2015/10/07 のログ
ご案内:「訓練施設」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 最近はすっかり涼しく、日差しも柔らかくなったので、蘭もようやく日傘を持ち歩かずに済むようになりつつあった。

ここ最近は学園祭に向けたピアノの練習が忙しく、授業以外の魔術の練習の時間はろくに取れていない。
今日も、ピアノの練習をきっちり行った後…気分転換のついでに訓練しにきたような状態だった。

「…流石に、端末の操作の仕方は忘れてないと思うけど…」

そう言って、訓練の標的となる的を出すために端末を操作する。
特に作業に詰まる事なく、水晶体で出来た的を出現させる事が出来た。

美澄 蘭 > 「まずは、基本の4元素…」

そう呟きながら、水晶体に掌を向ける。
掌の先に…ビーチボールほどの大きさの、渦巻く白色の炎の球体が形成された。

「…えいっ!」

炎の球体はまっすぐ的に向かって飛んでいき、水晶体を包み込む。
炎が消えると…水晶体は薔薇の花弁かと思われるほど、真っ赤に染まっていた。

「………さぼってた割には…悪くないわね?」

腑に落ちないようで、首を傾げる。
授業以外の魔術の練習は、最近は気が向いたときに治癒魔術の練習を自室でしている程度だ。
一応、それでも魔力の流れを把握する力はついてきた…つもりでいたが、あまりに順調過ぎて不自然な感覚に、蘭は的に近づいて、しばしその赤を見つめていた。

美澄 蘭 > 「………悩んでても仕方ないわね。
とりあえず、制御には困ってないから大丈夫でしょ」

気持ちを切り替え、端末に向かって的の状態をリセットする。

「次は、水ね…」

再び的の方に掌を向けると…今度は、同じ大きさの激流を凝縮したような球体が生成され、そして的に向けて放たれる。
的にぶつかった球体は激しく弾け…残った水晶体は、ラピスラズリのような深い青に染まりきっていて、まるで透明感がない。

「………?」

おかしい。授業以外ではろくに訓練などしていないのに、明らかに魔術が強力になっている。

(…制御出来てない感じは、しないんだけど…)

蘭の感触としては、「魔力がスムーズに術式に作用するようになった」程度の変化でしかない。
首をひねりながら、再び的の状態をリセットする。

美澄 蘭 > 「………風の前に、土をやっておきましょう」

制御出来ないほど魔力を込めないように気をつければ良いだけだが…自分の予想を超える出力が出続けている状況は、何か、良くない気がして。
蘭は、あまり得意ではない属性を試す事にした。

「………」

掌を的の方に向けて、集中する。
生み出されるのは、先ほどまでの魔球と同じくらいの大きさで…鉄のような色をした球体。
少し前から、魔力を丁寧に込めると以前と違ってこうした様子になるようになったのだ。大きさは落ちたが…魔力と属性は十分篭っているのか、硬く、重い。

「…えいっ!」

その、硬くて重い球体が、速度を伴って水晶体にぶつかる。
鈍く、重い音が鳴った。

美澄 蘭 > 激しい衝撃が生み出されたはずなのにもかかわらず、球体はもちろん、水晶体も砕ける事はなかった。
両者はお互いの力をぶつけ合うようにして一瞬そのぶつかり合いを留めていたが…やがて、球体が重力に引かれて床に落下していく。
魔力が抜けて維持が出来なくなったのか…床につく前に、球体は宙に溶けて消えた。
水晶体は、深い土色をしてそこに鎮座している。

「………まあ、こんなもの…かしら?」

先ほどの水の魔球もそうだが、以前と比較してだいぶ色が濃さを増している。
そういうものなのだろう…と考える事にして、蘭は端末で的の状態をリセットした。

ご案内:「訓練施設」に蒼穹さんが現れました。
美澄 蘭 > 「じゃあ、最後に風ね…」

暴発しないように気をつけなきゃ、と口の中で呟いて、再び的に掌を向ける。

少し、訓練所の空気全体が動いた感覚があっただろうか。
渦巻く風が、蘭の掌の先に形成され…大きさをさほど変えないままに、空気の奔流の密度を高めていく。以前サリナに教わった「圧縮」だ。
大きさは今までの魔球とさほど変わらない。
それでも、見る者が見れば、今までよりも更に大量の魔力が籠められているのが分かるだろう。

「…えいっ!」

これ以上魔力を籠めると安定しないかもしれない…というところで、蘭は風の球体を的に向けて放った。

的と球体が衝突した途端…周囲に風が吹き荒れる。

「…っ」

蘭は風に煽られる髪を思わず手で押さえた。

「………やり過ぎた、かしら?」

周囲の状況を確認する事にした。

蒼穹 > (肌寒い温度になってきたこの頃。とりわけ夜は涼しいを越して寒いと言って間違いない。
そこそこ冷たい空気は、何も屋外だけではなく。涼し気な温度が入り込んだドームの二階席、野次馬とか見学の為の席は冷たい。
といっても、やっぱり己は野次馬。何処に赴こうか適当にぶらぶらしていたけれど、ちょっと足を止めた。
部屋は、魔術訓練や射的なんかの部屋だろうか。)

…。

(それが四大元素魔法の類であるらしいと言う事は分かる。
今の己にはタイムリーな魔法である。…見てのところ球体にして撃ち出すのにしか使っていないけれど、
他にも用途はあるんだっけ。使い方も多種多様。
でも基本はやっぱり物理的に生み出して撃ち出すのが基礎の基礎らしい。

恐らく純粋な一属性であろう白炎、深い水、重鈍な土に―――。)

うっ、わ。

(荒ぶ豪風。
辺りを吹き飛ばすかのような風が戦いだ。閑散として人だかりのない野次馬用の席だから、
その風は嫌にクリアーに己の身体に届いた。ある程度離れてはいたけれど、用意もしてなかったから髪が煽られる。思わず半歩下がった。
きょろきょろする彼女と目が合ったなら、大丈夫と言いたげに緩く小さく手を振って見せよう。)

美澄 蘭 > 風の氾濫の中、微かに聞こえた「うっ、わ」という声。
その声の主を探すと青い髪の女性と目が合った。

「…あ…その、ごめんなさい」

大丈夫…と言いたげに手を振ってくれるが、蘭としては気が咎めずにはいられないようで、そう言ってわたわたと頭を下げた。

蒼穹 > あっはは、だから気にしてないってー。

(風の音に霞む中、よく聞きつけてくれたものと思う。
兎も角、本当に大丈夫だし、こう気を使われてしまっては、何かこちらこそ申し訳ない。
あわてて頭を下げた彼女に、続けざまにまた緩く手を左右に振って。)

風の魔法とか、四大元素魔法とか、ああいうの得意なの?

(ついでに要領を得ぬ質問。ああいう魔術は、自分の中では苦手な部類に属する。
というか、一点特化が過ぎて得意な物がそもそも少ないのだが。
見た感じ、得意そう?という気がした。)

美澄 蘭 > 「…そう?………なら、いいんだけど」

気にしてないと言われれば、まだ落ち着かないながらもとりあえず納得はしたようで、肩から緊張の気配が抜ける。
そして、得意なのかと尋ねられれば

「…得意…っていうか、簡単な治癒魔術と、元素とか属性を使った魔術の基本ぐらいしか出来ない、ってだけよ。
まだ、全然勉強してないから………でも、確かに風は四大元素の中で一番得意かも」

「まだ勉強していない」という本人の言葉通りか、自分の魔術を客観視する、ということがあまり出来ていないようだ。
よく分からない風に首を傾げながら、そんな事を言う。

実際、蘭が行使していたのは初歩の魔球魔術に過ぎなかった。
蘭にしてみれば、ただ、
『制御出来る範囲で魔力を乗るだけ乗せてみたらああなった』
というだけの話なのである。

蒼穹にもし魔力容量が「見える」あるいは「読める」のであれば、蘭のそれは、『基本ぐらいしか出来ない』という言葉を信じるにはあまりにも大きい事に気付くだろう。
いくつかの世界を渡ってきた蒼穹ならば、その魔力容量が「剣と魔法のファンタジー世界」の本職の魔術師と比べてなお、さほど遜色しない事も分かるかもしれない。

蒼穹 > なぁるほど…。
んー、純粋な治癒魔術が使えるのは凄いと思うよ、あれ適正ないと全然使えないんだっけ。
四大元素魔法はポピュラーだからね。風の魔法使いとかかな?

(無論と言うか、魔力は読めるし見える。
魔力量の絶対値は、少なくとも風に至っては、こういう場所で訓練する程度の威力ではなかった。
もっと、風が伝わりにくい、専用の訓練部屋とかに行った方がと、そのレベルには達しているかもしれない。
魔力量の絶対的な比較は良く知らないけれど、一般普通の地球人のものではないくらいまでは分かった。
見た目は普通の人間だけれど、その見かけが全てではないのも知っている。
結果的に導き出されるのは魔法文明の世界から来た異邦人かな?という見当違いな答えである。)

勉強…ね。あれも応用すれば色々使えるらしいからね。例えば…

(事実、彼女が使ったのは単純だろう魔法の球。
様々な属性こそあれど、基本は同じ。複雑な形を意識する必要がなく、
抽象的に、ただ属性と、それに乗っける魔力を調節するだけで撃てるのだったか。
あれだけ威力が出せれば、他に大きく魔力を使った技も出来そうなものだと思うけれど、
先天的に魔力を多く持っている事だってあろう。)

体そのものを水や風に一時的に変えたり、とかね?

(そして、さりげなく最近見たタイムリーな魔術を上げてみる。
聞く人が聞けば馬鹿らしい魔術だ。なんでも変幻は大魔術の類らしいが、使えたり応用できれば便利だと思う。
勉強してないとはいえど、色々知って居そうだと見た。…これも見当違いやも?)

美澄 蘭 > 「うーん…私もそこまで詳しくないけど、生物の知識を活用する方の魔術は適性にそこまで左右されないって聞いた事がある、かなぁ…
私は生物は中学校で止まっちゃってるから、そういう意味で治癒魔術の勉強が止まっちゃってるんだけど」

生物。中学校。
治癒魔術についての返事に、蒼穹の読みとは外れた言葉が返ってくるだろう。
どうやらこの少女はこの世界の、比較的文明の発達した地域の出身らしい。

「風は結構使いやすい方ね…出力だけなら、雷の方がもっとよく出るけど………
うっかり力を籠め過ぎると、暴発みたいになっちゃうから」

今は基本の属性で馴らしてたの…と、少し困ったように笑いながら言う。
「馴らし」が必要な程度には、この少女は本職の魔術師ではないらしい。

「ええ…魔術の理論の授業はとってるから、色々応用があるのは分かるけど…まずは基本からでしょ?
それに、高度な魔術を使うのには知識が要るし。
今言った生物の他にも、数学とか、化学とか、物理とか…」

自然科学系の教科を指折り挙げていく。
「勉強が必要」にげんなりした様子はない。…むしろ、どこか楽しそうだ。

「………え、身体そのものを?」

蒼穹が挙げた事例を聞いて、大きな目をぱちくりと瞬かせる。

「………それ、制御間違えたら、今私の使ってる魔術とは桁違いで大変な事になりそうよね…戻れなくなったりとか」

想像して怖くなったらしく、ただでさえ色白な少女の顔から、更に血の気が薄くなった。

蒼穹 > 高速細胞分裂系?あれはね、たんぱく質とカルシウムと水分って人間の体が分かっているから出来るんじゃないかな。
白魔術と時間逆行系は多分適正がいると思う。…あー、生物とってないのね。コハルちゃん甘そうだけどな。
うん?…地球人?

(見た目は高校生くらいであっているだろうし、口ぶりからしても何か日本の教育課程に似ている様な。
ノーマルな学問を就学しながらそれを魔術に合わせていくあたり、どちらかといえば魔術は他の学問があって成り立つと考えているのだろう。
ついでに生物教師の名前を一つ。ただし授業には出ない。
少々意外そうに目をに二、三度瞬く。)

風は下手な事しても暴風で済むけど、雷で間違ったら辺り一帯焼け野原だろうしね。
…あ、もしかしてそれ、制御訓練?

(人にしてはかなり大きな魔力を持っていると思っていた。てっきりそこらの魔法使いレベルで楽々魔術を使えるかと思えば、そうでもなさそう。
力を込め過ぎて暴発しちゃうあたり、彼女は実際あまり勉強もしてないし、基本しかできないのは間違いないのかも。
才能とやらは秘めていそうだけれど。)

大規模な魔方陣を使ったりしたら数学とか物理とかいるよね。
高度の魔術を制御するんだったらそういうのがより顕著になってくる…らしい、けど。
化学?サボってるから知らなーい。

(彼女から優等生の雰囲気が伺えてきた。…いや、実際そうなのだと思う。
何処となく大人しやかで落ち着いているし、授業も静かに聞いているのだろう。
向上心めいた、密やかな楽し気な様相、自分だったらこうはいかないなと内心で思いつつ。
サボる事も悪びれず自由奔放すぎる振る舞いの片鱗を見せた。

それは兎も角として、どちらかといえば怪異や魔物に属する己だ。
魔術は当然の如く制御できるものと考えているし、右手や左手を動かすくらい気軽なもの。
魔術には確かに知識がいるけれど、己にはあんまりそう言ったものが必要ではなかった。ので、今一つ実感が持てないらしい。
「話には聞いているけれど、実際は…」といった感覚だ。)

そうそう、だから狭い所を潜って行けるし、
例えば刀剣や戦車砲なんかのダメージも悉くゼロになるね。
ホラ、四大元素魔法の風って空気と同義らしいから…。

…あー…、それはそうかも。よく考えたらなんであんなの平気で使えるんだろうね…。
でもそれ、言いだしたらキリがないって…治癒魔術とかでも、生物の知識使うやつは分量を間違ったら、
細胞とかそういうのがえらい事に…あー、やめようか、何か生々しい。

(ひやっとした雰囲気を察したらしい。彼女の何処となく気分が悪そうと言った表情に思わず首を左右に二三度。
やっちゃったなあ、と反省しているのか微妙な半笑いで話を折り畳んで。)

…ま、折角だし近場で見ていこうかな。それとも何かやろうか。
あー、そうそう。何だっけ。御名前は?

(それから野次馬席からドームの訓練施設の方に降りていく。
無礼にも彼女に指差して先に名乗りを求めた。やたら馴れ馴れしい。)

美澄 蘭 > 「高速細胞分裂系?………うーん、多分そんな感じ。
後は、体内のホルモンとかに働きかけるとか?」

生物の知識について説明されるとすごくあいまいな言葉が返ってきました。
がんばりましょう。

「生物も取れるなら取りたかったんだけど、時間割の兼ね合いがあってね…
来年取る事にしたの。………「コハルちゃん」?」

話の流れ的に生物担当の先生の事かな…と思いつつ首を傾げた。
そして、「地球人?」の問いには苦笑を浮かべて

「一応ね…違う世界の人もちょっと混ざってるけど。
…だから…ほら、左目」

春か夏の空のように淡い空色の瞳を指差した。
この島では珍しくないとはいえ、蘭の色素全体と照らし合わせれば、「ほぼありえない」色だ。

「ええ…一回、暴発で魔術の訓練見てくれる友達に迷惑かけちゃった事があって。
…幸い、酷い事にはならなかったんだけど…」

そう言って、少し寂しそうに目を伏せがちにした。

「制御訓練…まあ、そんな感じね。
一応、籠められる魔力量も可能な限り強くするようにはしてるけど」

一応、暴発させずに済む許容量は上がってきているので、蘭はこの感覚で訓練を続けていた。…最近は、別件でその時間がなかなか取れずにいるのだが。

「ええ…魔方陣の先生にもそんな話を聞いてるし…薬関係だと化学が必須でしょ?
複雑な魔術の原理を理解するのにも、物理とか、色々必要だし…

………あなたは、魔術の授業はあんまり受けてないの?」

特に苦にするでもなくそんな話をしたところで…最後に質問を投げかけた。
蒼穹の口ぶりから、
『魔術に必要な自然科学等の知識を熱心に受けていない=魔術をあんまり勉強していない』
と判断したようだ。
全員が魔術の勉強をするわけではないというのは蘭も知っているので、それはそれでおかしくはない…と思いながら。
基準を優等生の自分に寄せて、さほど違和感を抱いていないあたりまだ子どもである。

「…確かに便利そうだけど、それなら空間移動術の方が早そうかな、って…

………そうね、やめましょう」

想像力逞しくイヤな感じのものが頭に浮かんできてしまうので、魔術の失敗リスクについての話を打ち切る蒼穹の提案に同意する。
それでも、まだちょっと顔色は優れなかった。気持ちが顔に出過ぎである。

「名前?美澄 蘭だけど………あなたは?」

唐突に指差され、戸惑いながらも名乗り…そして、相手にも名乗りを求めた。

蒼穹 > …代謝をよくするんだっけ?
うん、ごめんね。純粋な治癒魔術についての知識は全くないんだ。

(根が破壊神だからマッチングしないしない。
あんまり治癒魔術に関する会話はどうにもならないみたい。)

あー、そういうね。
ん?朝宮小春って人、知らない?

(生物取ってないなら知らなくて同然だろうけれど。一部では人気の生物教師。)

………ああ、そういう。
って事は、魔法家庭だったりするのかな。

(見た目は普通そうだけれど、その目の普通の人間にはありえないのだろう。
そちら薄く青い空色ではなく、本来交じりっ気のない血だったなら茶色辺りだったんだと思う。
別段着色したわけでもなさそうだし、先天的な物か。差し詰め地球産まれの異邦人、と言う所なのだろうか?)

ああ、それはキツいね。大事にならなかったなら何より、だろうけども。

(暴発したら相当危ないくらいの魔力は持っている、と言う事だろう。)

んー…それであれだけの風を、ねー。
つっても球体に込めて放つんだね。直接手元から…は、危ないか。

(練習すれば、いずれ落ち着く様にはなりそうだけど、さっきの風もまた暴発したのだろうか。)

物理はあれ、電磁気学とか熱力学とかだっけ。電気の魔術や炎の魔術にはまぁ要りそうだと思うよ?
ごめん、化学はあんまりしらない。ほんとに。

うん?まぁ気紛れだよ。たまーに出てたまーにサボる。

(そもそももう学ぶことなど殆どない。見かけはこれだがやたらと年食って居る。
実際法則性が並んだ物理学や数学は概ね勉強済み。化学は知らなくてもあまり問題ない様子。
というか、そもそもそういった知識を必要とせず魔術を使えるので、大して真面目でもない。

因みにたまーに出てたまーにサボると言う言葉の本位は、あんまり受けていないというか、殆ど受けていないに等しい。

それから、ほどほどに話を切り上げつつ。)

うん。ああ、そうそう。蒼穹《ソラ》って言います。一年。
あー、あと幽霊風紀委員。よいしょ、と。…んで、もう訓練は終わったの?

(指の向ける方向を自分の顔に向け直す。
それから、自己紹介しつつ近場に足を運んで、また座る。)

美澄 蘭 > 「…うん、確かそんな、感じ…
………ちょっと、学園祭が終わったら個人的に勉強してみるわ。自分のためにもなるし」

「知識に関する話が曖昧に進む」状況に、蘭の方が耐えられなくなったようで、「勉強しておく」という形で話を切り上げた。

「朝宮………あ、シラバスで名前見た…かも?」

考えるように口元に指を当てながら首を傾げる。
時間割を組む過程で見たかも程度なので、記憶としては心もとないことこの上なかった。

「まさか…普段の生活でお世話になる魔術なんて治癒魔術くらいでしょう?
こっちに来るまでは、魔術の勉強らしい勉強なんてほとんどした事なかったの」

だから、今は覚える事が多くて大変…と言って笑った。
それでも笑えるあたり、覚える事が楽しみになるタイプの人種らしい。今までの会話から容易に類推は可能だが。
また、会話の内容から、家族の成員がどうであれ、彼女が島の外に「埋没」しようとする生き方をしてきた事が伺えるだろう。

「だから、雷の魔球の練習は、弾けさせない事を心がけてやるようにしてるの…
何とか、形になってきたところよ。

球体として圧縮してるときは平気なんだけど…対象にぶつかった後、全方位に魔力が弾けちゃうのよね…方向の制御が次の課題かしら?」

一応、致命的にやらかした後は気をつけて次につなげているようだ。
きっと、今後は風の魔術も気をつけて…どうにかする方法を考えるのだろう。

「電磁気…熱力学………来年頑張らなきゃ…」

どうやら物理も今年は取り損ねているらしく、眉を寄せつつそんな事を呟いている。

「………それ、結局どっちが多いの?」

おかしそうに…やや悪戯っぽく、くすくすと笑って尋ねる。
出るのもサボるのも「たまーに」なのはおかしい、と蘭の論理思考力が突き止めたらしい。変なところで頭が回るようである。

「蒼穹さん…1年生ってことは、同級生ね。よろしく。
…活動はそこまでしてないとはいえ…風紀委員って大変そうよね」

色々あるし、この島…と、感心した風で。
そして、訓練について尋ねられれば

「うーん、せっかくだから他の属性も試したいけど…」

そう言って時計の方を見る。空の色が暗くてもおかしくない頃合いだった。

「…今日はちょっと時間が厳しそうだから、また出直すわ。」

そう言って、苦笑した。

蒼穹 > …ああ、うん。そだね。

(根っから真面目だったみたいで。残念ながら己はこうはいかない。
故に、これまた曖昧な返事だけしておいた。)

あー、多分その人。一杯授業はあるから記憶は薄いかもしれないけど、
乗ってると思うよ。

(この雰囲気から、会ったこともなさそうだ。精々知っているとして名前どまり。)

ううん、どうかな。
空が飛べたら便利だし、あっちからこっちまで一瞬で行けたら便利だし…。
あーでも、四大元素魔法なんかは普通使わないよね。確かに。

(何処まで行っても、真面目なようだ。大変とか、勉強しなきゃとか、
そんな事を言いながら楽しそうに見えるのは気のせいではないだろう。
勉強や努力が好きと言う人種なんだろう。)

ううん、属性的には一番纏まり難そうだよね。
光とかああいうのも一点に集中させるの難しそうだけど。
電気とか音とか、ああいうのは波の指向性を意識すればいい筈だっけ?
物理学の波動の分野とか勉強したら上手いこと行くと思うよ。それこそ電磁気学なんかうってつけじゃん?

(真っ直ぐ飛ばない、なんて事はよくあることなのだろう。
それでも、球体の時点で狙ったところへと真っ直ぐ飛んでいるなら、
制御もそう難しくないのだろうけれど。…ありあわせの属性魔術の知識を一つ。)

おおお、頑張れ!

(単位ボロボロ落としてるくせに凄く他人事である。)

んなもん休みにきまってるでしょう。

(臆面もなくそう言い切った。悪びれずに、寧ろ合わせるかのようににんまりしている。)

お、そっか。んじゃどっかで会うかも。こちらこそよろしく。
いや待って、私これでも幽霊でサボリなのに散々働かされてるんだよ?
もー、ね。嫌になるくらい。

(といっても、別に困る事はない。風紀委員として、一応の戦力であり、
基本的に面倒なだけで、強すぎる怪異や魔物、犯罪なんかはないのである。
あくまで、破壊神たる己の目から見れば、だが。
去れど凄く面倒くさそうで口の一つでもと言いたげにやれやれと困り顔で述べる。)

…あっはは、そうだね。真っ暗になってるかも。
んじゃま、私もどっかいきますかねーと。お疲れー!

(豪快に手を振って、訓練施設の別の部屋へと歩き出した。
もう一つ二つ、野次馬でもするのだろう。)

美澄 蘭 > 勉強についての、蒼穹の食いつきはいまいちであった。

「そう…今度改めてシラバス眺めてみようかしら。
来年取る生物の授業どれにするか考える参考になるし」

恐らく、校内ですれ違っても意識などしていないだろう。
「朝宮小春」に対する蘭の認識はその程度だった。

「確かに、空を飛べたりしたら便利そうよね…交通網整備しようとしたら大変な事になりそうだけど。
でしょ?せいぜい、飲み水を生成してみようかくらいで」

おどけるように軽く肩をすくめて、四大元素魔術の用のなさを語る。
ちなみに、蘭は努力自体が好きなのではなく、
『努力の結果「知っている事が増える」「出来る事が増える」』
のが好きなだけなのだが…まあ、端から見れば些末な事ではあった。

「…指向性…そっか、物理ってそういう考えの助けに出来るのね…
………次の内容を自習でどうにかするのは無理でも、今までやった事の復習くらいはやっておくべきかしら」

一応中学校の範囲まではやったし…と、指折り数えるようにしながら言う。

「………私より、蒼穹さん自身が頑張るべきなんじゃないの?」

「休みの方が多い」と言い切る蒼穹が「頑張れ」と他人事のように言うので、苦笑混じりにそう言ってみたり。

「…風紀委員の方は、幽霊ってほどサボってないのね…
………お疲れ様。助かってるわ」

にこりと、柔らかな笑みを浮かべて。
少女のそんな言葉は、ねぎらいになるだろうか。

「あら…それじゃあ、またね」

別の部屋へ向かう蒼穹を見送りつつ。
クジャク石のような鮮やかな緑に染まっていた水晶体を端末を操作して片付けて、足早に訓練施設を後にしたのだった。

ご案内:「訓練施設」から美澄 蘭さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から蒼穹さんが去りました。