2016/01/18 のログ
ご案内:「演習施設」に蔵田 怡与さんが現れました。
蔵田 怡与 > (のそのそ、と一人の女生徒が演習場に足を踏み入れる。)
(いつものどこか野暮ったい制服姿ではなく、トレーニング用のジャージを身に着けている。)
(いわゆる、芋ジャー、である。)

「……」

(肩から提げた鞄の紐を握り、落ち着かない様子で辺りを見回している。)

ご案内:「演習施設」にリビドーさんが現れました。
蔵田 怡与 > (何となくの場違い感を感じつつ、軽く体をほぐし始める。)
(準備運動というのは、とても大切なことだ、と、どの本にも書いてあったからだ。)

「戦闘機も、直前のメンテは必要。エンジンを温めておくことも、大事」

(軽くその場で足踏みをしながら、やはり辺りを見回す…)

リビドー > 「やあ。」

 声のする方角を向けば、見覚えのある年若き風貌の男性の姿が見て取れる。
 特に荷物を持っている様子は無く、身軽そうな装いで少女――蔵田へと近付く。

「……と、待たせてしまったかな。すまないね。」
 
 少々バツの悪そうに、自身の頬を掻いてみせた。

蔵田 怡与 > 「あ… 先生。こ、こんにちは。」

(丁度準備運動が一区切りついたタイミングで現れた先生の方を向くと、ホッとしたように眉間から力を抜いた。
待ってないです、と言うように頭を振ると、ぴしりと気を付けをして頭を下げる。)

「本日は、その…… よ、よろしくお願いいたします。」

(緊張しているようだ。しかし、高揚もある…)

リビドー > 「ああ。こんにちは。」

 穏和そうな声遣いで挨拶を返せば、軽く蔵田を見つめる。
 高揚とそれに伴う緊張は把握した。

(期待されているな。)

 彼女のお眼鏡に叶えば良いのだが。
 内心で軽く呟いき、意識を整え直す。

「ああ。……さて、と。そうだな。昨日はよく眠れたかい?」

蔵田 怡与 > 「は、はい、昨日…ですか。ええと……はい。普通に。6時間ほど。」

(何故そのようなことを問われたのかわからない…というような面持ちで、答える。)
(だが、昨日は若干夜更かしをしていた。今まで測った結果をまとめていて、寝るのが遅くなったのだ。)
(それを気づかれたのかな…? と思う。が、思うだけで、口には出さない。そういう異能なのかも、などと考えている)

「…先生は、よく、眠れました…か?」

(せっかく訊いてもらったのだから、自分も訊いておこう、と思ったようだ。)

リビドー >  
「ふむ。ならば問題はない。
 ……ああ、ボクの方も普段通りの睡眠を取っている。問題ない。」

 理解に悩む面持ちを察せば、少しの思案の後に口を開く。

「ああ、大した意味はない。念の為コンディションを確認しておいただけだよ。
 強いて言うなら、そうだな。良好でも不調でも構わないが、自分のコンディションを覚えておく事は大事だ。
 ……少ないのなら、少ないなりに戦うか腹をくくるかの判断をせねばならん。と……」 
 
 一方的に話し過ぎてしまったか。
 そう思えば、一旦言葉を引っ込めた。
 
 少し、間を置いてから口を開く。

「取り敢えず、そうだな。
 どんな事をやると思って此処に来てくれたかい。」

蔵田 怡与 > (相手の言葉をじっと聞き、心得た、という風に頷く。)

「コンディションの……確認。授業、でも、聞きました。常に、最良の、パフォーマンスを、と。
 その、最近、トレーニングをしています。…そしたら、夜、よく、眠れるように、なりました。
 コンディション、の意味が……少し、わかったような、気がします」

(相手の言葉に、時折考え込みながらも、自分なりの言葉を返す。)

「今日…は。ええと、以前、先生は、わたしの異能を調べておきたい、と、言っていました。
 なので…先生の推測と、実態が、合っているかどうかの、突き合せを…するのか、と、思って、来ました」

(こちらはあらかじめ考えていたらしい。幾分かすんなりと答える。)

リビドー > 「そうだな。常に最良のパフォーマンスを出せるのは理想だ。
 とは言え、正直な話それを貫き通すのはプロでも難しい。
 体調が悪いから出来ませんでしたでは、済まない事もあるからな……。」

 頷きこそするものの、言葉尻は少々濁ったものだ。
 思う所のありそうな、何か考えていそうな、そんな具合と察する事も出来なくはない。

「ああ。概ねはそのつもりでいた。結局の所、見なければ何も言えん。
 ……ただ、問題は手段だな。少々決めあぐねていてね、キミの希望に沿おうと思っている。
 一つは、ターゲットを用意するから、それをどうにかして貰うコンテストの方式だ。
 もう一つは、まぁ。実践形式だな。とは言えボクからは攻撃はしない。して欲しければするが――。」

蔵田 怡与 > 「……それは、少しわかります。人には、いろいろ、ありますから」

(言葉尻を濁す相手に、妙にきっぱりと言う。思うところのあるような物言いを、あまり多くは語りたくないのだろう、と判断したようだ。)
(だが、それはとても大事なことなのだろう、と思う。裏を返せば、最良の状態でない相手を討つことは、格下であろうと難しくはないのだろうから…)

「そう、ですか。 その、こちらは、何でも、大丈夫です。
 ただ、実戦形式は、まだ…少し早い、と、思います。
 まずは、能力を、見て、頂けませんか?」

(言うと、鞄を地面に下ろし、中から折り紙の束を掴み出す。)

リビドー >  
 はっきりとした返答は確かに耳にする。
 とは言え、"ああ。"と相槌を打つだけに留め、話題を切った。
 訓練に関連させるにしたってややっこしい所もある。今は置いておくべきだろう。

「ははっ、キミが蛮勇でなくて良かった。
 いや、それならそれで方針を変える必要が有ったのだが――」

 "その必要はなさそうだ。"
 意地悪げな笑みでそう語ってみせれば、演習用のグランドへと向けて歩き出す。
 
 その道中の傍らには、ターゲットに使われたであろうものが置かれている。
 的や機械、サンドバッグのようなもの、人を模したロボット、生々しい人体模型などが転がっている。

蔵田 怡与 > 「そうですか。なら、…よかった、と、思います。
 ……痛いのは、まだ、覚悟が、できていません」

(正直にそう言う。避けられる怪我ならば、今はまだ避けたいところだ。)

「その必要は……ありません。」
(何故か不思議と耳に残る言葉、"その必要はなさそうだ。" を、我知らずぽつりと呟いた。)
(が、グランドに向けて歩き出す先生の背中を見て、慌てて後ろについて歩く。)
(辺りに転がるものに対しては、特に反応をしている様子もない。そういう場所なのか、と、あるがままに受け止めているようだ。)

リビドー >  
「そうかい。さて、行こうか。」

 会話を切り上げて歩き続ける。
 ……彼女が通路脇のものに特に反応を示さないと察すれば、歩くペースがやや早まっただろう。
 
(普通だな。……ま、専攻を鑑みれば慣れているのは当然か。)

 実の所、許諾を得た上で段階的に並べてみせ、反応を探るつもりでいた。
 特に嫌悪や恐怖などを示さないのならばそれで良い。

(大分、短縮出来そうか。
 ……後で片付けておかないとな。)

 程なくすれば、グランドへの一つへと辿り着く。
 無人機や人型に線の引かれた的、赤いドラム缶のようなもの。
 手を上げた一般人を書かれた的――無人機を除けば、良く見る類のターゲットが配置されている
 また、人工的な小池や小さな岩山も障害物として配置されている。
 肉眼では遮蔽となっていて分からないが、岩山の裏や池の中にも的は配備されている。

蔵田 怡与 > (歩くペースが早まれば、それを気にした様子もなく、それに合わせて歩き出す。)
(これも誰かが使ったのだろうか、などと考えている。もしかしたら、同系統の能力者がいるのかもしれない…と。)
(模型などはよくできている、と思う。こういうものを作る能力者もいるのだろうか、だとしたらここはとても働き甲斐のある場所ではないだろうか。)

(グランドにたどり着くと、まず辺りを見回す。)
(あちこちに設置された的を一通り見回し、岩山や池、そのほか視界を遮る場所が多々あることを眺め)

「……いいところ、ですね」

(どことなく楽し気な口調で言う。)

リビドー >  
「気に入って貰えた様で何よりだ。
 似たようなものならば、申請すれば一人でも出来るだろう。
混雑さえしていなければ、軽い配置程度はしてくれる筈だ。……さて。」

 表情や語調から楽しげな素振りを察する。
 一先ず失望はされなかったか、と内心で安堵しつつ――

「これから30秒間で20個きっかりの的を破壊して貰おうと思うのだが。
 その前に、異能を使用する事による消耗については計測出来たかどうかを聞いておこうか。どうだい?」

蔵田 怡与 > 「そうですか。では…今度、お願いしてみます。
 これは、とても、実戦的に、思えます」

(相手の言葉に、頷いた。なるほど、この施設はこういう風に使う場所なのか…)

「30秒で…20個、きっかり、ですか」

(ゆっくりと的を見回しながら、繰り返す。
頭の中で素早くシミュレーションをしつつ、拾い上げて持ってきた鞄から、レポート用紙の束のようなものを差し出す。)

「訓練施設で、機材を借りて、測定しました。
 血圧、脈拍、血糖値、を、訓練中と訓練後で、まとめた、ものです。
 推測ですが… 恐らくわたしの使う戦闘機は、わたしのコンディションとリンクしています。」

(訓練前から訓練後に向かうグラフ。特に血糖値の数値は、下り坂のように推移していた。)
(ある日の計測結果などは、訓練開始直後から絶壁のように暴落している…)
(脈拍は上下に大荒れし、血圧も安定していない。)

リビドー >  
「ははっ。程々に凝ってみてね。実戦らしい配置にしてみたよ。
 少々教科書通り過ぎるかもしれないが――、一通り見るにはこんなものだろう。」

 レポート用紙の束を受け取り、軽く目を通す。
 斜め読みで概略を把握しつつも、会話を続けるか。

「成る程。……ふむ。
 ……ああ、ドローンが8、人型に線を引いた黒い的が12。その他が8。
 赤いものはターゲットとして換算しないが、爆発物や脆い建物のダミーとして幾らか設置してある。
 後はまぁ、感覚で判断してくれ。点数を付けるものでもない。……この記録だが、後でコピーを取らせて貰っても良いかな?」

 不安定さが見て取れるが、概ねの傾向として相関がある事は把握した。
 コピーを許されるのならば、残りは実戦を見てから突き合わせるとしよう。

蔵田 怡与 > 「はい。とても、動かしやすそうです。
 ……わくわくします」

(頷きながら、僅かに声に喜色をにじませる。
目の前に目標を並べられると、なにもない場所にぶっ放すより何倍も闘争心が掻き立てられる。)

「…あ、はい。コピーは、大丈夫です。
 あまり綺麗な字でなくて、すみません。お役に立つと…いいのですが」

(答えながら、折り紙の束の中から一枚を抜き取る。
ドローン8、的12、その他8…赤いのはダミー…と頭の中で繰り返しながら、素早く手を動かして紙飛行機を折り上げる。)

「では……始めます。
 
 行け。零式艦上戦闘機」

(その声と共に、小さな戦闘機が女生徒の手のひらから飛び立った。続けさまに、もう1機を飛び立たせる。)
(2機の零式艦上戦闘機…零戦は、あっという間に風を捕まえて上昇し、女生徒を直掩するようにグラウンドの上を大きく旋回し始める。)

リビドー > 「何、十分に綺麗だ。
 ……ああ、気兼ね無くやってせみせておくれ。蔵田怡与。」

 口元を軽く釣り上げ、笑みを浮かべる。
 二機の戦闘機が発進する様を視界に収め、途切れる事無く追う。

(アレは和製のものだな。確か、略称で零戦――だったか。
 手早く折り上げてこそいるが、この隙は少しキツイか。一手分遅れる事には違いない。)

 航空機からの視界を把握する事が出来るのならば、岩山越しの的は直ぐに見つかる。
 人工池の中の的も把握出来るだろう。無人機(ドローン)に関しては、一定の速度で浮遊や旋回を行う。
 とは言え動きは遅く、それを加味していれば十二分に中てられる程度だ。
 実際の戦闘機と比較すると遅いと思うかもしれない。

 池と岩山の遮蔽、そして"その他"として手を上げた一般人が書かれた的以外には、小細工は見受けられない。
 気兼ねなく異能を奮える様、整えられている。

蔵田 怡与 > 「…!」

(片手を前に伸ばし、すっと横に滑らせるように動かす。)
(零戦のうち1機が、機体を斜めに立て、急降下しながらドローンの1機をその翼で両断する。)
(降下した先の池に、そのまま機銃を放つ。水面がびちびちと跳ね、池の中の的を貫く。)
(その1機を再度上空へと持ち上げる間に、もう1機の零戦を旋回させ、池と対角線上にあった的を続けさまに2つ、機銃で撃ち抜く。)

(機銃の威力は弱いようだが、狙いは比較的正確だ。)

(飛び回るドローンを2機撃ち落とし、これで6。背面飛行からの機銃掃射で、岩山越しの的も撃ち抜く。7。)

(…女生徒の息が、少しずつ上がってきている。)

リビドー >  
(ふむ。"二機同時"でここまで動かせるか。ナチュラルに並立思考か超感覚をやっているな。
 ……狙いは十分。当てる事は出来ているし、戦闘機そのものの翼で両断する芸当も見せている。
 問題は攻撃力だな。アレでは少々厳しいものがある。硬い奴はとことん硬いんだよな。

 とは言え、流石に専攻なだけあるか。自主的に重ねた鍛錬もあるのだろうが、随分と扱い慣れている、が……)

 闇雲に掃射している訳ではない。
 池の中の的も岩山越しの的もきっちりと把握している。
 標的の選定も申し分無く、努力と才能の片鱗が把握出来る。

(問題は火力と体力だな。
 この分だと、やり過ごされて接近されただけで――)

 息が上がり始めている。まだ三十秒は経っていない筈だ。
 火力も高いものではない。その点に若干の不安を覚える。
 僅かに、眉を顰めた。

蔵田 怡与 > 「……ふっ」

(折り紙の束から、もう一枚を抜き出す。手早く折り上げ、飛び立ったのは先ほどの2機とほぼ同じ大きさだが、別機体。)

「紫電改。発進」

(腹の底に響くような独特のエンジン音を響かせ、紫電改が掃討に加わる。紫電改の動きは零戦よりも素早く、軽い。合計3機の戦闘機が、唸りを上げて空を舞う。)

(紫電改の水平飛行からの機銃で、無人機が木っ端微塵になる。その脇をすり抜けた零戦が、紫電改の行く手にふらりと飛んできたドローンを撃ち落とそうと機銃を放つ。…が、火力が足りず落としきれない。)

「ちっ」

(女生徒は手のひらを翻す。紫電改を大きく旋回させて逃がし、零戦をそのままドローンに突っ込ませた。ボウッ、と空中に大きな火の玉が咲く。)
(もう1機の零戦は、人型の的を狙うために、高度を徐々に下げていく。消耗しつつある零戦は打ち取りやすい人型の的に、それ以外のものを紫電改に撃たせている。が。)

「………」

(女生徒の顔色が悪い。零戦を突っ込ませてドローンを破壊した、その破片が赤い目標へと墜落したのを、見落とさなかったようだ。)

リビドー >  三機目の増産からの猛攻。
 畳み掛けに来たのだろうか。とは言え落としきれていない辺りは片手落ちか。
 舌打ちも聞き取れた。
 
(今のは素――いや、苛立ちを隠さない、熱中で隠せないタイプかな。
 まあ、良い。大分雑になって来たか。アレはやらかした顔d)

 破片が赤い目標へと落下する。
 落下すると、何が起こるか。

 爆発する。
 爆発して、周囲の黒い的二つを吹き飛ばし、岩山を軽く削った。

 ……軽い爆風が蔵田やリビドーまで届くだろうが、それ以上は無い。
 運が悪く無ければ、破片なども飛び散らない風に調整している。

(そろそろ三十秒、かな。)

蔵田 怡与 > 「!」

(爆発の衝撃に、女生徒は思わず体をすくませる。
2機の戦闘機は爆風に巻き込まれ、コントロールを失ってしまったらしく、慌てて伸ばした片手をぐいと引き戻すように動かす。)
(が、低く飛んでいた零戦は、爆風の勢いでそのまま地面に叩きつけられ、的の一つに突っ込むと動かなくなる。)
(紫電改は何とか体制を立て直そうと機体を回すが、同じく爆風に巻き込まれたらしいドローンに追突し、爆発、炎上して爆風に彩を添える。)

(新しく紙飛行機を折り直している時間は…ない。)

「………」

(30秒。破壊した目標は、最後に機体とともに誘爆した的を含め、11。
女生徒はがくりとうなだれた。息が上がっている。)

リビドー >  
 30秒が過ぎれば、項垂れた彼女へとゆっくり近付いて行く。
 リミットを過ぎても行う様ならば黙って続行させるつもりでもいたが、様子を見るに十分だろう。

「お疲れ様。持久力と火力以外は申し分ないな。」

 定期試験で最後の最後の大問が解けなかった様な項垂れ方をしている辺り、
 時間で切り上げる点は忘れていないと見た。
 反応を待って、言葉を足す。

「二機三機を並列して操作する並列的な思考と感覚、
 筋道立てて標的を定め撃破出来る操作性と精度、
 最後は少々荒かったが……瞬間的にとはいえ此処まで出来るのは誇って良いぜ。」

 特に並列操作は素晴らしい。
 ……物言いこそ上から目線のものではあるが、語調には穏やかな音を込めて賞賛する。

「火力は兎も角、体力・持久力は何とかしたい所だ。
 で、そうだな。どうだったかい。キミ自身としては。」

蔵田 怡与 > (短く息を整えながら、顎の下の汗を拭う。)
(近づいてきた先生を見ると、ゆっくりと頭を上げた。申し訳なさそうに目が伏せられている。)
(涼しい声で評価を受けながらも、その内容が今の段階では誇るに値するものであっても、その表情はどこか晴れない。)

「ありがとう、ございます……」

(しばし沈黙し、なにかを言いかけては黙り、考えるような素振りを見せていたが)

「……もう少し、できると、思っていました」

(声にはありありと悔しさが滲んでいる…)