2015/09/10 のログ
ご案内:「第一演習場」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 【魔術学演習】の授業は主にこの演習場で行われる。
毎回何の前触れもなく課題を出され、術式構成を自由に考えて課題をクリアするという形式だ。
時には90%近い生徒が躓く難問を用意する、悪名高き授業である。

「なるほど……術式を連鎖的に重ねたのか、面白い。」

授業中は一切助言もせず、ただ見ているだけの獅南。
だが、授業が終わってから長い時間をかけて、生徒1人1人の構成した術式を再生し、評価、採点している。
今回の課題は【300gの鉄球を溶かせ】というものだった。
殆ど原型をとどめているものから、完全に融解させたものまで…すべての鉄球とその周囲の空間で構成された術式を再生する。
ヒエログリフも裸足で逃げだすくらい複雑な魔法文字や不可解な記号、そのた様々な術式が可視光を放って空間を彩っている。
魔法陣1つ1つがまるでネオンのように、美しい空間を描き出していた。

獅南蒼二 > 採点基準は複合的で、完全に融解させることが一概に高い評価を得るとは限らない。
魔力容量に頼ったゴリ押しは評価に値せず、いかに効率よく、そしていかに効果的に術式を組み合わせるか、それが全て。

こういうとき、所謂火炎魔法は非常に効率が悪い。
エネルギーを周囲に撒き散らしてしまい、小さな対象の温度を上げるには向かないのだ。
最も効率が良いのは単純な熱操作だが、これは非常に高度な魔術である。

「着眼点は悪くないが……これではな。」

熱操作に挑んだ生徒はたったの1名。結果は…まぁ、チャレンジ精神だけは認めよう。
そんな調子で、1人、また1人と採点していく。
この時間は獅南にとっても術式構成を再確認し新たな発想を得る時間であり、生徒にとっては質問をぶつけるいいタイミングでもあった。

……なにせこの教師は、授業の時以外は殆ど研究に没頭しているからである。
質問をするためにつかまえようにも、まずつかまらない。

ご案内:「第一演習場」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 「へえ」

(術式がさまざまに光を放つ空間に、低い声が響く。
 まるで空間芸術――インスタレーションでも眺めるような顔をして、獅南の後方からヨキが宙の文様を眺めていた。
 いびつに形を変えた鉄球を見下ろしながら、獅南に向けて声を投げる)

「『魔術学演習』――評判は聞いているぞ、獅南。
 興味深いことをやっているじゃあないか」

獅南蒼二 > 結界魔法を張り巡らすこともなく、何の哨戒魔法も無い。
ならば、五感が常人のそれと違いない獅南が、声を聞くより早く貴方の存在に気付くことは難しいだろう。

「…、あぁ、アンタか。
 無理難題を押し付けるクソ教師が居る、くらいの評判かな?」

相手に視線を向ければ、小さく肩を竦めて笑った。
今のところは、特に警戒する様子もなく、生徒の評価や助言をメモしたノートを、演習場の真ん中に置かれたテーブルに置く。

「そこらのはまだ余熱をもっている、触らん方が良いぞ。」