2015/09/21 のログ
ご案内:「第一演習場」に濡衣茶楽さんが現れました。
■濡衣茶楽 > 「ふぅー……」
一人ぼっちの演習場。
この場所を利用したのは初めてではない。大体1年程の日時が空いていた。
そんな演習場の真ん中で両腕腰元に構えて設定した想像敵が襲いかかって来るのをジッと待っていた。
目指すは最低限からの脱出、出来れば最中ぐらいのレベルアップが目標。
30秒程時が経てば背後より足音が聞こえる。
実際にそこに存在しているがあくまでデータ上の存在。倒した所で何も残らないが攻撃されれば傷は残る。
その敵は自分より巨大、3m程の人型で力勝負ともなればまず勝ち目が無い。
が茶楽自身がその設定にしたのだから手段を考えているらしく
茶楽の表情は緊張で固まっているものではなくどちらかといえばいつも通りの緩い表情だった
ご案内:「第一演習場」に蒼穹さんが現れました。
■濡衣茶楽 > 「ちょっとサンドバックになって貰いますかね……」
そんな軽口と共に巨人は力任せに両腕を振るって茶楽へ襲いかかる。
その動きを見て表情を崩す様子もなく茶楽は両足全体に神経にも似た魔術回路を通じて強化術式を展開して素早く後ろへ飛んで巨人の攻撃避ける。
「あー…くっそ。普段から慣らしてねぇと痛いなコレ…」
腕を通して物を強化することは多い故に慣れているものの、
足自体を強化することはあまり無く身体のどこかが焦げるような感触に眉をひそめる。
その空を切った巨人の攻撃は空を切って地面を叩き、
茶楽が避けた事を確認すると地面を叩いた両腕を上げてゆっくりと茶楽へ近づいていく。
■蒼穹 > (野次馬。そんな目的で演習場に足を運ぶことは間間あった。
そして、今日も例に違わず野次馬に足を運んだ。
演習場のとある区間。非常に寂しい、そう、一人しかいない空間へと出てきたのは気紛れが作った偶然。
高みの見物と言った感じで、少し上のフロアで物見をしていたら、何となく見覚えのある姿と、
巨人族と見紛う様な大きな何か。)
…あ。
ちゃらい先輩?
(今はもうすっかり話題もクールダウンしていたけれど、フェニーチェ云々の騒動でそこそこ知られていたような。
何だか風紀委員で周りからチャラいキャラを押し付けられていたあの人。
フェニーチェについて己は関わらなかったし、向こうは此方を知っているのか分からない。
というか、風紀委員に最近漸く顔を出し始めた己の事など知らなくても不思議ではないだろうが、さておく。
取り敢えず、周りからチャラいチャラい言われてたので間違って名前を覚えていることは、些事。)
…ん、おお。
(巨人族って、体はでかいけれど脳味噌は大きくないのが多いらしい。
力任せの暴力を見るに、あれも例に違わないのだろう。3mもあるガタイが繰り出す一撃、
それを避けるのだから、中々。
叩かれた地面は、少なからず揺れたりしたのだろう。
集中しているようだし、一つ、暫くここで野次馬していこうか。
強化魔法を使う人間と、端から強化された体を持っている巨人の戦い、と言ったところだろうか。)
■濡衣茶楽 > 「あ……?」
何か癪に触るような事を言われた気がする。
しかしその言葉の正体を探る暇もなく巨人は腕を振るって茶楽に襲いかかってくる。
「…あー!糞!でけーから殴る場所が高いじゃねーか!
人の脛を蹴って悶える姿を見るのはいいけど人の脛を殴る趣味はねーんだよ!」
何かふざけた事を言っているが、そんな態度とは裏腹に足を強化したまま巨人の攻撃を掻い潜り、巨人の足元へ入り込む。
「ちっこいの舐めてると痛い目見るってなァ!」
どうやらここまでは計画通りだったらしく巨人の足首に対して回し蹴りを決める。
…その蹴りはただの蹴りではなく、強化術式を更に使用した蹴り。
先程は速度強化していたが今回は衝撃強化、その強化を施してあると振れるだけで対象に衝撃が届く。
つまりどういうことが起きるかと言えば、
茶楽が蹴った巨人は自分と同等の大きさの巨人から足払いでも受けたかのように転んでしまう。
■蒼穹 > (やっぱり忙しそう。
っていうか本当にチャラいあの人と思うのは気のせいだろうか。
ただまぁ見向きもせずと言った具合に巨人との対峙が続くわけで。
人の脛を蹴ってもだえる姿見るのは良いって何なんだろうか。
さておき綺麗な回し蹴り。少し人間離れしたようなスピード、若しくは足捌き。
魔力の流れを掴んでみるに、やっぱり強化で間違いない様子。
ただ、あんなでかいのに普通の人間が向かって行って、
足元を蹴っ飛ばす。それで転ばせてしまうのだから驚きもの。
やっぱり、かのフェニーチェの関係者故か強い。…いや、それは関係ないか。
倒れる巨人とセットで当たりがぐらりと揺れるのは御愛嬌。)
…ふぅ。
(それで勝負あったのかどうかは分からないけれど、
取り敢えず、椅子でも用意しようと引っ張り出しながら。
今日はどうにも、演習場の利用者が少ない様子で。
やっと見つけた野次馬の先がここだったわけだが。
…というかそもそも、この頃演習場の利用者が全般的に少ない気がする。)
■濡衣茶楽 > 巨人自身目の前の小人の攻撃で転んだがすぐ立ち上がろうとする。
茶楽もそれを見逃すはずもなく、立ち上がる前の巨人の胸ならば自分の拳が届く位置である。
故に、茶楽の両足に込めていた魔力を全て右腕に込めて、遠慮無く振り抜くと尻もちついていた巨人は勢い良く演習場のフィールドの端まで吹き飛ばされ、
そこでノックアウトなのか巨人は情報の海へ帰っていった
「……あー。ウン。やっぱ衝撃強化いいな。
相手の体格次第だけど吹き飛ばせるわ」
右腕を痺れを抜くように力なくぶらぶらと振って周りを見渡す。
先程の声は確かに聞こえたが、聖徳太子ではない為に誰が言ったかまでは分からない。
しばらく探していると演習場の観客席で高みの見物を決め込む女子をいるのを見つければ口を開く。
「オーイ。さっき俺を呼んだのお前か?……何か、どっかで見覚えがあるような…誰だっけ…」
相変わらず緊張感の無い顔で首を捻って女子の名を思い出そうとしているがどうやら思い出せないようだ
■蒼穹 > お疲れ様ー。
(割と早くに終わってしまった。あれだけ大きな体格差があるのに、力量では逆に圧倒的だった。
分かっていた事だが、仮想の敵だったみたいで、フィールドの端に当たった拍子に砕け散ったわけだが。
ともあれ、それだけ力を込めたら、反作用という物も少なからずある様で、だらんとぶら下がった右腕を見て一言。)
ん、私。何の用もないけどね、たまたま見かけたもので。え?…ほら、風紀の。
(何処から持ってきた椅子の上に。分かってはいたけれど、やっぱり風紀内での認知度は極低い様子。
これで思い出してくれるかどうかも微妙だが、関連するワードを。)
■濡衣茶楽 > 「お、おう」
まさかお疲れ様という声を貰うとは思っておらず、
少し返事に困った様子を見せながらも労いの言葉を受け取った反応だけを返す。
しかし仮想敵を倒した程度でお疲れ様と言われる程ではまだまだなのだろう。
「えー…と。あ、思い出した。
風紀の問題児。で、制服が嫌いとか抜かして先輩がキレてた気がする。
その名前は…ソラ、だっけ?」
思い出したものを遠慮無く口にしていく。
これで正解ならば何ら問題はないが、違うならとんでもない冤罪になるが。
「んで、たまたま見かけたって…見回りとかの仕事はしないのかよ。俺もあまり人のことは言えないけど」
■蒼穹 > ひ、酷い!…でも正解。
風紀の問題児、蒼穹だよ。ちゃらい先輩。
(率直、ストレートに問題児と言われるのは心外だった。
というかナゼにそんな細かい事まで覚えているのかツッコミたいが、さておく。
己が刑事課になったのは制服が嫌いだから。何でも刑事課にだけは着用気味がないんだとか。
堅苦しい服だとか、ユニフォームだとかは嫌いなのだ。協調性のなさが滲み出ていよう。)
んー、見回り、見回りねー。
最近はたまに歓楽街とか落第街とか回ってるんだけどな。
(但しあくまで腕章付けて散歩しているだけ。
この間はたまたまぶつかった女の子と話が合ったのでそのまま買い物して一緒に晩御飯食べた。
平常時はやってもそれくらいに適当な職務。)
ね、先輩も人の事言えないでしょ。
そういう事だって。
(そうして、いつもの様にサボリであることを自覚しながら、一切悪びれることのない半笑いを見せる。)
■濡衣茶楽 > 「ちゃらい先輩って呼ぶなよ。
俺にはちゃんと濡衣という苗字と茶楽って名前があるんだからよ。」
別段アクセサリーを沢山ぶら下げてたりとか耳にピアス穴を開けてる訳もなく見た目は普通の男子生徒。
なのに名前だけでちゃらい先輩と呼ばれるともなると茶楽は慣れた事とはいえ傷つくものは傷つく
「そりゃまた危険なとこに見回り行ってんなぁ。
俺は怖くて怖くて落第街なんて仕事じゃない限りは近づかないな。
絶対何か事件に巻き込まれるし」
落第街こそ常世島危険スポットの一つとも言える場所…なのだが、
最近は七英霊等の存在もあり落第街はそこまで危険なスポットではないと囁かれてたり、囁かれてなかったり。
そんなことを囁かれていても茶楽は落第街に近付く気は毛頭無い。
面倒事に巻き込まれたくない、というのもあるがもっと根本的な理由はある
「んー…まぁ、俺はアレだよ。戦闘訓練だから一応仕事してるからな。
だから全く仕事してない訳じゃないぞ。多分」
言い訳のように自分の非を認めようとはしない。
仕事をしているかしていないかの差なのだからそこまで執着しなくてもいいのだが、
後輩を前にして仕事しているアピールは出来るだけしたいようだ。
■蒼穹 > 二つ合わせてヒラガナにしてから入れ替えるとちゃらい、になるよねって話で。
ま、濡衣先輩の方が良いかな。ちゃらくって発音しにくいし。
(取り敢えず折衷案を出してみた。あまり名前でからかうのは良くないらしいし。)
仕事だから近寄ってるんだって。
私も行きたきゃないよ。この間なんかもう殺す気満々の怪異とか二級学生とかに追われて散々だったよ。
…うん、そうだね。
(取り敢えずあの辺は危ないと言う事だけは周知の事実。
ただもう、七英霊だ電気猿だとわけのわからないものが学生街をもうろうろして、
現に今もどこかで暗躍していようものなのだからもう安全も何もないのだが。)
じゃあ私もその戦闘を野次…見学して後学に活かしているから仕事していないわけじゃないね、恐らく。
(そういうわけでさらっと己に掛かりそうなサボリ疑惑を払しょくしつつ。
椅子から立ち上がって、高みから階段を降りていく。閑散とした演習場へと。)
…さて、軽く体を動かそうかと思ったんだけど思い浮かばない。
何をすればいいと思う?
(先程まで彼が立っていたど真ん中へと。それから振り返って聞いてみた。)
■濡衣茶楽 > 「はぁー…なるほどなぁ…俺の呼び名ってそんな感じになってたんだ。初めて知った…
じゃなくてな。呼ぶなって話であって…あぁ、まぁ、ちゃらい先輩じゃなければなんでも良いぞ。」
頭痛がするかのように額に手を当てて唸っている。
今更呼ばれたくない名前の成り立ちを聞いたからといって頭痛の種の中身が分かっただけで大した解決にはなっていない
「怪異や二級学生に追われたとかそりゃまた…不幸なこって。
生きてるようなら良い事なんだが…やっぱ落第街って危険な場所に変わりねーんだな…」
ぞくり、と寒気。腕も少し鳥肌が立っている
スマホから確認した『落第街はそこまで危険ではない』と書き込まれていた掲示板はもう信用しないでおこう、と今固く決心した
「身体動かすってんなら……さっきの俺みたいに仮想敵と戦えばいいんじゃないか?
さっきの巨人といい、中々種類があるぞ」
先程自分が行った身体を動かしていた事を後輩にもさせる。
それは少し危険な事でもあるのだが、二級学生や怪異に追われた蒼穹なら大丈夫だろう。
寧ろ、下手したら蒼穹の方が茶楽より強いという事もありえてしまうが、今はその予想を消すように首を振る
■蒼穹 > いやぁ、良く知らないけども、モブっぽい風紀委員の人はそんな風に呼んでたかなあ。
…ん、まぁあれだね。私からすれば、先輩って呼ぶのも珍しいんだけど、濡衣先輩と。
(そこまで気にしていたのだろうか。若干申し訳ない。
ただ、彼の仕草は少しオーバーだと思った。機会があれば間違ったふりして呼んでみよう。)
散々だったのは怪異の方だね。ここ、あるでしょ?御腹。
右下腹部ばっさり焼き払われたよ。やることえぐいよね。
つっても、私はまあ、中々死なないから大丈夫なんだけど…。
落第街なんてクズの溜まり場だよ。存在しない街とは言ったもので、
そもそも、存在しないんだから、そこで何をしようがその罪も罰も存在しない。怖いよね。
(追い打ちをかける様な形で落第街に関しての誹謗中傷をとめどなく続ける。
因みに今は怪異とは協力関係だが事実は事実。)
あー…。そういうの面白くないんだよね。
何でかな、こう…虚しいじゃん。私が今まで見ていたのは所詮夢幻泡影だったんだぁー…って。
それに種類あっても適当にやったらすぐ終わっちゃうしなー。どれどれっと。
(そうは言えども一応確認。最早己は実力や戦力は完成系だと思っている。
非常に慢心的な言葉を吐きながらリストを確認する。)
…うわなにこれ。
(仮想の敵とは言えども、グロテスクな外見のヤツも少なからず居るわけで。
人間と美的感覚は違うけれど、生理的嫌悪感という物は一応ある。乙女だもの。)
■濡衣茶楽 > 「あぁ…その方がグッと胸が暖かくなるわ…」
乾ききっていた心に一滴の雫が心を潤して行くように、ミント味のガムを噛んだ後のように心に涼しい風がそよいでいく。
大袈裟かもしれないが、呼ばれたくない名前から普通に呼び名で呼ばれた時はそのぐらいの気持ちはあるのだ。
「エェ…いやそれ普通に死ぬぞ。
と言うかなんで死んでないの…」
蒼穹の説明に少し引き気味だが、そういえば蒼穹は人とは少し違う存在みたいな噂をどこかで聞いた気もする。
今はそれで納得しておくことにした
「あー…クズって言っても落第街の奴は生きるのに必死過ぎるんだよなぁ。
大体の奴は風紀や公安の腕章見ればそりゃ血眼になって襲いかかってくる奴が多いさ」
明日は我が身、という言葉が落第街に似合う言葉だろうか、
何時風紀・公安に捕まるか分からないともなれば風紀公安の人物を追い出すように襲いかかるものなのだろう。
落第街の住人は一定の事情があってそこに住まざるを得ないのも何人かいるだろうから茶楽はそこまで執拗に避難する気にもなれなかった
「あー…まぁ、俺みたいな弱っちぃのはこのぐらいが丁度いいんだよ。
まぁ、その様子だと鬱憤も溜まってるだろうし思いっきり攻撃してストレス発散とかしてみたらどうよ」
先程の落第街の様子を聞くにどこかストレスが溜まっているだろう、と予測をつけて戦闘をさせるように促してみる。
■蒼穹 > …そーなのかー?ま、兎も角そういう事で。
(ニックネームは付ける側故に、あまりそういう感覚は分からなかった。)
え、何?死んでほしいの?
ま、ちょっと頑丈にできてるのよ、私。
(ふふん、と得意気に鼻を鳴らして髪をかき上げて見せる。
頑丈とかそういうので説明がつかなさそうでもあるが、大体そういう事だ。)
…生きることに必死になるのは、生き物として極健全の事だよ。
だが生きる価値のないムシケラ共にはそんな生きることに必死になる権利すらないんだ。
ま、風紀委員の腕章付けて落第街うろついてみなよ、先輩も意見が変わる筈だって。
どいつもこいつも自分の事しか考えてない奴ばっかりだからさ。
(改める気は無い様だった。何だか何処かの悪役の様に上から目線で落第街の人々を見下している。
或いは、確かにストレスが溜まっているのかもしれない。)
うーん、そうだね。ストレス発散。
んじゃま、適当にやりましょうか。…で、殴るにはどれがお勧めかな?
っていうか先輩はなんかしてくれないの…?
(在ろうことか人に協力を要求していく始末だった。)
■濡衣茶楽 > 「…まー、そういう事言うならその姿勢を仕事に見せてみろって事でここは一つ。
一応、腕章つけて落第街見回りしたことあるから、あるからこそ俺はこの意見だよ」
と言っても2年生の頃だったか、あの時はまだ平和に住人同士のトラブルや盗難の取り抑え……あれ…常世島の治安悪くなってる…?
しかし怪異が落第街を彷徨くともなれば如何せん本格的に対策を考えた方がいいかもしれない。
今度色々情報を集めてみることにしよう
「殴るのにオススメならさっき俺が戦ってた巨人とか…後は…って何で俺が何かしなきゃいけないんだ。
自分より図体をでかい相手を吹き飛ばした直後で疲労困憊だぞ。ウム」
自慢気に胸を張っているが、既に腕の痺れも抜けて絶好調とは言わないが少なくとも疲労と言える程疲れている様子はなかった
ただ、面倒くさいというのと疲れる事をもうしたくないという意味でもあるのだが、それ以上に蒼穹の戦闘を見てみたいというのもあった
■蒼穹 > おうおう、そうかいそうかい。後輩がやるってのに手伝っちゃくれないって事だね。
先輩と拳を交えるでも良かったんだけどな。
疲労困憊で満身創痍な先輩を虐めたい。
(胸張る彼へと、悪辣で悪戯で少々サディスティックな笑みを向けたのだった。)
…仕方ない。巨人ね、巨人―――。ま、じゃあ多分さっきの…3mクラスのでいいか。
数は…1で良いかな。すぐ終わっちゃいそうだけど。
んじゃ、離れててねーっと。
(ぱんぱんと手を叩いて先輩に退陣の御願いを。それから、軈て中央から向こう側に、
ただしかし、巨"人"とやるのはつまらない。
もう少々歯ごたえが欲しいものだとタッチパネルを操作しながらふと思う。
先程と同じようなサイズの巨大な人型が姿を現す。ただ、見た目はまるで違っていた。
シルエットこそ、似通っていただろうけれど、オーガー族とでもいうのだろうか、
太っていると言って間違いないけれど、それらは贅肉ではなく、全てが筋肉。
ピキリ、と言った形であちらこちらに筋が見えるのがその証。
緑色の肌、手入れの行き届いていない髪と、そこにあるだけで威圧的な目つき。オマケに角まで生えている。
ずんぐりとした体格は、動くたびに荒い息の音を吐く。)
うおう。リアルだね。
まぁこれもただの仮想の敵なんだけど。作り物にしちゃ良くできてる。
(とまぁ、そんな化け物の前でも今一つ緊張感がないのは、
こんな作り物の鬼っ子より自分がさらに化け物だと自覚しているからで。
結局慢心的な考えは全く抜けない。)
蒼穹ちゃんの戦い、よーく見てなよー。
(ずしんずしんと、筋肉塗れのその体を振動させながら迫ってきているが、
それでも尚の事戦闘に集中しない有様。一瞥もくれず先輩にそんなアピール。何処まで行っても慢心的。
ただ、派手に動くなら体操服着てこれば良かったと思った。)
■濡衣茶楽 > 「何て後輩なんだ…まぁ、頼もしくもあるんだが」
頭を掻きながら先程蒼穹が見ていた位置に向かって一先ずその場所で蒼穹の戦闘を拝見することに。
腹が吹き飛んでも生きていられると言うからにはそれ以上の丈夫さを持ちあわせているから巨人程度の攻撃ぐらい何のこともないだろう。
「…あ、オイ。知ってるとは思うけど攻撃当たったら衝撃来るからなー
気をつけろよー」
念には念を入れて注意を聞かせる。
見ていたから分かるだろうが、蒼穹が抜けてる人物だったら危険な為、注意しておいて損はないだろう
「…っておい、オイオイ…そんなの呼び出しちゃうのか。というかデータあんのか…」
茶楽がその目に見た物は西洋の御伽話やゲームに現れそうなオーガに似ていた存在。
巨"人”というよりは巨"獣"の方が伝わり易い気もする。
「…ま、自分で呼び出すぐらいだから大丈夫だろ。」
肘をついてジッと蒼穹の戦闘の様子を眺める事にした。
余裕ぶっている蒼穹の態度を見れば一撃とは言わないが、数発攻撃ぶつければノックアウトさせそうではある。
■蒼穹 > はいはい、大丈夫大丈夫。
こいつには魔法も異能もないんだよ!だから平気だって。
(物理損傷でそこまで大きなダメージは入らない。というか見た目こそアレだが、己から見れば、
これはでかいサンドバッグも同然。
もう一つ、見た目はあれだが、脳味噌は大きくない。そして目も無駄にでかいが、
物を見るのは目ではなく、あくまでも脳味噌。
人間よりも小さい様な矮小な脳味噌で出来ることなどたかが知れている。
巨人というか、人を象っただけの獣が腕を振りおろす。それを横目で捉える。
そこそこ早い。どれくらいだろう、特別急行の新幹線くらいはあるだろうか。なんてどうでも良い分析をしながら。)
何でもあるよ、ケルベロスからゴーレム、ドラゴンに悪魔まで何でもござれみたいだね。
―――ッ、と。
(お得意右から左への横っ飛び。腰を落として体勢を整えて居たわけでもない、到底人間なら間接がおかしい方向に捻じれよう芸当。
そもそも動体視力が良くなければ、それが横っ飛びであったと気付くことも難しそうな、そんな一瞬の事。
そうでなくとも、人間から見れば尋常でない速度を以ってしての跳躍。
当然己は人間ではない。獣でもなければ、悪魔でも、龍でも、化け物ですらない。
ただ、この中のどれかと言われたら、化け物に属するだろう。
曰く、人間の脳味噌で創られた視覚は、0.1秒前の事しか見れないという。
さて、愚かにもその獣の一撃は当然空を切る。獣には、さっきまでそこに居たのにと言う認識になっている、のではないだろうか。
脳味噌という部分まで正確に考慮されて作られていたらの話、だが。)
どうよ?
(地面を殴り伏せて地響きと、小さな地割れを起こす、巨大な緑色の握りこぶしのすぐ横で、
やってやったと言わんばかりに、したり顔を浮かべたのだった。
獣の荒い息、唸り声の様なものが聞こえるが、気にも留めぬと言った様相。)
■濡衣茶楽 > 「まぁ…確かに異能も魔法もないなら怖くないわな…」
実際に自分も異能が無い存在だからそこまで怖がられたりする事もないと考えると少し悲しくもなってくる。
だからこそこうやって訓練を重ねて少しは戦力になろうと努力している訳だが
「…おー。残像、って奴かな。見えるには見えっけど…追うの疲れるなこれ」
見えるには見えるが何をどう動いたか、
等と詳細に分かる程茶楽は戦闘慣れしている訳ではない。
だからこそ蒼穹が今していることは単純に凄いと思うし、
人間ではないな、とも思える。
まさかとは思うが人外が風紀委員に所属しているとでもいるのだろうか。
「今そんな事考えたって何にもなんねーな…」
変な考えは独り言でもみ消して蒼穹の戦闘風景を再び眺める。
しかしなんともこの風景、貴族たちが高い位置から闘技場を眺めている、贅沢な感じもする。
出来ればこのまま眺めて事が終わればいいのだが、蒼穹は余裕そうにしているのを見て思わず声をかける
「余裕かますのはいいけど、殴られたら痛いのお前だぞー!」
まだ一発避けただけで戦闘は終了していない。
敵が生きている限り勝率100%というものは存在しない。
どちらかというならば巨獣の敗北する確率は0%でもないということ
■蒼穹 > 大丈夫だってーッの!
(横に手があるなら続いて横っ飛びした己と同じ様に右から左に振りかざしてくる。至近距離だったが所詮仮想の敵の一手。
如何に早くても、力強くても所詮それだけ。頭を使う必要もない、早いならもっと早く動けばいいし、力強いならさらに大きな力で押し潰せばいい。
軽く重力操作の魔術を、何の前触れも詠唱もなく動作の一環として行使する。
殴る蹴る歩く喋る―――それくらいの感覚で魔術を使うのだから、魔術師と言うか、やはり人外。
重力を圧潰すれば、また跳躍。そのスピードが人間のものでなかったことは既に言うまでもない。
過剰な程大きく高く、演習場の中で飛び跳ねる。放物線の頂点近く、漸く速度を殺したところで
フリップフロップでも空中で一つ。また慢心。にやけているが見えているだろうか。)
じゃあそろそろ、終わりかな!
(放物線の後半、自由落下。魔術で重力を微調整しながら、槍の様に、此方を見上げている大きな獣へと向かっていく。
空から女の子がだとか魅力的かもしれないし、或いは上を注視していたら何かが見えるかもしれないが、本人は気付いているのかいないのか。)
破壊魔法・第二十一術式「轢殺の剣」
(詠唱もいらない魔術に、そんな宣告をしたり、独特の振り付けをするのは本人なりのこだわりで。
落下の途中で真っ黒な閃光を、剣の様に己の手に添える。魔術で作り出した代物。破壊の属性を背負う一閃。
着地と同時に、緑色の巨躯のど真ん中を狙って斬撃―――というよりは、打撃とも取れるもの―――を放った。
あの高度であの勢い。残念ながらどんなに強くても反作用はある。ので、直接殴る事はしなかった。
魔術の剣を媒介して、そこにあった巨体真っ二つにした。まるでレーザー光線が薄い紙を焼き切る様に呆気なく。
電車が何かを下敷きにひき潰すように、まるで抵抗を感じず、素通りするかのように轢断していった。
そうすれば、倒したという判定が入ったのか仮想の敵は元通り、情報の海へと消える。
それを確認すれば、手に握っていた真っ黒な閃光に息を吹きかけて、霧散させる。)
…ふぅ。いやまぁ、大分飾って戦っちゃった。あはは。
最初から真っ二つでも良かったんだけど…。どうどう?
(ただ、戦ったのは所詮幻影。訓練にはなるだろうが、己がやってもあまり意味はないのかもしれない。
一人でやると虚しいし寂しいので、傍観していた彼の高い席へと向かいながら言葉を投げた。)
■濡衣茶楽 > 「なんというか……刑事課の同僚タイヘンそうだなこりゃ。」
余裕を見せては更にその上を力を見せていく。
直接蒼穹の戦い方を見たことがない茶楽としてはこの上なく冷や冷やするサスペンス映画でも見ているような気分になる。
自分に部下がいないのは当たり前なのだが、もしもいたとして、蒼穹のような部下がいたら胃も痛くなりそうだ。
真面目に働いてなくて良かったと思ったそんな一場面。同僚に心のなかで手を合わせる
「…ヘェ。飛ぶ飛ぶ…アー…まぁ、見えちゃった所でなぁ」
まるで闘技場の観客のようにそんな感想を漏らす。
見えたところで仮想敵とはいえ今は命をやり取りをしている途中に見えた所で何の嬉しみもない。
こういうのは日常生活の中で見えるからこそ魅力的なのであってこういう所で見えるのはしょうがないもので何かが違う
「…何考えてんだ俺は。
いやちゃんと戦闘見ような。うん」
思わず目の前の光景と場違いな事を考えてた自分の思考を切り替えて戦闘の観戦を続ける。
どうやら終わらせるつもりらしく蒼穹が一振りの剣を取り出して先程見せた余裕の理由を茶楽に教えるように一振り、
数発で終わらせるという予想を大きく裏切る一発で文字通り消し飛ばすような印象を受けた。
それこそ罰を司る神が悪しき者に天罰を下すかのような、そんな風景が―――
「……うん。まぁソラが俺よりつえーって事は分かった。
ぶっちゃけ手合わせしなくて良かったと思ってる」
ぱちぱち、と力無い握手をフィールドへ向ける。
フィールド上の闘士がそれを求めているかは分からないが、あくまで自分より上位の存在であることを認める。
強いなら強い。弱いなら弱い。はっきりそれが分かっただけでもこの戦闘を見た意味があった
■蒼穹 > 仮想の敵だから容赦なく切り刻むんであってさ、
流石に斬りかかって危なそうな人とかには注意は払うんだけどなぁ。
あっはは、ま、これで中堅秘匿戦力だよ。中堅。もうちょっと驚いてくれてもいいんじゃない?
(華やかな賞賛、というよりは、一つ一つの間が大きい伸びた拍手。あまり満足いかなかった様子。
力なく、といった具合のそれに不満そうな眼差しを送る。
少しだけ乱れてしまった頭髪や服装を撫で整えれば、観客席、というか見学者席と思しき上層フロアへと。)
こんな所、だよ。
(とすん、とまた席に腰を落として一息吐く。
人間の戦いではなかったのだから、人間に参考になる要素はあまりなかった。
ただ、危険人物と言われるだけはあるその一端が見えたかもしれない。)
さて、どうしよっか。
一つ倒しちゃったけど。私そもそも野次馬しに来たんだよね。
先輩は訓練しに来てたらしいけど、邪魔しちゃったかな。
風紀の好だし、私で良かったら何か、手伝ったげるけど…どう?
(どうにも、この先輩冷めている気がするのは気のせいではあるまいて。
チャラいチャラいと言われていたが、全く別の方向性の性格だったと認識を改めつつ。
そんな提案をしてみた。先程の戦闘の件でも、結局冷めた感想しかもらえなかったのが悔しかったのやも。
ちょっとした悪戯心を含んだような笑みを浮かべながら言った。)
■濡衣茶楽 > 「ま、そりゃそうだろうな。だからこそストレス発散に提案しただけだよ…
まぁこっちは驚いてるつもりなのだが、こういうのに気の利いたコメントを送れないのは…俺のせいだな。
こういうの見るとどうしても強者に対する世辞とかそーいうの出てくるからあまり褒めたくないし、そもそもソラは余裕ぶりすぎだし」
ふぅ、と一人だけ緊張していた時間が終わりため息をつく。
別段緊張していたかったつもりはないのだが蒼穹の戦い方を見て、消し炭にされかけた巨獣を見るとどうしても気が張ってしまう物だ。
そして褒めるどころか先程見せていた余裕ぶりに苦言を漏らし始めるという。
「いや…俺はあれで限界みたいなものだし、ソラの提案は嬉しいけど今日はもういいかなって
また日を改めて試したい事があったら試す感じにする感じだよ」
観客席から立ち上がり上体をそらして座っていた間に鈍った身体を起こして、
欠伸を一つしてから蒼穹の横を通りすぎて演習場から立ち去ろうとする。
蒼穹からしてみればそうでもないのかもしれないが
茶楽は茶楽で魔術の行使によって疲労が溜まっているようだ。
「…あぁ、そうだソラ。
戦闘するならスカートやめた方がいいぞ。…『中が見えるから』」
蒼穹の横をすれ違い際、悪戯心を含ませた笑みを浮かべて
誰かいる訳ではないのだが念には念を入れて蒼穹にだけ聞こえるような声量で蒼穹に伝える。
伝えるべきか伝えないべきかは迷ったが人外勝りの戦闘力でも女子は女子。伝えるべきだと判断したのだ。
そして伝える事を伝えきった茶楽は小走り気味に、どこか逃げ出すように演習場を後にする。
その心は蒼穹に見たという事を出来るだけ悟らせない為なのだろうか、しかしその去り際はやはり不審そのものかもしれない
ご案内:「第一演習場」から濡衣茶楽さんが去りました。
■蒼穹 > …それはあれじゃない?
先輩の性格が災いしているんだよ。といっても、あんまりストレートに褒める様なものでもないと思うけどね。
強者っていっても、所詮それは壊すための力でしかない、廃退的なものなんだし。
微妙って言うのは分かるさ。…そういうもんでしょ。余裕ぶるのは…仕方ないじゃん!
(むー、とやはり不満気な様子は隠さない。
確かに緊張感のなかった戦いだったかもしれないし、傍目からはあまり気持ちの良いものでもなかったのかもしれないけれど。)
あー、そう。
んじゃま、お疲れ様。野次馬しにきたけど誰も居ないなら私も引き上げようかな。
他にだーれもいないし、ね。
(くるんとあたりを見まわしてみるが、やっぱり利用者は居なかった。
擦れ違い様に。)
…?
え、あ、ちょ。…"見た"のか?!
流石ちゃらい先輩…!
(今日は白色だったらしい。何がとは言わないが。
ただまぁ、あの光景を見た後でよくも報告できたもの、
浮かべた悪戯な笑顔に逃げ出す様な素振り。その言葉の意図と仕草の意味に気付くのに、そう時間はかからなかった。
何ともからかわれている気がした。
だから体操服着てきたら良かったって思ったんだ。
見られてどうということもないのだが。少々居た堪れない気分になった。
あの先輩は別に悪くないのだが、どうなのだろう。…今度からは、ちゃんと服の着替えはしておこう。)
帰ろ。
(その居た堪れない気持ちのまま、演習場を後にした。
帰る場所なんかないけれど。―――いや、今はあったか。)
ご案内:「第一演習場」から蒼穹さんが去りました。