

笑いながら、未来に思いを馳せて頷いた。

「……自分自身のもので、身に余る力は無い、か……」

ぽつり、呟いた。
ではこの痛みも、いずれは無くなるのだろうか。

「……あ、はい。
 色んな話が出来てよかったッス、ダリウスさん。
 こっちでも研究、頑張ってください」

にへ、と笑って。
あぐらの形に足を整え、頭を下げた。

ダリウス > 最後にぺこりと大きく頭を下げて、笑顔で手を振って、中年の男は少し慌てたように走っていた
ご案内:「第一演習場」からダリウスさんが去りました。
相楽 満 > 「……雪城のお父さんか」

そういえば、親とはそれなりに会ってない。
健康になってからも会いに行ってない。

少し、家族が恋しい気がした。

頭を横に振ってその考えを振り払い、ぐっと力を入れて立ち上がり。
よたよたと歩いて演習場を去った。

ご案内:「第一演習場」から相楽 満さんが去りました。