2015/11/04 のログ
ご案内:「訓練施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
以前神社での交戦で、大きな損害を出した上に対象の捕獲に失敗し、責任を取っての謹慎。
それもようやく明けたが、もはや学園祭も終わり際だ。
「……学生を続けられたけど、やっぱり僕には学生らしいことなんて縁が無いな」
ぽつりとつぶやく。
仕方がない、とは思う。
元より、自分にそんな機会が訪れたことさえ奇跡に近いのだ。
いや、それ以前に命を拾ったことが奇跡というべきだったか。
■寄月 秋輝 >
その代わり得たものもある。
先日の不甲斐ない戦闘結果、全力には程遠い魔術の出力。
その実戦データをもとに、刀を所持したときの能力の計測が研究所にて行われた。
魔術媒体としても優秀な愛刀を持ち、相応の結果を見せたところ、一時的に返却を許可されたのだ。
「……お待たせ、母さん……」
その愛刀を、もう一つの母の形見を抱きしめ、目を閉じる。
拘束されていた期間が長く、この刀も調査のため押収されていた期間があまりに長かった。
久々に愛刀の重量、手に吸い付くような馴染み具合を感じながら、呼吸を鎮める。
母の形見と一つになる。
呼吸を鎮め、天衣無縫の世界へと降り立ち、刀と世界と一つになる。
この時間もまた懐かしい。
■寄月 秋輝 >
刀を手に、周囲を見渡す。
まるで今まで見ていた世界はモノクロであったかのように、世界が輝いて見えた。
「……母さん……もう一度、力を……」
ゆらり、流れるような動作で刀を腰だめに構える。
居合の構え。
空気と光の隙間を縫うような、神速の抜刀。
そして正面を横一閃に薙ぎ、次の瞬間には納刀される。
一切の無駄を排し、極限まで自身を刃を一つとした剣閃。
その動作が、腕にかかる重さが、とても懐かしい。
そんな思いを抱き、天衣無縫の境地から脱する。
「……ふぅ……」
小さく息を吐き、刀を腰に。
懐かしいくらいの気持ちだが、まだ体に染みついた愛刀とのコンビネーションは問題ないようだ。
■寄月 秋輝 >
荷物をまとめ、演習場に礼をする。
すこしだけ、世界が美しく見えた。
次の戦いは、もう負けはすまい。
ご案内:「訓練施設」から寄月 秋輝さんが去りました。