2015/07/28 のログ
ご案内:「第一演習場」に頸城 陸さんが現れました。
■頸城 陸 > 演習場の一角に立ち、小さく深呼吸。
「……さて、と。それじゃ、少し頑張ってみようかな」
言い終えると、自らの異能を発動。
漆黒の霧が、己の体から吹き出し、周囲を覆う。
普段なら、即座に鎧と化す霧。
だが、漆黒の霧はそのまま周囲へと散っていき、空気に溶けて消える。
「……んー、駄目だ」
ため息を吐いて、ポリポリと頭を掻く。
「いつもと違うやつを作る、って言うのは簡単だけど、上手くいかないもんだね」
小さく呟いて、視線を上へと上げる。
見上げた夜空には、星と月。
■頸城 陸 > 「……弱い版って、やっぱりできないのかな」
視線を下ろして、呟く。
先日思いついた、出力を抑えた異能の鎧の生成。
それを試してはいるの、だが。
上手くいかない。
普段よりも弱く、と意識すれば霧は鎧にならずそのまま消えてしまう。
「……どうすれば、いいのかな」
呟いて、腕を組んで考える。
■頸城 陸 > 思考の海に浸り、アイディアを探す。
「んー……」
弱く、だと硬質化まで辿りつけない。
最初の霧の量を普段より少なくしてみる、というのはどうだろうか。
……もっとも、それも上手く出来るかどうかはわからないが。
「仕方ないよね。試したこともなかったし」
鎧の生成は今までずっと意識せずに、適当にやってきた部分だ。
練習してみれば、何かしら変化が起こせるかもしれない。
……正直、独学では限界もある気はする。
とはいえ、誰に聞けばいいのかもよくわからないが。
「……都合よく、誰か来てくれたりしないかな」
などと、ポツリと呟いて。
■頸城 陸 > 「……ま、そんな事、起こるわけ無い、か」
やれやれ、と息を吐いて、集中。
……とりあえず、思いついた事は全部やってみよう。
普段よりも、霧の量を少なく出すイメージで、異能を発動。
再び、己の体から吹き出す漆黒の霧。
その濃度は、普段よりも心なしか薄い気がする。
よし、後は普段と同じような感じで、やるだけ。
漆黒の霧を周囲に纏わりつかせ、硬質化。
その姿を異能の装甲へと変える。
「……あ、できた」
試してみるもんだな。心の中で安堵の息を吐く。
とはいえ、実際に弱くなっているかがまだ解らないのだが。
軽く片足を上げ、地面を踏み抜いてみる。
■頸城 陸 > 地面が揺れる。普段と変わらない感触。
大きく息を吐いて、装甲を解除。
足をずらして、己が踏み抜いた床を見る。
砕けて、ヒビ割れたそれは、以前のドミノ倒しをした時の八つ当たりと然程差がないような気がした。
弱くなってないじゃん。
心のなかで盛大に溜息。
どうやら、量は関係ないみたいだった。
「……まぁ、いいや。また今度、色々考えてみよう」
言い終えて、演習場を後にする。
ご案内:「第一演習場」から頸城 陸さんが去りました。
ご案内:「第一演習場」に相楽 満さんが現れました。
■相楽 満 > さて、今日の相楽満は。
いつもの演習場で、セットを整える。
防御状態を高めにし、いくつか岩の柱を。
さらにそれにも防御をかけて。
「ふぅ……」
真ん中に立つ。
少しずつ、何か自分の中の異変が湧き立って来る。
人と関わるほどに、自分の力を引き出すほどに異常を感じる。
確かめねばならない。
■相楽 満 > 幸い人は居ない。
こんな夜ならば、人も来るまい。
力を、高めよう。
「…………ァァァアアアア!!!」
絞り出すように声を上げる。
自分の異能を高める。
これに耐えうる体を、今日までなんとかして作ってきた。
空けた口から唾液が垂れる。
全身から汗が噴き出す。
腕が、足がぎしぎしと悲鳴を上げる。
立っているだけで、全身が握りつぶされるような痛みに襲われる。
けれど、ここからだ。
前に見えた『何か』は、まだこの先に
■相楽 満 >
気が狂う。
力が荒れ狂う。
あふれ出る。
■相楽 満 >
『壊さなきゃ』
■相楽 満 >
アウェイクン ス ン
《覚醒・ を し 》
■相楽 満 > 「っぶぁ……っが……!!!」
意識が、戻る。
高まりすぎた筋肉で締め付けられた内臓が揺れる。
嘔吐する。
量を出る前に飲んだ飲み物がそのまま、さらに胃液を大量に。
呼吸もままならず、せき込む。
目が回る、息が出来ない、頭がガンガンする。
音も聞こえない、色もわからない。
今自分が立っているのか座っているのか、倒れているのかもわからない。
そんな様子で、ひたすら嘔吐しながら、酸素を求めて金魚のように口をぱくぱくさせながら、その場に倒れる。
■相楽 満 > 必死で、気管に胃液だけは入らないようにする。
呼吸すら必死で止め、胃液を吐き出し続ける。
それすら吐き出せなくなって、ようやく呼吸。
ヒューヒューと音を立てながら細く息を吐き、吸い、なんとか自分の命を保つ。
「っが、げっほ……っげ……ぇ……!」
また胃が蠢き、なけなしの胃液を吐き出す。
それに合わせて唾液もとめどなく溢れ、自分の顔の横を濡らしていく。
これが成功なのか失敗なのか。
これだけ苦しい思いをして、成功なわけがないだろうが。
■相楽 満 > 「っはぁ……っは、は……っ……」
目が回るが、なんとか呼吸は安定してきた。
震える腕で自身を保ち、なんとか起き上がる。
が、すぐにふらついて尻もちをつく。
「……怖……っ」
素直な感想だ。
自分の力の底は、一体どれほどに恐ろしいものなのだろう。
それにあの感覚は。
■相楽 満 > 恋人の顔が頭をよぎる。
彼女は正義の心を持つ女の子だ。
さらに退魔師の兄を持ち、彼女自身もまた巫術の使い手と聞く。
もし、あれが顕在化したら、自分はどうなるのだろう。
彼女に討たれるのか?
狂い、堕ちて破壊を振りまくことになったら。
■相楽 満 > 頭をぶんぶんと横に振る。
だがそれでまた頭痛が激しくなり、頭を抑える。
「っく、そ……どーしよ……」
呟く。
自分の力の底が見えたとき、恋人と今まで通りの関係で居られるか。
そんなこと、考えたくもない。
この関係が崩れるなんて考えられない。
そう、思いたい。
■相楽 満 > だが、同時に好奇心がある。
知りたいのだ。
自分の中に巣食うものを、自分の中の限界を。
それを完璧に使いこなせたとき、誰より強い男になれるのかどうかを。
ここで忘れてしまえば、きっと平和な日常に戻れるのだろう。
けれど、それを望めない。
なんとも恋人泣かせな男だ、と自嘲気味に笑った。
「……まぁ、しばらくは黙ってねーとな……」
自分の胸の奥に居る『何か』との対面は、このことを彼女に話すのはまだ先のことか。
恐ろしくも、楽しみである。
■相楽 満 > だが、あの声は。
『壊さなきゃ』
何に向けたものだろう。
あれは自分の意志だろうか。
それとも、自分の中の『何か』の意志だろうか。
それがわからない。
知りたい。
■相楽 満 > 立ち上が ろうとして、また尻もちをつく。
前回と同じだ、ひどく疲労してしまった。
またしばらくは立ち上がれまい。
「……まだまだ鍛え方が足りねーか……」
呟く。
自身の未熟さを。
鍛えねばならない。
まだまだ足りない。
自分の目指す境地は、ここではない。
■相楽 満 > 「ふぅ……あー、疲れた……」
呼吸を落ち着け、座ったままゆっくり休む。
少し気温は高いが、汗ばむほどではない。
そういえば、しばらく恋人とは会ってない。
メールや電話もあまりしないタチだけに、会話の頻度も多くない。
こんな自分では飽きられそうだな、と考える。
あ、いや、それはちょっと寂しい。
なんとなく焦る。
あとでメールしよう、忘れられるわけにはいかない。
■相楽 満 > しばらく休み、ある程度回復したら。
「よっこらしょっとくらぁ」
じじくさい掛け声で立ち上がり、ふぅっと一息。
「うし……帰るか」
結局『何か』はわからずじまい、それどころか底が見えないくらいに暗いことしかわからなかった。
加えて、なんか不安な感じもする。
さっさと帰って、あとで恋人にメールでも送ろう。
そんなことを考えながら、演習場を後にした。
ご案内:「第一演習場」から相楽 満さんが去りました。