2016/01/26 のログ
ご案内:「訓練施設」に雪城氷架さんが現れました。
■雪城氷架 > 「よいせ、っと」
訓練施設、その一角のベンチに鞄を降ろす
自主練はなんだか久しぶりだ
前の試験の前にとっても頑張った以来だろうか
ぐっぐっ、と体を捻って入念にストレッチをはじめる
特に運動するわけではないものの、異能だって肉体に根ざしたものだ
特に自分の場合は特別負荷がかかる、やっておいて問題はない
■雪城氷架 > 鞄を開けて、異能演習のテキストを取り出す
我ながら努力の跡が見える、結構ぼろぼろだ
このテキストに書かれた演習内容は大体終えてしまったが、さて
「でも訓練施設の演習装置にはもっと上の段階もあるんだよな…」
自分の課題はとにかくコントロール性の向上だ
万が一にも暴発は危険を招く、そんな能力である
担当の指導員にも、身内にもそれだけはしっかりやるように言われている
■雪城氷架 > ある一つのラインを超えての演習内容は指導員の監督と許可がいる…らしい
そういうものが見えてくる程度には、自分の異能のコントロールも高いレベルになってきている…はずである
「よーし…やってみるか」
何かあってもセーフティは働くようになっている
中には無茶をする学生も相当数いる
少し緊張しつつ、操作パネルまで歩いて行く
幸いというかなんというか、近くで訓練している人もいない
失敗してもカッコ悪いところを見られずに済む
ご案内:「訓練施設」に永江涼香さんが現れました。
■雪城氷架 > パネルを操作する
演習難易度は一年生のものを遥かに凌駕する
無差別に射出されるいくつかのデコイを破壊する
よくある形式のものだがコントロール力の訓練には実に理にかなっている、らしい
「よし」
深呼吸して、その時を待つ
やがてカウントを示す電子音の後、ターゲットが四方から射出されてゆく
タイミング、速度、軌道に至るまですべてがランダム
即座に位置を把握して、集中力を高める
瞬時に燃焼温度が上がった場合、燃焼という現象は爆破へと変化する
不規則に、そして連続した爆発音が訓練施設に響いてゆく
大半のターゲットを撃墜した、その時
「(ッ…同時…!?)」
二箇所から同時に、ターゲットが射出される
片方は落としたものの、やはりというか、意表を突かれ片方を外した
■永江涼香 > 「誰かいないかしらー?」
楽しそうに訓練施設に足を踏み入れる。
先日は路地裏だったが、今度は訓練施設を探検である。
「異能とか、見るのも面白いのよねー」
異能や、そうでなくても戦闘技術と言うのは、単に見てるだけでも結構面白いものである。
なので、誰かいるなら見物して…誰もいなければ、ちょっと本気で自分の宝剣をぶっ放してみようかな?くらいのことを考えていたら…
「ぉ、いるじゃない」
いた。銀髪のツインテール、遠目に見ても目立つ髪をしている。
「(みせてもらおーっと!)」
そう思い、遠巻きに(勝手に)見物を開始する。
■雪城氷架 > 「はぁっ、はぁっ……」
演習の終了を知らせるベルが鳴る
短時間に連続、かつ精度を要求される異能の行使、
ある程度慣れた今でも、体への負荷が著しい
息は上がり、冷や汗が顎を伝う
パネルに目をやれば計算されたスコアが点灯している
反応D、精度B、破壊力A
なかなかに残念な結果だ
精度は一発外したことによるもの
反応の低さは、射出されてから破壊するまでの時間が遅かったせいだろう
命中して破壊できなかったデコイはなし
総評すれば、まだまだということだろう
■永江涼香 > 「(ふーん……)」
爆破、いや、発火系?の異能。それだけ見ると、パッと見路地裏で見たチンピラと同じタイプの異能だ。
ただ、威力が段違い。
「(その分制御全般が微妙、って感じねー)」
勝手に評価を下しつつ、終わったのを見て近寄って行く。
「やっほー、お疲れ様ー」
ひらひらを手を振って、そのまま声を掛ける。非常に気安く。
■雪城氷架 > 「……?」
疲労から屈んでいると声をかけられる
見た顔…ではないが……
「えっと…訓練にきたのか?
ごめん、すぐ片付けるから……」
ふぅっと荒い息を落ち着けて、姿勢を正して向き直る
■永江涼香 > 「あ、いいのよいいのよっ!単に見てただけだから!」
わたわた、と少し慌てる。いけない、気を遣わせてしまった。
いやまあ、それ自体は悪い気はしないけど、疲れてるところに追い打ちしたみたいでなんだか気が悪い。
「凄いのね、貴女の異能。火力が私が見たのとは大違いだわ」
そして、逃げる様に話題転換。素直な感想を口にする。
■雪城氷架 > つうっと垂れてきた汗を手で拭う
なるほど、施設の見学に来ただけ、だろうか
制服を着ていないので学園関係者なのかはわからないが
「大したことないよ。
ちゃんと制御できなかったら、意味ないし」
言いながら、鞄の元まで歩いて行くと、ペットボトルの飲料を取り出して口をつけて飲み始める
実際これぐらいの火力を持った炎熱系能力者は学園には珍しくなさそうだ
■永江涼香 > 「ま、確かに制御はあっぷあっぷ、って感じよねー。でも火力があるって事は才能よ?多分ね」
異能にそんなに詳しくはないが、やっぱり『基盤となる物が優れている』と言うのは大事な才能だと思う。
野球で球速は才能だと言われたりするように、格闘技で大きな体は天性の資質だと言われるように、自分が天性の巫女であるように。
「それとも、同じくらいの異能者ってたくさんいたりするのかしら?そうだとしたら、凄い所よねーここ」
完全に観光気分である。
目的が半分以上それだから、仕方なくはあるのだが。
「あ、私は永江涼香。天照大御神の力を宿す天性の巫女よ。貴女は?」
■雪城氷架 > 「そっかな」
別段火力が欲しいわけではない、というのはあったが、言葉にはしない
それを求めている人もきっといるのだろうと
「わかんないけど、私なんて落ちこぼれの部類だし…結構いるんじゃないか?
私は…氷架。雪城氷架、一年だよ」
なるほど涼香というらしい、続く言葉の意味はよくわからなかったけど
学がない人間にはわかりづらい名乗りだったようだ
■永江涼香 > 「そうだと思うわよー?」
深くは考えず肯定する。
実際、火力と言う意味では通常を越えている、と思った。それがどこまで正しいのかは分からないけど。
「貴女で落ちこぼれ、って凄いわねー…氷架、ね。よろしく、私も一年よ」
転入したばっかだけどねー、と笑う。
制服を着ていないのは…単に、出歩く時くらいは私服がいい、と言うだけの理由なのだが。
■雪城氷架 > なんだ、タメか
そう思うと若干崩れた感じの態度になるのはやむなしであろう
「見たことないなと思ったけど、転入?
変なヤツらいっぱいいるから大変だろ、此処」
ベンチに腰掛けて、飲みかけのペットボトルをゆらゆらと揺らす
やがらカラカラと音がなるように、内部に氷が発生したらしい
ちょっと温くなってきたので冷却措置だ
■永江涼香 > 「いーえ、寧ろ大歓迎よ。色んなのがいて楽しいもの!」
満面の笑み。心底そう思っている、と言うのが疑いようのない笑顔だ。
「この前は路地裏に行ったけど、チンピラと、忍者と、竜人がいたわ。実家に籠ってたら一生見る事はなかったでしょうね。大変ってより、好奇心が尽きないわ」
貴女はそうじゃないのかしら?と無邪気に問い掛ける。
幼少期から神社で厳しい教育を受け続けてきた彼女にとって、この常世学園は未知の宝庫だ。
その目に映るあらゆるものが目新しく、楽しい。
だから、大変さなんてほとんど感じていなかったのだ。
■雪城氷架 > 「……羨ましいなその適応力」
好奇心旺盛とでも言うのだろうか
こちらは慣れるのに随分とかかったものだが
「路地裏ぁ?あんなところ行くもんじゃないぞ。
風紀委員が告知してるじゃないか、一般学生は行くなって」
心底呆れたような顔でそう答える
知らないのかそれとも知った上で危険を侵しているのか
■永江涼香 > 「ん?そうでもないわよ、なんでも楽しいと思えばそんなもんよ」
あっさりと、こともなげに口にする。
勿論、そんな対応は普通ではないのだが…目に映る物なんでも楽しく見えるくらいには、狭苦しい生活だったのだ。
「まあ、そうだけど、でも興味があったから仕方ないじゃない?そこらのチンピラにやられる私じゃない物」
竹刀袋を見せて口にする。それだけだと剣術に自信あり、と言う風に見えるかもしれない。
■雪城氷架 > そのポジティブ思考も羨ましいな、と思いつつ
取り出してきた竹刀へ目線を落として
「自意識過剰で痛い目見なきゃいいけど。
此処の連中はだいたいが異能者だぞ、ただの剣術じゃ…」
そうだ、自分から見れば常識はずれの実力者である零だって、
落第街に巣食う化物相手に負けたという話を聞いた
ましてや女の身では…とどうしても思ってしまうものだが
■永江涼香 > 「ん?ああ、剣術じゃないわよ、私のは」
そっか、そう見えるわよねー。と言いながら竹刀袋から一振りの宝剣を取り出す。
近代のものではない。明らかに古代の祭具であったのだろうという風な、豪奢な直刀だ。
「最初に言ったでしょ?私は天照大御神の力を宿す天性の巫女。私の本領は、天照大御神の神威を使う事と、この宝剣『天照』の力よ」
ホントはもっと長い名前なんだけどね、この剣。と笑う。
涼香にとっては、剣術はあくまで剣を遣う方法としての補佐に過ぎない。
本命は、その日輪の威光。天照大御神の神威そのものである。
■雪城氷架 > 「………」
まずその武器らしきものに目を引かれる
なるほど、なんだか見たことのない形をしている…少なくとも市販品とかではなさそうである
そして、少しバツが悪そうに
「…で、えーと……アマテラスオオミカミって何だ?何かの駅の名前…?」
■永江涼香 > ガク、と脱力する。
しかし、それも当然と言えば当然。
神道と言う宗教及び出雲神話と言う神話は、実はメジャーであるかと言うとそれほどでもない。
日常的に信仰として根付いている物の、特に信仰において大雑把なところのある日本国においては、誰でも知っているというほどの常識ではないのだ。
知っててもおかしくはないけど、知らなくてもまあ仕方ない……それくらいの知識なのである。
「えっとね……日本の「神道」って宗教の最高神よ。国作りの神、伊邪那美、伊邪那岐の二柱から生まれた三貴神の一柱、太陽を司る日輪の女神。つまり、私の力は太陽の力、って事ね」
ちょっと困ったように説明する。
一般には知らなくても仕方ない知識…と言えど、涼香にとっては常識以上に身近にあったものなのだ。
それが通じない、と言う事に結構なショックを受けてしまったのだ。これも世間知らずである証左でもあるのだが。
■雪城氷架 > 「えー……と」
イザナミとかイザナギとか聞いたことはあるような感じである
ドイツ生まれとはいえ幼少時は日本で暮らしていたし、多少は、多少は
「つ、つまり涼香は神様の力が使えるってことか!そりゃーすごいな!」
要点はそういうことだろう、と、ポンと手を打った
■永江涼香 > 「…うん、まあそれでいいわ」
普段なら「そうよ、凄いでしょう!」とドヤる所だが、明らかに細かいところがよくわかってない反応に少し気が抜けてしまう。
とは言え、それも束の間。すぐに気力を持ち直す。
「私の実家に伝わる、天照大御神…まあ、神様の力を宿した宝剣であるこの『天照』も含めて、私の扱う力はまさに神の力よ。
神の遣い、神に選ばれた巫女が、チンピラ程度に負けるわけがないでしょう?」
ふふん、と胸を張る。
ドヤ顔である。
■雪城氷架 > 「へー、どんなことできんの?」
ベンチに座ったまま目線を向けて
なんというか、こう
神の力とか言うものだからゲーマー心に火がついたとか、そういうものかもしれない
なんだか年齢相応と言えば年齢相応のきらきらした期待の眼が向けられる
きっと星を割ったりとか天をぶち抜いたりとかできるんだ、と言わんばかりの
■永江涼香 > 「んー、本気出すと……ねえ、この施設って丈夫よね?」
ちょっと困ったように問い掛ける。
彼女の振るう力。それを見せるには…疲れるが、神剣解放が最上だろう。なにせ、神威を大規模に行使するのだから。
だが、それは勿論ながら、非常に威力が高い。下手な建物だと『消し去ってしまう』くらいだ。
絞りはするにしても……大規模な異能の行使でびくともしないくらいの頑丈さが欲しいところであった。
■雪城氷架 > 「さぁ…核爆発くらいには耐えられるんじゃないかな…」
非常にアバウトではあるが、大勢の異能者が利用する演習場である。
時には激しいバトルも起こると聞くし……
「防護用のシールドとかも張ってあるらしいし大丈夫じゃないかな、多分」
■永江涼香 > 「へー…凄いのね、ここ」
それなら、少し絞れば確実だろう。神威の解放を……まあ、デモンストレーションだし半分くらいで。
そう思って神剣『天照』を抜き放ち、上段に構える。
……その瞬間、纏う空気が変わった。
今までの幼さの残る子供っぽい雰囲気から、まさしく、神に仕える神聖なる巫女の雰囲気に。
そして、髪の毛が眩しいくらいの白に変化し、その背には炎で出来た輪が発生した。
「高天原に 神留坐す 神漏岐神漏美の 命以ちて
皇親 神伊邪那岐の大神
筑紫の日向の橘の小門の 阿波岐原に
禊祓へ給ふ時に 生り坐せる 祓戸の大神等
諸々禍事 罪穢を
祓へ給ひ清め給へと 申す事の由を
天津神国津神 八百万神等共に
聞食せと 畏み畏みも 白す……」
祝詞を唱え、神剣の宿す神威を開放する。
柄に埋め込まれた、極小の『本物の太陽』の封が解かれ、その場に浄化の陽光が満ちる。
そして。
「……さあ、日輪の女神の威光、その目に焼き付けなさい!
『神咒神威 天照坐皇大御神 霊結禊祓剣(かじりかむい あまてらしますすめおおみかみ たまむすびみそぎはらえのつるぎ)』!!」
振り下ろされる神剣。
その刃部から、斬り下ろした軌道に沿って、目も眩む様な浄化の陽光が放出され、全てを焼き尽くす炎光の斬撃となって世界を切り裂く。
神の振るう猛威。
そう言われて納得出来てしまうような、圧倒的な力と神聖さが、そこにはあった。
■雪城氷架 > 「っわ……」
長い長い、まるで魔術の詠唱のような言葉が結ばれた後に奔る閃光
ちゃんと見ているつもりが思わず目も眩む
神の剣が振り下ろされた、その後には防護用のシールド出力が著しく低下したことを知らせるアラートが鳴り響く
「…わーお」
すごかった、けどなんか思ったより凄い威力らしく大事になってしまった
■永江涼香 > 「ふふん、どーよ…」
言いながら、髪の毛の色は元に戻り、神聖な雰囲気と共に背の輪も霧散する。
が、ついでになんだかとても疲れている様子だ。
「とはいえ……絞り甘かったかしらね。もーちょい絞るべきだったかしら」
はぁはぁ、と肩で息をしつつ、アラートに気を回す。
ちょっとやり過ぎた、かな?
■雪城氷架 > 「凄いなー!なんかこう、髪の色までぶわーって変わったぞ!」
ベンチから立ち上がって普通にはしゃぎはじめる
なんだか必殺技を見たような感じでテンションが上がってるようだ
「あー大丈夫大丈夫。
一時的に出力落ちてるから無茶な異能使うなーって警告なだけだから」
そうやって言うとおりに、しばらくするとアラートは収まる
出力があがり正常な動作に戻ったということらしい
実際、自分も異能の扱いに慣れない時はよくやらかしたものだった
■永江涼香 > 「より神威を高めた時にはああなるのよねー。この剣も、発動に結構力使うし」
ふー、と呼吸を整えつつ、神剣を鞘に納める。
その後の言葉を聞けば、ほっと一息。
「なるほどねー、なら大丈夫かしら。半分くらいとは言え、神威の直撃を耐えるとか流石の防御ね」
ふんふん、と頷く。
神話に語られ、信仰される女神。その力を威力として放出する『神咒神威 天照坐皇大御神 霊結禊祓剣』の威光は、それこそ地形すら変えかねない強大なものだ。
絞ったとはいえ、それを受け止めて持ちこたえるとは…と、驚きと共に感心しているのである。
■雪城氷架 > 「なんかそういうゲームの主人公とか見てるみたいだったなー!」
歳相応の素直な感想、それくらい現実離れした格好良さ、を感じたのだろう
「前に私も熱量操作の練習で6000万度ぐらいまで温度あげたら警報鳴っちゃったりしたりしたなー。
びっくりすんだよね、いきなり鳴るから」
そういってけらけらと笑うのだった
■永江涼香 > 「んー、私ゲームとかあんまりやったことないけど、こういう感じなのかしら?」
厳格な教育を受けてきたが故に、所謂TVゲームの類などは完全にノータッチ。家を出てから、街で少し寄ってみたゲームセンターのゲームくらいのものだ。
なので、ゲームの主人公と言われてもピンと来ないのであった。
「……6000万度って貴女、それ太陽よりも熱いじゃない……」
その後の言葉にはドン引き。
太陽は表面がおよそ6000度、最も温度の高い中心部でも1500万度とされている。
単純に、太陽の表面の、一万倍。中心部の四倍。
そんな温度で警報で済んだこの施設も凄いし、そんな温度を再現できる氷架もとんでもない。
……それ以前に、もっと早く鳴りなさいよ警報、と言いたいのを、ぐっとこらえた涼香である。彼女にしては、非常に珍しく。
■雪城氷架 > 「そうそう、なんかそんな感じでかっこいい感じ!」
とにかく格好良く見えたのだ
魔術の素養がない氷架には前口上のような詠唱があるのも素敵ポイントに映ったことであろう
「…ん?そうなのか?物知りだな、涼香。
まぁ私もそうそうやらないけど、あんなこと」
単に氷架が勉強不足なだけなのだが
実際それを行った時は眩いばかりに白熱するプラズマ球が発生してしまい、係員が慌てて飛んできたのだった
あの時は、確か色々と劣等感が重なって半分ヤケになっていたのもあった、
体にかかる負担も尋常ではなくその場で倒れてしまったのだが
■永江涼香 > 「ふーん……悪い気はしないわね」
剣を取り、魔法のような力を振るう。
涼香に取り立てて自覚はないが、確かにそれはRPGの主人公の姿によく似ているだろう。
長い詠唱のようなものは天津祝詞と呼ばれる祝詞であり、呪文の詠唱とはまた少し違うのだが、そのズレはお互い知るよしのない事である。
「そうそうやってたら、そこらじゅうが溶けちゃってるわよ……と言うかよく生きてたわね。特殊な耐性でもあるのかしら?」
なんせ人間は、大きく離れ、減衰した日光ですら「暑い」と感じるのだ。
その太陽の中心部の更に4倍の温度。人間どころか、物質が存在しうる温度ではない。
それを発生させる。それだけで、この雪城氷架の持つ異能の強大さがわかると言う物だ。
■雪城氷架 > 「あーいや、炎熱能力の持ち主のための特殊な演習パターンがあってさ」
細々と説明する
熱を遮断するフィールドを設置し、その内部で熱を発生させるというものだ
「それでやってたんだけど、やり過ぎたみたいで怒られた。
でもってそのパターンの演習内容は使用禁止になった……」
ちょっとだけショックだったのか、肩を落とす
「……あ、なんかつい長話しちゃったな…涼香ってウチ何処?」
■永江涼香 > 「ああ、成程ね……」
とは言え、そのフィールドは、太陽の4倍の温度に耐えたのだ。これはもう少し本気を出しても案外何とかなったかもしれない。
「そりゃやり過ぎよ。過ぎたるは猶及ばざるが如し、凄い力なんだからそれを制御するのが大事ね」
偉そうに……ともいかず、少し脱力して口にする。
本当に珍しい事に、あまりのスケールに脱力してしまったのだ。
「あー、家、って言うか住んでるのは女子寮よ。あれもいいわよねー、洋風の部屋なんてホント新鮮」
実家は神社であり、しかも非常に厳格だった。要するに、フル和室。
なので洋風の部屋と言うだけで憧れの対象だったのである。フローリング万歳。
■雪城氷架 > 「へー、何だ。じゃあ一緒じゃん」
言いながら、鞄を肩にかけて
「私もう帰るけど、涼香はどうする?
よかったら帰り道同じだろうしカフェテラスでも寄ってかない?
能力使うとお腹減っちゃってさー」
■永江涼香 > 「あ、なんだ、氷架も一緒なのね」
そりゃそうか、と頷く。まあ、家を持ってない限り、学生は大体寮だろう。
「あ、行く行く!カフェテラス、行ってみたかったけどちょっと行きづらかったのよね!初めてで!」
カフェテラスへのお誘いには、目を輝かせて応える。
実家での和食が常、たまの外食は高級割烹。
徹底した「和」の中に育ってきた涼香にとって、洋風のものは全てが新鮮だ。
先程の氷架以上に目を輝かせるのも、当然と言えるだろう。
■雪城氷架 > 「んじゃ決まりな!」
にかっと笑って、先を進むように歩き始める
きっと二人はカフェテラスで語らい、連絡先何かを交換しつつ
涼香のほうは氷架のもうひとつの異(常なほどの食欲と消化)能力を知ることになるのであろうが
それはまた別のお話
ご案内:「訓練施設」から雪城氷架さんが去りました。
■永江涼香 > 「りょーかい!うふふ、楽しみだわー!」
満面の笑みでついていく涼香。
そこで、氷架も、普段の言動からは読み取れない、丁寧な食事作法で、不器用にナイフとフォークを使う涼香を見る事になるのだろう。
ご案内:「訓練施設」から永江涼香さんが去りました。